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オバマ大統領は、2010年の国勢調査で自らを黒人と規定した

 2010年4月現在、アメリカ合衆国では、国勢調査が行われている。アメリカにこの時点で在住している者は、短期滞在の旅行者などをのぞいて、いかなる者であろうと、この国勢調査に記入して、役所に届けなければならない。かくいう私・木内も、かつて、1990年にオハイオ州ケント州立大学に客員研究員として滞在していた折、国政調査に参加した経験がある。
 この調査には、自己申告で人種を尋ねる項目があって、白人、黒人、アメリカン・インディアン、アジア人、ハワイアン、その他を選ばねばならない。なかでも、Black or African Americanの項目には、「アフリカのいかなる黒人種でも、そこに人種的起源を持つ者。自分が"Black, African American, or Negro"であると規定する者、あるいは、Afro American, Kenyan, Nigerian or Haitianなどと記入してもよい」と書いてある。
 しかも、2000年の国勢調査から、二つかそれ以上の人種が混ざっている、という項目を選んでよいことになった。すべて自己申告制なので、国勢調査に限って、人種は自分がそうだと思った人種に属すことになる。
 そこで、オバマ大統領が自分自身をどのような人種に規定したか、大変、興味深いところだが、ホワイトハウスの報道官によれば、オバマ大統領は、4月5日に国勢調査の"Black or African American"の項目にチェックして、自らを黒人であると規定したとのことである(USA Today [April 7, 2010])。
 オバマ大統領は、母親が白人であるから、「白人」のところにチェックしてもいいし、人種2つ以上のところにチェックしてもいいわけである。ところが、それを、はっきり、黒人のところだけに、一カ所だけチェックしたことは、大きな意味を持つ。オバマ大統領は、はっきり自らを黒人と認めたのである。
 アメリカには、多人種家族協会のような団体もあって、オバマ大統領の今回の行動には、落胆の声を上げている人々もいるが、大統領が自らを白人でも、混血(という項目はない)でもなく、黒人であると規定したことは、大きな意味があるだろう。
 しかも、面白いことに、2010年の国勢調査にも、年配の黒人にはまだ自らをそう呼ぶという理由で、Negroという言葉が残っている。オバマ大統領はこの言葉が含まれているところにチェックを入れたのである。
 オバマ大統領は、その自伝『父から受け継いだ夢』のなかでも、自分の人種が何か、という問題を子供の頃から、探し求めていたことが書かれている。2009年の9月にも、テレビ番組のデーヴィッド・レターマン・トークショーに登場したオバマ氏は自らを「黒人」だと言ったことがある。
 今回の国勢調査で、公的に黒人であることを宣言したようなものである。アメリカ人は、こうして、自分がどの人種に属するか、公的にも私的にもはっきりさせなければならない立場に追い込まれる。曖昧な態度は、特に大統領ともなれば、許されないのだ。たとえば、私の親類なのだが、イタリア系の白人の父親、ハワイアンと日本人の混血の母親がいて、その子供は国勢調査でいったいどこにチェックすればいいのだろう。自分で選ぶほかはないと思われる。
 アメリカ初の黒人大統領という触れ込みで登場したオバマ氏に、本当に黒人といえるのか、と疑義を挟んだ人がいるが、もうこれでオバマ氏黒人なのか、白人なのか、はっきりしたということになるだろう。

(文責:木内徹)



 

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