地図に無い村で。 その3

自慢のバイクで来ていたサイと合流。
三人で村への一本道をドコドコ下っていった。

ジャングルのような木々の中、
立ち並ぶ高床式倉庫のような家々。

うへぇー。おりゃあとんでもないところに来たなあ。。。

平原で悠然と草を食むバッファローの群れを見ながら呆気に取られていた。



まずはひとしきり村を案内してもらう。
挨拶に行った村の長老はモンのおじいちゃん。
薄々は気づいてはいたが、どうやらサイとモンは村の実力者の子供らしい。

モンの家でもち米(おひつに入っているのを手でこねて食べるのだ)
とバッファロー肉のご飯をご馳走になり、

「よし潮見、風呂行こうぜ風呂!!。」

言われるがままにサイと二人、早めの風呂に入った。


風呂と言っても川のソバの掘建て小屋。
溜めてある川の泥水をぶっかけて洗う。
モンと二人、はしゃぎながら泥水をかけあった。

はしゃぎながらも、

うひゃあー。とんでもないことしてるよなあ。。。

まんまウルルン滞在記の一場面のようなその情景の中、
ぼんやりそんなことを思った。


モンの家に戻ると、
改まってモンが切り出してくる。

「潮見、お願いがあるんだ。 
 キミのカメラで僕の家族の記念写真を撮ってくれないか。」

造作も無い事だった。
タイで買った写るんですを取り出し、
正装したモンのおばあちゃんをパチリと撮った。

これまた正装したモンと彼のお母さんが並ぶ写真を撮りながら、
カメラも無い、どこに有るのかもわからない村の高床式倉庫の上、
写るんですのシャッターをパチパチと切っている自分の今の境遇がとても不可思議に思えた。



「パーティ」の時間は迫っていた。
村の中にアメリカの親類のもとに移住する一家がおり、
その一家の送迎パーティなのだ。
拙い英語でモンから、なんとかそれだけのことを聞き出した。

モンがまたまた改まって僕に言う。

「潮見、キミはジーパンとTシャツ以外持ってこなかったのか?
 それと、申し訳無いがそのヒゲをどうにかするべきだ。」

途惑う僕に有無も無く差し出されたモンのワイシャツとスラックス。

そのまま連行され、着いた先は村の床屋。

衆人環視の下、庭先にぽつんと置かれた椅子の上。
床屋の兄ちゃんは僕の顔を綺麗に剃り上げていき、
カンボジアから帰還後、カオサンでひょっこり遭遇した大学の友人をして
「潮見ドロンズみたいになっとるがな。」と言わしめた我が旅の勲章は、
かくしてラオスの草原の露と消えたのだった。


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