【98年9月】

9月1日(火)悔し紛れの四捨五入

 日記を「俺」に交代してもらおうと思ったのに、「こないだ代わってやったばかりじゃないか。お前が勝手に始めたんだから、最後まで責任を持ってやれ!」と拒絶される。ちぇっ、まったく融通のきかない頑固なやつだ。

 今日は地震関連の原稿を打った後、「街ダネ」のアポ取りをする。横浜美術館に取材依頼の電話をすると、先方は「依頼書をファクスで送るので、必要事項を記入して返送してほしい」という。送られてきた依頼書を見て、私はカッとなった。取材希望日時や取材人員、掲載予定日のほかに、発行部数などという記入欄があるではないか。「冗談じゃねえぜ。発行部数の多い少ないで応対の態度を変えるとでも言うのかよう凸(`´#) 」

 そこで卑怯者の私は、通常の発行部数を4倍した数を書き込んでやった。ところが、それを見ていた編集総務課のU女史に、「それはいくら何でもマズイわよ。相手はこの会社の実力をよく知ってるから、正直に書いたほうがいいわよ。ウソを書いたことが原因で、取材させてくれなかったらどうするの?」と厳しく説諭されてしまった。私は悔し紛れに、とりあえず5万部だけ水増ししてやった。そして美術館には取材依頼書とともに、挑戦状を送り付けた。

「発行部数は四捨五入しました。もちろん『五入』のほうですけど(笑)」

どこが挑戦状や…。

9月3日(木)乙女らに囲まれる私

 昨日の朝、会社で原稿を打っていたら、女子中・高生の一団がやってきて、私は彼女らに取り囲まれた。左右を見回し、な、なんだなんだと狼狽しているところを会社の営業マンY君にパチリと写真を撮られ、「○○学園の新聞部の生徒さんたちが、新聞社見学にみえてるんですよ。ちょっと原稿の送り方を説明してもらえませんか」。そ、そうか、お嬢様学校の乙女らか。よしよし、オジサンでよければお役に立ちませう。

 私は乙女らに、パソコンを使って原稿を打ってみせ、語句の間違いを見つけて直してくれる校正支援システムを披露し、電話回線で原稿を送信するまでの一連の流れを実演した。「記者のやりがいって何ですか?」「一面に載せる記事はだれが決めるのですか」などと質問を受け、いたって真面目に返答した。EINの主宰者であっても、NIE活動には協力的な態度を示さないと。

 で、今日の朝刊を開いてビックリ! ○○の女の子たちが新聞社見学に来たことが、写真付きで記事になっているじゃないか。しかもその写真たるや、私が左右を見回して、な、なんだなんだと狼狽している場面じゃんか。Yのやつ、他にもいろいろな場面を撮っていたはずなのに、どうして一番格好悪い写真を使うんじゃい! 会社に着くなり内線で営業フロアに電話。「もしもし編集のビシですけど、Y君いますか?」「…すびばせん。今日はやすびをいただいてばす」

 チキショーメ、逃げられちゃしょうがない。でもあの電話の鼻声、もしかすると…。 

9月4日(金)食べ物二題

 私は「妊婦モノ」が大好きだ。こう言うと、アダルトビデオとかインターネットのえっち画像とかを想像する人も少なくないだろうが(女性閲覧者に申し上げますと、あるんですよ、そういうの)、私が意味するのは、妊婦を対象に企業や自治体が企画する各種事業の取材のことなのだ。

 で今日は午前中、横浜市戸塚区が主催する「マタニティークッキング」というのをのぞいてみた。何も妊婦をとって食おうという話ではない。20週以上の妊婦を対象に、栄養バランスの取れた料理を身に付けてもらおうとの狙いだ。ちらし寿司、夏野菜の和えもの、かき玉汁、ヨーグルトゼリーというメニュー。総勢28人の身重の女性が、7人1組で調理に取り組んだ。間もなく一児の母となる喜びと、出産に臨む不安とが入り混じった初産婦の心情が、私はたまらなく好きなのである(自分では所帯を持ち子供を設けるつもりは全くないのだが)。

 でき上がった料理をお相伴にあずかりながら(案外うまかった)、私は逆に妊婦らに質問を浴びせかけられた。「結婚しているのか」「子供はいるのか」と。私は適当にお茶を濁したが、妊婦らは「この記者は仕事一辺倒で、女に逃げられたに違いない」ということで意見がまとまったようだ。まあ「仕事一辺倒」以外は女性の勘が冴えわたったと言えましょう。

 年輩の保健婦さんらにいわせると、若い母親らの家事能力はここ10年でむちゃくちゃ低下しているらしい。半面で男女平等が声高に叫ばれ、仕事でへとへとになった夫が帰宅後も家事や育児を強いられるため、殿方の疲労度はいや増しているのだとか。ひとりものの私には分かりまへん。でもまあいいんじゃないでしょうか、好きで一緒になったのだから。夫は妻のために倒れるまで尽くせ。それが嫌ならはじめから結婚すな!

