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日タイ租税条約の概要について 元田時男 |
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はじめに 事業所得 日本の企業(日系の現地法人ではない、現地法人はタイの企業である)がタイで活動して得た所得については、条約の7 条においてタイにある「恒久的施設Permanent Establishment - PE」を通じて事業を行った場合についてのみタイ側に課税権があると定めている。PEとは世界の諸国が締結している租税条約で使用される用語であるが、もっとも典型的な例として、日本の企業がタイで建設を請負う場合に限れば、5
条の3 で建築工事現場もしくは建設、据付けもしくは組立の工事、監督活動は3ヶ月を超える場合PEとすると定められ、また、4では、日本の企業がタイで使用人等を通じてコンサルタントなどの役務を提供する場合、それが6ヶ月を超えて行われる場合PE
とすると定められている。 配当所得 タイの法人(日系の現地法人など)が日本の居住者に支払う配当は、10 条により、議決権のある株式の25%以上を有する場合で、産業的事業に従事する法人から支払われる場合15%、その他の場合20%を超えない 利息 11 条により、タイで生じた利息は、日本の金融機関が受け取る場合10%、その他の場合25%、日本政府が所有する金融機関が受け取る場合は免税となっている。ただし、その他の場合は、法人が受け取る場合、タ ロイヤルティ これは日本語のテキストでは「使用料」と訳されているが、内容は12 条の3 により著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式もしくは秘密工程(ノウハウ)の使用の対価、または産業上、商業上もしくは学術上の経験に関する情報の対価と定義されている。これらの対価をタイから日本へ支払う場合は12条の3
により15%までをタイ側が課税することができるよう定められている。実際は、PE がない場合、タイの国税法70条と所得税率表により15%が課されているので、日本への送金時に15%を源泉徴収する必要がある。 人的役務に対する報酬 これは、例えば日本人がタイへ入国して働く場合の報酬、所得に関するもので、14 条では以下の3項目を全て満たす場合、タイでは課税されないこととなっている。 役員報酬 例として、日本の居住者がタイの現地法人の役員(英語原文はDirector)として報酬を得る場合、15 条によりタイ側に課税権がある。この場合の所得はタイの国税法40 条の(2)「職責などに基づく報酬」となり、 研修費 これは逆にタイ企業のタイ人従業員が研修の在留資格で日本へ派遣され、日本の受け入れ先で研修を受ける際に受け取る研修費(研修手当)については、どうなるかであるが、これは19 条のb の「職業上もしくは営業上の資格に必要な訓練を受けるため」の入国に該当し、ii の「交付金、手当または奨励金」は日本では免税となっている。 機器の借料 日本からタイ企業に機器(動産)を賃貸する場合、タイが締結している他国との租税条約では事業所得とされているものもあるが、日タイ租税条約では、事業所得を規定している7 条の8 において「不動産以外の財産(工業所有権、ノウハウなどのロイヤルティに関する財産は除く)の使用または使用の権利の対価」は事業所得に含まないことが規定されている。 BOI 認可事業に対する措置 BOIから投資奨励を受けた事業は立地により8年以下の法人所得税が免除されるが、タイで免税されたからと日本で課税すれば、タイ政府の投資奨励策としての免税恩典の効果はなくなってしまうので、タイでは課税されたとみなして日本側は課税しないことが日タイ租税条約に盛り込んであることを注意しておきたい。この制度は日本では「みなし外国税額控除制度」と呼ばれているので、詳細は税務当局に問合せられたい。
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