メーカー製パソコン買い替えるより今のを速くして使う

29/Dec/2003 更新
31/Aug/2003 作成
K. Shida

1. 買い替えをお考えですか?

メーカー製のパーソナルコンピュータはいじれないから, 古くなったら買い換えるしかない,とお考えですか? かならずしもそうではありません. もしあなたのデスクトップ型Windows PC が1998年ごろ以降に 購入したものなら,パーツ交換で一歳以上若返らせられる 可能性があります.もちろん最新型と同じにはなりません. しかし,もう一年以上今のパソコンを使えるようになります.

条件は,CPUに

を使っていることです. 大体1998年頃から2002年春モデルまでが該当します. この頃のCPUは今のペンティアム4(Pentium 4)に比べて, 消費電力が小さくエコロジー度が高いという美点があるのです. また,中古部品が豊富に出回っており, 上位CPUが安く手に入るという利点もあります.

1998 年以前のマシンには,2でも3でもないただのペンティアムプロセサ あるいはMMX Pentium プロセサ,AMD K6プロセサなどが使われています. これらのマシンもある程度強化することはできますが, 現在の基準からいって快適に使えるまでには至らないでしょう. 残念ながら買い替えをお勧めします.

Pentium 4 CPUマシンを強化したいという動機は, 現在はそれほど強くありませんが,これからだんだん増えてくると思います. もちろん,それは可能です.

2.実例A

2.1 スペック

表1はIBM のデスクトップ型パーソナルコンピュータ PC300PLを,2003年に二段階に渡り強化した例です. このマシンは1998年秋モデルで,1999年7月まで売られていました. また11月までは同じ主基盤のままより速いCPU(Pentium III 600MHz)と, より大きいハードディスク(13.6GB)を取り付けた 6862-W7J というモデルが 売られていました. このように,同じ基本設計でシリーズ化されているモデルの場合には, 少なくともその最上位機種と同じ水準までは強化できます.

表1 IBM PC300PL 6862-45J
発売時(1998年9月)強化前(2003年1月)2003年3月2003年12月
システムROM不明NVJ258A (28/Sep/2001) *1
OSWindows NT4.0Windows2000 *2
CPUPentium II 350MHzPentium III 450MHzPentium III 600MHz*3
ハードディスク6.4GB30GB*4
主記憶64MB192MB320MB384MB*5
ビデオ回路S3 Trio 3D 4MBMatrox G400 16MB*6

2.2 注

  1. システムROMはIBMの用語で,普通は「マザーボードBIOS」と 呼ばれることが多いです. 上記のように,本体より新しい部品を付けるときにはシステムROMの 対応によって可能になることが多いので,新しいシステムROMが リリースされていて更新できるかどうかが一つの鍵になります. このPC300PLでは2001年9月が最終版のようです. このマシンは,志田が手を入れようとしたときにはすでに 最終版になっていました. このマシンの現オーナーは知りませんでしたので, その前のオーナーか誰かがやってくれたようです.

  2. オペレーティングシステムも Windows2000 に変わっていましたので, あとは Windows Update をかけまくりました.

  3. Pentium III 450MHz はありもの.1999年2月発売. 発売当時は6, 7 万円してとても買えず,2万円台前半になったのはその年の秋です. 中古ショップでは 2003 年 8 月現在 2000 円程度で買えます(以下中古値段は 2003年8月現在). 350MHz から 450MHz はクロック周波数は 1.3 倍程度ですが, Pentium III には SSE 拡張命令が装備されたため体感速度は上がりました. その後 600MHz (1999年8月発売)を譲ってくださる方がいらしたので, 同じ年の12月に強化第二弾をいたしました.同じ時にメモリも 320MB->384MBにしました.

    Slot 1 型 Pentium III にはコード名 Cuppermine と呼ばれるより高速な後期型があります. Cuppermine 型 CPU がつけば 2001 年春モデルの IBM NetVista A40p 並になります. システムROMの 更新リリースレターを読むと,NVJ252A以上では論理的には Cuppermine を検出することをにおわせる記述,

    SMBIOS: 8-way associativity cache のインフォメーションを追加した。
    があります. ただし Pentium II を想定して設計された主基盤は CPU 電圧が1.8Vまで下げられるよう 設計されているはずで,Cuppermine のための正しい電圧(1.65V または 1.70V)を 供給できないかも知れません. 動くかどうかは実験してみないと分かりません.

