§ シャント,ダイアライザー,透析膜,ドライウェイト,
  クリアランス,透析量(Kt/V) など


シャント  (shunt)
血液透析では十分な血流量が必要となる。そのため前腕(利き腕でない方の手首が多い)の静脈と動脈を手術によってつなぎ合わせシャントと呼ばれる短絡路を作る。シャントの動脈側の血管から血液を外へ導き(脱血)、浄化した血液を静脈側の血管に戻す(返血)。この部分をブラッドアクセス、バスキュラーアクセスなどと言う。

ダイアライザー  (dialyzer)
血液を透析する部分であり(1)積層型(2)中空糸型の2種類があるが、現在は主に中空糸型が用いられている。中空糸型のダイアライザーは、内径約200μm、長さ10〜30cmの中空糸が3000〜15000本集まって出来ており、これらの中空糸が2〜7cm程度の円筒状のハウジングに詰めれれている。中空糸の中を血液が通り、その外側を透析液が反対向きに流れ、透析膜をはさんで物質交換が行われる。積層型では透析膜が破損した場合、患者血液が大量に失われる恐れがある。これに比べて、中空糸型では膜破損(リーク)が起きたとしても、数千〜1万数千本の中空糸からなるため、失血量が少ない段階で対応できる。膜破損、残血などの安全性、大きさ、重さ、操作性など多くの点で中空糸型のほうが優れている。

透析膜  (dialysis membrane)
透析膜は(1)セルロース系膜と(2)合成高分子系膜に大きく分けられる。セルロース系膜には再生セルロース(RC)やセルロースアセテート(CA)、合成高分子系膜にはポリアクリロニトリル(PAN)膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリアミド(PA)膜などがある。透析膜は素材の違いによって、溶質透過性に優れるものや、生体適合性に優れたものなど特徴があるので、患者の病態に合わせて使い分けることが重要。

ドライウェイト  (DW : dry weight)
ドライウェイトとは、血液透析後の体重、つまり余分なからだの中の水分を取り除いたときの体重のことであり、目標体重至適体重とも呼ばれる。ドライウェイトは個人でも、季節によっても変動する。真の体重の増加(ドライウェイトの増加)と水分量による増加とを区別することが必要。ドライウェイトを設定するには、心胸比、透析前の血圧、透析中の血圧低下、尿量、透析前後の血液濃縮、心臓超音波などのデータが必要となる。

クリアランス  (clearance)
ダイアライザーを通過した血液がどれくらいきれいになったかを表す指標(単位はml/分)。クリアランスをCLで表すことにして、
:血流量
B (in):ダイアライザー血液入口溶質濃度
B (out):ダイアライザー血液出口溶質濃度
とすれば、クリアランスCLは、
CL={(CB (in)−CB (out))/CB (in)}×Q で表される。
ここで{ }内の(CB (in)−CB (out))/CB (in)はダイアライザーの溶質除去効率(Eとする)を示しているので、これを用いるとクリアランスCLは、
CL溶質除去効率×血流量E×Q
と表すことができる。
例えば、血流量200ml/分、透析液流量500ml/分の状態でダイアライザーを用いてHDを行い、透析開始から1時間たった時、ダイアライザーの入口側、出口側のクレアチニン濃度を計測したらそれぞれ10.0mg/dl、2.0mg/dlであった場合のダイアライザーのクレアチニンクリアランス(CL)は、
CL={(10.0−2.0)/10.0}×200=0.8×200=160ml/分  となる。
この場合、溶質除去効率Eは0.8であることが分かる。これは、ダイアライザーを流れた血液の8割(80%)が完全にきれいになることを示している。クレアチニンのクリアランスはEとQの積E×Q=0.8×200=160(ml/分)で示されるわけだが、これは単位時間(分)あたり160mlの血液が完全にきれいになったものとして理解することができる。

標準化透析量(=Kt/V)  
透析により、特に尿素などの小分子量の老廃物がどれくらい除去されたかを示す指標。この値は、透析患者の予後にも影響するので重要。
読み方は“ケーティー・オーバー・ブイ”。
Kは尿素のクリアランス(ml/分)、tは透析時間(分)、Vは患者の体水分(ml)量を意味し、通常は体重に0.6を掛けた値とする(60kgの人は60kg=60,000mlなので60,000×0.6=36,0000mlが体水分量となる)。Kは尿素のクリアランスなので、1分当りに尿素が完全に浄化された体水分量(ml)を示している。したがってKとtの積であるKtは、透析時間t(分)において尿素が完全に浄化された体水分量(ml)を意味する。そのKtを患者の体水分量V(ml)で割った値がKt/Vとなるので、Kt/Vは患者の体水分量V(ml)の何倍の体水分量が時間tの間に完全に浄化されたかを示した指標であると言える。Kt/Vの理想の値は1.6以上とのこと。

ただし、Kt/Vを絶対視することも危険であり、欧米では膜面積の大きなダイアライザーを選択し、血流量をあげることで尿素クリアランス(K)を上げ、その分、透析時間(t)を短縮して同様のKt/Vが得られるような短時間透析が試みられたが、この場合、同じKt/Vの値が得られても生命予後はわるくなることが分かった。

<他の変数によるKt/Vの記述>
Kt/Vは透析前、透析後の尿素(BUN)の値を用いても記述することができる。透析前後のBUNの値(濃度)をそれぞれC,Cとする。ここでBUNの除去率(除去効率)をとすれば、
R=(C−C)/C   ・・・(1)
と書ける。
除水の影響を無視すれば、透析前、透析後のBUNの値について下の関係が成り立つことが分かっている。
=Ce(-Kt/V)
これを変形すると、
(C/C)=e(-Kt/V)   さらに両辺の自然対数(ln)をとると、
ln(C/C)=ln e(-Kt/V)=loge e(-Kt/V)=(-Kt/V)loge e=-Kt/V  したがって、
Kt/V=−ln(C/C   ・・・(2)
と書くことができる。
ここで(1)の式より、
R=(C−C)/C=1−(C/C)   つまり、
(C/C)=1−R   ・・・(3)
(2)式に(3)の式を代入すると、
Kt/V=−ln(1−R)   と記述できることが分かる。
結局、Kt/VはBUNの除去率(R)が分かれば求めることができる。
[ 例 ]
透析前後でBUNが80から20mg/dlに低下した場合の除去率は、
R=1−(20/80)=0.75
であるから、
Kt/V==−ln(1−0.75)=1.39 と求めることができる。

ただし、これらの計算式はHDによる除水や尿素の産生を無視したモデルから導かれている。そこでDaugirdasは、除水や尿素の産生を考慮した次のようなKt/Vの式を提案している。
Kt/V=−ln(R−0.008t−f・UF/W)
t:透析時間(時)
f:補正係数
UF:一回の透析における総除水量(L)
W:患者体重(kg)

★ キーワード:
シャント(ブラッドアクセス,バスキュラーアクセスとも),ダイアライザー(積層型,中空糸型がある),透析膜(セルロース系膜,合成高分子系膜がある),ドライウェイト(:DW,目標体重や至適体重ともいう),溶質除去効率,クリアランス,標準化透析量(Kt/V),


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