29         更新 2022年7月22 

大八木医院新聞
      第149号

(202210月1日発行)




目次
第一面

海藻を食べてもっとヨードを!

           大八木 明
由々しき問題

 ー解決法は読書―

           富田博信様


こころ穏やかに過ごす秋

養生のすすめ

     フクミマガジンからの引用

人生の味つけ

     大八木医院新聞愛読者様





海藻を食べてもっとヨードを!

           大八木 明
 本来、日本人は海藻を食べる国民でした。おかげさまで、甲
状腺の病気は、あるにはあったのですが、まれな病気でした。
ところが最近、甲状腺の病気の人をよく見かけるようになりま
した。なぜだろうと考えてみましたが、どうもヨードが足りな
いのが原因ではないかと思います。
 甲状腺は、のどの前面にあり、全身の代謝をコントロールし
ている小さな器官です。
 甲状腺の働きが鈍くなると、動作が遅くなり、寒がりになり
ます。すぐに居眠りをするようになります。体重は増え、髪の
毛や爪が薄くなります。逆に、甲状腺が働き過ぎると、イライ
ラして、汗をよくかき、暑がりになります。目がギョロ目にな
り、体重は減少します。
 このように、全身の代謝をコントロールしている甲状腺です
が、甲状腺が働くためには、ヨードが必要不可欠なのです。事
実、全身にあるヨードの66%が、わずか20グラム弱の甲状
腺に集中しているのです。
 甲状腺の病気が多くなった原因を考えてみますと、その第一
は、海藻を食べなくなっているためだと思います。その原因は、
食を食べることが多くなったことと、もうひとつの原因は、
加工食品が多く使われるようになったことです。
 一つずつ解説します。本来、日本人は日本料理を食べていま
した。日本料理には海藻がつきます。ところが、最近は洋食を
食べる機会が多くなったと思います。本来、西洋の大部分の国
では、海藻が手に入りませんので、海藻を食べる習慣はありま
せん。したがって、洋食のレシピに海藻はめったに出てこない
のです。
 ヨードは、ヨードをたくさん含んだ土地で取れた野菜から摂
取できますが、残念ながら、日本の土地は、高温多雨のため、
ヨードはすでに全部流失しており、ヨードを含まない土地が大
部分です。ですから、日本の場合、野菜にヨードを求めること
には無理があります。ヨードは海藻に求めざるを得ないのです。
ヨーロッパなどの内陸国では、元々海藻が手に入りませんので、
国家が塩の中にヨードを強化している国が多いと聞いています。
 原因の第二は、食品工業が発達し、加工食品が増えているこ
とです。ヨードなど、ミネラル類は、水に溶けやすいものが多
いのですが、加工途中にミネラルが逃げてしまい、最終商品に
は、ほとんどミネラルが含まれていないということが起こって
います。実際、加工度が上がれば上がるほど、ミネラルは減り、
高度加工食品ではほとんどミネラルを含んでいないのが実情で
す。乾物を水で戻す場合でも、戻した水に多くのミネラルが含
まれるのですが、色が悪くなりますので、戻した水は捨て、新
しい水で煮るのです。また、前処置として、水炊きをする場合
でも、きれいに仕上げるために、煮汁を捨て、新しい水で味付
けをして煮ます。こんなことで、ミネラルの抜け殻を食べてい
るのです。
 実際の注意としては、できるだけ原料を買って、一から作る
ことです。その場合、戻し水、煮汁は捨てないで、そのまま味
付けをすることです。あくが出たり、色が黒ずんだりしますが、
それが栄養だと割り切ることが必要です。たとえば、大豆の煮
物を作るのに、水煮の大豆を使う人が多いと思いますが、これ
では、大豆の形をしている『抜け殻』を食べているようなもの
だと、理解することが必要です。


由々しき問題

 ー解決法は読書―

           富田博信様
 巣ごもり生活が続く最中に、親しい同輩と久しぶりに出会い
談笑。その折の話題は「最近漢字がなかなか書けない」「忘れ
て思い出せず難儀するわ」でした。その後、しばし、めったに
書くこともない難しい漢字を各々に書いては自慢の応酬・・・。
そして別れ際に交わす言葉はご多分に漏れず「転ぶなよ」。
 今にして思えば学生の時分、いとへん、のぎへん、さんずい
へん、うかんむりなど、友人と順番に書き競べをしていたのに
残念至極‼ 情けない限りです。
 漢字を忘れてしまう一因は、手紙や葉書など書く機会が大幅
に減少したことでしょう。現在ではパソコンやスマホにゆだね、
仮名文字で入力後に指先でポン! 寸時に漢字に変換できる。
要件も短時で送信できるし、相手からも即、返信を受信! は
たまた抱く感情や気分ですら絵文字がある。まさに機械に依存
100%‼ この利便が考える力を奪ってしまったのでしょうね。
 いつか若い人に「辞書の検索方法は」「漢字の筆順は」「何
画」と尋ねたことがありましたが、「解(わか)らん! 知ら
ん!」の返答が。日本語は漢字で書かないと意味が理解できな
い点が多くあり、本当に漢字が書けない、読めないということ
は深刻で由々しき問題です。
 ある雑誌の文中に「知っていただきたいのが日本の子供たち
の読解力の低下です。いまの中学生の半数は教科書が正確に読
めない。だから授業でも先生が言っている内容も理解できてい
ない・・・」と。
 なぜ、子供たちの読解力が低下しているのか? それは読書
をしない! 字を読まないことです。
 字も書かず、辞書も引かず、本も読まずの「3(さん)ず」が
日本語の乱れと低下を招いているのでしょう。
 先達が遺してくれた教示に「晴耕雨読」の言葉があります。
これは晴れた日には畑に出て耕し、雨の日には家の中にいて本
を読め‼ ということです。さらには「少年老い易く、学成り
難し」です。月日が経つのは速いので少しの暇も惜しんで勉学
に励まないと、すぐ年老いてしまう‼ の意味です。
 読書の大切さを強調している方で、映画の字幕翻訳家の戸田
奈津子さんは「講談社の絵本から始まり、あらゆる類の本を読
み漁って、中学生の頃には図書室に入り浸りだった。これが字
幕翻訳の基礎になったのです。そして読書で言葉の貯金ができ
た」と述懐されています。
 コロナ禍での自粛生活中は警戒心を緩めることなく身体を動
かすと共に、読むことや調べることで、頭を鍛えましょう。わ
たしも努めます‼