 午後は横浜市内にあるWFP(国連世界食糧計画)を取材する。世界最大の食糧援助機関で、内戦や干ばつにより飢餓状態に瀕している国々に対して緊急食糧援助を行っている。だが、これまで広報活動に要する費用をすべて食糧援助に回してきたため知名度が低く、PR活動を進めて協力者を増やすために日本事務所が設立された。世界の飢餓人口は8億人。そのうちいまだに食糧援助を受けられない人が6億人。1000円あれば難民33人が1日生き延びられる食糧援助が可能だ。もしWFPの活動に興味を持ち、食糧援助に協力してもいい、という閲覧者がいらっしゃったなら、ぜひWFPの日本事務所(エ045-221-2510)に連絡してみてください。ビシからのお願いです m(_ _)m。

9月5日(土)初志貫徹

 阪神大震災の取材を通して私は、震災ボランティアには3つの問題点があると感じた。 1・活動全体をとりまとめるコーディネーター役の不足 2・ボランティアが互いを知らず、知ろうともしない 3・被災地の人に優しいが、自分が住む地域の人には冷たい−。

 アジアの貧しい地域の人々を支援しようというみなさんも、全く同じ問題を抱えていると、私は思っている。アジア支援ボランティアやNGOはたくさんあるが、互いの活動を知らないし、それゆえにまとめ役もいない。地域で暮らすアジア人に対しては目が向かないし、偏見すら抱いている。同じ志を持つボランティアやNGOが草の根レベルでネットワークを築き、自分たちの活動をもう一度足元から見つめ直し、ボランティア活動で得た成果をまちづくりに生かすことが不可欠だ。それができないアジア支援なんてインチキ。今すぐやめなさい。

 こういう内容の話を明日、アジア支援NGOの会合で私は講演しようというのだ。袋だたきに遭うか、生きて帰れないかも。もう少しウケル話題に代えたほうがいいかなあ。えええい、明日は初志貫徹じゃ! (その結果はあした報告します)

9月6日(日)流血騒動

 昨日の御案内どおり、アジア支援NGOの会合で講演(時間90分、聴講40人)し、「団体間のネットワークづくりができないならやめてまえ!」と吠える。これは生きて帰れないな、と思ったら、講演終了直後にNGOの幹部から「いやあ、的を射た指摘だ。ホントにこれまで同じような活動をしている団体とは全くつながりがなかった。今後はネットワークづくりに本腰を入れることにします」という感想が返ってきた。拍手の中、あっけにとられながら降壇した。言葉足らずな部分も少なくなかったが、まあ成功ということにしておくか。

ここから先、スプラッターな話が苦手な人は読まない方がいいです。

 講演を終えて、(やれやれ、血を見ずに済んでよかった)とホッとしたとき、NGOの人が私の右手を指差して言った。

 「ビシ島さん、血、血が出てる!」

 あわてて右手を見ると、ギエ〜。手の甲から鮮血がジワジワとにじみ出しているではないか。8月初旬の日記でも紹介した、ガラスコップを洗っているときにけがをした部分だ。どうやら講演の最中に緊張を解きほぐすために、傷口を無意識にボリボリとかきむしっていたようだ。とっくの昔に傷はふさがって普通の皮膚の色に近付きつつあったのに、またまた人体の神秘を垣間見てしまった。まあすぐに治るだろう。とりあえず止血して傷をなめておく。私は落ち着いていたが、周囲を慌てさせて申し訳ないことをしたと反省。

 今回の講演は「ボランティア」、つまりタダと聞かされていたのだが、NGO幹部から「お車代」を手渡される。その場で中身を確認。3000円。アジア支援に使ってほしいと申し出て、返納する。これがもし30000円だったら、拒む自信はない (^o^;)。

 あ、そうそう。この講演会を目標にダイエットに励んできた私であったが、結果は5キロ減の77キロ。今後も努力を継続し、第1目標として70キロを目指す所存だ。

 自宅に戻ると黒沢明監督死去のニュース。合掌。大学時代に同じクラスだった岩井俊二カントクとは、2人でよく黒沢映画を観たものだ。カントク、巨匠亡きあと名実ともに「監督」になってくだされ。

9月7日(月)バイト君悲哀

 来年入社する新卒予定の男子学生S君が、今日から会社でアルバイトを始めることになった。担当のデスクは彼にいきなり「展覧会の取材に行け」と命じた。「まさかアルバイト初日から取材をするとは思わなかった」と漏らすS君。さもありなん。記事の書き方も写真の撮り方も知らない人間をいきなり現場に放り出すのが、私の勤めている新聞社のやり方なのだ。かわいそうに…。

 で、同情していたら、私が彼の指導をすることになった。ひええ〜。取材と写真撮影の方法を私が簡単に説明した後、S君は1人で現場に行き、主催者の話を聞いて写真を撮って戻ってきた。ところがストロボがうまく発光しておらず、フィルムには何にも写っていなかった。結局彼は撮り直しをする羽目になる。2度目の写真はうまく撮れていたのが救いだった。原稿も滅茶苦茶だったが、説明をしながら手直ししてあげる。昼食を食べる時間がなかったという彼に、午後3時に会社の食堂で定食(500円)をおごる。自分は冷奴(50円)と無料の味噌汁で済ます。

 S君は初日で「こんな会社で働くのは嫌だ」と思ったかもしれない。明日はデスクが出社する前に、彼を会社の各フロアに案内し、新聞制作の流れをていねいに教えてあげようと考えている。そういえば自分の新人時代も、配属初日にネタの提示もないまま、「とにかく何でもいいから取材して写真を撮って記事を書け!」と命ぜられた記憶がある。「現場が最大の教師」とは言っても、やはり準備運動やオリエンテーションは不可欠だ。入社する前に辞表を書かないように、S君には親切にしてあげようと思う。

9月8日(火)出くわせばストーカー

 取材で横浜市内の寺に生えている菩提樹の写真を撮りに行く。「解散」した女性の自宅マンションから目と鼻の先にある。私鉄駅からバスに乗り、彼女の家に遊びに行くときと同じバス停で降りるんだよな…と感慨にひたる。日中だから本人とは出くわしたりはしないだろう。でも出くわしたい気持ちもあった 。ストーキング行為と誤解されただろうけど。

9月9日(水)非難GOGO!

