シェーバ趣味宣言

1999年12月15日版


シェーバとは電気ひげそり器のことである。 シェーバーと書かれることが多い。

メカ好きな男性は多い。 志田も鉄道、カメラ、オーディオ、自動車など一通り見渡してみたが、 これらは既に研究が進んでいて独自の境地に達するのが難しい。 Leica のコレクションなど、 金が掛かる割りにオリジナリティ零である。 アナログ FM チューナのコレクションを思いついたこともあったが、 結局価値があるのは TRIO の数機種だけなので、やめた。 しかし、今私は宣言する。 他に元祖が現れない限り、私が電気シェーバ趣味の 確立者(Founder)であると。

1999/12/15 ブラウン・フィリップスの新型.
1998/04/28 写真を幾つか入れました.
1998/02/08 Tips と Philips HQ482 の記述を追加.
1997/12/08 '97年のカタログを元にBRAUN, PHILIPSの モデル解説を更新
1995/12/28作成

最近の話題 1999年12月15日

シェーバのTips

1. 2台のシェーバを交互に使う

経験的に,二台を交互に使った方が一台を毎日使うより剃刀負けが軽くなる。 また、一台壊れても慌てないで済む。

2. ひげ剃りは洗顔後

ひげ剃りは石鹸で顔を洗った直後に行なう。 刃に人の脂がつくと剃り味が悪くなるから、 脂ぎっているときに剃ってはならない。 ヒリヒリを押え、剃刀負けを防ぐためにスキンクリームを塗ろう。 先と同じ理由で、クリームを塗った後にシェーバを当ててはならない。

3. シェーバスプレーでクリーニング

それでも7から10回使うと剃り味が鈍くなり、摩擦が増えて回転も遅くなる。 外刃内刃とも附属のブラシで良くヒゲクズを落し、 メーカーが発売しているスプレーを吹き付けると良い。 スプレーには、清浄作用を主体にしたアルコール系 (ブラウン、フィリップス)と、潤滑作用を重んじたオイル系 (松下、東芝など)があるが、両方揃えるのも大げさであるから、 アルコール系だけでも良い。 徹底的にクリーニングするため、お椀にベンジンを入れて刃を 漬けていた時期もあるが、そこまでしても実用上の大差はない。

4. 少し剃り残す

「深ぞり」、「剃り残しなし」がシェーバの宣伝文句であるが、 ツルツルになるまで剃らないこと。 剃刀負けの痕はずっと消えないのである。 明日になればまた生えてくるのに、 なぜ肌を痛めるまで剃るのかと、 日吉校舎生協 2F の床屋さんが教えてくれたことである。

BRAUN シェーバの系譜

ブラウンは筆者がもっとも信頼するブランドである。 筆者のブラウンシェーバ経験は以下の通り。 写真はここ

BRAUN Flex Integral 5525

1996年09月購入、購入価格$129
充電交流式、1時間充電、ドイツ製。

日本ではFlex Integral 3 Universal DXとして売られている。 アメリカでは日本の 2/3 程度の安い価格で売られていて、 アメリカ人が品質をあまり気にしないことから、 明らかに作りの違うレミントンやフィリップスと同価格帯で 出さなければならない悩みが伺える。 これをもってブラウンジャパンはぶったくりだと即断する ことはできない。 物価が日本なみに高い本国ドイツでは日本と同様の値段で売られているから、 これは車同様アメリカだけがバーゲンプライスと見るべきであろう。

数を増やして解決するのは志田の好みではないが、 使ってみると肌触りは Flex Control より良い。 というのは中央の刃が肌への接触面積が増し、 当たりがソフトに、滑りも良くなっているからである。 ただし、液晶を表示機構は三種類の状態しかなく、 催促ランプと同じ情報量しかない。 一充電での使用期間はせいぜい二週間というところ。 また大柄で多少手に余るデザインは、これまでと傾向が 変わったことから、ブラウンのモダンデザインの傾向を残した Bシリーズの方が外観は魅力的である。

BRAUN Dual 1000RC

1995年12月購入、定価9,000円、購入価格5,850円
充電式、1時間充電、国産。

あまりのカッコ良さに衝動買いしてしまったが、 五台目であることに気付き、 自分では使い切れないので、就職祝いとして 弟にあげてしまった。 かれはそれまで PHILIPS を使っていたが、 新しい方も気に入っているようだ。

