水晶時計のススメ

1995/12/13作成
近年機械式時計の人気が復活していて、 アンティークウオッチが注目を浴びたり、 機械式時計のニューモデルが登場しているという。 「Begin」や「Mono Magazine」のような、 男性向け物欲雑誌でも年中特集している。

注意:そんな話は知らんという人は、この先お読み頂く必要ありません。

しかし、ちょっと待って欲しい。 機械式時計が水晶時計に取って替わられたのには それなりの理由がある。 水晶の腕時計しかしたことがなく 機械式に気持ちが引かれている人なら、 以下の注意事項を納得した上で決めて欲しい。 '94年9月にはスイス時計産業の中心地ラ・ショー・ド・フォンの 時計博物館を訪れて機械式時計を研究した志田の 結論である。

1. どんどん狂う!

初めて機械式腕時計を買った人が、 一日20秒狂うので故障ではないかと 文句を いった そうだ。 機械式腕時計とはそういうものだ。 水晶腕時計より2桁は精度が悪い。 知り合いのあるお嬢様は ROLEX OYSTER DATEJUST (推定30万円)をしているが、 僕が見せてもらった時はしっかり五分狂っていた。 オイスターはネジコミ竜頭だから合わせる手間が 普通より掛かるのだろう。 もし、分単位まで合わせたいなら、 最底2、3日ごとに合わせ直さなくては。 精度を良くする工夫として、 トゥールビヨン機構があるが、 それを装備した時計のびっくりするような値段と 精度向上を秤に掛けたらとても割に合わない。

2. オーバーホール!

水晶時計は電池がなくなったら止まるが、 機械式は使っている限り永久に動き続けるというのは嘘だ。 どんな時計でも数年に一度はオーバーホールを 要求するからその期間は稼働停止せざるを得ない。 水晶時計の方がメカニズムの比重が低い分、 むしろサービスの要求は低い。

3. 防水が効かない!

機械式時計は孫子の代まで使えるというけれど、 20年も経てば 防水は とれて しまう。 防水がとれた状態など想像できないかも知れないが、 ちょっと雨が降ると風防ガラスの内側から曇ってくるのだ。 機械にも良いわけがない。 防水無しの腕時計たるや実用性はほとんど無いといっていい。 メーカに部品が残っていて、 オーバホールで防水も調べてくれるうちは良い。 並のメーカでは、10年かそこらのうちにメーカサービスは終了し、 街の時計修理屋さんに頼むことになるが、 修理屋さんは防水まではやってくれない。 アンティックウオッチのほとんどはこれである。 古いものはそもそも防水仕様でないし、 防水仕様でも防水はあきらめて下さいといわれる。

4. 風防が瑕つく!

最近の時計は硬いサファイアガラスか、 安いものでも鉱物ガラスを使っているから、 風防は瑕つき難い。 割れでもしない限り、交換の必要はない。 しかし、昔はそういういいものがなかったので、 アンティクウオッチの多くはアクリルの風防を使っている。 もっと古いものは普通ガラスかも知れない。 アクリルは極めて瑕つきやすく、 極論すればポケットに手を出し入れしただけでも細かい瑕が付くし、 金属に当てたりしたら一発で引っかき瑕がついてしまう。 志田はアクリル製風防をもつセイコーの鉄道時計(クオーツ)を 所有しているが、平均して2年に1度風防を交換している。 これも、アンティクウオッチが実用性において決定的に 劣る部分である。 しかもアンティクウオッチでは合う風防が手に入らないので、 磨いてもらうか、 高いお金を払って特注でつくってもらうことになる。

まとめ

腕時計は一生ものなどというのは幻想であり、 煽り文句に過ぎない。 志田の意見では実用的には20年がいいところ、 そして、20年なら水晶時計でも十分達成できる。 志田のセイコーのクオーツ鉄道時計はついに今年満二十年を 達成した。 作りの良い時計はいいものだけれども、 機械式に拘る必要はないと思うのだ。

でも、まあ、Patek Phillipのカラトラバ(黒針、スモールセコンド付き) なら、欲しいかな、、、


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