「アジア太平洋地域におけるジェンダーと平和学に関する研究」共同研究会

フェリス女学院大学

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2004年度第7回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください。

日 時:3月2日(水)午後2時〜4時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:平井 朗(フェリス女学院大学大学院国際交流研究科博士後期課程)
テーマ:「民衆のコミュニケーションにおける『変化』の意味〜フィリピン・西ネグロス州の草の根宗教行事の事例から〜」

 この報告では、フィリピンの西ネグロス州における草の根宗教ネットワークであるBCC(Basic Christian Community=キリスト教基礎共同体)と、民衆の宗教行事「カルバリヨ」の事例を通して、民衆の自力更生と連帯をすすめるコミュニケーションのあり方を考察したい。
 南米から解放の神学と共にBCC活動が伝えられたフィリピンでは、P・フレイレの「意識化」という言葉も広く知られている。民衆の意識化の一つであるカルバリヨは、青年層の自律的運動として始まったが、近年その意味に変化が現れているという。その「変化」の意味は何なのか、そこに意識化の限界があるのか、現実の課題から検討する。

【報告者プロフィール】
フェリス女学院大学大学院国際交流研究科博士後期課程(平和学、脱開発コミュニケーション)
JICA専門家(教育普及広報)、環境教育NGO「ラムサールセンター」専門家(環境教育)

主要論文
1)「ジェンダーと環境」(共著)、郭洋春・戸ア純・横山正樹編『脱「開発」へのサブシステンス論』法律文化社、2004年。
2)「平和学の方法としての『エクスポージャー』〜フィリピン・ネグロス島住民の環境・サブシステンス・自力更生をめぐって〜」、『第8回フィリピン研究会全国フォーラム抄録集』フィリピン研究会、2003年。
3) 「イヴァン・イリッチの脱『開発』の提議を今一度考える」、『グローカル2号』フェリス女学院大学、2002年。

問い合わせ先:
国際交流学部 横山 正樹
peace@ferris.ac.jp

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2004年度第6回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください(無料)。


日 時:1月31日(月)午後1時〜3時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:水野 由美子(名古屋大学大学院助教授)
テーマ:「文化継承のための戦略と課題―ニューメキシコ州プエブロの事例から―」

 この報告では、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のプエブロという先住民社会に即して、発展的な文化継承のためにどのような戦略がとられてきたのかを歴史的に検証し、さらにその現代社会における意義とはなにかを考察していきたい。具体的には、まず1920年代の先住民文化に関する政策論争の事例を取り上げ、当時のプエブロ指導層(各プエブロのガバナーgovernorを中心とした既存の統治機関)の対応を分析し、続いて、現代社会における「知」の継承という点でプエブロがとりうる戦略や彼らが提示する課題について検討する。

【報告者プロフィール】
名古屋大学大学院国際言語文化研究科 専門分野 アメリカ社会史

主要論文
1)「プエブロ−文化継承のための戦略と課題−」『講座世界の先住民族第7巻』(明石書店、近刊予定)。
2)「『変則的存在』から『インディアン市民』へ−1920年代の連邦議会におけるナヴァホ政策論争−」『言語文化論集』第24巻第1号(2004年)。
3)「ヌエボ・メヒコからニューメキシコへ:合衆国による併合とネイティヴ−国家関係の再編過程」
油井大三郎・遠藤泰生編、『浸透するアメリカ・拒否されるアメリカ』(東京大学出版会、2003年7月): 138-156頁。

問い合わせ先:
国際交流学部 横山 正樹

peace@ferris.ac.jp

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2004年度第5回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください。

日 時:12月21日(火)午後6時〜8時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:金井淑子氏(横浜国立大学 教授)
テーマ:「ジェンダー・バックラッシュの構図 男女共同政策とネオリベラリズム」

