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国際的二重課税の防止について


執筆 元田時男



二重課税の起きる原因
タイにおいて日本法人が現地法人を設立し、生産事業を営む場合、現地法人に対してタイの税務当局は法人所得税を課し、 更に日本の税務当局が配当に再度課税することになれば、同一の所得に対してタイと日本で二重に課税されることになる。
このような二重課税がなぜ起きるかといえば、世界的に見て、課税の方式には二つの方式が存在するからである。この 二つの方式は一国において1方式のみならず2方式が並存するのである。一つは居住地国課税であり、もう一つは源泉地国課税である。居住地国課税とは、納税義務者が居住する国内で生じた所得のみならず、国外で生じた所得も納税対象とする方式である。日本がそうであり、日本の企業がタイへ投資して利益を上げれば、タイの税務当局は、所得の源泉はタイにありとして(源泉地国課税)課税するが、日本は日本の居住者である親会社が配当を得た場合、日本でも課税することになっている(居住地国課税)。
このような二重課税は、例えば前記例で、日本企業がタイで投資している場合、日本が課税権を放棄するか、日本側が、タイで課税された税額を日本での課税額から控除するかの方法により回避されるのである。課税の方式は各国複雑に絡み合っているので以上が二重課税とその回避方式の全てではないが、日タイ間を考える場合、日本は後者の課税額から控除する方式をとっているのである。


日本における「外国税額控除制度」
日本においては、原則として外国の支店等が得た所得と日本の親会社が得た所得を合算して納税することになっているが、タイでの所得はすでにタイにおいて法人所得税を支店等が納税済みであり、そのままでは二重課税となる。そこで、税法上「外国税額控除」という制度を設けている。この制度は支店などに適用される「直接控除」と子会社からの配当に適用される「間接控除」の2 種類がある。タイにある日系企業は大方が子会社であるので「間接控除」が適用されることになる。この制度は複雑な計算を行うので詳述しないが、簡単に言えば「間接控除」とは外国で支払った税額のうち、外国での法人所得額、外国で支払った法人所得税額および配当の額から一定の計算により算出した額を、親会社が外国の税務当局に直接支払った額とみなして、税額から控除する方式である。これにより全額が控除されるわけではないが二重課税は防止される仕組みとなっている。

みなし外国税額控除
以上のほかに国際間で二重課税となる恐れのあるものに利子所得、手数料所得(ロイヤルティなど)、不動産所得、人的役務に関する所得などがあるが、それぞれについて各国は二重課税防止のための2国間条約を締結しており、それらの所得に対する課税権がどちらにあるかを定めている。日タイ間でも1963年に締結された条約を1990年に改正した正式の名称「所得に対する租税に関する二重課税の回避および脱税防止のための日本国とタイ国との間の条約」、通称日タイ租税条約がある。この中で特に注意すべきことに「みなし外国税額控除」がある。
これは、タイの場合投資奨励法によりタイで法人所得税が免除されている場合、タイで課税されなかったとして日本側が課税すれば、二重課税とはならないが、タイで産業奨励、投資奨励のため免税とされた意味がなくなるのである。従って、日タイ租税条約において日本側はタイで免除された法人所得税を課税されたとみなして、税額控除を行うことが両国間で取り決められているのである。従って、BOI認可事業で法人所得税が免税されている日系企業の親企業において、この制度が活用できるよう、よく理解することが重要である。