工業製品の選び方

1997年7月30日改訂

ここでは、家庭用の機器を選ぶ時の選択の基準について論じる。 一番大切なことは何だろうか? 機能か、性能か、価格か? 当たり前のことだが、機能と性能は違う。 一番いい例はラジカセである。 ラジカセはCDもカセットもラジオもタイマーも イコライザーもついていて、およそ何でも出来るが、 いい音で聞くという目的だけは果たせないのだ。 機能で選ぶと必ず失敗する。

笑うなかれ。一番大切なのはブランドである。 個別に選ぶより、そのメーカが信頼できる 会社かどうかの方が大事なのだ。 メーカの技術なんて、国産大手ならどこでも似たようなもので、 どこのを選んでも間違いないなどと思ったら、大間違い。 たしかに、機能もカタログ性能もほぼ一緒かもしれないが、 実質的な性能は結構違う。 そして、耐久性や使っていくうちの老化の仕方に、 もっともメーカの個性が現れる。 ハシリの実験的な製品は故障が多いことがある、 手なれてくるとモデルチェンジ毎に華奢になってくるので、 第2, 3世代あたりが一番良いなど、 個別の製品による違いも勿論あるが、 いろいろ体験していくと、メーカの個性は確実にあり、 それは10年かそこらでは変わるものではないということが分かる。


家電製品

Victor
お勧めできない筆頭はVictorである。 何しろヤレるのが速い。 最初にそれを体験したのは、 20年前の友達のカセットデンスケで、 あっという間にゴムの外張りが剥がれてきた。 別の友達のカセットデッキは、オイルダンプ機構が 悪くなってイジェクトにやたら時間が掛かるようになったり、 ビデオデッキでも、他社のより速い時期にガタガタしてくる。 ヘビーに使う人、形式が古くなっても永く使いたい人には、 Victor製品は向かない。

最近のAV雑誌ではVictorのビデオがずいぶん誉めてあるが、 ずいぶん無責任な評論家だ。 スペックがどうだろうと、信頼がなければ駄目なものは駄目。

National/Panasonic
松下は多様な製品を作っており、 分野によって傾向もさまざまである。 概していえば、製品はトップレベルとは言えない。

TOSHIBA
東芝はビクターと逆で、 比較的新しいうちに、プチンと壊れて金輪際動かなくなる危険がある。 我が家の東芝製品ではネオボール、オーブントースターがそうで、 天寿を全うしたのは扇風機とアイロンだ。 蛍光灯のグローランプは松下より東芝の方が点灯が速く、 寿命も永い。

SONY
ソニーは、カセットテープレコーダから NEWS Workstationまで蓋がふっとび易い、 コンパクトカセットのケースがすぐ割れるという欠点があり、 一時期のWalkmanのように許容できないほど 華奢なものを作ったりする失敗もあるが、 概して他社より永く使えるものが多い。 家では'84年製のCD player、 '87年のビデオなどがまだ生き残っている。

TDK
僕の家にはTDKのテープは一本もない。 以前はカセットテープを買っていたのだが、 5, 6年すると相次いでメロメロになって再生不能になり、 アリャリャと思って買うのを止めたら、 ついに全滅してしまったのだ。 SONYやMaxellなら20年経っても再生できるのに。 「TDKだけ信じない」が本当。

SANYO
サンヨーの家電製品は、 決して技術や流行の最先端をいってはいないが、 意外と住宅事情にマッチした使い勝手の良い製品が多い。 白物家電はどんどん大型化しているが、 買い替えの時は家が変わらないから大きいものは入らない。 '81年当時一番小さい3ドア冷蔵庫とか、 '87年当時一番小さいマイコン全自動洗濯機とか、 選ぶとサンヨーという場合が結構ある。 音響製品はどうか知らないが。 ちなみに'96年現在もっとも小さい ステンレス槽全自動洗濯機は日立が作っている。

SHARP
ある人によれば、独立系の修理業者は SHARP製品のおかげで成り立つというはなしで、 故障の帝王なのだそうだが、 その噂だけでおそれをなし、 僕は残念ながらシャープの製品を買ったことがなかった、 このたび研究室でコンピュータ用のビデオプロジェクタXV-E500を購入した。 したら説明書の仕様を満たしていない。 Macintoshの13inchモード対応なのにどう調整しても画面が流れてしまう。 販売店経由で対応を依頼したが音沙汰なし。直すまで金は払わんぞ。 同じ製品を買ったある人はSVGAモードが写らないといっている。 これが噂のシャープかと納得した次第。 冷蔵庫、エアコンなどシャープは他社の同クラス品より安い値段の設定に 特徴があるが、安さにつられることはお勧めできない。

カメラ

ズームが何倍かは一切関係なし。単焦点で問題なし。 ここでは、店員は教えない、 カメラ雑誌にも余り書いていない3大ポイントを教えよう。

シャッタータイムラグがないこと

タイムラグとは、シャッターを押してから 実際に撮れるまでの時間差のことだ。 最悪なのは、シャッターを押してからピント合わせを 行なうタイプの自動焦点コンパクトカメラで、 零点何秒か掛かるので、 動きのあるものは思ったように撮れず、 記念写真専用と思った方が良い。 舞台とか運動会とかも撮りたいなら避けるべし。 シャッター半押しでレンズが駆動されるタイプの コンパクトカメラには、タイムラグが極めて小さいものがある。 一眼レフでは、ミラーが動く分の0.1秒程度のタイムラグの 解決はかなり困難である。