BRAUN Flex Control Universal DX

1995年11月購入, 定価26,000円、購入価格12,800円
充交両用、1時間充電、ドイツ製。

買う前には、二枚刃は他社との競争上導入した スペックではと必然性に疑問を持っていたのだが、 使ってみると確かに早く剃れ、 首振りヘッドも有効に作動する。 一枚刃の往復式はロータリ式に比べ クリーニングがやり易いことが一つの利点なのだが、 二枚刃のクリーニングはやり難く、 その利点は失われた。 充電池は呆れるほど長持ち。 '97年11月に動作しなくなり、回路基盤を交換した。 修理代金は4,800円だった。

BRAUN System1-2-3 Electronic

1991年1月購入、定価15,900円、購入価格11,300円
交流式、西ドイツ製。

スーパーRCの代替のつもりで買った。 剃り味はシンクロンより良く、 交流式で回転数の変動もないので、 極めて安定して動作する。 当然ながら毎回コードをコンセントに 差し込まなければならないのが難。 手に馴染むサイズと滑らかな肌触りは、 刃の枚数が増えた後継機種より優れており、 「パールの肌触り」が実感できる傑作シリーズである。

BRAUN Synchron Super RC

1984年2月購入、定価8,500円、購入価格6,500円
8時間充電式、国産。

買った年の12月に突然動かなくなり、 その日慌てて横浜市中区山下町のサービスセンター (現在は移転)に飛んでいってら、 刃と外刃ホルダーを残して本体を交換してくれた。 当時シェーバを一つしか持っていなかったので、 翌日から即困ることになるからである。 保証期間内であったが、電気シェーバはバックアップの ために二つ以上持った方が良いという教訓である。 1990年になると充電池の使用回数が短くなり、 年末に使用不能になった。 推定充放電サイクルは約200。 しばらく放置していたが、1992年6月に充電池交換で復活。 1997年12月今度はモータが回らなくなり、 モータ、充電池、振動部を交換して生まれ変わった。

ところが、2, 3年気になってきた網刃のガタつきは一向に収まらない。 つまり、内刃の往復運動に合わせて網刃も揺れるため剃り味が悪くなる。 新品に替えると最初は直るのだが、一月もするとまたガタつく。 長年の使用でホルダーが摩滅したかとも考えられるが、 それなら網刃交換した直後も直らないはずである。 網刃の樹脂製の枠が軟らかい材質に変更されたのかも知れない。 いよいよ引退時期が近付いたか。 と思ったら,最新型のフレックスシンクロはわざわざ網刃をゆらす構造. 引退時期を逸した.

概要と歴史

ブラウンも大昔は回転式を作っていたが、 少なくとも20年前から往復式に統一されている。 往復式の基本構造は次の通りである。 内刃は半円形の刃を2, 30枚縦に並べてかまぼこ型とし、 細かな穴の空いた薄く弾力のある外刃(網刃)を その回りに巻き付け、モータの回転をクランクで 変換して内刃を往復振動させる。 ブラウンの網刃はニッケルコーティングの 厚さ58ミクロンと決まっている。 ブラウンはここ十数年間に渡り 5年毎に高級機種の刃をモデルチェンジしている。 新型が出ると、それまでの高級機種の刃を 価格を下げた中級機種に使う。 二世代共存することで、ユーザには替え刃などの 補修部品が長く供給される利点がある。 またそれらとは別に廉価版のシリーズもある。 刃は全てドイツ製、本体も多くはドイツ製だが 廉価版は国産のものがある。 刃の寿命は、メーカでは網刃1年、内刃2年としている。 網刃は薄いので乱暴にすると短期間で破損することもあるが、 丁寧に使うと2年くらいは持つ。 しかし剃り味は徐々に低下する。 内刃は5年くらいは使えるようだ。 刃の在庫や本体の補修可能期間は極めて長く、 十年以上の使用が楽に可能だが、故障が少ないわけではなく、 それなりの運用コストは掛かる。

1. 高級シリーズ

シンクロン (Synchron)

1970年代の網刃で,高級機種がミクロン網刃になった後も中級機種に長く使われ、 結局ミクロンより長生きしたが, シンクロントラベラーを最後に '95 年頃採用モデルの生産は終了している。 替え刃は引続き供給されている。 シンクロン網刃は、 円形の穴の回りに菱形の穴が取り巻くパターンになっている。 シンクロンモデルは多数あり、 内刃、網刃とも形状の違いで何種類かある。 最近では、保守部品の外刃が新型の六角網刃に 変更になったものもある。

ミクロン (Micron)