 「英子」連載終了に関し、閲覧者や関係各方面から非難ごうごうで、終日対応に追われる。とりわけ「さっさと第2部を始めよ」との声が多い。し〜ましぇん。でも現実に則した話を書くのがEINのルールと決めているので、虫のいい作り話は書けません。そんな中、「分かってるって。びし記者のことだから、閲覧者を一度落胆させておいて、この先大きな仕掛けを用意しているんでしょう」との過大評価メールも。いいえ。こういう期待が一番つらい…。この先大仕掛けがあるとすれば、私の新聞社退職にともなう「EIN終了宣言」だけです。

9月10日(木)口が裂けても

 夜遅くまで会社で原稿を打っていたら、女性読者から電話が入る。

 「あのう、ノースウエスト(NW)航空がストをやっているって本当ですか。私は近々NWで海外旅行をするんですが、本当か嘘か、確認する手だてがないんです」

 「そんなものテメエで調べやがれ! 馬鹿!」

 口が裂けても読者様にそんなことは言えまへん。

 「あっそうすか、ま、新聞お読みいただいてるなら、まあ、ね。ちょっと調べてみましょうか…」

 私は女性読者の自宅電話番号を聞いてから一旦電話を切らせ、成田のNWに電話した。

 「あのうもしもし。ちょっと前まで御社はパイロットがストやってたようですが、今はもう妥結しましたよねえ」

 「いいえ、まだ続いてます」

 「あっそうすか、有難うございました」

 女性に電話。

 「スト、まだ続いてますね。普通はツーリスト会社から連絡が入るのですけど、おたく様は格安航空券を買ったのでしょうか。それだと連絡の入れようがないですからね」

 「いえ、格安航空券じゃないんです」

 「はあ?」

 「ツーリスト会社から『ストでNWのチケットが取れず、代わりの飛行機も見つからない』って連絡が入ったんです。それがウソかホントか確かめたかったんです。どうも有難うございました」

 「テメエ下手に出てりゃいい気になりやがって、いいかげんにしろ! ぶっ殺すぞ!!」

 口が裂けても…。

9月11日(金)泊まるなら木曜

 今日は大嫌いな泊まり勤務の日。会社と組合の合意事項で、泊まりの翌日は休養日となるのだが、明けの日が土日や祝日に重なると、無茶苦茶損をした気になる。というより本当に損をするのだ。

 例えば木曜が泊まりの記者は、泊まり明けの金曜が休養日で、続く土日も休みだから3連休となる。これは嬉しい。ゥラッキィ〜\(^^)/ これから伊豆稲取温泉にでも遊びに行こうかな、という浮かれた気分にもなるだろう。

 ところが金曜泊まりの記者は明けが土曜なので、公休日と休養日が重なって休みを1日分損してしまう。おまけに土曜も交代要員がなかなか来ない場合が多く、半日は仕事で潰れる始末。だから実質的に休みは1.5日。そして私の場合はなぜか、泊まりの8割方が金曜日にブチ当たるのである。ァンラッキィ〜ヽ(´Q`;)ノ このままどこか遠い世界にでも逝ってしまいたい、という捨て鉢な気分にもなろうというものよ。

 泊まりの「輪廻」を決めているデスクに「なんでいつも私は金曜泊まりなんスカ」と文句を言うと、「うん、まあ、あれだ。土曜泊まりじゃないだけ幸せだと思ってくれ」。

 ううむ。確かに土曜泊まりの記者は、土曜の休みを勤務で潰し、明けの日曜日も公休日と休養日が重なり、おまけに交代要員も来ずに仕事で半日潰してしまう。休みは実質0.5日という不幸な役回り。だが自分より不幸な奴を見て、自分はまだマシと考えるのは、建設的な態度ではアリマヘン。

 よし、泊まり明けの休養日が公休日と重なった場合には別途代休を設けるよう、会社側に不公平の是正を訴えよう。もし認められれば金曜泊まりで損をする分、月曜を代休に充てるぞ。そして稲取温泉に繰り出し、金目鯛の煮つけとアワビの残酷焼きとイセエビの刺身と松葉ガニの釜ゆでを食べるのじゃ!

 だが私の訴えは、御用組合のレベルであえなく却下されるに決まっている。チキショーメ。そこで私は強硬手段をとり、新人の記者をつかまえてこう言うのである。

(-_-) おい、お前の木曜泊まりと、オレの金曜泊まりを交換しろ。うるさい、つべこべ言うな! 埋め合わせに稲取温泉でミカンアメ買ってきてやるから」

 口が裂けても…。

9月13日(日)EIN校閲室・日記分室開設

 今日から本編で、「EIN校閲室」という新企画を始めた。当サイトに潜んでいる字句や内容の間違いを探し出し、実績を積み重ねて閲覧者に「校閲室長」を目指してもらおうという趣旨。新聞社の校閲部門縮小の流れに、楽しく遊びながら抵抗することが狙いだ。ぜひご参加くだされ。

 で、困っちゃったのが、この日記の扱い。ほとんどの閲覧者が日記の存在を知らないですけん。これでは不公平が生まれかねない(そもそも少数の閲覧者しかこの日記を知らない、というのも不公平といえば不公平?)。そこで日記に関しては本編の校閲室とは別に「日記分室」を設け、皆さんに間違い探しへの協力を仰ぐことにした。よろしくお願いしま〜す。

