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台湾の労働関連法制
2007年年4月 元田時男

1.関係法令

憲法第153
*労働者の保護
憲法第154
*労使紛争の調停、仲裁について法律で定める。

 

民法第482条から489条:雇用
*定期雇用は期限到来により契約終了、不定期の場合随時終了、ただし、被雇用者に有利な慣習があれば慣習に従う。重大な理由により終了、一方に過失ある場合損害賠償責任あり。
民法第7561条から7条:保証人
*保証期間は3年以内、更新可能。使用人の通知義務あり。

 

労働基準法(1984年公布、最新改正200212月)
*労働契約、賃金、労働時間、休暇、退職金など最も基本的な法律で、殆どの業種に適用される。

労働基準法施行細則(1985年公布、最新改正20056月)

男女雇用機会均等法(両性工作平等法)(20021月公布)

*募集、採用、昇進、配属などで差別できない。

*罰則(罰金)あり。

男女雇用機会均等法(20023月公布)

工廠法(1929年公布、最新改正197512月)
*労働基準法が公布されるまで、工場労働者に適用される法律であったが、労働基準法と重なっている。

工廠法施行細則(19766月公布) 

労工休暇規則(1985年公布、最新改正2005月)
*慶弔休暇、傷病休暇、その他の休暇について、日数、給与について規定。

 

基本工資審議弁法最低賃金法(1985年公布、最新改正200211月)
*労働基準法第21条に基づく最低賃金の決定方法を定めたもの。労使、行政から成る委員会により審議、行政院が了承後公布施行。

 

労工退職金条例(労工退休金条例)(20046月公布、20057月)

*本条例施行前に労働基準法が適用されていた労働者は、労働基準法の退職金規定を選択することができる。ただし離職後再雇用された場合本条例が適用される。*使用者は毎月賃金の6%以上強制積み立て、労働者は6%以内を積み立てることができる、*積み立ては個人別口座、*支給適格者―満60歳以上、障害、死亡、*転職しても継続される

労工退職金条例施行細則(20051月公布)

工会法労働組合法(1929年公布、最新改正20007月)
*設立、登記、運営に関する規定。企業別と産業別がある。満16歳以上は加入権利あり。

工会法施行細則(1944年公布、最新改正200110月)

労使協定法(1930年公布)
*労使協定の内容、締結の規則を定めたもの。有効期限は3年。

 

労資争議処理法(1928年公布、最新改正2002月)
*労使紛争のルールを定めたもので、日本の労働関係調整法に相当。調停、仲裁中のストライキ、ロックアウトを禁じ、罰則あり。

 

労使会議実施弁法(200110月修正)

*事業所は労使会議を実施すること。労使同数。*経営状態の報告と労使関係等の会議

 

労工訴訟補助弁法(200110月公布)

*労働訴訟の場合(3人以上)弁護士費用等を補助

 

労工安全衛生法(1974年公布、最新改正2003月)
*労働災害防止、労働者の健康を守るのための法律。鉱業、製造、建設などが対象。定期健康診断の義務あり。防護処置のない機械使用禁止。

労工安全衛生法施行細則(最新改正20024月) 

労働検査法(1931年公布、最新改正2002月)
*労働基準法、労工安全衛生法などの基準を守っているかを検査。危険作業については検査に合格しない限り作業不可で、違反は3年以下の懲役。

労働検査法(最新改正200212月) 

労工保険条例(1958年公布、最新改正20031
*従業員5人以上の事業所で、満15歳から60歳までは強制加入。健康保険と労災保険、老齢給付を規定。保険料は本人 、使用人、政府が拠出。

労工保険条例施行細則(1960年公布、最新改正2006月)

職業訓練法(最新修正20025月)

職業訓練法施行細則(最新修正200012月)

農民保険条例(1989年公布、最新改正20026月)
*農会会員並びに会員外で満15歳以上の農民は強制加入。保険料は本人30%負担、政府70%負担。

農民保険条例施行細則(1990年公布、最新改正20063月)

全民健康保険法(1994年公布、最新改正2005月)
*家族を含む総合的な健康保険。給付対象は医療で、治療費、漢方、歯科、分娩、リハビリテーション、予防、介護など幅広い。

全民健康保険法施行細則(1995年公布、最新改正2004月)

就業服務法(1992年公布、最新改正2003月)
*職業紹介業務は公立と民間。中高年、障害者に重点を置く。外国人の雇用規則、職種(専門性、技術性)も定めている。

就業服務法施行細則(1992年公布、最新改正20041月)