 グローバリゼーションとネオリベラリズムの関係から、情況は、ジェンダー差別解消ではなくジェンダーの再配置として進行していることを明らかにし、そこからただバックラッシュと批判することではなく、そこにある論理と感情、そうした主張を押し出してきている状況的な背景、さらにその背景にあるイデオロギー的運動的な母体を識別することを試みたい。「この状況」への苛立ち・不安、屈折した心理の投影としての男女共同参画バッシングとして受け止めるならば・・・どのような課題が浮かび上がるのか・・・できるだけ、思想的な構図としての大きな見取り図を立て、リベラリズム対パターナリズム、ネオリベラリズム対ネオコン(新保守主義)といった対立構図のさまざまなよじれ、さらに女性運動内部の対立軸、女・女格差を考えたい。そこから、ジェンダー概念「再考」へ、学術の場面にインパクトをもって浸透しつつあるこの概念の射程を捉え返しつつ、しかしなぜに一般社会の場面でバックラッシユなのかを考えたい。ジェンダー概念から拓かれる新しい社会像を「不安なく異なっていられる社会」として立てるとき、そこで課題化されていることはなにかに論を及ばせたい。
 
【報告者プロフィール】
○専門分野・・・・倫理学、女性学、ジェンダー論、福祉、開発
○現在の研究課題
      倫理学の人間学的基礎づけ (KEYWORD:自己決定、ジェンダー、公正)
      フェミニズムと倫理-倫理学のフロンティア (KEYWORD:フェミニニティ、差異、権利)
      家族のゆくえと新たな親密圏 (KEYWORD:二項対置、身体、主体)
      生殖先端技術と生命、倫理、環境問題をジェンダー軸と世代間倫理の観点から技術・倫理
      ・ジェンダーの交点で、現代社会の文明論的課題を考察する。
○主要著書
      『応用倫理学5 性/愛』岩波書店2004年
      『親密圏のポリティックス』ナカニシヤ出版2003年
      『身体のエシックス/ポリティックス フェミニズムと倫理学の交差』ナカニシヤ出版2002年
      『女性学の挑戦〜家父長制・ジェンダー・身体性へ』明石書店、1997年
      『フェミニズム問題の転換』勁草書房、1992年
      『ポストモダン・フェミニズム−差異と女性−』勁草書房、1989年
      『転機にたつフェミニズム』毎日新聞社、1985年

問い合わせ先:
国際交流学部 横山 正樹
peace@ferris.ac.jp

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2004年度第4回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください。

日 時:10月27日(水)午後6時〜8時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:トレリー・マリグザ氏(全国女性運動ガブリエラ東ネグロス州代表)
テーマ:天の半分を担って〜フィリピン女性たちの経験と展望、その闘いと課題そして希望〜
報 告:ルエル・マリグザ牧師(シリマン大学神学部牧会学科長代行)
テーマ:奴隷の手枷か連帯の結びつきか〜対テロ戦争とグローバリゼーションのフィリピンへの影響〜

【報告者プロフィールと報告のアウトライン】

本学授業「アジアの女性問題」(10/25月5限7203教室=来聴歓迎)ゲスト講師と今回の共同研究会報告者としてフィリピンよりトレリー&ルエル・マリグザご夫妻をお迎えします。当地の女性運動がどのように展開されてきたか、その成果と課題そして国際的背景をも学ぶ貴重な機会となりましょう。
◆トレリー・マリグザ氏はもともと化学技術者。ガブリエラ活動のほか、ネグロス東州家族計画リプロダクティブヘルス政策提言ネットワーク会長兼務。しばしばマスコミで発言、新聞雑誌コラム等執筆。
 聖ルイス大学化学工学科卒・化学技術士国家資格取得、バギオ連合大学財団(BCF)にて教育学修士(数学)、中央ビサヤ工科大学にて科学教育学修士を取得。BCF代数・統計学等講師、シリマン大学文理学部化学科講師、シリマン大学チャノンホール寮監などをへて、現在はことにジェンダーとリプロダクティブヘルス/ライツ問題を中心としたNGO活動分野で活躍中。報告のアウトラインは次のとおり。
 1.       フィリピンにおける女性の状況
 2.       社会の諸問題と女性への影響 (ジェンダー・貧困・暴力/政治/人口と開発/移住者と女性のトラフィッキング・人身売買など)
 3.       挑戦とその成果
◆フィリピン合同教会(UCCP)牧師のルエル・マリグザ氏はシリマン大学神学部で実践神学や教会史を担当するほか、同学部フィールド教育主事を兼務。バギオ大学教育学部卒、アジア神学校修了(神学修士)。早くからフィリピン教会協議会(NCCP)青年部主事等のエキュメニカルな場で活躍し、40代でマニラのフィリピンキリスト教大学副理事長就任など、プロテスタント教会の中堅指導層のひとり。報告のアウトラインは次のとおり。
 1. 対テロ戦争の起源〜9.11をさかのぼって〜
 2. 対テロ戦争の目的とグローバリゼーション
 3. フィリピン社会へのインパクト