こころ穏やかに過ごす秋

養生のすすめ

     フクミマガジンからの引用

秋は体調が変化しやすい季節の変わり目。おや、なんだかお
かしいなと感じたら、まずは「養生」がおすすめです。自分の
カラダとじっくり向き合い、本格的な冬の前にカラダをしっか
り整えましょう。

「養生ってなに?」
 養生とは、東洋医学の考え方。季節が変化する時期にはカラ
ダも変化し、バランスが崩れがち。そうなる前のセルフケアの
ことを、養生と呼ぶのです。
 とはいえ特別なにか新しいことをするのではなく、基本的に
は食事や質の良い睡眠などでエネルギーを補ったり、運動でエ
ネルギーを全身に巡らせることで季節や環境、年齢を重ねるこ
とによるカラダの変化に備えたりしよう、という考え方です。 


「秋は不調に陥りやすい。おかしいなと感じたら養生のタイミ
ングです。」
 秋は体調の変化がおこりやすい時期。いつもより疲れやすい、
むくみが出る、冷えがひどかったり肩こりがあったり、自覚症
状はあるけれど病名がつくほどではない。 
 でもなんだかいつもと違うなと感じたら、疲れがカラダに溜
まる前に冬に向けての養生を。秋は収れんの季節とされていま
す。活動を控えめに穏やかな気持ちで過ごしましょう。

秋の養生、基本の心得4つ
 東洋医学の考えでは、夏から秋は陽から陰への変わり目。秋
には、人も季節にあわせて休息の時期に入っていくと考えられ
ています。
 バランスが変化するときだからこそ、カラダの調子も落ち込
みがち。そうならないために、秋養生の基本の心得を4つ、ご
紹介します。

@
夏に弱った胃腸を整える
 冬の寒さに備えて胃腸も準備を。食事は腹八分目までに抑え、
季節のものや芋類など胃腸を丈夫に保つ素材を意識して摂るよ
うにしてみて。

A
呼吸器系の不調に注意を!
 秋になって空気が乾燥すると、肺など呼吸器系がもっとも影
響を受けるとされています。本格的な寒さに入る前に、肺を
守ってカラダの調子を保ちましょう。

B
うるおいは内側からも補給して
秋から冬にかけては乾燥が進む時期でもあります。豆腐の
ような大豆食品や梨などの水分を多く含んだ食品を摂ると

 果物や野菜はカラダを冷やすこともあるので、煮て食べる
のもおすすめですよ。

C
季節にあわせて早寝早起きを
 日照時間が短くなってくる秋。陽にあたる時間が減ることで、
気持ちもふさぎがちに。
早寝早起きを心がけ、太陽の光を積極的に浴びてメンタルヘル
スの健康も維持しましょう。



人生の味つけ

     大八木医院新聞愛読者様
 受診後に毎回戴く『ちょっといいはなし』シリーズ。読む
たびにのんべんだらりと、日々を過ごす我が身に《喝》を入れ
てくれる。
「成程(なるほど)」と頷き反省をし、心洗われる思いをする
のは、わたし独りではないでしょう。
 自戒の念を込めて過去(いにしえ)に記しておいた「ちょっ
といい話」を投稿させていただきます。(相田みつをの詩でも
坂村真民の詩でもありませんが・・・)

一日一しんを心がけよう

 一日 一つ新しくなり
 一日 一つ深められ
 一日 一つ伸びていく
 一日 一しんで成長する人生

 人の一生は一日一日の積み重ねです。その一日をどう生きる
かが、その人の人生を大きく変えます。
「しん」にどんな文字を付加するか。
 辞書で検索してみると、
「神・辛・信・振・深・進・診・慎・審・寝・震・親・芯・
新・・・数多あります。

 いかがでしょうか? どうぞ、あなた流の「しん」を付けて
明日からの、いや、今日からの人生に味つけを‼
 この投稿が同行の士に参考になるのならば望外の喜びとなり
ます。












大八木医院新聞
      第148号

(2022年81日発行)




目次
第一面

近江商人の『三方よし』の商道

           大八木 明
「春の妖精」

           石田皓久様


言い知れぬ不安

           田中 収様

雑談でちょっと一服

     大八木医院新聞愛読者様






近江商人の『三方よし』の商道

           大八木 明
 日本は、いうまでもなく、資本主義国です。欧州の多くの
国や米国も資本主義国です。同じ資本主義国ですが、『資本
主義』の意味するところは、ずいぶん違うように思われます。