 間違い1件で「分室員」、3件で「分室係長」、5件で「分室課長」、10件で「分室デスク」、15件で「分室長代理」、20件で「分室長」の証を発給します。日記は毎日慌ただしく更新するので間違いが頻発し、後で気がついて直していることが少なくない。日記分室の室員は本編の室員とは違い、出世が早そう。日付と曜日の間違いや、「私」と「俺」の混乱が校閲の狙い目デス。諸姉兄の健闘を祈ります。

 それにしても、室員証の作成や室員の昇進管理が面倒臭そう。馬鹿なこと始めちゃったなあ…。でもそこはそれ、私が字句の間違いを出さなければいいのだ。「世界で最も校閲態勢が充実した媒体を目指す」とか本編でほざいた私だが、サイトに間違いが少なければ、室員は一向に増えない。完全な自己矛盾 (^o^;)。 

9月14日(月)「仲間割れ」あるいは「ひとり相撲」

 昨日から「EIN校閲室」という新企画を始めたのに併せ、私はとりあえず日記だけ校閲のやり直しをする。あるわあるわ、間違いが。「通販」を「通版」としていたり、「ツールドフランス」が「ツルードフランス」だったり、木曜日の次がまた木曜日になっていたり…。いや〜アブナイところだった。慌てて手直しをする。

 私が校閲作業に懸命になる一方で、「俺」の方はお絵かきソフトを使って校閲室員証作りに躍起だ。本編の校閲室員はタコ、日記の分室員はイカで、赤ペンを持って校閲作業に取り組んでいる絵柄。ご丁寧にも、校閲協力者の名前を打ち込むための空欄まで用意してある。タコやイカが実績を積んで昇進するたび、手に持つ赤ペンの本数が増えていくというアイデアらしい。「これはカワイイ、女性閲覧者に絶対に受けるぞ!」と「俺」は自信タップリの様子だ。挙げ句の果てに、校閲作業をしている私に対し、「おいおい、そんなに間違い直しをしてしまったら、校閲室員証が発給できないじゃんか。少しは間違いを残しておけよ」と口をとがらせる。

 「いいや。君の企画はもちろん尊重するが、やはり間違いは徹底的に直さなければいけない」と私。「お前なあ、必死で作った校閲室員証が、だれの目にもふれなくてもいいのかよ!」と「俺」。つかみ合い寸前の険悪なムードが漂った。そして「俺」はこう言った。

 「明日から日記はしばらく俺に担当させろ」

 ふん、みえすいた魂胆だ。日記の中で意図的に間違いを頻発させて校閲室員証をバラまきたいのだろうが、そうはさせないぞ。私は声を荒げて言った。

 「断わる。そんなことよりマジメに本編の更新をやったらどうなんだ!」

 「俺」は私の言葉にハッとして、1人つぶやいた。

 「それもそうだな。まずは本編の更新をきちんとやらないと…」

 私も「俺」の言葉にハッとして(こいつはマズイことを言ってしまったな)と心の中で舌打ちをする。あいつは自分が担当している本編で間違いを頻発させようという腹らしい。じょ、冗談じゃない。「俺」がそんな暴挙に出たら、私が間違いを全部手直ししてやる。いくら絵柄が可愛くても校閲室員証は、いわば不名誉な間違いの証(あかし)だ。絶対に発給させんぞ!

9月16日(水)疲れて死にそう

 昨晩会社で同僚M記者(女性)が、「明日は代休を取るんだ」と言ったのに触発され、私も休日取材の代休を取ることにした。台風が関東直撃じゃあ、とてもじゃないが仕事にならないし、逆に台風被害の取材でいたずらに忙しくなるので、それなら家で寝ていた方が得策、という判断だ。

 でも台風はすごい勢いで北上し、昼前に横浜はカンカン晴れ。どこかに遊びにいこうかとも思ったが、意に反して体は全く動かない。自宅マンションの床に敷いたゴザの上で、半日横になっていた。考えてみれば、9月に入ってから土日の休みは取材、講演、泊まり明けで半日パア、といった調子でほとんどまともに休んでいなかった。 これまでの疲れがどっと出た感じだ。

 きょうは私も「俺」もぐったり。申し訳ないが、本日の日記はこれぐらいで勘弁してくだされ。

9月17日(木)「押しもの」に御用心

 昨日の日記を読んだ閲覧者から、「大丈夫ですか」「お大事に」「日記はしばらく休んだら」などとお見舞いやねぎらいのメールを多数頂戴したので、この場を借りて御礼申し上げたい。と言いたいところだが、そういった類のメールはただの1コも届いていない。ははは…。

 昨夜は10時に寝て、今日は午前7時に起きた。だいぶ疲れは取れた。自宅で朝、私が勤務する会社の新聞を開く。そして真っ青に。私が担当している「横浜の街歩き」シリーズに、致命的な間違いがあるではないか! 記事と写真は第7回なのに、写真の説明が第8回分になっているのだ。間違いの状況を簡単に解説すると、記事と写真で「トラ」を扱っておきながら、写真説明を「ライオン」としてしまうようなヘマをしでかしたのである。原因は、私の担当デスクと整理部(レイアウトマン)のうっかりミス。こういう間違いは「トラ」と「ライオン」の双方からガオー、ガオー! と激しい抗議があるからつらい。他人のミスでも噛みつかれるのは結局私だしぃ。社の校閲態勢がいい加減なので、代休もオチオチ取れんよ。一気に疲れがブリ返す。出社したら思いっきりデスクに説教かましてやるぜ。