  4. 新型のハードディスクに交換すると,容量だけでなく速度も速くなります. ハードディスクを交換するには, (1)再インストールするか,(2)特別なバックアップ用ソフトウェアを使って ハードディスクを丸コピーする必要があり,ある程度の知識と手間が必要です. ただ,その効果はむしろCPU交換より大きいことが多く, 手間をかける価値があります.

    2001年春頃までのPCは 32GB までのハードディスクに対応しています. それ以前の型でも,システムROM(BIOSともいう)の更新で120GBまで取り付けられる ようになる場合もありますが,このモデルの場合システムROMリリースレターに 何も記述がないので,32GBまでと考えるのが無難です. 現在32GB以下のハードディスクはあまり売られていませんが, 大容量のものを買っても,ハードディスク側の スイッチの切り替えで32GBディスクとして使えるようになっています. 40GBの新品で6千円台です.

  5. メモリだけはもとから 192MB に増設されていました. このPCにはメモリスロットが三つあり. 「PC100 SDRAM DIMM」という規格のメモリがささります. 標準では 64MB のメモリが一つささっていますが, すでに 128MB の二本目が増設されて192MB になっていました. それにもう一本 128MB のメモリをさして 320MB になりました. これでスロットは三つともふさがったことになります. デジカメのアルバムソフトなどで大量の写真を読み込んでも とりあえず安心です. カタログには最大 384MB (128MBx3)と書いてあるのですが, このPCに使われているメモリコントローラチップ 440BX は 本来 1024MB(=1GB)まで使える性能があります. システムROMの 更新リリースレターには,NVJ247A以上で,

    512MB DIMMが装着されていると、システムが起動しない。
    問題を修正したと書かれていますから, システムROMを更新しておれば 256MBx3=768MB や,512MBx2=1024MB なども可能 と思われます.

  6. Trio 3D というビデオ回路は主基板上に載っています. このPC300PLモデル6862にはAGPスロットとがついているので, 市販のAGPビデオカードを載せることができました. Matrox G400 は 1999 年 7 月に発売されたものです. これもあまりものですが、中古店では四千円以下で買えます. 内蔵のものより色のにじみが少ないですし, 大型のモニタを接続して画面を広げても,色数を多く,ちらつき も抑えられます. ただし,PC背面の開口部が小さくて特殊な形をしているので, どのAGPカードでも使えるというわけではありません. AGPスロットの物理形状が現在の形になるまでの過渡的な規格のようで, このような形状の,VGAコネクタの下の部分の基盤がカットされている カードしか取り付けることができません. カードはAGPスロットにささっているだけでねじ止めされないので 少しぐらぐらします. 最新のAGPビデオカードは形状的にほとんどつかないと思います.

    他にPCIスロットが3つついていますので,PCIビデオカードなら 大抵つくと思います.

2.3 結論

以上のような強化によって,おおむね1999年秋から2000年冬頃の 最新スペックをもったマシンになったといえます. ハードディスクは2001年型です. ベースモデルが1998年秋モデルですから, およそ一歳ちょっと若返ったことになります. 2003年12月の第二弾強化で,大体やれることはやった感じです.

3. 実例B

表2はNECの省スペース型パーソナルコンピュータ MA40H/Cを,2003年8月末に強化した例です. このマシンは 1999 年 5 月に intel 440ZX-66 チップセットの発表とほぼ同時に リリースされた PPGA (Socket370) Celeron 専用 マシンです. そのため,その前のモデル MA36H/C(Slot 1 PentiumII/Celeron: 1999 年 1 月)とも, 同じ世代の上位機種 MA55J/C(Slot 1 PentiumIII)とも,後のモデル MA46H/C(Socket370 i810 チップセット: 1999 年 10 月)とも マザーボードが違うという連続性のない機種です. このようにマザーボードの種類が多いと,一機種ごとのダウンロードモジュールの 提供などが手薄になるのは仕方のないことで,そういう意味でも実例AのIBMより 制約がきつくなっています.