 欧米のことを書いた本を読んでいて思うのは、これが本当
の資本主義なのかなあ、ということです。わたしたちが、わ
が国で経験している資本主義とは、かなり資本主義の様子が
違います。
 わたしは、『資本主義』は、『共産主義』や『社会主義』
に対抗する言葉として理解していましたが、それだけではな
く、国によって、意味するところが大きく違うのだと最近思
うようになりました。はっきりいえば、欧米での資本主義は、
『資本至上主義』の意味だと思います。自分さえお金が儲
かったら、取引相手や世間のことはどうでもよいという考え
方です。つまり、彼らの追い求めているのは、お金です。モ
アー・マネー(もっとお金を!)と、そればかりのように思
えます。よくいわれるように、「自分だけ、今だけ、お金だ
け」なのです。相手のことや社会的なことはどうでもよいか
のように見えます。
 1945年に第二次世界大戦が終わり、アジアやアフリカ
で多くの国が独立しました。それまではヨーロッパの各国は、
アジア、アフリカ、中近東を植民地として支配し、搾取と隷
属を強いてきたのです。アジアで植民地でなかったのは、タ
イと日本だけです。これなどはどう考えても『一方よし』の
考え方です。つまり、自分たちさえ儲かったら、植民地にさ
れた相手のことなど、どうでもよいという考え方です。人道
上の問題もどうでもよい、という考え方です。
 3、4年前に、ナイキというスポーツ用品の会社が、公式
戦用のサッカーボールを縫製するために、パキスタンの学童
を働かせていたとして、社会的非難を浴びたことがありまし
た。フィリピンでも、米国の農業会社が、子供をバナナ園で
働かせていて、その子供が農薬に接触して死亡したという事
件もありました。働きたい子供がいて、働かせてやっている
のに、何か文句があるのか、という考え方でしょうか。これ
は『二方よし』の考え方だと思います。自分もよし、相手も
よし、です。これに対して、わが国では、江戸時代の亀岡の
人だと思いますが、石田梅岩(ばいがん)という人がいて、
石門心学(せきもんしんがく)を説きました。また、近江商
人の商道としては、『三方よし』の考え方がありました。
 たとえば、麻薬の売買を考えてみますと、麻薬がほしい人
に麻薬を売るのですから、『二方よし』です。でも、社会的
には麻薬が蔓延しますので、良いはずはありませんので、
『三方よし』にはならないのですね。このように、わが国も
資本主義でやってきましたが、決して社会性を否定しません
し、「自分だけが」という観点もないように思うのです。
 二宮尊徳だったと思いますが、「道徳なき経済は犯罪であ
り、経済なき道徳は寝言である」と言ったそうです。このよ
うに、わが国の資本主義には、道徳性や社会性が必ず付いて
いたと思いますし、今でも付いていると思うのです。その点
が、欧米の資本主義と大いに違うのだと思うのですが、いか
がでしょうか。



「春の妖精」

           石田皓久様

 毎年、桜の花が舞い落ちる頃、天候を見計らって、京都西
山連峰の「小塩山・642M」に

カタクリの花を見に行きます。今年は4月12日(火曜日)で
した。
 国道9号線の沓掛インターを過ぎ、京都霊園を左折、急坂
のガタガタ、クネクネ道を登り詰めれば登山口到着。ここは
「知る人ぞ知る」の場所で尾根筋も近く、京都トレイル・西
山ルートでもあります。1030分でしたが、数台が駐車、先
頭は大阪ナンバーの黒塗りのハイヤーで、運転手がおられま
した。
「早いですネ」「カメラマンと830分に着きました」「昨
日も来ました」と付け加えた。
「ここは秘密の場所、よくご存じで・・・」と言えば「カメ
ラマンの友人から」と。
 まさしく「蛇の道はヘビ」。
 登り始めての最初のピークが「大暑山」で小休止。新緑に
ポツンと朱色のつつじがアクセント。のど越しの「アクエリ
アス」が疲れを癒してくれました。
 爽やかな風が心地よく、穏やかな起伏の尾根筋を行くと
「小塩山」への登り口。通称「炭の谷」と呼ばれているカタ
クリ群生地に到着。先客もチラホラ、この時期は、普段は登
山されない人たちも多く、それだけ山に咲く花々に魅力を感
じるのでしょう。
 細い下り坂の両側、これは! これは! 赤紫のカタクリ
の花の絨毯です。長年来ていますが、このような満開の時期
は初めてです。見ては撮り、撮っては見て、デジカメの忙し
いこと。
「目の正月」を味わい出口へ向かうと、大型望遠レンズのカ
メラを抱えた男性と目が合いました。「黒い車で来た人です
か?」「そうです。昨日も来て、ギフチョウを狙っています
が・・・」と、白い歯がこぼれた。「3時には帰ると言って下
さい」「ご苦労様です。幸運を祈っています」と言葉を交わ
しながら別れました。
 419日(火曜日)の新聞の夕刊。9面のページを開き、
なに! なに! とびっくり仰天! カタクリの花から飛び立
つ瞬間の「ギフチョウ」の見事な写真が掲載されていました。
 これが「春の妖精」と言われている由縁です。あの時の日
焼けしたカメラマンの横顔が蘇り、2日間で10時間を費やし
そんな「妖精」を見たければ、よく晴れた、風のない、暑す
ぎない日、小塩山に行き、運がよけれた執念の1枚、これま
さに汗と涙の結晶でしょう!
 写真の裏側にはいうにいわれぬ苦労が潜んでいるものです。
そんな「妖精」を見たけれ、よく晴れた日、風のない、暑
すぎない日、小塩山に行き、運がよければ見られます。ただ
し、少しの体力が必要です。(来年も行けるかなあ?)


