Big-M's Special
"JAZZ"Field Report  JAZZ界四季報
Update '02.08.17

  
--- JAZZ Contest Report 「ギブソンジャズギターコンテスト」 ---


祁撫孫的提琴大会

去る2002年7月27日(土)にギターメーカーのギブソンUSA主催の
Gibson Jazz Guitar Contest2002というイベントが催された。
Big-Mは本選出場バンドの一員としてコンテストに参加した。
そのときの体験記を一挙掲載!!!


2002年夏、7月27日(土)にギブソンUSA主催、山野楽器、ジャズライフ後援の
Gibson Jazz Guitar Contest2002というイベントが催された。
このコンテストはソロ部門とバンド部門がある。バンド部門というのは今回始めての試みだそうである。
ふとした思いつきから、Big-Mがここ2年間ほど恒常的にバンド活動をしているアマチュアプレイヤーのHASH・橋本(G)とタイガー・K(D)のユニットで極秘に応募をしてみようということになった。
極秘であったのはもちろん審査で落っこちたときにかっこ悪いからというせこい理由にほかならない。(マジでせこい・・・)

応募をしようということになったものの本業は相変わらずドタバタ状態。
ということで、リハを念入りにやるヒマもない。メンバー二人も多忙を極める中なんとか3人の日程を合わせやっつけ仕事で出来の悪いデモ用のMDをでっち上げ、第一次審査に応募をすることとなった。
バンド部門には全国から19組の応募があったが、その中からテープ審査で4組のバンドが27日の本選(ライヴ審査)に選出された。

そして驚くなかれ!! なな、なんとっ!!! 我がHASH・橋本(G)のギタートリオがテープ審査を通過、本選に出場の運びとなったのである!!
セレクトされたからには出場しないわけにはいかない。据え膳食わぬは男の恥じである(なんか違うのでは・・?)



当日の審査員は、
杉本喜代志、渡辺香津美、布川俊樹という日本のジャズギター界を代表する百戦錬磨のベテラン達である。小手先のハッタリが通用する審査員ではない。

コンテストで上位入賞するためには、単に演奏技術が優れているというだけではダメだ。審査員が求めるもの、主催者が求めるものを深く推量してそれに応えてインパクトのある演奏をしなければいけない。
ステージパーフォーマンスや話題性、市場性、バンドの個性、演奏者のプロフィル等々全てが評価のものさしになる可能性がある。審査員の好みや個性が評価に大いに影響するのもいたしかたない事実なのだ。それやこれやでなにが審査員や主催者にアピールする要因なのかを見極め結果を出すことは至難の技である。
そんな事情からコンテストの場では、演奏技術では非のうちどころのないプレイヤーでも上位に入れないこともある。「コンテストの押さえどころ」を押さえ切れてないからだ。
そういう意味でコンテストはライブ、コンサートの類と言うよりは一種のゲームと言うべきである。自己と作品を世の中に問うための一発勝負のプレゼンテーションなのである。

ともあれ、選曲やらアレンジやら審査員対策やら、時間のない中あーだこーだと議論を重ね、簡単なリハをする時間をやっとこさひねり出して本番に臨むこととなった。


本番といっても持ち時間はわずか10分間の一発勝負である。
朝からサウンドチェックのために集合し、10分間の本番までの間に何時間も待ち続けるのはコンテスト慣れしていない我々にとっては相当な苦痛だ。本番までテンションを維持し続けるための戦いが始まる。これもゲームの一環であろう。
朝から始まったサウンドチェックのための簡単なリハの場面で、初めて他の対抗する3バンドと対面することになる。1つのバンドは、このコンテストのためにわざわざ留学先のボストンから帰国したと言うオルガン奏者の入ったヒップホップ系のトリオ。メンバーは20才前後であろうか、若くて元気がいい。演奏は今風のクラブ系音楽だ。
2バンド目は青森から参加したというフュージョン系のギタートリオ。年齢は我々に近い感じがする。
そしてもう一つは2管の入った比較的大編成のオーソドックスなジャズコンボである。このバンドはかなりベテランのアマチュアバンドで平均年齢は50才だという。それぞれに個性のあるバンドである。




