玄米食について | 市川治療室 bS0/1993.09 |
稲作の技術は弥生時代(2000年程前)にはかなり発達していました。
米が日本人の食物の原点であることは疑問の余地の無いことでしょう。
もちろんその時代のお米は「玄米」です。(白米は江戸・元禄時代に登場したものです)
玄米は薄黒い皮(種皮=ヌカ)が被ったままなので黒色です。
ヌカ部分は歯ざわりが硬いために調理に圧力釜が利用されます。
圧力がかかると水の沸点が上がるため100度より高い温度になり
種皮が柔らかく食べやすくなります。
玄米食を健康管理・回復に実践する人は少なくありません。
そこで今月は「玄米と白米」について考えてみます。
玄米食・白米食の長所と短所
玄米を食べると胚芽部分の栄養物質が摂取できます。
胚芽は米粒の方の凹んでいる箇所でイネの種をまいた時に芽になるところです。
そのために成長に必要な多くの栄養物質(主にビタミンB1)が含まれています。
ヌカ部分に含まれているフィチン酸は
ミネラル(鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛など)と結合してフィチン酸塩を作ります。
フィチン酸と結合したミネラルは水に溶けないため腸からの吸収が阻害されます。
a.鉄不足 b.カルシウム不足 c.マグネシウム不足 d.亜鉛不足 |
・・・貧血・脱力感・動悸・息切れ ・・・筋肉の機能低下・血液のアルカリ度酸性化・酵素活性低下 ・・・筋肉・心臓の機能低下 ・・・成長不良・皮膚炎・味覚以上・性欲減退 |
ヌカ部分を取り除いている(フィチン酸が無い)ため
ミネラルの吸収がスムーズに行われます。
胚芽を除去しているので栄養素(主にビタミンB1)の摂取が
玄米食に比べて少なくなります。
まとめ
玄米食にも白米食にも程度は違いますがそれぞれデメリットがあります。
玄米のデメリットはフィチン酸によるミネラル吸収阻害、
白米のデメリットは胚芽部分の栄養物質が摂取できないということでしょう。
胚芽部分の栄養物質が摂取できることは玄米食のメリットです。
しかしそこに含まれている栄養素はイネが成長するための量であり
ヒトが必要とする量にはとても足りません。
人の身体には玄米と白米のどちらが有益なのでしょうか?
玄米と白米のメリット・デメリットを考慮すると
『白米を食べて副食物でその不足を補えば良い』ということになります。
具体的には玄米ではなく白米(胚芽米)を食べて
副食物として牛乳・卵・ナッツなどのビタミンB1を豊富に含む食品を摂取することです。
それでも玄米食が好きだというかたは以下の点に注意すべきでしょう。
食物は美味しく、健康的に食べたいものです。
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