独身男性もしくは女性に捧げる情景 その1

秋の土曜の夕暮れ。

陽光は急激にその力を失ってゆき、

そして夜の帳が落ちてゆくと共に、冷えた外気がこの部屋にも忍び込んでくる。


寒い。


ベッドの上でむっくりと起き上がる。

コンポからは多分15時間ばかし歌いっぱなしなのであろうハイスタンダード。

やれやれ。こいつらも元気なもんだ。
彼らの歌う、愛や勇気や夢や希望が、今はたまらなく、鬱陶しい。

寝ぼけた眼で携帯の着信をチェックする。

迷惑メールが3件と、友達からのとるにたらないメールが2件。


・・・・腹が減った。

しかし何もない冷蔵庫。いや覗かなくてもわかる。

とりあえず煙草に火をつける。

・・・・せきこむ。


そして僕はぼんやりと眺めている。

波が良かったら朝から海へ行くつもりで、
昨晩用意しておいた波乗り道具を。

波が無かったら朝から掃除をするつもりで、
昨晩ほったらかしにしておいたこの部屋の惨状を。


いつしか完全に太陽は沈み、
街路灯の灯りだけが差し込む、この6畳半のちっぽけな部屋で、
僕はただ漫然と、煙草を吸っている。

そしてこんなとき僕は想うのだ。



うーん。死んだほうがええんちゃうかな。俺。


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