『脂肪』について…その2 | 市川治療室 bP0/1990.11 |
プロタグランディンといわれるホルモンの原料は生体膜(細胞膜)にある不飽和脂肪酸です。
このホルモンは必要に応じて身体の中で生産され、その働きは身体の調節です。
たとえば以下の様なものを調節します。
神経作用・睡眠・眼圧・血液凝固・血管拡張又は収縮・血圧・利尿
生殖(妊娠)・体温・血管支拡張又は収縮・胃液分泌・潰瘍予防
皮膚再生・ガン細胞抑制・免疫力増強・関節炎などの炎症抑制・その他
不可欠脂肪酸
脂肪酸を生体膜(細胞膜)やプロスタグランディンの材料という点から考えると
以下の3つの脂肪酸だけが必要不可欠といえます。
不飽和脂肪酸の摂取は安全か
上記の脂肪酸はいずれも不飽和脂肪酸(植物性脂肪・魚の脂肪)です。
では不飽和脂肪酸は、摂れば摂るだけ身体=健康に良いのでしょうか。
この点についてDr.ハーマン(アメリカ・ネブラスカ大学・老人学者)の実験発表が参考になります。
「不飽和脂肪酸の多いオリーブ油やトウモロコシ油を
動物(マウス)に与えてみるとマウスの寿命は短縮され、
不飽和脂肪酸の少ない飼料では寿命が約二倍になった。」
不飽和脂肪酸はすべての炭素に水素が付いていない所があります(前回の図参照)
この場所に酸素が入り込み、その時に活性酸素が発生します。
そして発生した活性酸素により細胞膜の細胞(不飽和脂肪酸)が酸化されて
細胞本来の機能(代謝)が果たせなくなり、その結果疾病・老化が促進されます。
このような理由で、不可欠な3つの脂肪に限らず植物性脂肪(不飽和脂肪酸)を
摂取する時は、活性酸素対策として抗酸化物質が大切です。
抗酸化物質=老化対策物質としてビタミンA・B2・C・Eの他、
フラボノイド・カロチノイドなどが有効です。
心臓病と脂肪
心臓疾患での死亡率と脂肪摂取量をデンマーク人とアメリカ人とで比較すると
脂肪摂取量の多いデンマーク人の方が死亡率が低いことが分かりました。
これはデンマーク人はアメリカ人に比べ、飽和脂肪酸よりも
不飽和脂肪酸を多く摂取していることによります。
動物性脂肪を摂取してもそれ以上に不飽和脂肪酸、特に魚の脂肪を摂取すれば
心臓病に対処できます。
まとめ
身体に必要な脂肪酸は3つあり、すべてが不飽和脂肪酸である。
不飽和脂肪酸は酸化して、病気の原因となる活性酸素や
過酸化脂質を造りやすいので抗酸化対策(活性酸素対策)は忘れないこと!
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