言い知れぬ不安

           田中 収様

ここしばらくのテレビや新聞のニュースは心を痛めるものが
とても多くなっているように思います。人間って進化してい
ると思いますが、その進化のテンポはジグザクです。世界の
歴史を見ると世の中少しずつ進んでいると思いますが、同じ
ような失敗を繰り返しているようです。
 施政者には過去にもう少し学んでほしいと願うのですが、
世界のどの国でも権力を持つと、人はとたんに変わっていく
ように思います。権力を得るとその権力を維持し、より強固
にしようとする力が湧き上がってくるのでしょうか。
 権力を持った人とそれに支配される人々との利害がぶつ
かって、悲しいことがしばしば起こっています。できごとの
大小にかかわらず、強い権力を持った人たちはその力をより
強固にして長続きさせようとします。
 反面、権力を持たない統括される側の人たちは、堅苦しい
統治から抜け出そうとする働きがあるように思います。今の
社会が非常に複雑に絡み合った組織になっているので、単純
にああだこうだと決めつけることができないのは十分理解で
きるのですが、個々の事象について権力を持っている方が強
く出てくるのは、自己の保持を基本としているため、改革を
求める側となかなか歩調が合いません。
 組織を維持している側の人たちは今の秩序の維持を優先的
に考え、より強固なものにしていこうとするのでしょう。利
害が合致しない場合は権力を持っている側の人たちが自分の
利のために働くのは当然です。
 人の欲とは恐ろしいものです。権力を持った人と権力を持
とうとする人とのせめぎ合いが社会の中で強い力を持って、
世の中を動かしているように見えます。
 世の中、そういう権力とは関係なく、穏やかで平凡で平和
な生活を営んでいる人たちが大多数であろうと思うのです。
世界はこういう平和な暮らしを望んでいる人たちが大多数に
もかかわらず、何か目に見えない力が人々の暮らしを引っ張
り、脅かしているように思います。
 その緊張したせめぎ合いの中で、熱い戦いが始まってし
まっているのです。
 戦争も実際に行っている人は、より強力な武器が欲しくな
るのでしょう。相手を叩きのめす戦争をしていると、だんだ
ん危険に対する感覚が鈍り、殺される不安が募り、殺される
前に相手を殺そうとする働きが表面に出てくるのでしょう。
 過去の朝鮮戦争でより強固な兵器を求め原爆の使用を考え
た人がいました。そのため戦争の司令官を解任されるという
ことがありました。また、自分たちの国がやられるのなら、
地球全体が焼土となってもいい、人類が滅びるようなことに
なってもいいという暴論を吐く人たちが出たこともありまし
た。
 人間ってどんなに変わっていくものかわからないものです。
今、ヨーロッパでの戦争には核兵器の使用が話題になったり
していますが、人の判断というものはいつ、どのように変わ
るか予断が許されないものです。
 人間の英知を信じたいものですが、戦争の最中に突発的な
行動が起こる可能性も否定できない今、やはり、言い知れぬ
不安が募ります。

雑談でちょっと一服

     大八木医院新聞愛読者様

伏見・醍醐寺の仲田順和座主が
 見えるいのち→
 医者に診てもらえる生きている命。
 見えないいのち→
 心の佇(たたず)まい&情緒豊かな心。
 と説いた記述を基(もと)に考えてみました。
 人間の身体の中には目に見えないもの、映らないものが潜
(ひそ)んでいます。病院に行き、レントゲンを撮っても、
CT検査をしても、MRI検査でも判明しないもの・・・

 それは《虫》と《心》
 《虫》
 虫がいい・虫が納まる・虫の知らせ・
虫が好かない・虫が動じる・虫も殺さぬ
などなど。

《心》
 心当たり・心が通う・心が軽い・
心が騒ぐ・心が沈む・心が乱れる・
心に刻む・心丈夫
など数多(あまた)あります。

 目に見えなくてもお互いに話は通じますネ。
(戯れ言で一服)






大八木医院新聞
      第147号

(20226月1日発行)




目次
第一面

干し椎茸を作ってみませんか

           大八木 明
花咲爺と婆になる術(すべ)