問い合わせ先:国際交流学部 横山 正樹 peace@ferris.ac.jp


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2004年度第3回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください。
 なお第4回は10月27日(水)夕刻にフィリピンからのゲスト報告者トレリー・マリグザ氏(女性運動団体"ガブリエラ"ネグロス東州代表)およびその夫であるルエル・マリグサ牧師(シリマン大学神学部教員)を予定しています。後日また詳細をお知らせいたします。

日 時:10月12日(火)午後6時〜8時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:新川健三郎氏(本学文学部及び大学院国際交流研究科教授)

テーマ:アメリカのナショナリズムの特色と現代的な意味合い
〜アメリカのナショナリズムの歴史的背景
 アメリカのナショナリズムと「帝国」の形成
 アメリカ例外主義の二面性
 一国覇権的状況とアメリカニズム
 (2004年大統領選挙をめぐる動向)〜

【報告者プロフィール】

○メリーランド大学大学院・歴史学専攻・PhD.
○現在の研究テーマ
- 第二次大戦後のアメリカの民衆運動
 アフリカ系アメリカ人を初めとするエスニック・マイノリティの運動やフェミニズムその他、1960年代に著しい高揚を示したアメリカの民衆運動の歴史的背景、展開過程、その成果や問題点を吟味し、今日の多文化主義的動きをめぐる状況を検討する。
- 第二次大戦後のアメリカの対外関係
 「冷戦」期のアメリカをめぐる国際関係を考察するとともに、とくに1990年代以降際立ってきたグローバリズム的傾向の下でのアメリカのナショナリズムの動きと対外関係との関連性に着目している。
○主要業績
 「『積極国家』への胎動」本間長世編『現代アメリカの出現』東京大学出版会、1988年
 『現代アメリカ像の再構築』東京大学出版会、1990年(共著)
 『アメリカ現代史』岩波書店、1991年(共著)
 『世界歴史大系 アメリカ史2』山川出版社、1994年(共著)
 「アメリカ女性解放運動のうねり」フェリス女学院大学編『ペンをとる女性たち』翰林書房、2003年

問い合わせ先:国際交流学部 横山 正樹 peace@ferris.ac.jp

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  7/20 フェリス第2回共同研究会(公開)藤岡美恵子報告

「開発とジェンダー関係の変容―アジア先住民族女性の経験から=第2回アジア先住民族女性会議(フィリピン)より」のご案内

 フェリス女学院大学の教員11名によって構成される共同研究「アジア太平洋地域におけるジェンダーと平和学に関する研究」研究会合をこのたび下記のように開催いたしますので、どうぞご参加ください。公開・無料です。学生院生・知人等、周囲の方々にもお声がけいただけましたら幸いです。
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<転送歓迎>

アジア太平洋地域におけるジェンダーと平和学に関する研究

2004年度第2回共同研究会のお知らせ

下記のように共同研究会を開催いたしますので、関心のある方はどなたも当日正午までに peace@ferris.ac.jp へEメールでお申し込みの上、ご参加ください。(公開・参加費無料)

 記

日 時:7月20日(火)午後6時〜8時
会 場:ェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:藤岡美恵子氏
(本学非常勤講師、反差別国際運動<IMADR>プロジェクト・コーディネーター)
テーマ:開発とジェンダー関係の変容―アジア先住民族女性の経験から―

【概要】

 今年3月にフィリピンで行われ、報告者も参加した第2回アジア先住民族女性会議(フィリピン)では、先住民族社会と先住民族女性に対する開発の影響が最大の議題の一つだった。先住民族にとって開発は近代化であり、同時に国民国家への統合過程だ。この過程は先住民族女性の相対的な地位の低下を伴うジェンダー関係の変容を生んだ/生みつつある、というのが会議参加者の共通理解であった。また、先住民族の共同体が維持してきた慣習(法)とジェンダー関係をどう考えるかについて、女性たち自身による活発かつ刺激的な討論が行われた。
 この会議での議論を手がかりとしながら、開発=近代化=国民国家への統合によってジェンダー関係はどのような変容をこうむってきたのか、それはサブシステンス(『脱「開発」へのサブシステンス論―環境を平和学する!2』を参照)とどう関係しているのかを考えたい。報告および討論の中では第1回研究会(6月30日)で提出された論点の一部にも応答する形になる。

