あとがき

さて、あとがきである。

別に旅エッセイの中で特別に何かを書き残した!、だとか、
どうしても最後にこれだけは言っておきたい!、だとか、
そんなことがあるわけではなく、

敢えて言っちまうならば、これはご褒美である。
まがりなりにも、例え数年かかろうとも、
綴られた言葉がどれだけ稚拙なそれであろうとも、
一つの旅の最初から最後までをなんとか書ききった
自分に対するご褒美。

そう。あとがき、ってやつを人生一度は書いてみたかったのだ。

ガキの頃にしこしこ書いてたゲームブックから始まり、
徒然エッセイの数々のシリーズ系にいたるまで
今までイッコたりとも、
長編の文章を書ききったことがなかった自分に対する、ご褒美。


しかし、まあ、ほんまに長かった。
日本縦断をしたのが2000年の8月30日〜9月25日。
HPを立ち上げ、日本縦断エッセイを書き出したのが2000年の年末。
途中で15ヶ月の中断期間なんぞも挟みながら
最終話を書き上げたのが2004年の3月4日。
・・・丸3年。

いまや、
この縦断エッセイを第1話からリアルタイムで読んでいるお客さんは間違い無くゼロだろう。
と確信を持って言いきれちまう今日この頃てなもんである。

しかしこの縦断エッセイは難しかった。
これは今までの追記やなんかで散々言っていることなのだけれども、
結局、日本の旅ってのは、
海外の旅と比べると、どうしても
とんでもないハプニングとか、常人の想像を超える事態だとか、
そういうことが起こりにくい、いや実際に起こらないわけであって、
結局は日々の日常に近いような事実を淡々と書くしかないわけであって。

あるいは自然への畏敬、だとか感動だとか、旅中の我が心の心象風景だとか、
そういった極めて漠然とした曖昧な事項をなんとかこねくり回して
起伏の有る文章に仕上げるしかないわけであって。

例えば、海外で起こったトンでもない事態を
エッセイに仕上げるのは簡単だ。
ものすごい食材(ネタ)があって、それを目の前でぐつぐつ煮立っている鍋に
ほいほいぶちこんでいけば良いだけのハナシだから、
これほど簡単な事は無い。
(例えば「タイタニックとカンボジアの雨」だとかね。
 あれなんか3時間くらいで一気に書ききった。校正すらほとんどしてない。)

何にも考えずに思いにまかせて文章を紡いでいけば
それなりの文章(当社比)にはなる。

それに比べ、心象風景だとか、自然への静かな感動、だとか、
そういう食材をちまちま料理する苦労といったら。

だから、何度も書きなおした。
ことさら、旅エッセイにはヘンな気負いがあって、
良い文章を書きたいという想いがあるからなおさら。

書きあがった文章に何回も校正をかけてた。
「自然の住人」だとか「今ソコにある自由」だとか、
自然をモチーフにしたエッセイなんてのは特に、
「自然」という極めて視覚的なモノとそれによって生じた心象風景を
如何に文章にするかなんていう大それた考えの下、
ひたすら文章を粘土のようにこねくりまわしてた覚えがある。
いやあマジしんどかった。

それと、もう一つの問題は言うまでも無くその月日の経過。
当時の僕はハタチそこそこの学生。
今の僕は20代後半のサラリーマン。
そりゃ当時と、旅に対するスタンスはおろか、人生に対するスタンスさえ違うわなあ。
最終話に転載した当時の日記なんて、書き写していてちょいと恥かしかった。

で、当時の想いを思い出しながら主観的に書くのか、
今の自分として、過去の自分を客観視しながら書くのか、
そういうことでもちょいと迷ったりもして。

しかも、昔の日記だとか、アルバムだとか、地図だとか、
そういうのを引っ張り出してあのときの想いだとか感動だとか、
思い出して書くのは結構な作業だった。

、っつーところで、
泣き言繰言は終わり。
次からはいよいよ上海〜バラナシ旅行に移ります。
あの旅行からも、はや2年。
当時の想いや感動を忘れてく自分に焦り苛立つ今日この頃ですが、
縦断旅行以上のネタがてんこもりなはずなんで
良かったら読んでやってくださいませ。

そんで読んだついでに感想メールなんてくれるとさらに嬉しい。
HP作ってる方なら良くわかると思いますが、
そういうのって、ほんとにめちゃくちゃ嬉しいんですよ。
なんといっても更新のエネルギーはメールだねメール。
、なーんて厭らしい文章を最後に付け加えつつ。

上手い文章を書きたい。ええ文章を書きたい。
その想いに技術がついていっていないのは重々承知。
これからもぼちぼち頑張ります。
さあ明日はスノボだ。


旅の最後にバイク焼け

P.S.
ところで最近読んだあとがきでは
高田延彦の本(金子達仁作)のあとがきが秀逸だった。
それに触発されてこのあとがきを書いたという事実があるのだけれども、
まあそれはどうでもよいハナシである。



04.03.18


旅エッセイの目次へ

HOME