           富田博信様


西国街道要衝の地を歩く

           土岐 実様

京都の文化自慢サラ川2021      








干し椎茸を作ってみませんか

           大八木 明
 椎茸は栄養があるといわれていますので、わたしは、よく
お料理に使います。生椎茸は生椎茸でおいしいのですが、干
し椎茸にすると、香りと味がぐんと良くなり、一段と美味し
くなる感じがします。子供の頃、ちらし寿司の上に散らして
ある椎茸の甘煮が、とっても美味しかったのを今でもよく覚
えています。植物性の材料でこれだけの旨味が出せる食材は
めったにないと思います。
 わたしは、めったに肉も魚も食べませんので、出汁をとる
ために、昆布のほかに、干し椎茸をよく使います。とっても
美味しい味が出るのです。あるときから、出し殻を捨てるの
がもったいないと思い、フードプロセッサーで干し椎茸を粉
末にして使うようになりました。こうしますと、味が出るだ
けでなく、出し殻も食べられるので、気に入って愛用してい
ます。ただ、こうしますと、煮汁が透明ではなく、濁ります
ので、視覚的にやや難点はありますが、自分で作って自分で
食べるのには何の問題もありません。というわけで、干し椎
茸はよく使うのです。そこで、生椎茸を買ってきて、ザルに
入れて天日で干してみました。
 乾かすには、できるだけ表面積を広げることがいいわけで
すから、まず、小さな安価な生椎茸を買い、傘と軸は切り離
します。また、石づきは固いのと、黒い原木の端くれが付い
ていますので、先端を少し切り落とし、後はハサミの背でこ
そげ落としておきます。これで準備は完了です。
 夏は日光が強烈で、一日か二日でほとんど乾いてしまいま
すが、雨が降ったりして、乾燥に手間どっていますと、傘の
裏が黒くなり、見た目がきれいに仕上がりません。天気予報
とにらめっこをしならが、作っています。
 夏は乾きが速いのですが、ひとつの泣き所は、夕立です。
夕立が降ると、せっかく乾いたのに、いっぺんに濡れてしま
います。そこで夕立対策として思いついたのが、透明のアク
リル板をザルの上にかぶせることです。アクリル板は、ホー
ムセンターで買うことができます。これにより、少々の夕立
には対抗できるようになりました。
 干し椎茸を作る一番いい時期は、寒くて空気が乾燥してい
る秋から冬にかけてです。冬は気温が低いため乾燥に日数が
かかっても、傘の裏が黒くなることはめったにありません。
たいていは、一週間もするとカチカチに乾きます。乾きます
と、嵩は三分の一、重量は十分の一になります。
 楽しいという以外に、いろいろの実利があります。一つ目
は、太陽を当てることができる点です。天日で乾かすのは当
たり前と思っておられるかもしれませんが、現在主流となっ
ているのは、石油を炊いて乾燥する人工乾燥です。椎茸は、
日光に当てることにより、ビタミンDを作ってくれるのです
が、人工乾燥ではビタミンDができないのではないかと思い
ます。
 二つ目は、生椎茸は中国産が輸入されています。おそらく、
干し椎茸など、加工品は、中国産ではないかと思います。中
国産はちょっと、という方には自作をお勧めします。
 自分で作るのは手間が要ると思われる方が多いと思います
が面白くて、はまること請け合いです。ぜひ一度挑戦してみ
てください。



花咲爺と婆になる術(すべ)

           富田博信様

人生百年時代といわれる現在、あたかも青春時代到来のごと
く美化されているようで、独り悦に入っていたら、顎(あ
ご)が外れます。
 介護・年金・医療・認知などなどの文言が続き、しばしば
気持ちが滅入るときがあります。現役から離れたわたし個人
としては、これらの言葉が身に迫ります。なかでも認知症は
特段に注視します。
 認知症の患者数は年々増加の一途で、2025年には約7
50万人となり、65歳以上の高齢者の5人にひとりが認知
症になることが見込まれるとのことを、新聞記事で知り、不
安が募るばかりです。
 しかしながら、早期治療で回復の見込みがあることや、治
療薬が次々に開発されているという情報も耳にしています。
わたし個人としては認知機能低下の原因や、予防と対策のた
めに、生活習慣改善などをより深く知らねばと考え、区役所
や病院で配架されているパンフレットを漁(あさ)り、読み、
知識を会得しておくことが、肝要と思っています。
 老化を防ぐために青魚や葉物野菜を食すること。一日30
分以上の有酸素運動を心掛けること。一日7時間以上の睡眠
で脳をしっかりと休ませるなど。これらを励行するとともに、
脳を鍛えることも同時進行することです。
 脳医学の専門家の著書で「脳は生きている限り成長を続け、
新しい能力を獲得できる。何歳からでも、何を始めても脳は
応えてくれる。『知的好奇心』を持ち続けることが、重要で
す」と力説してありました。
 何歳になったからできない! もう何歳だから! と勝手
に決めつけないで、気分一新! 
 当たりまえですが、老いは失うものが多いです。体力、知
力、記憶力・・・。
 でも気力だけは失ってはいけません。気力を失えば生きる
望みを失うのと同じです。大切なことは、年齢に固執しない
ことです。逃げ腰の言葉は飲み込んでしまいましょう!
 この一日、一週間、一カ月、六カ月、一年はどのように過
ごしていたのか? 何もしなくても時は過ぎていきます。ど
うせ時間が経つのならば、何かをした方が得(トク)です。
「対人コミュニケーション」「社会との関わり強化」「読
書」「ウォーキング」、そして人生の終わりを考えない! 
年齢も忘れても良い!
 人生をもっともっと面白くしませんか?『老年よ大志を抱
け!』です。枯木になってはダメです。花咲か爺と婆になり
ましょうよ‼