 話はガラリと変わります。

 この日記の上に「来たよ」ボタンというのが付いてますが、これを押すと私のところに、「来たよ」メッセージとともに、閲覧者のメールアドレスと名前がメールで送られてきます。これまでの日記閲覧回数ランキングは、1位・九州の公務員さん(女性) 2位・在米の日本人留学生さん(女性) 3位・つくばの主婦さん(女性、当たり前や) 4位・青森の女子大生さん(女性、同じく) といったところです。「来るたんびに押しているよ」という同僚男性記者もいるけど、届いてません(^_^;)。アンケートをはじめとするEINの「押しもの」(フォーム送信)は、ネットスケープやエクスプローラーなどのブラウザ付属メーラーに、自分のアドレスや個人情報を設定しておかないと機能しません(ブラウザの設定次第ではユードラなどでも機能するけどね)。

 で、この「押しもの」最大の欠点は、閲覧者が他人のパソコンで操作をした場合、閲覧者ではなくパソコン所有者の名前やメールアドレスが送られてくること。以前「オレバカ」の「飯と汁の位置関係」に関し、同じ人から何度も回答が寄せられ、その都度返答をしていたのだが、なんと九州工科大学の学生さんが大学教授のパソコンをこっそり使っていたことが、その後発覚した。「わしゃ何のことやらさっぱり分からん」と、くだんの教授がメールを寄越した次第。そのうえ今回、たまたま他人のパソコンでこの日記を閲覧し、「来たよ」ボタンを押した人がいて、私は「閲覧ありがとうございました」とメールを送ってしまった〜い (^o^;)。メールは当然パソコンの所有者に届くから、その人は「何のことやら分からん」と首をかしげていることでせう。ま、いずれにせよ 人のパソコンを借りているときには、「押しもの」には触らない方が得策です。

 閲覧者アンケートを通じて、東北在住の女子学生さんからメッセージ。

 「『校閲室』に持ち込もうと必死に誤字・脱字を探しているのですが・・・、全く見つかりません。人の揚げ足を取るのはいかん!、ということなのでしょうね」

 どんどん揚げ足取ってくだされ。ただし自分のパソコンでね

9月18日(金)食った、飲んだ、うさ晴れた?

 昨日御案内のとおり、担当デスクとレイアウトマンのミスで、「トラ」の写真に「ライオン」と説明をつけるようなヘマをやらかし、私は今日、双方におわびの電話を入れた。

 まず「トラ」に。「あのう●●新聞のビシ村ですが」「ガオー」「このたびはとんでもない間違いをしてしまい、申しわけありませんでした」「ガオウ!」「本日訂正を出しておきました。本当にすみませんでした」「ギャオーン!!」

 続いて「ライオン」に。「もしもし、××新聞のビシ川です」「ウオー」「ご覧頂いたかと思いますが」「ワオーン!」「本当に申しわけありませんでした」「ウオオオオオーン!!!」

 どちらも取りつく島もなし(ii)

 仕事を終え、うさ晴らしに私のパソコン先生、その友達で同僚のM記者、その他2名を自宅に招いて飲み食い。ダイエットは小休止じゃ。スモークタンと生ハム添えのサラダ、ポテトのトルティージャ(スペインオムレツ)、冷製コーンスープ、パエリア、デザートに巨峰とナシ、ハーゲンダッツ。酒はビール、ワイン、日本酒というラインナップ。食ったあ〜、飲んだあ〜! 外での飲み食いは、高い、うるさい、うまくない。自分で料理を作って人を招いた方が安い、静か、味はともかく喜んでもらえる、おまけに自分は家に帰らなくていい (^o^;)。閲覧者諸氏もいつか自宅に招いておもてなしし、日頃のご愛顧に感謝したいところだが、米国九州東北では難しいか、ううむ残念。

 飲み食いが終了し、同じ町内に住んでいるインターネット未体験のK記者に「ビシ記者のホームページを見せてほしい」とせがまれ、「スジャータ話」「太郎話」などを閲覧してもらう。腹を抱えて笑っていた。人が自分のホームページを見て笑っているさまを、私は初めて目にした。気がつけば午前2時。

 というわけで日記の更新が遅くなりましたこと、おわび申し上げます。

9月19日(土)2代目「俺」確定と「オレバカ」予告

 勤務なし。昨晩は飲み食いし過ぎた。恐るおそるヘルスメーターに乗る。が、目方にさしたる変化はなく、ちょっと安心する。

 後片付けをしながら、独身のK記者がビールを飲みながら昨夜しみじみと語った話を思い出し、1人で「ワーッハッハッハ!」と大笑いする。内容は次の通り。

 司法担当のK記者は、オウム真理教関連の裁判で、東京地裁の法廷へ。傍聴席から廷内を見回すと、そこには高校時代に交際していた女性がいた。しかも黒い法服をまとっているではないか。彼女は判事補になっていたのだ。2人は同じ道(司法試験合格)を志した仲だったが、10年の月日が流れる中で、かたや試験をパスし、かたや…。法廷を仕切る柵の両側で、人生の明暗が浮き彫りになる。裁判官の声も耳に入らず、取材のペンも走らせず、じっと彼女を見つめるK記者。だが彼女はK記者の存在に全く気が付かない。声をかけたい、失われた10年を今からでも取り戻したい、もう一度彼女と一緒に人生を歩みたい。だが閉廷後、K記者が公判内容を知らせる掲示を再び確認すると、そこに書かれていた彼女の名前は、既に苗字が変わっていた。ガッビーン。「俺の人生一体何だったんだ…」、K記者は会社に戻る道すがら、ふと本屋に立ち寄り、1册の本を買う。「司法試験合格への道」。だがその本も今や、男所帯でウジがわきそうな彼のワンルームマンションの片隅で、厚さ3ミリのほこりをかぶっている。(完、一部補足取材)