'70年代の後半から'80年代に掛けての高級機種に 採用されていたのがミクロン網刃である。 これは2辺が長くなった六角形の穴を持ち、 長い辺はさらに細かく波打っている。 現在まで上級機種に受け継がれている、 ボディにゴムのシボを沢山打ったデザインは、 ミクロンから登場した。 また、電源に電子回路を用いて、 100Vから240V、50-60Hzの電源に自動追従する 充交両用のUniversalモデルもミクロンからである。 それまでのトランス式では、電圧は手動切替え、 周波数によって型番が異なっていた。 トランス交流式のミクロン1000を最後に 既に生産終了している。 1999年には,網刃供給終了のアナウンスがあり, かつての最高機種ミクロンもいよいよ鬼籍に入ることになる.

System 1-2-3

'80年代後半にシステム1-2-3が登場した。 網刃の穴は 各辺が波打った正六角形 であり、 この形状は以降のモデルでも変更ない。 名前の由来は、網刃とキワゾリ刃を協調して 働かそうというアイデアにある。 スイッチに4ポジションあり、0がoff、 1で網刃が動作、2にするとキワゾリ刃が 伸びて網刃とほぼ同じ高さになり、 キワゾリ刃がくせ鬚を剃った後で 網刃が深剃りするという段取りになる。 3にすると、キワゾリ刃がさらに伸びて単独で動作する。 カタログには「いわば二枚刃剃り」と、 その後の発展を暗示させる説明をしているが、 実際にはやや企画だおれのようだ。 この代から、充電池の残量を検出する機構を装備した 2つのモデルが登場した。 DXモデルでは充電催促ランプ、 CC(Capacity Control)モデルは、 液晶表示パネルに残量が20%刻みに表示される。 交流式のElectronicモデルはUniversalモデルと 同じく電圧・周波数に自動追従する。 1998年までに、トランス交流式の1-2-3CBを最後にカタログから消えた.

フレックスコントロール (Flex Control)

1990年に出て、国産各社を巻き込んだ二枚刃ブームの 火付け役になった。 ブラウン以前に、腕時計で知られるアメリカの ハミルトン(Hamilton)が 二枚刃の原型とも見られるシェーバを作っている。 これは一枚刃ながら刃の形を眼鏡型にして、 二箇所で肌に接するようにしてあった。 二つの刃を分離したのはブラウンである。 二枚刃では、肌に対して両方の刃をうまく密着させる ことが問題になる。 ハミルトンには肌の凹凸に合わせて刃を動かす仕組みはなかったが、 ブラウンは刃の部分を本体から分離し、 網刃の頂点を軸にして前後に首を振るようにしてある。 これを「首振りヘッド」と呼び、フレックスコントロール という名前の由来でもある。 1994年には電池をNiCdからNiH電池に 換装して一回の充電での使用期間を3週間に伸ばした。 Flex Integral 3シリーズの登場にともない、 廉価版のBシリーズに移行した。 その後,Integral 3 シリーズの低価格化がさらに進み, 現在では,実質的に Flex Control 4403 一機種になっている. ミクロンや 1-2-3 もそうだったように,シリーズ中の一機種だけ 継続生産する方針のようだ.

ところで, ハミルトンも現在二枚刃に加え三枚刃のシリーズも生産している。

フレックスインテグラル3 (Flex Integral 3)

1995年に発表された,現在の主力機種. フレックスコントロールの二枚刃首振りヘッドに加え、 二つの網刃の間にキワゾリ刃に似た形状の「くせヒゲトリマー」 をつけた三枚刃になった。 そのためヘッド部の厚みが厚くなり、 本体も大型化している。 Capacity Cotrol には電池残量が減量した時 LCD に 残り時間を表示するミニッツレフト機構を加えた。 他社との競争が激化しているのか、 '96年には廉価版のBシリーズを加え、 さらに'97年秋には、高級シリーズ、廉価シリーズとも モデルチェンジして第二世代になった。

Integral 3第二世代では、国内機種として初めて DXなどの記号ではなく、4桁の機種ナンバーで呼ばれる。 高級版のウルトラスピードシリーズ4機種は、 モーターの回転数を 15% 上げたというもの。 松下のリニアモーターシェーバに対抗するもの かも知れない。 高級版と廉価版の違いはボディシェルの他、 電圧が2.4Vか1.2Vで廉価版の方が連続使用時間が短い、 きわ剃り刃がスライド式かポップアップ式か、などである。 デザインは、以前より軽薄な印象になった。

フレックス シンクロ

1999 年に発表された最新型. 三枚刃の基本構造はそのままに,網刃も左右に 0.3mm 幅で振れるようにした. これによって,実質開口率が上がり,刃と逆相なので振動も軽減されるという. また,フィリップスと同様,自動クリーニング台付きの最高機種も加わった.

