長いお別れ





列車はスリランカ・ジャングルに停留中。

事故後はや1時間、諦めてレールの上を(たぶん)駅がある(のであろう)方角を目指し、
歩き始めた人達もいる。
確か直近の駅を通り過ぎてから優に10分は走ったと思うのだけれど。
とにかく歩いている。灼熱の太陽の下を。
僕は眺めている。煙草をくゆらせながら。そんな人々の群れがうっすらと遠くなっていくのを。





「おーいラシク、これどうなんの?」

「心配するな。今エンジニアが来たから。
 セパレートするって。セパレート。」

2名の「エンジニア」が到着。
携帯片手に車両の連結部をゴソゴソやっている。





んなもん、こんなにグンニャリと曲がった車両が人力でセパレートできるわけねえだろバカ。

そんな僕のツッコミをよそに。。。。

あっさり列車はセパレートしちまうのだから、もぅ何だかわけがわからないのだった。

とにかく列車はガタン、ゴトン、とまた動き出し、
そして僕とラシクは肩を叩き合いながら走り出す列車に飛び乗った。


相変わらずのんびりと進む列車。
運転手も脱線事故に参ったのか、
さらにゆっくり、恐る恐る進んでいるようにも思える。

僕らの目指すボロンナルワが近くなり、いつしか夕焼け。

最後の分岐点で車両はとうとう2両編成となった。

コロンボでは10両近くの列車に人々が群がっていた。
今や2両編成の列車に数十人が乗っているだけだ。
なんだか、やけにさびしい。

「私たちもラシクについていってボランティアしよっか。」
カノジョがつぶやく。

そうは行かない。
ボランティアするには4日間の旅程は余りにも短いし、
LTTEの支配地域に行くリスクは取れない。

1000ルピーをラシクに差し出し、
「これをツナミのために使ってくれ。」

そういうと、
「わかった。」
そう言ってアイルランド人を指差した。

正式なボランティアたる彼に渡してくれ。

そういうことらしい。
ちくしょーカッコいいことしやがって。

ボロンナルワは夕闇。

ホームに降り立ち、ラシクと握手した。

正直、旅ズレしちまっている僕は、
今更これしきのことで泣いたりしない(できない)が、
隣のカノジョはやっぱり涙ウルウル。

、と見ると、目の前のラシクも涙ウルウル。

おまえなんでやねん。。

離れ行く車窓から、律儀にず〜っと手を振り続けるラシクがいた。

サーフィンがもっと上手くなったら。
ラシクと一緒にスリランカの波に乗りたい。

列車に飛び乗るのでなく、波に飛び乗り、
も一度笑って肩を叩き合うことができるのなら。



05.11.29


NEXT

旅エッセイの目次へ

HOME