<参考文献>
郭洋春・戸崎純・横山正樹編『脱「開発」へのサブシステンス論―環境を平和学する!2』(法律文化社、2004年)=横山研究室にて割引販売中
藤岡美恵子「脱植民地化と先住民族」『インパクション』第140号(2004年3月)

【報告者プロフィール】
 1988年より2002年1月まで国際人権団体、反差別国際運動(IMADR) http://www.imadr.org/ の専従事務局を務め、マイノリティや先住民族の権利、マイノリティ女性への差別の問題にとりくむ。1998年、同団体のグァテマラ先住民族のエンパワメントプロジェクトを立ち上げ、現在もプロジェクトコーディネータを務める。中でもとくに、先住民族の自決権と先住民族女性への複合的な差別の問題に関心をもつ。主な関心・研究分野は、先住民族の権利、複合差別、マイノリティをめぐる紛争、NGO論。
 出身大学は東京外国語大学、大学院は米国ジョージメイソン大学 George Mason University 紛争分析解決研究所 Institute for Conflict Analysis and Resolution (修士課程)。
 2004年度前後期、フェリス女学院大学での担当科目は「他者との共生:For Others (現代日本の外交とアジアA・B)」(毎週火曜の4限目)。

申し込み・問い合わせ先: フェリス女学院大学 国際交流学部 横山正樹 peace@ferris.ac.jp


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 6月20日付で出版されたばかりの『脱「開発」へのサブシステンス論―環境を平和学する!2―』の批判的検討について、PP研などで活躍されてきた榊原裕美さんが下記のように報告してくださることになりました。どなたも参加歓迎です。お楽しみに。

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  6/30 フェリス共同研究会・榊原裕美「『脱「開発」へのサブシステンス論』の批判的検討」

 フェリス教員たちによる研究活動のひとつとして「アジア太平洋地域におけるジェンダーと平和学に関する研究」という共同研究があり、今年4年目を迎えました。今年度第1回研究会を下記のように予定しました。公開ですので、よろしければぜひご参加ください。

 『脱「開発」へのサブシステンス論』は、先日なくなったイバン・イリッチの所論にかなり依拠・再評価して用いてきたサブシステンス論グループによる共著書です。これに、イリッチのジェンダー論を厳しく批判してきた論者・榊原裕美氏が辛口の検討を加えます。ご注目ください。
 学生・院生・社会人を問わずお知り合いの方にも参加を呼びかけていただけましたら幸いです。
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<転送・配布歓迎!>
              「アジア太平洋地域におけるジェンダーと平和学に関する研究」
                     2004年度第1回共同研究会のお知らせ

 下記のように共同研究会・講演会を開催いたしますので、関心のある方はどなたでもご参加ください。

                                    記

日 時:6月30日(水)午後5時〜7時
会 場:フェリス女学院大学緑園キャンパス7号館3階第1小会議室
報 告:榊原裕美氏
テーマ:『脱「開発」へのサブシステンス論―環境を平和学する!2』*をめぐる批判的検討
     (*郭洋春・戸ア純・横山正樹編、法律文化社、2004年6月刊。横山研究室でもお求めになれます)

【報告者プロフィール】
横浜国立大学国際社会科学研究科博士課程後期在学中
研究テーマ: グローバル化への対抗として、ジェンダー批判の視点で見たワーカーズ・コレクティブの運動
業績: 「"ワーキングマザー"という戦略」(『働く/働かない/フェニズム』小倉利丸ほか編 青弓社 1992年)
     「フェミニズム・家族・協同組合」(『アソシエーション革命へ』田畑稔他編 所収 社会評論社 2003年)
     修士論文「生活クラブ生協運動の実践と展望―ワーカーズコレクティブの試みの20年後の検証」
活動歴:子持ち労働者として生協に勤務しながら、労働運動、女性運動(パート問題)、環境運動(森林など)
      に取り組む。退職後ピープルズ・プラン研究所コーディネーターをしつつATTAC-Japan設立に関わる。
      現在はAPWSL(アジア太平洋労働者連帯会議)や、働く女性の人権センター「いこ☆る」で活動。

問い合わせ先: フェリス女学院大学国際交流学部 横山正樹 peace@ferris.ac.jp