さて、午後になり本選の演奏が始まる。
ステージは山野楽器の7階の小ホール、観客は立ち見の客もぎっしりで入りきれないほどの盛況だ。観客数はざっと200人強というところ。演奏の場としては大きすぎもなく小さすぎもなく程よい規模だ。
1バンド目は例のヒップホップのオルガントリオ。
選曲はオリジナルのようだが、ヒップホップ系の一発もの。バミューダ出身と言う黒人のドラマーが歯切れのいいビートを叩き出す。

続いて2バンド目が我々のステージである。
本選で披露する曲は、いろいろ事前の話し合いの結果
ミルトン・ナシメントの「Tarde(タルジ)」を演奏することになった。ミルトン・ナシメントというブラジルの異端の天才ミュージシャンの曲を取り上げたと言うことは、こういったコンテストでは異色というか冒険の部類に入るかもしれない。
W・ショーターの「Native Dancer」の中で収録されているように原曲は荘重なスローテンポの曲であるが、このコンテストの場ではアップテンポのアフロリズムを導入するようなアレンジを施した。
ベースパートは、アコースティックベースかエレクトリックベースかどちらで行くか迷ったが、ナシメントの曲想から考えて、フレットレスの5弦エレクトリックベースを採用することにした。
演奏自体は大きい破綻もなく、かといってそれほど出来のいい内容でもなく、とりあえず過不足ない演奏を披露することが出来たと思う。

続く3バンド目は青森からやってきたと言う我々と同様ギタートリオのステージである。バンドのギタリストはアラン・ホールズワースに傾倒していることが演奏スタイルから読み取れる。演奏曲はオリジナル曲という紹介であったが念入りにリハーサルされたことが音に出てくる演奏である。

最後の4バンド目は、2管4リズムのバンドで曲も唯一の4ビートスタンダード。
ギタリストの使っていた楽器もバンド部門では唯一のフルアコースティックギターで、オーソドックスなサウンドが披露されたステージであった。
いわゆる昔ながらの4ビートジャズのバンドは1つしかなかった。他の3バンドはソリッドギターで、フュージョン、ファンク系のいわばコンテンポラリーなスタイルである。ギターコンテストという性格だとこういう傾向になるのであろうか。

さて他の3バンドを聞いた印象では、4バンドとも演奏技量的には甲乙つけがたい内容である。というか各バンドジャンルが全然違うしギタリストのスタイルも全然違う。コンテストであるからこの4バンドの中から優勝バンドを選別しないわけにはいかない。一体どうやって評価の序列を作るのだろうかと、甚だ不思議な気持ちに襲われた。



さてお待ちかね興味津々の最終本選の結果である。
バンド部門の後、個人部門の演奏が行われ、その後夕刻に本選の発表が行われた。
まず個人部門では、最近ライブ活動で活躍し始めている若いプロギタリストの
成川修士が最優秀プレイヤーに選ばれた。彼は以前にライブハウスで演奏を聞いたこともあり非凡なプレイヤーだという印象をもっていた。演奏技量、オリジナリティ、アグレッシブな音楽姿勢等の面で優勝は異論のない結果であろう。
続いてバンド部門の発表である。

結果は、1バンド目のヒップホップ系のオルガントリオが最優秀バンドに選ばれた。演奏内容には若干首をかしげる部分もないではなかったが、今風のサウンドとビート、ショーアップするステージパーフォーマンス、若さ故の将来性を買われての受賞であろう。
そして次点は3バンド目の青森のギタートリオであった。
フュージョン系のバンドであるが、ギタリストの渋くて手堅い、よくこなれた演奏が印象的なバンドである。テクニック云々よりも音楽を愛する気持ちが伝わってくるところも好印象である。

ということで、我がバンドと最後に演奏した2管バンドは「賞」というものはいただけなかった。
ま、19バンド中4バンドにセレクトされたということなのであるから、卑下する気持ちはもうとうない。
とはいうものの、我々自身もちろん気持ちとしては「最優秀」も狙っての出場であったので、今後の発奮の材料として「敗因分析」を行うのも一興だろう。