2. 中級シリーズ

デュアル (Dual)

デュアルシリーズは国産ボディの一枚刃で,'90 年代の 中級のラインナップをシンクロンから引き継いだ. 一回充電で7日間使用可能。 Dual -> Dual 2000 -> Dual 1000 -> Dual 500 と モデルチェンジで型番が小さくなっていくのは、 同じ刃を用いた本体が段々低価格にシフトしていく ブラウンの特徴である。 2000,1000,500で対応するモデルは1000円ずつ安くなっている。 Dual 1000RCの販売終了と共に8時間充電のモデルはなくなり、 充電式のモデルはすべて急速充電回路付となった。

インターフェース (InterFace)

インターフェースシリーズは,デュアルの後継機種と見られる, 小型ボディシリーズで,1999年に現れた. ブラウンは新2枚刃と称しているように,網刃とフロート式の くせヒゲトリマーからなり,インテグラル3の片方の網刃を 取り去ったような形になっている. あるいは,1-2-3 のアイデアの復活と見られないこともない. ただし,きわぞり刃は別に装備している.

ポケット (Pocket)

ポケットシリーズは小型ボディの一枚刃。 バッテリーFF以外はキワゾリ刃なし。

PHILIPS PHILISHAVEの系譜

志田のフィリシェーブ経験は以下の通り。

PHILISHAVE HQ482

1998年1月購入、定価9,500円
充交両用、1時間充電、MicroAction 2ロータ、本体オランダ製。

'96年頃からブラウンシェーバのデザインがおかしくなってきたので、 HQシリーズの曲面デザインは気になる。 HP1722/Aと基本構成・機能は全く同じだが、興味の引かれるのは MicroAction刃、それと今時の製品らしく電池がニッケル水素になっている。 使ってみると、確かに改良は実感でき、SUPER15 のように剃り残しに 悩まされることはなくなった。 一方、はやぞりに関しては依然としてブラウンには劣る。 それなら 3 ロータをお求め下さいということなのだろうが、 2 ロータにもレフレックスアクションのようなストロークの深い サスペンションがあれば、改善されるのではないか。 総じて、網刃がグラついて剃り味の落ちた BRAUN Synchron superRC と 同程度の剃り加減である。

PHILIPS TRACER HP1722/A

1985年2月購入、1993年10月廃棄、定価9,900円
充交両用、1時間充電、SUPER15 2ロータ、本体国産。

6年目にスイッチを入れてもなかなか起動しなくなった。 中を空けてみると、スライドスイッチに青錆が 生じて接触不良になっていた。 紙やすりで研磨して、以後もだましだまし使っていたが、 旅先の広島のホテルでいよいよ動かなくなり、 怒気を発してホテルのゴミ箱行きとなった。

ヴァリエーション

フィリップスはオランダの家電メーカであり、 ソニーと共にコンパクトディスクを開発したことで 知られている。 カタログによれば、電気シェーバを作り始めたのは 1939年というから、よほどの老舗になる。 北米では Norleco というブランド名で売られている。 フィリシェーブは全て回転式シェーバである。 内刃の回転軸は肌に対して直角で、外刃は放射状に並んだ90の溝刃である 。 上級機種は3ロータで上2下1の三角配置、 中級以下は横一列の2ロータで、 1ロータの機種は以前旅行用の廉価版に存在したが、 現在はなくなっている。

現行製品には4種類の刃のバリエーションがある。 というより、これだけ機種があっても、わずか4種類しかない。 これは、フィリシェーブは他社のように外刃が 外刃ホルダーに依存しないためで、合理的である。 一方、ださいことにはこの4つの刃は、 基本的寸法が同一なのにも関わらず、 本体のシャフトとの結合部の形が何の必然性もなく変えられており、 互いに互換性がない。