職工福利金条例(1943年公布、最新改正20031月)
*公営、市営工場、企業は全て創立時資本総額の1−5%、毎月収入の0.05%、従業員給与の0.5%を拠出、福利委員会により運営

職工福利金条例施行細則(1943年公布、最新改正2003月)



2.労働基準法
(1)適用範囲(3条)
農林漁業、鉱業、製造業、建設業、水道・電気・ガス業、運輸・通信・倉庫業、報道、その他労工委員会指定の事業。
(工廠法:動力を使用する工場に適用)

(2)労働契約
定期(臨時的、短期的、季節性、特定事業)と不定期がある(9条)。

不定期とみなされる場合:継続して従事しているのに使用者が反対しなかった場合

            新規に契約した場合、前後の雇用期間が90日を超え、前後の契

              約の間隔が30日を越えない場合

 

解雇できる場合(11条:予告を必要とする) 
 倒産、営業譲渡、不可抗力、事業性質変更、作業能力がない

使用者が予告なしに解雇できる場合(12条)
 使用者に暴力、侮辱を与えた場合、懲役刑を受けた場合、労働契約や規則違反の場合な

 ど。

 

使用者が解雇できない場合(13条)

 出産休暇中の女性

 労災で医療期間中

労働者が予告なしに労働契約を終了できる場合(14条)
*労働者に暴力、侮辱を与えた場合、労働環境が悪化して改善がない場合など。

 その場合、30日以内に雇用契約解除

使用者の解雇予告期間(16条)
3ヶ月以上1年未満継続就労10日前
1年以上3年未満継続就労20日前
3年以上継続就労30日前
   予告しない場合、予告期間の賃金を支払うこと

 

解雇補償金(17条)

   *解雇補償金は同一事業所で勤続年数満1年ごとに賃金の1ヶ月分、

      ただし、不当行為により予告なしに解雇する場合は必要なし。

 

(3)賃金

「最低賃金」を下回ってはならない(21条)

 
労使合意がある場合を除き月2回以上支給(23条)

時間外労働賃金(24条)
2時間以内3分の1以上の加給
*追加して2時間以内3分の2以上の加給
*突発事件などによる時間外は倍額支給

同一労働同一賃金(男女差別は不可:25条)

破産の場合、6ヶ月分の賃金は先取特権あり(28条)

 そのために積み立てる義務あり(未払い賃金積み立て金)

年度に利益が出た場合、1年間勤続、優秀労働者には報奨金を支払うこと(29条)

 租税納付、欠損補填、準備金積み立て、配当後について

(4)勤務時間、休憩、休暇
1
日の通常勤務時間は8時間、2週間で84時間を超えてはならない(31条)
  1週間 8時間x5日=40時間+4時間(土)=44時間

  1週間 8時間x5日=40時間

               合計84時間

 

時間外労働は、労働組合または労使会議の同意が必要(32条)

  1日に通常労働時間と合計して12時間以内、1ヶ月に46時間以内

 

 

交代制を採用する場合、毎週勤務時間を変更しなければならない(34条)

4時間の継続勤務の後、最低30分の休憩(35条)

7日の内少なくとも1日休日(週休、有給)36条)

メーデー(51日)を含む公式記念日は休日(有給:37条)

年次有給休暇(38条)
1年以上3年未満勤続7
3年以上5年未満勤続10
5年以上10年未満勤続14
10年以上勤続1年当たり1日、ただし30日を限度とする。
特別有給休暇中、やむを得ず勤務させるとき、賃金は倍額を支給し、代休を与えること。

慶弔休暇(有給:43条))
*本人の結婚8
*父母、養父母、継父母、配偶者の死亡
*祖父母、外祖父母、子女、配偶者の祖父母、配偶者の祖父母、配偶者の養父母、継父母の死亡6
*兄弟姉妹の死亡3
傷病休暇(賃金は30日以内の部分は半分、労工保険給付が半分に満たない場合、不足部分は使用者負担)
*入院の場合2年間で1年を越えない期間
*通院の場合1年間で30日を超えない期間
(入院と通院の場合、2年間で1年を越えない期間)
その他の休暇
1
年間に14日以内(無給)

(5)年少労働者

15歳以上16歳未満を年少労働者(童工)とする。危険業務禁止(44条)

15歳未満は雇用禁止(45条)

年少労働者の雇用は親権者(法定代理人)の同意が必要(46条)

18時間を超えて就業、休日に就業させることはできない(47条)

20時から6時まで就業させることはできない(48条)

(6)女性労働者

22時から6時まで就業禁止(49条)

