個人所得税が免税となる場合
2004年10月29日 元田時男
1.はじめに
従業員の個人所得税については雇用主に源泉徴収の義務があるので、雇用主が関与する所得について、何が有税で何が無税であるかは把握しておく必要がある。そこで今回は個人所得税が免税される場合のうち特に雇用主に関係のある所得に絞って紹介することとする。
注意しなければならないのは、各種所得控除と免税の関係である。国税法47条では本人控除、配偶者控除、子供控除、生命保険控除などの各種控除が定められているが、この所得控除を拡大するとき、本来ならば国税法を改正しなければならないところであるが、その代わりに国税法42条(17)で省令に委任された免税規定を活用して実質的に所得控除と同様の効果を持たせているものがあるのである。従って、従業員の個人所得税源泉徴収に当り国税法と省令の両方を参照しなければならないのである。今回はそれについてまず述べる。なお、ここでいう省令は1966年2月23日付第126号であるが、その後次々と改定され、免税項目が追加されている。
2.所得控除に類する免税
(1)生命保険料
国税法47条(1)で、納税者自身の生命保険料で、納税者自身が支払ったものは1万バーツまでは所得控除ができることになっているが、それとは別に省令126号第2項(61)において、2002年1月1日以降に支払った分から、1万バーツを超える分について4万バーツまで免税とされている。従って合計5万バーツまで実質的に所得控除対象となっているのである。
ただし、いずれの場合もタイの保険会社で10年以上のものに限られる。
(2)プロビデント基金に対する被雇用者の拠出金
国税法47条(1)で1万バーツまでは控除できることになっているが、それとは別に省令126号第2項(35)において、1万バーツを超える分については賃金の15%を超えない額で29万バーツを限度として免税とされている。
(3)住宅取得のための利息
国税法47条(1)で住宅(コンドミニアムを含む)を購入(ハイヤーパーチェスを含む)、または建築するため、土地を含む住宅を担保にして銀行等から資金を借入れた場合、その利息は1万バーツまで控除できることになっているが、それとは別に省令126号第2項(53)において、1万バーツを超える分について4万バーツまで免税とされているので、控除額は実質5万バーツまでとなっているのである。
3.国税法42条による免税
(1)旅費、日当{42条の(1)、(2)}
ただし、日当は公務員の最高支給率を上回らないことが条件とされている(1995年12月1月1日付国税局通達Por.59/2538)。
(2)新規雇用による赴任、解任による帰郷するための旅費{42条(3)}
ただし、前回の解任から365日以内に再び同一の雇用主によって雇用される場合の赴任旅費は免税対象とはならない。
(3)不法行為に起因する賠償金、保険金、葬儀費{42条(13)}
(4)社会保険法に基づき受領した保険金{42条(25)}
4.国税法42条(17)に基づき省令126号で免税が定めれているもの
これについては、上記2において所得控除に類するものを上げているが、これ以外で、特に雇用主が承知しておかねばならないものを絞ってみると以下のものがある。
(1)被雇用者関連の医療費を雇用主が支出し、または代わって支出した場合の医療費{省令126号2項(4)}
対象となる者は、国内の場合、本人、配偶者、両親など、本人の被扶養者、国外の場合、対象は国外で任務に当っているときのもので本人だけである。
(2)雇用主が無償で支給する制服で年間2着まで、タイ式礼服で年間1着まで{省令126号2項(34)}
無償で支給するものに宿舎もあるが、これは国税法40条(1)により住宅家賃手当、無償提供する宿舎に家賃相当分は給与に含まれることになっているので、当然個人所得税課税対象となり、源泉徴収の必要があるので注意すること。また、無償で提供する宿舎の家賃相当分の計算は、1990年4月26日付国税局通達Por.23/2533の1項(1)によりボーナスを含まない賃金の20%とすることになっている。
(3)プロビデントファンドから、本人が定年退職、障害者となったとき、死亡したとき支給される分{省令125号2項(36)}
(4)労働者保護法に基づく解雇補償金(定年退職、雇用契約期間終了の理由による場合を除く){省令126号2項(51)}
ただし、最終賃金の300日分を超えず、最高30万バーツまでが無税となっている。
(おわり)