  1. ロータアクションまたはSUPER15
    廉価版で、内刃が15枚ある。
  2. ダブルアクションまたはリフト&カット
    内刃の先端が二枚重ねになっている。 一枚目は弾性があり、鬚を引っかけると二枚目の 上をスライドして鬚を引張上げるという仕組み で34ミクロンの深ゾリ向上をうたっている。 マイクロアクションにとって替わられ,現行機種にはない.
  3. マイクロアクション
    ダブルアクションの二枚刃機構に加え、 外刃中央部分の刃厚を電気研磨によって へこませたもの。 実質的に外刃を薄くしたことになる。
  4. リフレックスアクション
    3ローター機種だけの、肌への密着性を改善した型。 これまでの刃は、固定されたホルダーの中でばねで支持され、 僅かに上下したが、ホルダーをローター毎に分割し、それぞれに サスペンションをつけることにより小さい曲面にも追従できる ようにした。
  5. クアドラ・アクション
    これも3ロータ機種だけの,剃り味を向上させた型. これまでの外刃は全周スリット刃だったが, 今度は三つの刃つくる三角形の内側の部分を円形の穴にして, 短いヒゲを捉えやすくしたと称する. 最上位機種は,自動クリーニング台付き.
XXアクションというのはマイクロアクションの 登場とともに最近定められた愛称らしい。 SUPER15とリフト&カットは'80年代前半に 登場したもので、それ以前はひとまわり小型の 12枚刃(SUPER12)であった。

特徴

長所は以下のようにまとめられる。
  1. 刃の寿命が長い。
    外刃を硬くして内刃を研磨する作用を持たせることで、 長期間剃り味が変化しない。 メーカは寿命5年としているが、実際にそれだけ持つ。 また外刃が丈夫で、破損も網刃に比べて少ない。
  2. 肌への攻撃性が少ない。
    これは、欠点と表裏かも知れないが、 剃った後ひりひりしたり出血したりすることが少ない。
SUPER15の使用経験では、 欠点は何といっても、剃り味が今一つで、 深剃りが効かず、時間もかかるということである。 マイクロアクションではそれなりに改良されているがしかし、 志田の見るところ、基本方式に疑問がある。 第一に、刃の幅が足りない。 どういうことかというと、一つ一つの内刃は、 幅がほんの3, 4mmしかない小さなものである。 各ロータに15個、それが2ないし3ロータ、 全部集めても、肌の上を走っている刃の総幅は、 往復式の内刃の何分の一にしかならない。 またそれらの内刃が円周上に配置されていて、 ロータの中心部はいわば盲点になっている。 そのため今どこを剃っているかが曖昧で、 狙った鬚を剃り難い。

第二に、ロータが肌を移動すると ロータの径の幅の鬚が剃れるように思われる。 しかし、ロータの中心を通る鬚と、 周辺を通る鬚では刃との角度関係が全く異なることから、 実質的に剃れる幅はもっと狭くなる。 また隣のロータとの間は剃り残す。 第三に、そもそも複数ロータを配してあるのも、 刃の小ささを補うためなのだろう。 しかしロータが広い面積に平面的に配置されていて、 刃の浮き沈みのストロークがせいぜい2,3mmに過ぎないために、 顔のおうとつの関係で、全てのロータが 同時に機能する場面は多くない。

以上のことから、現在の構造を守る限り、 刃の改良によって抜群の剃り味を実現するのは 難しいのではないかと考えられる。

修理可能期間は法定年数並で、ブラウンのようには長くない。 旧型はあっさりサービス修了品になっていく。 しかし、元々シェーバは修理の予算に購入の半分くらいは見なければ ならないこと、フィリップスの刃は長持ちすることを考えれば、 フィリップスがブラウンよりコスト高とはいえない。

現状

(以下の記述は 1997 年現在)

リフレックスアクション

3ロータのみ5機種ある。 全て充交両用、100-240V, 50-60Hz自動切替え、 ニッケル水素電池、一時間充電、三週間使用、充電催促表示付、 9段階剃り圧調整つき。

マイクロアクション

3ロータは4機種ある、リフレックスアクション登場にともない、 充電催促ブザーを削除して低価格にシフトした4000番代に モデルチェンジした。残り回数表示モデルHS990も消えた。 全て充交両用、100-240V, 50-60Hz自動切替え、 ニッケル水素電池、一時間充電、剃り圧9段階調整。 2ロータは曲面デザインのHQ400シリーズ4機種と、 電池式小型が1機種ある。HQ400シリーズは 全て100-240V 50-60Hz 自動切替え、 HQ442を除き充交両用、ニッケル水素電池、一時間充電。