 ただし、労働組合または労使会議の同意を得て、安全衛生が講じられ、送迎、宿舎があ

 る場合は可能。

出産前後8週間の出産休暇(50条)

  妊娠3ヶ月で流産した場合4週間の休暇。その場合6ヶ月以上勤続者は有給、未満の  

  者は半額有給。
妊娠により軽作業を請求することができ、使用者は拒否または減給できない(51条)

通常の休憩時間に加えて哺乳時間を12回、130分以内取ることができ、その時間は勤務時間とみなされる(52条)

(7)退職
勤続15年以上で満55歳の者、または勤続25年以上の者は退職を申請できる(53条)

次の場合以外、退職を強制できない(54条)

 *満60歳(特別に体力を必要とするなどの場合、当局の許可により短縮できるが55

  を下回ることはできない)
 *心神喪失、障害

退職金基準(55条)

 *勤続15年までは1年当たり退職時の平均賃金2ヶ月分、15年以上勤続の場合15年を

  越える分について年当たり1ヶ月分、最高合計45ヶ月分まで(半年未満は半年計算、

  半年以上は1年計算)。

使用人は退職金準備金を積み立てる義務あり(56条)
 *退職金積立て不足の場合、分割払いが認められる。

(8)職業災害補償
職務条の事由による傷病について使用者は、以下の補償をしなければならない(59条)

  ただし、労工保険により補償される場合は、それに相当する額を免除される。

*負傷、職業病にかかった場合、医療費
*治療により労働不可能の場合、休業補償。ただし、2年経過しても完治しないとき、障害がある場合を除き平均賃金の40ヶ月分補償することにより、その後の休業補償を免れる。
*身体障害者と認定された場合、労工保険法の基準により一時金を支払わなければならない。
*死亡した場合平均賃金の5ヶ月分の葬儀代と遺族に平均賃金40ヶ月分の補償を支払わなければならない。
*使用人が元請、下請など複数にまたがる場合、連帯責任あり。

(9)技術生
15
歳未満は受け入れ禁止。ただし中学校を卒業した者を除く(64条)

技術生との間で契約書を締結、未成年の場合法定代理人の同意を要する(65条)

訓練費を徴してはならない(66条)

技術生の人数は労働者の人数の4分の1を超えてはならない(68条)

労働時間、休憩、年少労働者、女性労働者、職業災害、労工保険の規定を準用する(69条)

(10)就業規則
労働者30人以上を雇用する場合、以下の内容を含む就業規則を作成、当局の同意を得た後公示すること(70条)

1)労働時間、休憩、休暇、国民休日、年次有給休暇、交代方法
2)賃金の基準、支払い時期
3)労働時間延長
4)手当て、賞与
5)規律
6)勤務評価、休暇申請、表彰、昇給、転勤
7)雇用、解雇、離職、定年退職
8)職業災害補償
9)福祉
10)安全衛生規定
11)労使双方の協調、協力の方法
12)その他

(11)監督、検査
法律が実行されているか担当機関は立ち入り検査することができる(72条)

 

(12)労使会議

事業所は労使会議を開催すること(83条)



3.工会法(労働組合法)
(1)工会の性格  法人
(2)設立資格   公務員、教職員、軍需工場従業員は工会を組織できない。
(3)設立
企業別、職業別とも30人以上の従業員があれば設立すること。区域は行政区域に合わせてある。
企業別は同一区域、同一企業内で1組合、職業別は同一区域で1組合。
発起人の連署により主管機関へ登記、創立総会の準備開始。
創立総会において3分の2以上の賛成により以下の規約を採択して、登記。
1)名称
2)趣旨
3)区域
4)所在地
5)事業内容
6)組織
7)入会、退会、除名
8)組合員の権利、義務
9)組合職員の氏名、権限、任期、選任、解任
10)会議
11)会計
12)規約の改定
(4)組合員
16歳以上
管理職は除く
(5)組合職員
県レベルの組合の理事59人、監事は理事数の2分の1以下
理事会は組合の一切の業務を処理し、組合を代表する
理事、監事の資格台湾国籍所有者、満20歳以上
理事、監事の任期は3年、再任は理事、監事数の3分の2を超えないこと。
(6)総会
定足数組合員過半数の出席
総会の決議を要する事項
1)規約の改正
2)収支予算
3)事業報告、決算
4)労働条件の維持、変更
5)基金の管理
6)組合内公共事業の創設
7)組織
8)組合の合併、分割
9)理事監事の解雇
(7)組合費
入会金は賃金2日分を超えないこと
組合費は1ヶ月の賃金の2%を越えないこと
(8)監督
主管機関の監督、指導を受ける。
ストライキ
*調停不調の場合、組合員の無記名投票により全員過半数の同意を要する(違反は刑法により罰される)。
*ストライキ時に公共秩序、安寧を妨害してはならず、他人の生命財産、身体の自由を妨害してはならない。
*標準労賃を越える賃上げについてストライキは禁ずる。
組合活動禁止事項(違反は刑法により罰される)
(参照日本の労働組合法第1刑法35条犯罪の不成立、労組法第8条損害賠償の免責)
*商品、工場の封鎖
*商品、工場貨物機器の損壊
*組合員、使用人の監禁、殴打
*脅迫
*武器の携行
*従業員の物品を脅し取ること
*組合員にストライキを命令すること
*金銭を横領すること
外国の組合との連携は総会の決議を経て、主管機関の認可を受けること。
(9)組合員の保護
使用人は組合の業務を担当することを理由に解雇、その他不利な扱いをしてはならない。
理事、監事は毎月50時間以内組合事業を行うことができる。
争議期間中に、争議参加を理由として解雇できない。