 K記者はEINを閲覧して、「俺もホームページ作ろうかなあ」と話していたので、その時はEINの2代目「俺」に就任してもらいたい。

 EINのウリであるオレバカの読みきりモノは、「スジャータ話」以来ごぶさたの状態が続いている。クスリが切れた閲覧者から、更新催促のメールも増えてきた。そこで私は今日から更新作業に取り掛かる。明日の夜までにはアップできると思うので、表紙の更新情報にご注意くだされ。内容は、泊まり勤務での大失敗の話。「スジャータ」のときのように状況説明のための写真が必要なのだが、とても恥ずかしくて状況を再現できないので、イラストにしようかと考えている。

 それにしても、何とかして「太郎話」を超える面白い読み物をお届けしたい、と私は思っているのだが、あれを超えるには余程面白い体験をしなければならず、もうほとんど不可能といっていいだろう。まずは2塁打3塁打の連発を目標に、あわよくばホームランをかっ飛ばしたい。

9月20日(日)新作アップ完了

 勤務なし。全編ハードボイルドタッチで迫った(どこがや)オレバカ新作「事例3・開けてくれー!」の後半部分の更新に追われる。午前10時半から午後6時まで。途中「やっぱり さんま大先生」(私が毎週欠かさず観る唯一のテレビ番組)を30分観たほかは、ずっとパソコンの前に座っていたので、つごう7時間か。作業時間の大半はイラスト制作に費やした。新聞社社屋の全景と夜明けの雰囲気を出しながら、なおかつ柄パン1枚の私がドアノブをつかみながら呼び鈴を押している状況を表現し、しかも画像の容量を30キロバイト以下に抑える、という作業は極めて難しかった。でも我ながらいい出来だわい。ね、あのイラストなかなかいいでしょ? でしょでしょでしょ? (会社の報道部では、記事に添えるイラストや図表を社内のデザイナーに発注する前に、下絵のアイデアを練るのが私の仕事でもあるのデス)

 ただし文章の方はシモネタで笑いを取ることをよしとしない私(ホンマかいな)としては、今回「シモ」な話(事例1)もあって、ちょっと引っ掛かりがあったのも事実。でもストーリーの上でどうしても必要なファクターだったので…。女性閲覧者の皆さんにはご勘弁くだされたし。文章の方は当分の間、細かい手直しが続きますので、1週間ぐらいしたらまた読み直してみてくだされ。

 ところで今回の話は、そんなに新しい出来事ではありません。「柄パン事件」以後は私も反省し、今ではちゃんとスウェットの上下をパジャマ代わりに着用しております。でも会社のロッカーに置きっぱなしなので全然洗濯していない、という環境問題が新たに発生しています (^o^;)。

9月21日(月)どうしたものか

 午前0時過ぎに、前の前に交際していた女性から電話が入る。私の無類の機械好きと、おチャラケた性格に愛想を尽かして去っていった人だ。用件は何と、「パソコンを教えてほしい」。高校の美術講師をしている彼女、週に2回の非常勤なので、残りの時間にアルバイトをしようと思い立ったようだ。彼女は大のパソコン音痴。でも最近はパソコン経験者であることを採用の条件にしている会社が少なくないため、これを機に真剣に勉強しようという腹らしい。

 「面接で『パソコンできますか?』って聞かれたら、とりあえず『ワードとエクセルは使えます』と答えればいい。採用されてからその2つのソフトを必死で覚えれば問題ないよ。1週間あれば大丈夫だよ」

 「でも面接のときに『それでは今、ウチのパソコンを操作してみてください』って言われたらどうするの?」

 「だったら両手に包帯して面接に行けばいいじゃん。先方には『1週間で治ります』って言っておけばいいよ」

 「全然性格変わっていないのね。だれも教えてくれる人がいないから頼んだのに。電話なんかするんじゃなかった…」

 「わりかった、わりかった。俺が教えるから」

 とは言ったものの、大昔に解散した女性にパソコン教えるなんて、すっげ〜気が重い。先方は何を考えているのか、一体私はどうしたものだろうか (-o-;)。

9月22日(火)丹波君のこと

 台風の影響で、横浜も午後から激しい雨と風。閲覧者各位の住む街はいかがでせうか。ソウル五輪・陸上女子100メートルの金メダリスト、フロレンス・ジョイナーさん(38)=米国=が心筋梗塞で亡くなる、というニュースが新聞社に飛び込む。とても気の毒だが、私に驚きはなかった。新聞社に入ってから、身体能力の高い運動選手が早死にする例をたくさん見てきたので。夭折(ようせつ)したスポーツマンの中でも私が忘れられないのは、4年前の横浜高校でエース投手だった丹波君(17)だ。丹波君は豪速球と長打力が売りの選手で、彼を擁する横浜は春夏の甲子園出場が確実視されていた。が、センバツ出場校を決める秋の関東大会を前に、休みを利用して久しぶりに戻った自宅で、彼は突然死した。急性心不全。激しい練習による心臓肥大が原因だった。春夏連覇を果たした松坂君は、丹波君と全く同じタイプの投手なので、ビュンビュン投げ、パカスカ打つ松坂君を見ても、それを手放しで喜ぶことが私にはできない。二十数年前、横浜が春のセンバツで初優勝したときのエース永川選手も、もうこの世にはいない。杞憂だろうけど、激戦を続けてきた高校球児の体を私が過剰に心配するのは、ここに原因があるのデス。

