自然の住人 その3

僕は自分の事を雨男だと思ったことは無い。
が、当時の僕は雨にこよなく愛されていたようだ。
雨の寵愛をその一身に受ける男。
それが僕だった。


んで、その彼の寵愛は福島において、そのピークを迎えた。
会津若松まで120キロ。
凄まじい雨。
ツーリング史上最高の雨。


車みえてましぇん。

ホームセンターの軒先で雨宿り。
両足にビニール袋を巻き、
顔に手ぬぐいを巻きつけ、
再び出発する。

叩きつける雨。
路面は見る見るうちに流れる河と変わり、
追い越す車の巻き上げる水飛沫が僕の体を直撃していく。

”タイの水掛祭りって、きっとこんな感じなんだろうなぁ。”
なんてぼんやり考える。
考えながら、僕も負けじと水を掻け返す。


そして、なんか、妙に楽しくなっていた。
叩きつける雨も、
凍えるような体の寒さも、
僕の体を直撃していく水飛沫も、
全てが楽しかった。

都会に忌み嫌われ、自然の寵愛をこの身一身に浴びている自分という人間の存在が、
たまらなく嬉しく、そして愛しかった。
叩きつける雨の中で、なぜか、あはは。と笑っていた。


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