4.労資争議処理法
*労働者の交渉当事者資格組合または労働者10人以上(10人未満の場合3分の2以上の同意を得ること(6条)

*使用者は、調停、仲裁期間中に争議参加の理由により労働者に不利な行為はできない(7条)
*労働者は、調停、仲裁期間中に使用者にストライキ、その他事業に影響を与える行為を禁じられている(8条)


調停
*調停は直轄市、県の主管機関に申請
*個別労働者の権利に関する事項は組合に調停を委任できる。
*直轄市、県の主管機関は職権により調停を申し渡すことができる。
*調停申請書記載事項
1)当事者の氏名、職業、住所
2)代理人がある場合、氏名住所
3)関係労働者の人数、名簿
4)紛争の要点
5)調停委員会を選定したとき、その氏名、住所など。

*調停は、直轄市、県主管機関は申請受理または職権調停申し渡しから7日以内に調停委員会により実行(11条)


*調停委員会は、直轄市、県主管機関が1人または3人を指名、労使各々1名を指名

*委員は指名後10日以内に事実調査結果、解決案を委員会へ報告(14条)
*委員会は調査結果、解決案受理後7日以内に会議開催(紛争当事者同意により15日まで延長可)(15条)
*委員会会議は過半数出席を定足数とし、出席委員過半数の賛成により決議(16条)
*当事者が調停案に同意しない場合、調停不成立となる。
*調停成立の場合、調停書を主管機関経由当事者へ送達。
*調停合意事項は、労使協定とみなされる(21条)

仲裁

*仲裁は当事者双方の申請による(24条)
  調停を経ないで仲裁の申し立てはできない(
*仲裁申請書は、調停不成立の理由を付して直轄市、県主管機関へ提出
*直轄市、県(市)において申請書受理後5日以内に仲裁委員会を編成
*委員会の構成は直轄市、県代表3−5人、労使各々仲裁委員を3−5人選定。
*仲裁委員は労働者団体と使用者団体から2年ごとに1248人を推薦させる。
*仲裁委員会の定足数は、3分の2以上の出席、決議は出席委員の4分の3以上、ただし、2回目でも決議できないとき3回目は多数決。
*仲裁裁定は決議後5日以内に作成、主管機関と当事者へ送達。
*仲裁中に和解すれば、当事者はその内容を主管機関と委員会へ送達。
*和解は調停と同一の効力。
*仲裁には不服を申立てることはできない。また、労使協定とみなす。
*仲裁裁定を当事者の一方が実行しない場合、裁判所の強制執行を請求することができる。

5.労使会議実施弁法

*事業所は労使会議を開催、30人以上の支店等があれば分割して開催(2条)

*労使それぞれ2人から15人の代表、ただし、100人以上の場合それぞれ5人以上(3条)

*労働者の代表は労働組合がある場合組合で選出(6条)

16歳以上は代表選挙権あり(7条)

20歳以上で勤続1年以上被選挙権あり(8条)

*労使代表の任期は3年、再任可能(10条)

*労使会議の議題(13条)

  (1)報告事項

    1)前回会議の実施状況

    2)労働者の状況

    3)生産計画、業務状況

    4)その他の報告

  (2)会議事項

    1)労使関係、協調促進

    2)労働条件

    3)福祉

    4)業務効率

*会議の報告は主観期間に届け出ること(22条)