24歳からの自動車免許。 第2話

、てなわけで、前回、自分のおかれている状況のヤバさに気づき、
いそいそと教習所に通い始めた潮見24歳オスは、
教習の第一歩として、適性検査なるものを受けされられるハメになったのだった。

指定された教室に向かい、
なんの躊躇もなく一番後の机に腰を下ろした(やる気ねーなーおい)潮見は、横に座っている人物を見て思わずビビる。
パンチパーマ、サングラス、金のネックレス。
・・・・・・3拍子揃っている。
・・・・・・あきらかにアッチ系のお方である。
・・・・・・あきらかに免取りくらっただろうあんた系のお方である。
と、ビビっている暇もなく、教室のチャイムはなり、そして適性検査は始まったのだった。


・・・・適性検査・・・・・・
実に懐かしい響きである。

思い返せば5年前、バイクの免許を取る際にも、そんな名前の検査を受けた覚えがあるし、
就活時にも受けた先々の会社で、
心理テストだの適性検査だの、そんな名前がついたテストをこれでもかというくらいにやらされた覚えがある。

が、哀しくも潮見ははや24歳なのである。
少年の心をどこかに置いてきてしまった計算高い大人になってしまったのである。

10代の頃のように、
隣の奴には絶対負けん!!!(何を?)
この教室で一番の得点をわしが叩き出してやる!!(得点あんのか?)
、みたいな気合は微塵もなく、
かといって就活の時とは違い、結果が良かれ悪かれ、それがどーなるわけでもないテストを
まじめに受けようなんていう気は始めからさらさらないのであった。

そんな事を思いつつ、隣のお人を見ると、
案の定、このお方も明らかにやる気がないのであった。

小学生が座るような机に凄まじく偉そうにお座りになり、
さっきから、
「はぁ」だの
「ちっ」だの
「あーあ」だの、
どう考えてもやる気が有る人は絶対に吐かないであろう吐息をお漏らしになっておられるのだった。

そして、そんな彼を横目で確認した潮見は彼にめちゃくちゃ共感を覚え、
彼と一緒に机にめちゃくちゃ偉そうに座りながら、
「はぁ」だの
「ちっ」だの
「あーあ」だの、
どう考えても前で一生懸命テストの説明をしている教官は絶対に気分が悪いだろなという吐息を漏らし続け、
教室の前の方でまじめに問題に取り組んでいるうら若き少年少女たちに、
なんとも感じの悪いプレッシャーを与え続けるのであった。


そもそも問題がクソなのである。
例え吐きたくなくても思わず吐息を吐かざるを得ないような、実にウンコちゃんな問題なのである。



<問題13>

「A」という字を制限時間が終わるまで延々と書き続けなさい。



俺はよっぽどバッグからノートパソコンを取り出してAキーを連打してやろうかと思ったのである。

蝿が手に止まるような速度でAの字を書きつづけ、
10個ほど書いたところで制限時間の1分終了。


しかし、なんといっても一番吐息が漏れたのは問題20なのだった。



<問題20>

あなたは見通しも良く、通行量も少なく、取り締まりも行われていない道路を走っています。
どうしますか?

@制限速度を超えて走ってしまう。
A制限速度を守って走る。



・・・・・・・・アホかと言いたい。
つか、この問題でAにマルをつける奴がいたのなら、
俺はそいつの頭を思いっきりグーで殴ってやりたいと思うのだった。
躊躇なく@にマルをつける。

そんなこんなで
「はぁ」だの
「ちっ」だの
「あーあ」だの、
ぶつぶつ言ってる間にいつしか検査は終了し、
そして後日結果を受け取った潮見は、その結果に驚愕する事になるのだった。

以下次号。




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