9月23日(水)葬式を考える

 休日返上で取材。横浜市内の生協が「私の楽しいお葬式」と題して、会員から公募した企画を基に模擬葬式を実施した。お坊さんの読経の代わりにオペラ歌手がアリアを歌い、色とりどりの花に囲まれた祭壇に、参列者がカーネーションの献花。遺影は1枚ではなく“故人”の生きざまが分かるように、子供時代から最近までの写真を数枚飾ってある。訳の分からないしきたりや戒名などの「侵してはならないタブー」から解放され、生前に自分の葬式のありようを真剣に考ておくのはいいことだ。

 でもそれが度を超すと「注文の多い死体」となり、遺された家族が無茶苦茶な負担を強いられる、という懸念もある。かつて私は同僚の女性記者から、「自分が死んだら葬式で、矢野顕子の曲(忘れない、忘れない…というやつ)を流してほしいと思っている」という話を聞き、ホホウと感心させられたことがある。こういう葬式はいいなと思う。だがオペラ歌手に葬式で「あぁ〜る晴れたぁ〜日ぃ〜!」と歌われた日にゃ、遺族も参列者も居心地が悪かろうて(今回呼ばれたオペラ歌手も実際の話、「葬式で歌うのはちょっと…」とこっそり私に漏らした)。

 私の場合、葬式代と墓代と遺影用写真(かつて紹介したカメラ構えているやつ)だけ残していって、あとのことは家族に一任し、負担がかからないよう質素にやってもらいたいと考えている。それよりも現時点で気になるのは、自分が交通事故などで突然死んだ場合に、遺品となる物品である。親兄弟が私の遺品を整理しているときに、タンスの奥から本多勝一や浅野健一が書いたジャーナリズム関連書籍のほか、ロバートキャパや沢田教一の写真集なんかが出てきたりするとカッコイイ。「あいつは最後まで真面目な部分を隠し通してきたんだなあ…」と見直されることだろう。だがタンスの奥からアラレちゃん人形や「五月みどり写真集」なんかが出てきたりすると、ひどくカッコ悪い。「あいつは最後までアホだったんだなあ…」と馬鹿にされることだろう。よし、いつ死んでもいいように、「遺品」は今からきちんとアレンジしておこう (^o^;)。

 現場で某新聞社の女性記者に出くわす。やっぱり休日返上ということだったが、カメラを提げるだけでなく、娘をぶら提げて取材する姿に驚いた=写真。きょうは催し物の内容よりも、彼女に対して大きな感銘を受けた。家庭と仕事の両立は大変だろうけど、陰ながら応援してます。

9月24日(木)記事で広告すな!

 朝起きて私が働く会社の新聞を開き、仰天する(多いなこのフレーズ)。系列会社の広告だけで、紙面の2ページ分を占めているではないか。これすなわち、外から広告が取れなかった穴を、自分の会社の宣伝で埋めているだけであって、全然収益が上がっていない証拠なのである。記事がつまらないと新聞の販売部数が伸びない。部数が伸びないとますます広告が取れない。広告が取れないと収益が上がらず会社の体力は落ち、部数はさらに落ち込む。完全にドツボにはまっておるわい。潰れるぞこの会社。そのわりには、横浜ベイスターズが優勝しそうだといってさまざまな商戦をしかけてくるデパートの話なんかを社会面で掲載しておる。しかも記事として。アホか。新聞記事と広告の線引きをきちんとして、もっと会社の収益が上がるような努力をしなさい! スミマセン。私もそんな会社の一員です…

9月25日(金)あっち行けー!

 私には変な特技がある(別に訓練したわけじゃないけど)。1人でいるときに、何だか知らないけどスズメが寄ってくるのである。私はいつも何かに没頭してるか、(音の響きが似てるけど)ボーッとしているかのどちらかなので、それを見たスズメは「アイツ何やってんだ?」と興味を示すらしい。

 今日は横浜市内にある人工海浜「海の公園」で、ある調査報道のために海岸に漂着したゴミの中身をチェックしていたのだけど(詳細は秘す)、案の定スズメがやってきて、黙々と作業をする私をじーっと見ていた。いつもは放っておくのだけれど、今日はスズメが私のわきでゴミなんか食べたりしていたので、「腹こわすぞ、あっち行け」と追い払った。しばらくするとまたどこからか飛んできて、人のゴミ調べを邪魔するので、「あっち行けー!」と叱りつけた。それでもまたやってくるので、私はゴミをビニール袋に詰め込んで退散し、会社で作業を続行することにした(さすがにスズメも会社まではついて来なかった)。机の上にゴミの入った袋を取り出すと、ベテランの記者がそれをのぞき込み、「うわっ何だ、この汚いの。中で虫が動いているじゃねえかよう!」。私は答えていわく「海岸のゴミですけど」。ベテランは怒った。「あっち行けー!」。

9月26日(土)タコのわけ

 休日返上で取材。それを片付けてから午後、21日にご案内の通り、前の前に交際していた女性にパソコンの使い方を教える。自宅に会社のWINノート機を持ち込み、ワードとエクセルを。だが彼女は日本語入力の段階で暗礁に乗り上げ、パソコン習得を半日で断念。帰りしな、げた箱の上に飾ってある卓上天体望遠鏡に興味を示していたので、お土産に持たせた(星を観ることが共通の趣味だった)。恐らく彼女、勤め先の人間関係に疲れ切っていたのだろう。

