マイナスを0に。

どうも最近、実に淡々と、1週間が過ぎていくような気がする。
平日も、週末も、実に淡々と過ぎ行く毎日。
はぁ。いやだいやだ。

んで、タバコなんぞぷかーっとふかしながら日曜の夜。
右手でマウスをくりんくりんしながらネットサーフィンなんぞ洒落こんでいたならば、

ふと左足に感じる感触。
カーペットからもぞもぞとマイ左足中指に生物が登ってくる感覚。もぞもぞと。

あ、くそ、妙にこそばゆいじゃねーか。
こちょこちょしやがって。
いったいなんなんだコイツは。蟻んこかやぶ蚊かだんご虫か。
なーんてブツブツとひとりごちて
ひょいっと視線の高さまで上げた左足に。



ゴキブリついてました。



思わずしごく冷静に。
パチコーンと右手人差し指で思いっきり弾き飛ばして、
日曜の漆黒の雨空に消えて見えなくなっちまったゴキブリのその漆黒が、
しっかりと脳裏に焼き付いちまって
「まいったなあ勘弁してくれよ」
と、
ぶつぶつひとりごちている潮見がここには居るわけですが。


しかしまあ驚愕すべき事態である。

何が驚愕すべきかって、
なんといってもこの部屋には風呂が無い。
キッチンが無い。

彼が存在する所以が全く無いこの部屋に、
なぜか彼が居ちまったというその事実から、
潮見の部屋の汚さ推して知るべきか。と。


いやまあホントにキタナイのである。
多分、潮見の一人暮し歴7年と少しの中で、一番キタナイくらいキタナイであろうという自信は、ある。
えっへん。


キタナイ所以は実にシンプル。
この部屋には誰も呼ばないから。
この部屋は寮の一室で、女のコの連れこみも禁止だから。

たぶん、
一人暮しの人間には3タイプの人間がいて、

@自らの生理的に、常に部屋を綺麗にしておかないとイヤな人

と、

A部屋が汚くても全然オッケーだけど、知り合いが来る時は見栄を張って綺麗にしたい人

と、

B部屋が汚くても、そのキタナイ部屋を知り合いに見られても全然オッケーな人

がいるわけで、

そんでもって俺は多分Aなんだろうなあ。

すなわち、自分の部屋が汚くても生理的に全然オッケーな人。


えーーー。潮見君ふけつー。ちかよりたくなーい。

なんて、我が深夜鈍行の数少ない女性読者は一斉にマユをひそめそうだけれど、

いやまあ、男なんてほとんどみんなそんなもんだよ。

だいたいバックパッカーなんてみんなそんなヤツばっかだよ。

なんて言うと、おまえと一緒にすんなぼけ!!なんていう罵詈雑言が一斉に飛んできそうだけど、

でもそうだよね。
そうじゃなかったら、
ドミなんて泊まれないよね。
中国のトイレなんて使えないよね。
屋台の蝿がうじゃうじゃ付いてるご飯なんて食べれないよね。


閑話休題。



うだうだ言ってても、
あれこれ言い訳書いてても、
潮見家にゴキブリが居る、というその事実は消えようも無いわけで、
しょうがないから、
モニターの前を二時間ばかりおいとまして、
ぐあーっと片づけをしていた。

見る見るうちにキレイ(マトモ)になってゆく我が部屋を見ながら、
またぼんやり考えた。

部屋を掃除する、っていう行為は
マイナスを0にする行為であって、
そしてそう言う行為を行う事に俺は、
なんの快感も気持ち良さも爽快感も覚えないわけであって、
それが俺が掃除をしないもう一つの理由じゃないかなあ。なんて。

考えたわけですよ。


つまりこういうことだ。


マイナスを0にする行為 0をプラスにする行為
タオルや下着の洗濯をする事。 ジーパンやスウェットの洗濯をする事。(色落ちが愉しめるから)
取れちまったシャツのボタンをつける事。 新しいシャツをオーダーする事。
お風呂に入ってからだの汗を流し去る事 新しい洗顔剤や整髪剤を試す事。
バイクの洗車をする事。 バイクのマフラーをつけかえる事。
たるんじまった二段腹を腹筋で解消させる事。 細い二の腕を腕立て伏せで増大させる事。
彼女のメールに返信する事。 新しい女のコにメールをする事。
部屋の掃除をする事。 部屋にイージーライダーのポスターを飾る事。


こうやって表にしてみるとさ、
クリエイティブな行為(0をプラスにする行為)が好きで、
メンテナンス(マイナスを0にする行為)がキライなんだなあ俺は。
なんて、しみじみと考えたりもして。

そんな事を言うと、
「世の中クリエイティブな事が好きなヤツばっかだろ!」
なんて言われそうだけれど、
ところがどっこい、
実はメンテナンスな事を好きな人も世の中には結構いるのではないか、
なんて僕は想像するわけです。

あるいは程度問題に言い換えても良いのかもしれないけど、
マイナスを0にする行為、私はそんなに嫌いじゃあないよん。
なんて言う方が実はコの世の中にけっこう居るんじゃあないか、
なんて想像するわけです。



ゴキブリ一匹から導き出される人生の生き様よ。
日常は実に深い。

なんてね。



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