西国街道要衝の地を歩く

           土岐 実様

@
妙喜庵の茶室「待庵(たいあん)」国宝

 羽柴(豊臣)秀吉が天王山の合戦(1582)で明智光秀を倒
したあと、千利休に命じて造らせた茶室。「待庵」は淀川を隔て
て上がってくる月を待つ意味ともいう。国宝茶席三名席@「待
庵」A愛知県犬山城下にある織田有楽斉建立「如庵」B大徳寺龍
光院にある「密庵」。
A
離宮八幡宮
 平安時代始め、清和天皇は「太陽が我が身に入る夢をみて」神のお告げ
をお聞きになった。そのお告げにより僧・行教を宇佐八幡宮に遣わし「神
霊」を奉じて帰京すると、山崎津で夜の山に霊光がさし、その地を掘ると
岩間から清らかな水が湧き出した。その地に清和天皇が「石清水八幡宮」
を創建(貞観元年・859)。
 この地は嵯峨天皇の離宮「河陽宮」のあった所で、後に「離宮八幡宮」
と号するようになった。製油発祥地の碑』平安末期から当社の神人は油
の製造を行い、油座を組織し荏胡麻(えごま)の仕入れ・製造・販売権を
独占して畿内一円と諸国に販売権を広げ、中世末期大阪油商人の手に移る
まで栄え、当社には油座関係の文書、戦国武将の感謝状や禁制などが所蔵
されている。
B
関大明神
 この地は古代の山崎関跡で、関守神や疫神を祀り病気流行のたびに疫神
祭が行われた。「鎮疫神」と記された扁額があり、疫神を祀る神社の一つ
とも考えられている。一間社流造りの小さな本殿だけが残るが、鎌倉時代
の建築様式をとどめ覆屋がかけられている。横を流れる小川(西谷川、関
戸川とも呼ぶ)が、山城と摂津国の国境で、現在の京都と大阪の府境であ
る。
C
水無瀬川
 水無瀬川は「表面には流れが見えないが地下に水が伏流している川」を
意味する普通名詞であるが、『忍ぶ恋を象徴する言葉』のイメージから歌
枕として詠われてきた。
D
西国街道(山陽道)
 江戸時代の都と九州太宰府を結ぶ幹線道路で、現在の国道171号線
(京都〜西宮)は西国街道にほぼ並行し、この地は島本町広瀬の街の中央
を通る。淀川に現在のような堤防のなかった時代、淀川が増水すると、こ
の辺りが岸辺(広瀬)となり、増水による街道の埋没を避けるため、瀬の
外側に道を通したことが窺われる。
E
水無瀬神宮(水無瀬離宮跡
 第82代後鳥羽天皇は土御門天皇に譲位後、この地に水無瀬御殿を造営、
水無瀬離宮と称された。承久の乱で隠岐に配流され崩御した後鳥羽上皇の
遺勅にもとづき、臣下の水無瀬信成(のぶなり)・親成(ちかなり)親子
が水無瀬離宮の旧跡に御影堂を建立、上皇を祀り、後に水無瀬神宮となる。
この遣勅は国宝「後鳥羽上皇宸翰御手印置文」として京都国立博物館に保
管されている。
『神門の手形』石川五右衛門の手形が門柱にある。五右衛門は当宮に祀ら
れた名刀を盗み入ろうと三日三夜、竹藪に潜みうかがうも足がすくみ入れ
ず、去る時に門柱に手形を押して改心の証を残したと伝わる。
F
桜井の駅跡
 太平記の名場面「桜井の駅」楠公父子の別れの旧跡。この話は歴史史話
としてよりも、明治より学校教育の国史修身で「忠君の父子」の一場面と
して、二宮尊徳などと並び広く国民に語られた。平家物語が琵琶法師によ
る「謡い物」に対し、太平記は「講釈」風に語られる。
 延元元年(1336)5月16日、楠正成は都より700騎を率いて、
九州から攻め上ってくる足利尊氏軍50万を迎え討つべく西国街道を西に
向う。途中、桜井の駅で軍を止めて、皆に「多勢の尊氏軍に立ち向かうに
は、その兵糧を絶ち、その後に新田義貞軍とで挟み打ちをすると、後醍醐
天皇に提言したが天皇の側近達は、それは天皇軍の姿でないと反対され
た。」と話した後、11歳の長男正行を呼び寄せ「この戦いは勝てる見込
みのない不覚の戦いとなる。討ち死にの覚悟で行く。お前は河内に帰り母
に孝し一族を永く率いて天皇に尽くせよ」、父と共に行きたいと願う正行
をさとし、形見に天皇から下賜された菊水の短刀を渡す。正行は西国街道
を西進する父を、涙を堪えて見送る。


京都の文化自慢サラ川2021 
文化庁京都移転応募賞      思いたち そうだ京都へ 文化庁

大賞             犬までが うっかり掘ると 文化財

優秀賞       「いけず」より京都に「行けず」が 身に堪え

                  ぶぶ漬けを 姑に出す 怖い妻

             みやこみち 上がって下がって 回り道

                  京の酒 飲みすぎ寝姿 大文字

            キャッシュレス 見かけなくなる 平等院

              地図にない 路地に息づく 京らしさ

             通り歌 グーグルマップも いりまへん

                 薄口の 中にコクあり 京文化






      大八木医院新聞
      第146号

(2022年41日発行)




目次
第一面

和食にするためにB

主食と副食

           大八木 明
雪中登山(愛宕山)のみちずれ

           石田皓久様


可愛くなった犬たち

           岩橋安子様

大人のウソ      富田博信様

この頃思うこと前田恵子様

至福の名言C

     大八木医院新聞愛読者様

         







