24歳からの自動車免許。 第1話

我がドラスタ君が天に召されて夜空のお星サマになってから、はや数ヶ月。
最近はもっぱらチャリ通学の潮見なのであるが、
MTBに颯爽とまたがる度に、
自転車とバンソンの革ジャンのあまりの相性の悪さに愕然とし、
革ジャンと背中にしょったバックパック(←MTBでサイドバックははきついのだ)の
ひどすぎるミスマッチに慄然とする日々が続いているのであった。

そんなわけで、
確かにチャリ通学は健康にすこぶる良いのだけれども、
ガス代もかからないから経済的なのだけれども、

我がチャリンコをすいすいと追いぬいていくバイカー達を見る度に、
ああ、やっぱり俺はバイクに乗りたい。
と切実に感じる潮見なのであった。

深夜鈍行の掲示板で、さばみそ掲示板で、SAWADEE BIKEの掲示板で、good tripの掲示板で、風聞誌の掲示板で、
楽しそうにわいわいがやがやと繰り返されるバイク談義を傍目で見るたびに、
ああ、やっぱり俺はバイクに乗りたい。
と真摯に願う潮見なのであった。

つか、それらの掲示板談義に、いけしゃぁしゃぁとあたかもバイカーのふりをしてしっかりと加わっている自分は
いったい何者やねん。
つか、その前に
バイクを持っていない男がバイクのコンテンツを有するHPを運営していてええもんなんかいな。と、
自分のHPの存在の正当性にまで想いをめぐらしてしまう潮見なのであった。


俺はやはりバイクに乗りたい。

しかも次は大型だ。ドゥカだハーレーだビューエルだ。
やっぱりバイクは大型に限るのだ。

そう思い、自動車学校のパンフレットをかたっぱしから集めてきて、
大型免許の値段をじっくりと比べっこしている潮見の脳裏にかすかな違和感がかすめるのだった。


「・・・・・・・・なんか、違う気がする・・・・・・・・」


なんだ。この違和感の原因はいったいなんだ。
いったい何がひっかかっているんだ俺は。

さかんに首をひねり、もう一度じっくりとパンフレットを眺めなおす。

と、潮見の目に飛び込んでくる「普通車免許」の文字。
潮見24歳オスの目に飛び込んでくる「普通車免許」の文字。






あ、そういえば俺、くるま乗れないんじゃん。





就職を数ヶ月後に控えた24歳のオスが車に乗れない。

ひょっとしたらひょっとしてこれは凄まじくマズイことではないのか。
つか、俺、就活時に、


所持免許:

普通自動二輪免許 

以上


と堂々と書いていたのだけれど、
面接官達はそろいもそろってなにも気づかなかったのか。
まさかこの現代日本に24歳にもなって車に乗れない男がいるなんて夢想だにしなかったのか。
それともひょっとしたらそれは、車に乗れなくても社会人としてなんの問題もなくやっていくことができるんだよということなのか。
移動は全てタクシーを使って良いよ。タクシー券あげるからさというありがたい意思表示なのか。





・・・・・いや絶対違うと思う。



・・・・・・・マズイ。これは非常にマズイ。


@車に乗れない男は現場に行けない。
A車に乗れない男は配送も出来ない。
B車に乗れない男は営業も出来ない。
C車に乗れない男は家族サービスも出来ない。
D車に乗れない男は千葉にサーフィンにも行けない。
E車に乗れない男はカーセックスも出来ない。

5番目と6番目はまぁともかくとして、マズイのだ。非常にマズイのだ。

今更ながらそのマズさに気づいた潮見は
電話口で土下座でもせんばかりの勢いで親に泣きつき、ようやく借りることが出来た25万円を片手に、
いそいそと教習所に向かうのだった。

てなわけで、鈍行日記「24歳からの自動車免許」シリーズ堂々のスタートなのである。

あー、前置きなげーな。


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