 閲覧者からメールで、「EINの表紙はなぜタコなのか」と質問を受ける。ではお答えしましょう。実はあのタコは昨年夏、伊豆稲取温泉に遊びに来ていた火星人なのです。時を同じくしてNASA(米航空宇宙局)は探査機「ソージャーナー」を火星に着陸させ、同機から送られてきた火星地表の映像を公開しました。そして稲取滞在中のタコは、日本の新聞が火星の様子を1面カラーで載せていることを知り、「人の留守宅に無断で侵入し、あまつさえ居間の写真をばらまくとは…。許しがたい人権侵害だ!」と憤激、手にした新聞をバリバリッと破り捨てたのです。このとき、大好物の金目鯛の煮つけを食べようと泊まり掛けで稲取を訪れていた私は、たまたま相部屋になったタコが激怒するさまを目のあたりにしました。まさにこの瞬間です。「これだ。EINの表紙アニメはタコ以外にはないっ!」と私が天啓を受けたのは…。

 以上ご説明の通り、表紙のタコには何の意味もありません (^o^;)。

9月27日(日)悪夢か正夢か

 悪夢にうなされ、明け方目が覚めた。私のしでかした事が一大事となり、取材先から非難され、同僚からさげすまれ、他紙がこぞって書き立てるのだが、自分には「私のしでかした事」が一体何なのか全く分からない、というストーリー。これから現実の中で「一大事」の答が出るのだろうか。それにしても、面白い話で人を楽しませようと日々腐心している私が、どうして自分自身にはイヤ〜な物語を聞かせるのだろうか。頼むからもっと楽しい夢を見させてくれよう〜!

 今日は勤務なし。休日取材もなし。どこかへ遊びに行こうかとも思ったが、またまた疲れがドッと出て、体が思うように動かない。毎週欠かさず観ている「やっぱり さんま大先生」も、TOKIOの特番におされて放映なし。嫌な日曜日よのう…。

 ところでNASAは2003年に、火星で無人飛行機「キティホーク」を飛ばす計画を立てているらしい。密入国の疑いでいまや「獄中の人」となったタコがこのニュースを知ったら、NASAへの怒りがいや増すことだろう。同情を禁じ得ない私であった (^o^;)。

9月29日(火)心の潤いについて

 今日は日中、横浜市鶴見区にある民間の生涯学習施設を取材する。ここでは寝たきりや痴呆症の家族を抱える介護者を対象とした趣味の講座(体操や絵画、コーラスなど)が開かれている。講座があるときは、要介護者の面倒もみてくれるきめの細かさだ。「行政が介護者に対して行うことは、介護技術の習得や相談業務など、食べ物に例えれば主食に相当する部分。でも私たちは介護者にとっておやつに相当するリフレッシュの部分で頑張りたい。おやつがなければ人間生きててもつまらないですから」と発案者の女性職員は話した。大感動。私としては介護疲れで発狂寸前の状態にある人もさることながら、要介護状態の人にもたっぷりと娯楽の機会をあげられたらなあと願う。介護者が趣味を楽しんでいる一方で、寝たきりのおじいちゃんには原節子ばりの美人が「はい、あ〜ん」とかいって食事の世話をしてあげたり、徘徊癖のあるおばあちゃんにはディズニーランドあたりで思う存分うろうろしてもらったり。介護する側される側、どちらにも心の潤いが絶対必要です。これは介護保険じゃどうにもなりまへん。

 帰りしな、鶴見駅のコンコースで古本市が行われていたので、のぞいてみる。千趣会が出版した「料理全集2 魚と貝の料理」をワゴンで発見。A4版オールカラー200ページが680円という破格値に驚き、速攻で買い求める。そしたら売り子のお兄ちゃんが「料理全集は、まだ陳列していない分がたくさんありますけど」と言うので、全巻見せてもらう。すっげー、何で隠しているんじゃい! 全集(全13巻)の中から「ご飯ものとパン」「スープ・汁・鍋もの」「食材事典」を追加購入する。しめて2720円。安い買い物じゃん。自分1人でいるときにはあまり自炊をしなくなってしまったけど、人を招いたときに料理をつくってふるまうのが、私の心の潤いデス。

9月30日(水)「来たよ」の波

 今日で9月も終わり。毎週のように続いた休日返上取材の代休を取る。散髪屋に行って、バリカンで髪を短く刈ってもらった。散髪屋では合わせ鏡で後頭部を見せられ、「いかがですか」と店の人に聞かれるのだが、これが毎回せつない。私は絶壁なので、「こんな頭大嫌いだ!」と言いたくなる。でも散髪屋に罪はない。ついでにヒゲも切りそろえてもらう。サッパリした〜。

 ところでこの日記の「来たよ」ボタンの押しは、多い日で10件くらいあるのだが、昨日は1件のみという数字。もともと日記の存在を隠しているから仕方がないが、押しが少ないとやっぱり寂しい。でもカウンターでは味気ない。複雑なオジサン心である。押しが多い日と少ない日の波は何に起因するのか、今度統計でも取って調べてみるか。私は「週の前半は何やかやと忙しいため日記閲覧者が少なく、それが月末と重なるとさらに数が減るのでは」と推測するが、横から「俺」は「もしかしたら2日前の『マグワイや〜!』がマズかったんじゃないの」と口出しする。なに、あれが原因でみんな笑い死にしたっての? それともお寒いギャグに愛想をつかし、閲覧者が一斉にEINから去っていったのかしらん…(^o^;)。