ダブルアクション

3ロータ3機種。HS3830とHS840の違いは不明で、 前者が後者の後継モデルと思われる。 2ロータ機は消滅した。

ロータアクション


日立の ロータリーシェーバ

日立 Rotary Shaver RM-X9

1994年7月購入、定価18,000円、購入価格12,000円
充交両用、1時間充電。

特徴

日立は高級機種が独自のロータリ式、 中級機が往復式、廉価版が回転式と三種類の方式を揃えている。 一つの方式に絞らないのは、 日本の各メーカに共通する特徴であり、 ノンポリと見てもいいし、ユーザの選択肢が広いと思ってもいい。 往復式、回転式にはこれといった特徴はないが、 ロータリ式は、1990年に発表された日立独自の方式である。 PHILIPSのロータリ式と異なり、内刃は横軸式、つまり 土器に縄文をつける道具のような円筒形である。 刃は円筒の高さ方向にやや螺旋状に伸びている。 当初は計12枚だったが、 1993年発表の第2世代で直径が小さくなるとともに10枚になった。 同時に、ロータの材質の比重をあげて慣性モーメントを 稼いでいる。 1995年にはツインロータ機種を発売、 現在は、第4世代に移行している。 これはツインロータの間に、ブラウン同様のセンタートリマー をつけたシリーズである。 外刃は往復式とほぼ同じであり、 ロジウムコーティングで菱形の穴を持つこれといった特徴のないもの。

評価

一番良い点は、比較的音が静かなことであろう。 剃り具合は悪くはないがブラウンのような感動はない。 刃の横幅がブラウンより狭く感じるし、 外刃にも繊細さが感じられない。 日立製品は丈夫という印象があるが、 志田が試した第2世代のRM-X9は機械に未成熟である。 第一に、メーカによると刃の寿命は外刃1年半内刃3年だが、 外刃の摩耗による性能の低下が激しく、 一年程度の使用で、回転摩擦がかなり増えた。 そのため2、3回使用すると発熱したり、回転が落ちたり、 充電池の持ちが悪くなったり、変な音がしたりするので、 慌ててシェーバオイルを吹き付けないといけない。 これらは外刃を交換したら嘘のように調子が良くなった。 まだ寿命でないはずの内刃も同時に交換したのだが、 これは内刃附属のギアの軸が脱落し、外刃を外した瞬間に 転がり落ちたことがあったからである。 元の内刃の軸は差し込んであるだけだったのが、 交換した内刃はフレームと一体化された対策部品に 変更されていたから、やはり構造に問題があったと思われる。

電気系も弱い。 一回充電での使用回数はもともと7回程度と多い方でなく、 急速充電も、充電終了を検出する-ΔV法でなく 単純なタイマ式。 また、電池が消耗した時に慌ててコンセントに 差し込んでも交流で動作しない。 これは放電した電池が支障になるためで、 説明書には、1分程充電すれば動くと書いてあるが、 同じ充交両用のフィリップスではこういうことはなかった。 朝は急いでいるから、 そういう時には信頼できるブラウンのシェーバを 取り出してしまう。 新方式のため、頻繁なモデルチェンジで 熟成を計っていると考えられる。

ナイーブに考えると、モータが回転運動である以上 往復式より回転式の方が合理的であるようだが、 PHILIPSにしろ日立にしろブラウンの往復式より 良かった試しがない。 その理由を後付ながら考えてみると、

  1. 各社の工夫は主に駆動機構にあるが、 剃り味は最終的には刃で決まる。 これに関してはスエーデン鋼刃のブラウンが優位にある。
  2. 往復式のクランクは簡単な機構であるが、 回転式では動力伝達にギアを何枚も使っている。 小型のギアを高速回転するのは損失が大きく、 回転式が特に有利ということはない。
  3. 回転式といえど、キワゾリ刃を装備する関係上 往復式と同じクランクは残している。 キワゾリ刃を動かしていない時も、 クランクは運動しているために、 ギアとクランクの両方を背負ってしまうことになる。
ということかと考える。

もう一つ日立への不安は、替え刃の入手性である。 日立のシェアは分からないが、 ブラウンや松下に比べてずっと低いと思われ、 替え刃が置いてある店も比較的少ない。 出回る数量が少なければ、 バリエーションを増やす余裕はないと思われるが、 実際は逆になっている。 これまでシングルロータリシェーバは合計17機種発売されているが、 それに対して外刃が何と13種類ある。 シェーバの法定補修部品保有期間は6年だが、 ブラウンもフィリップスもこの期間を遥かに越えて 替え刃を供給している実績がある。 果たして日立にどこまでできるであろうか。


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