まず、我々の演奏に対する
渡辺香津美のコメントを紹介しよう。
渡辺香津美自身、「Tarde」と言う曲について精通しているのだろう、この曲のドラマチックな魅力についてオーディエンスにもわかるように説明があった。そして我々がアレンジを施したリズムやサウンドの場面転換の仕掛けについて言及した。
それは場面転換にメリハリをつけるためにもう一工夫ほしいというものであった。
渡辺香津美はドラマチックな曲なんだから、もっとドラマチックなメリハリをつけるような演出をしろというのだ。

自分自身リハでもその点は少し気がかりであった。
自分自身のコンテスト出場の経験からすれば、わざとらしいくらい場面変換にメリハリをつけたアレンジをした方が第一印象での受けがいいというのも経験則として思い当たる。
だが逆に作為的な作りこみをしない方がワイルドな当バンドの持ち味が出るのではという葛藤があった。
そういった葛藤から来るところの中途半端さがあったのかもしれない。そこを渡辺香津美は見事についてきた。
反論したい気持ちもないではないが、こういうコンテストは
「言われてしまったら負け」の一発勝負の世界なのである。指摘をはね返すほどの「圧倒的な何か」を持ち合わせていなかった我々の負けということになる。
さすがに渡辺香津美、侮れないミュージシャンである。



ところで入賞したバンドを見ると、技巧の優劣はさておき、自分達の出したいサウンド、スタイルがわかりやすくて明確という特徴があるように思える。余分なものをそぎ落とした単純明瞭さの強みがあるからストレートに演奏者のマインドを聴衆に伝えることができる。これもコンテストのツボであろう。

あと、杉本氏、布川氏とも好意的なコメントであったのに対して、一人渡辺香津美氏から辛口の評価をいただいたということも気になることである。
ひょっとしたら渡辺香津美はこのナシメントの「Tarde」と言う曲に強い思い入れがあるのかもしれない。
思い入れゆえの辛口評価であったのではなかろうか・・・

当日聴きに来ていた知り合いからは
「実力ではBig-Mさんたちがダントツだったと思うんですがねえ・・・」などという発言も聞かれたが、これはあくまで身内びいきの発言と受け取らなければいけない。
これをご覧になっている方で、たまたまコンテストに来場されたという方はいないだろうか?利害も情実もない目での率直な意見を伺いたいところである。

ところで、共演の橋本(G)&タイガー・K(D)であるが、2人ともアマチュアの範囲を逸脱した凄腕のプレイヤーである。
ただ意外なことに彼らはコンテストに出場した経験がほとんどない。
Big-Mより下の世代の彼らはコンテストの経験が乏しいという現実がある。そもそもそういう機会がないのだ。
Big-Mが学生のころは、楽器メーカーやラジオ局などが主催するバンドコンテストというのが結構あったがいまではほとんど見当たらない。
主催する側からしても商業的なメリットがないのであろう。
学生時代にはそういったコンテストに応募してコンテスト荒らしをしてまわるというのがBig-Mの主たる音楽活動であったという自身の音楽体験からするとちょっと昨今の現状はさみしい感じがする。

そういう現状の中で、長年にわたりコンテストを主催してきている山野楽器を始め各社の姿勢と努力はやはり敬服ものである。
不景気なのである。こういうコンテストに参加する機会があると言うだけでも喜ばしいことなのである。
くれぐれも参加賞がしょぼいなどと文句を言ってはいけないのである。(そんなこと誰も言ってないだろうが・・・)



今回の結論

来年度再挑戦するかどうかは今のところ定かではない。
誰か尻を叩いてくださりませいっ!!


P.S
2002年7月27日
Gibson Jazz Guitar Contest2002 の模様は、ジャズライフ誌の02年9月号にも内容の詳細が紹介されています。
興味のある方は、本屋でちゃんとお金を出して買って読んでちょ!

 

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