和食にするためにB

主食と副食

           大八木 明
 わたしが国内で食べたことがあるのは、イタリア料理、フラ
ンス料理と中華料理くらいで、世界中の料理を知っているわ
けではないのですが、おそらく、主食と副食を区別している
のは、日本食くらいではないかと思います。
 主食はたくさん食べるもので、副食はすこし食べるものと、
日本の食事では決まっています。
 中学生のころ、授業で、日本の主食は白米だが、西洋の主
食はパンだと習いました。大人になって米国に行ったとき、
レストランで彼らの食事を見ていますと、主食は肉で、副食
にパンと野菜を食べていました。
 戦後、米国の食事が入ってきたとき、日本人はたいして栄
養のない白米をたくさん食べて、肝心の副食を少なくして、何
と後進的な食事なんだろうと、多くの人が思ったのです。そ
こで洋食のように、主食を少なくし、副食を多くする方向へ
と転換してきたように思います。そのうえ学校給食でも、
「パンは残してもいいが、おかずは残さずに食べるように」
と指導されました。
 でも、よく考えていただきたいのですが、主食は、体を動
かすためのエネルギーになるものです。自動車でいいますと
燃料です。燃料はたくさん必要ですから、燃えても、有害な
代謝産物は出さないものが最適なのです。その点、でんぷん
質は、炭素と水素と、酸素からできています。炭素は酸素と
化合すると炭酸ガスになり、肺から出ていきます。水素は燃
えますと水になり、汗や尿となって排泄されます。なにも有
害なものが出ないのです。
 たんぱく質こそが、栄養だと思われていますが、たんぱく
質は体の構成成分です。車にたとえますと、車体を作ってい
る物ですから、鉄とアルミニウムです。これをごっちゃにし
てはいけないのです。燃料としてガソリンを入れるのは正解
ですが、燃料にアルミニウムや鉄を入れると、車は走りませ
ん。走らないばかりか、壊れてしまいます。車のことならよ
くわかるのですが、自分自身のことになると、わからなくな
るのです。いくらたんぱく質が重要なものだからといって、
筋肉活動のための燃料に使うのは間違っているのです。たん
ぱく質は燃料には向かないのです。
 この燃料と体の構成成分をごちゃ混ぜにしてしまっている
のだと思います。体の構成成分は大切ですが、特に成長期を
過ぎると、ほんの少しあれば十分です。たんぱく質は代謝さ
れますと有害な代謝産物を出します。これは腎臓からでない
と排泄されないのです。ですから、高たんぱく食を食べます
と過負担をかけて、腎臓を悪くするのです。今は体の構成成
分と筋肉活動のエネルギー源がごちゃ混ぜにされて、成長期
が過ぎて、体格が完成し、活動のエネルギーだけでよい成人
が、高たんぱく食を摂りますので、いろいろと問題が起きて
いるのです。
 日本の主食が白米であったことは、正解だったのです。白
米をたくさん食べることは、何の問題もなく、まして、食事
の後進性でもなかったのです。適正な判断だったのです。今、
わたしたちは、わが国の本来の食習慣に返る必要があるので
す。


雪中登山(愛宕山)のみちずれ

           石田皓久様

 毎年恒例の正月行事のひとつ、初詣を兼ねた愛宕山登山に
行きました。この日は青空が見える好天で、清滝駐車場に集
まる多数のカラフルな善男善女にはビックリ! 清滝・表参
道の温度計の赤い針は5度でした。
 両側に雪が残る登山道に入り、雪解けのドロンコ道を登れ
ば、5合目の小屋に到着。ホットコーヒーで腰を落ち着ける。
7合目の小屋跡からアイゼンを装着。氷を噛むザク・ザク音
が小気味よい。200段の石段を登り切れば愛宕神社到着。
気温は0度。
 本殿参拝後、奥の院に掲げてある絵馬を眺め、「火廼要
慎」のお札×5体を購入、これで本日の予定は無事終了。往
復5時間30分、「青息吐息」のヨレヨレ登山で清滝駐車場
着。
「旅はみちずれ」ともいいます。今回、「山はみちずれ」
だった、人とのおしゃべり模様。
その@ 息子と父親(6合目付近)
 途中で立ち止まっていたので声をかけました。「何年
生?」「小学3年生」「えらいね!3年生で雪中登山か? 
うちの孫は3年生のとき、富士山に登ったよ」と言えば父親
が「昨年は乗鞍岳に行きました」と。「あそこも3000m
はあるし、富士山も行けますよ」と、わたしがお年玉替わり
の太鼓判を押せば、二人の目が笑い口角が少し上がりました
そのA 姉妹と父親(7合目過ぎ)
 姉妹が前方、その後に父親が歩いていました。追い抜いて
から声をかけました。「何年生?」
「小学3年と中学2年」と姉。「クラブは?」「水泳クラブ
です」「好きな泳ぎは?」「クロール」「おじさんが中学3
年の時、50mを35秒で優勝」と言えば「早い! わたし
は25mで18秒」と返事。「まあ、パリの次のオリンピッ
クを目指しましょうか?」と叱咤激励。全員が大爆笑。白雪
を着る大杉の間にコダマしていました。
そのB 一人登山の男性・62歳(愛宕神社・石段下の小
屋)
 混雑の小屋、出口の狭い場所でカップラーメンをモグモグ。
ふと! 隣の男性と目が合った。「福井から2泊3日で来て、
昨日は滋賀県の疎水から山科、蹴上まで歩きました。
1000m級の山が好きで愛宕山にも登りたかった。明日は
京・田辺の「寿宝寺」に千手観音の拝観、予約しました。実
際に1000本の手を持つ仏像は3体しか現存しておらず、
大阪の「葛井寺」、奈良の「唐招提寺」。」と熱弁。終えて
「お先に」の言葉を残し下山。正月から京都旅行とは、コロ
ナ禍最中の行動力をうらやましく感じたのも事実。
そのC 女性一人(八合目・水尾分かれの小屋)
「それ、何キロ?」「18キロあります」。神社への「奉納
水」を担ぎ上げるボランティアで、凍りついた登山道を汗水
たらし登る背中に、今風でいえば、超「リスペクト」。「人
生は生涯学ぶもの」とか、聞くことも身体に何かを浸み込ま
せることであり、いつかは血や肉になるのでしょうか?
後日、手帳に「千手観音巡り」を追加したのはいうまでもあ
りません。