表2 NEC MATE MA40H/C
発売時(1999年5月)強化前強化後(2003年9月)
1BIOS120a1100120a2200(17/Mar/2000)
2OSWindows98Windows2000 SP4
3CPUCeleron400Celeron 500
4HDD6.4GB
5主記憶32MB96MB256MB
6ビデオ回路ATI Rage XL 4MB
  1. リリースノートによると Windows 2000 対応が主で, 新型CPUの対応などはないようです.
  2. SE でない素の Win98 でした. マイクロソフトのサポート期限が切れ,もはやセキュリティパッチも 提供されないため Windows2000 に上げました. ヤマハのサウンドチップもビデオも Windows 2000 CDでサポートされています. ビデオドライバは ATI からダウンロードした最新版にしました.
  3. チップセット 440ZX-66 は 66 MHz 専用なのですが,マザーボードには 66MHz/100MHz のジャンパがついていました. 試しに100MHz にしてみましたが,マザーボードクロックは 66MHz のまま変わりませんでした. …残念. 結局 PPGA Celeron の中古で手に入りやすい最高速版にしました. Celeron500 は 1999 年 8 月 2 日発表ですから, CPUの若返りはわずか3か月分に相当します. 中古購入価格は税別1280円でした. 533MHz は FCPGA が多く, PPGA はなかなか見かけません. FCPGA 版と PPGA 版は外見が違うだけでなく,電圧も違いますので, FCPGA CPU をそのままさすことはできません.
  4. 実質6GBのディスクは2GB+4GBにわけられていました. 2GBのパーティションに Windows2000 をアップグレードインストールしますと, もとから入っていた Office2000 と併せて空き容量はデフラグに差し支えが あるくらいに減ってしまいます. 事情が許せばハードディスクごと交換するか,せめて1パーティションに切り なおしたいところです.
  5. メモリはオーナーの前主力マシンである PowerMac G3/233 から流用しました. PC66 SDRAM DIMM 二本です. 440ZX は 256MB が最大なのでこれがフル実装です. Windows2000 を家庭用に使うにはちょうどいい容量です.
  6. オンボードビデオです. 今回は手を加えていません. ライザーカードに PCI スロットが三つあり, そのうち一つに LAN カードがささっています.あと二つ空いているので, PCI のビデオカードをさすことができます. AGPスロットはありません. 残念ながら,DirectX9b をインストールしても 3DMark2001SE は起動しませんでした.

今回ハードウェアに手を加えたのはCPUとメモリだけ,やや物足りないですが, ADSL回線にルータを入れました. コレガのCG-BAR SD という超低価格モデルです. 3980円でした. Norton Internet Seculity のようなソフトウエアとルータハードウエアの値段が 拮抗してきました.ウイルスメイルはプロバイダがチェックしてくれるように なりましたので,ワクチンソフトより,ファイアウオールのほうが大切, とすればルータによるファイアウォールのほうがPCに負担をかけない分 いいのではないかと思いました. 実は,ACCA 8Mbps 用の富士通製モデムは,ルータモードPPPoAで動作していましたので, 新設のルータはスイッチと変わらない働きかもしれません… ついでにADSLモデムのファームウェアと,ルータのファームを上げました. ルータやマザーボードは買ったもののファームウェアが最新とは限りません.

4. 注意点

  1. CPU交換にはソケットなど目に見える形状の問題, BIOS や電圧の対応などの規格上の問題もあるが, 消費電力や発熱の問題もある. 経年したPCにむやみに大発熱のCPUをつけると不安定になったり 寿命を縮める場合がある. 特に薄型PCでは余裕のない場合が多いので,見極めが必要であり, シリーズ最上位機種が一つの基準になる.

  2. 実例1では手をつけていないが,CD-ROMドライブをCD-RやDVDドライブに 交換することもできる.

5. まとめ

中古部品をうまく活用しての延命,いかがでしょうか. 大量生産大量消費社会との決別,サステイナブルな社会を 目指して,より少ないお金と,より多くの知恵と手間を使ってみませんか. でも,自分にはとてもそんな知識もノウハウもない? 私に電話してください,どうぞよろしく.
shida@yha.att.ne.jp