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はい ここまで詳しい解説は
ことわざ事典には載ってないだろうね
それにしても ものすごい省略表現ですこと
字面だけ見ていたら
なにかが突然‘豹’のように強暴なものに‘変’わってしまう
――という意味に取りたくもなる たしかに
こういう省略表現は
文書記録に長けた民族の得意技だが
とくに中国人がこの分野の世界チャンピオンなのは間違いない
なぜ こんなに省略しちゃうのか?
古代中国人ならこんな風にいうだろうか・・・
「書くべきことはあまりに多く 紙面は少ない」
時代を遡れば遡るほど
なにかを筆記し記録することに要する費用がかさんでゆく
それが主な原因である {補遺}
中国人が最終的に実用に足る“紙”を発明しちゃったのも
もともとは この問題を解決するためだった
しかしまあ 想像してもみたまえ
「君子豹変 小人革面」の たった8文字から
文字が読める者はかなりの確率で
著者の(あれだけ複雑な)意図が把握できる・・・?
――恐ろしいほどの文化水準だわ
なるほど 孔子の時代(BC500ごろ)すでに
『易経』時代の中国人に対して
信仰にも近い畏怖を感じていた感覚が
わからないでもない
IT関連技術が進歩するにつれ
単位bitあたりの記述に要する費用が
飛躍的に安くなってきている
低価格の普及用PCに
100GB超ものハードディスクが標準で装備され
WWW上の無料サイト・スペースだって
容量無制限のところが珍しくなくなってきた
『易経』の時代と比較すれば
現代の“紙価”など事実上 無限小のようなものだ
もはや“紙面”はいくらでもある
しかし書くべきことのほうは・・・
ところで
おとなしめ だったおんなのこが
休み明けに 突如として全身豹ガラで現れたりしたときに
“豹変”とはいわんのか?
いつもは君子然としているひとが
なにかのきっかけで“豹変”して凶悪化する
(世間一般で使う 君子豹変)
・・・なんて情景より
いきなり豹ガラになっちゃうほうが
個人的には
よっぽど“豹変”って感じがするなあ
{補遺} ピリ・レイスの地図
いわゆる“Oパーツ”の例として
オスマン帝国の海軍提督ピリ・レイスが遺した世界地図に
(レイスは提督の意 正しくはピリ・イブン・ハジ・ハンメド)
彼が絶対に知っているはずのない南極大陸の地形が描かれている
――そんな話を聞いたことがあるかた いらっしゃいません?
ピリがこの『既知世界全図』を作ろうとした当時(16世紀初頭)
オスマン領内では まだ保存に適した紙の入手が困難だった
そこでピリも より伝統的な羊皮紙を使っている
そして羊皮紙は
退役した提督という立場の者にはたいへん高価な筆記媒体であり
新品ではなくて
一度以上使った後に表面を削った再生品を選んだようなのだ
(選択の際に形よりサイズを優先したわけだ)
南米東海岸の地形を左辺に描こうとしたとき
左下隅部分の羊皮が斜めに欠落していることから
南米大陸を羊皮紙の形に合わせて
東に大きく屈折させてしまった
当時の航海術で重要なのはあくまで“海岸線の形”であって
地勢の正確な描写ではなかった
その観点で問題の地図を見ると
東に折れ曲がることで方位はズレてしまっているが
海岸線や河川の位置は
正しく描写されていることに気がつくことだろう
この地図で(南米大陸から切り離された形で)
南東に広がっているように見える陸地
それは南極大陸の一部などではなくて
マゼラン海峡ごしの『フェーゴ島』にすぎないのである
筆記媒体が非常に高価であったことを知らない人間にとって
紙の形に合わせて地図の形を歪めてしまうなどというのは
想像もできないことだろう
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