可愛くなった犬たち

           岩橋晏子様
 わたしは5年くらい前より、保護犬のボランティアをして
います。繁殖に使われて、もういらなくなった犬、飼い主か
らはぐれて探してもらえなかった犬、飼えなくなって保健所
に持ち込まれた犬、そんな犬たちを保護主さんがセンターに
殺処分期限前に引き出します。そして新しい飼い主(里親)
さんと、ちゃんと生活ができるように、わたしが預かってい
ます。
 ブリーダーさん(繁殖所)から来た犬たちは、散歩という
ものをさせてもらっておらず、道をあっちこっちと落ち着き
なく歩きます。また、生まれてからずっとゲージの中でフー
ドをばらまかれて食べていたので、エサ入れでは食べられな
い犬もいます。
 飼い主さんからはぐれて探してもらえなかった犬は、散歩
中に元の飼い主さんかと、歩いている人の匂いをかぎに寄っ
て行くのを見ると、こんな人に飼ってもらっていたのかなと
想像します。
 飼えなくなって保健所に持ち込まれた5歳くらいの犬は、
本当におとなしく優しい仔でした。可愛がられて育てられた
んだろうなと想像します。
 でも慣れてくれるまでは1カ月、心を開いてくれるまでは
3カ月かかります。新しい里親さんのお家の仔になってくれ
るのは、早い仔で40日、一番長くかかった仔は9カ月です。
里親さんの中でも、何人かの方はインスタグラムをされてい
るので犬たちの元気な姿が見られて嬉しいです。その顔や表
情はすごく、見違えるくらい良い顔になり、可愛くなってい
るので、思わず顔がほころびます。

大人のウソ      富田博信様

コロナ禍を口実に、家の中で雷さん(ゴロゴロ)を決め込ん
でいたものの、運動不足による『ロコモ』になっては大変と
思い一念奮起‼
 マスクで口元を覆って散歩に出かけました。近くの公園に
差し掛かったとき、若いお母さんと男の児がサッカーボール
を蹴って、楽しそうに遊んでいました。
 籠城生活でこのような光景を目にする機会がなかったせい
で、久しぶりに見入っていたら、お母さんが疲れたのか、
「もう良いでしょう」「モットー」、「じゃあ、あと一回だ
けだよ」「イヤー」・・・延々と続く親児の応酬。
 ついにお母さんが業を煮やして、「もうおしまい」「もう
帰るよ」「良い子だから言うことを聞いて」「何回言ったら
解るの」「もう知らないから」「先に帰るよ」「迷子になっ
ても知らないから」「勝手にしなさい」・・・まあまあ次々
に脅したりなだめたりの連弾に、わたしは思わず苦笑いをし
ました。
 そうですネ。わたしも幼い頃に親から脅しの連弾を浴びた
ことを思い出しました。
 もちろん親の都合でのウソも、理にかなったウソもありま
した。
たとえば・・・
・ウソついたら閻魔(えんま)さんに舌を抜かれるよ
・悪いことをしていたらオバケが出るから
・迷子になっても知らないから
・雷さんにおへそを取られるよ
・火遊びしていたらオネショするから
・泣いてばかりだと涙がなくなるよ
・食べてすぐに横になったら牛になるからネ
・誰にも言わないから言ってみなさい
振り返ってみれば、実際にはないことや、あり得ないこと、
実行しないこと、子供の躾(しつけ)のためや、危険なこと
を諫(いさ)めるため、健康のためなどなど。
 しかし、子供の心に負担をかけたり、恐怖を与えたり、は
たまた危険に晒(さら)したりする言行は、決して許される
ものではありません。
 当然、暴力は駄目です‼
 余談ですが、アンケートによれば、大人の883%が嘘
(ウソ)をついたことがある。そして子供たちは大人がつい
たウソを60%以上が憶えているとか。
 ところであなたはお子さんたちに、そしてお孫さんたちに
どんなウソをつきましたか?
 思い出して独り「ニヤリ」としてみませんか?
 昔を思い出すのは認知症予防にはグッドらしいですよ。



この頃思うこと前田恵子様

 わたしが今まで生きてきた中での重大事件は、阪神淡路・東日
本の二つの大震災と、オウム真理教事件と、9・11アメリカ同
時多発テロ事件、そして今回の「新型コロナウイルス肺炎」です。
コロナが蔓延して恐ろしいのですが、自分なりに打ち勝たなくて
はなりません。
 わたしのコロナ対策です。コロナに対して新しいことも日々解明されていま
すが、なかなか外出もできず、昨年は運動不足を感じていました。足
腰が弱くなりバスの利用が多くなってきたとき、横断歩道で転んでい
る人を二度見かけました。それからバスの利用を少なくし、歩くよう
に心がけました。
 そして一日の予定を考え、午前、午後と何もなくても書き
出すと、新しい何かが見つかる(?)、生活を見直すことも
でき、生活も豊かに変わってきました。コロナだって悪いこ
とばかりでなく良い生活習慣も身に付きます。できるだけ良
いことに目を向け、笑うことを意識して生活する。そんな心
構えが必要ではないかと思います。
『コロナ』より、ちょっと賢くなって生活しましょう。歳を
とるとそんなことを考えて、より良い生活を送りましょう。



至福の名言C

     大八木医院新聞愛読者様

和敬清寂」
 この四文字は、茶人・千利休が茶道の根本精神として示し、
広く世に伝わった言葉です。
「和」は日本人が最も大切にしてきたことのひとつです。日
本人の源流、あるいは礎ともいわれる有名な聖徳太子の十七
条憲法の第一条=一に曰(いわ)く、和を以って貴(たっ
と)しと為(な)し、忤(さから)う無きを宗(むね)と為
(せ)よ・・・。この文言は日本が国家としての体裁を整え
始めた七世紀初めに、すでに「和」がわたしたちの心を支え
る大切な背骨とされていたものと思われます。
 四文字の一字一句を紐解くと、和→互いに支え合う。敬→
身分に関係なく尊敬し合う。清→常に清らかな気持ちを保つ。
寂→何事にも動じない。つまり、和の心でお互いに認め合え
ば敬が生まれ、清を得て寂に至る。四つの文字はすべて離れ
ず結びついています。
 いかがです?心を穏やかにしてくれる名言ですね。



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