シャッター音が小さく、音色が良いこと

室内で使う場合には、音が大きいと周囲の迷惑になるので、 これまた用途が限られてしまう。 CONTAXに良く見られるようにうるさく、 しかも音が澄んでいない場合には機械の設計製作が良くないと みなされる。 現行一眼レフで一番音が静かなのはPENTAXのMZ-5であり、 CanonのサイレントEOSよりも、 何と距離計式でミラーがないCONTAX G1より静かである。

メーカがアフターサービスに熱心なこと

カメラの使用頻度はそんなに高くない。 月に一回撮ったら多い方だろう。 従って、よっぽど華奢な機械を掴まされない限りは、 機械的な老朽化より、旧式化および、 修理が出来なくなる限界の方が先に来る。 機能に惑わされず基本を押えた機種を選んでおけば、 旧式化の心配はない。 結局、旧モデルを大切にしてくれるメーカが一番である。

国産車

比較テスト記事ですら、性能、操縦性など要素に 還元してしまうと分からないが、 NAVIの対談記事などに時々ポロッと本音が出る。 トヨタ、日産と、3位以下の三菱、マツダの実力差は歴然としており、 同じクラス、性能でも、乗った感じの熟成度がまるで違う。 下位のメーカだと、車の形ができ、何馬力、時速何キロでたら ホイ完成といった印象で、 熟成という言葉を知らないのではないかと思うほどだ。 そこから先が長いの筈なのに。
日産
新しいローレルを見てますますそう思ったのだが、 日産はもう、どういう車を作ったらいいのかを考える力を 完全に失っているようだ。 僕より日産に詳しい人は、「そんなの前からだよ」というのだが。 少なくともトヨタは、これからどんな車がはやるのかを考え、 新しい形の車を作る力と度胸がある。RAV4 とか イプサムを 見ると良い。しかし日産には、旧型の改良という 自己模倣しかできないようだ。

新しい試みはないわけではないが、 ディテールのデザインから入り過ぎ機能や大きい提案が 伴っていないので、主力車種に据えれば売れないし、 企画ものとして出しても詰めが甘過ぎる。

アメリカの会社も、ヨーロッパの会社も、 一つの排気量には原則として一種類のエンジンであるが、 日産とトヨタには2litterのエンジンが直列4気筒と直6、V6 の三種類がある。こんな会社は世界中他にはない。 お客様の好みに合わせて、といえば聞こえはいいが、 定見がないともいえる。 我社はこの形式が一番いいと判断します。 だから我社はこれでいきますと何故いえないのか。 好みは、会社を選ぶことで主張すれば良いのだ。 それでは客を失うと心配するかも知れないが、 あいつは八方美人で定見がないと思われて客を失うのと どっちがいいか。

お客なんてほんの限られた経験と擦り込みから勝手なことをいう のだから、その好みばかり伺って正道を主張しないのは進歩に 寄与していないのだ。

日産には、同じサイズにFWDとRWDを揃えたり、直6とV6を 揃えたりするような余裕はもうないはずだ。 V6 FWDでいくという方針を確立して、お客に対して リーダーシップを発揮すべきだろう。

三菱
では三菱はどんな車を作ればいいか分かっているのかというと、 いるともいえるしいないともいえる。 ターボが流行ればフルラインターボ、RVが流行ればフルラインRVと、 流行歌手に夢中になって振り真似をする子供と何ら変わりがない。 どんな車を作れば良いかなどと悩むのは大人だけで、 子供は自分の欲しいものについて悩んだりはしないのだ。 しかし、子供が作ったものを真正面から取り上げる大人はいないだろう。
トヨタ
潜在的な技術力は一番で、やろうと思えば何でも作れる。 しかし、とにかく儲けろというモティベーションで 駆動されているので、いい車より儲かる車を作ろうとする。 儲けるためにわざとユーザの不利益になるような 車作りも行なうので、信じるのは危険。 ちょっと子供っぽい消費者の感覚を自分の血肉としている、 節操のないやり手。

トヨタ車に限らず、国産車を愛用している人には、 アメリカ車というと頭から馬鹿にする人が多いのではないかと想像するが、 トヨタは、かなりアメリカ車をモデルにしている。 モデルハイアラーキーの組み立てを始め、 企画、デザインにもアメリカ的なデイテールは容易に発見できる。 たとえば、RWD最後のコロナクーペ、 クラウン、特に現行マジェスタでは明らかである。 ここに、日本人がアメリカ車に抱くアンビバレントな感情が見える。

トヨタで許せないのは、2点。 排気ガス53年規制の時、日産は早めに切替を完了したが、 トヨタはぎりぎりまで51年規制の車を売りまくった過去がありながら、 ドリトル先生をつかった環境キャンペーンを張った。 トヨタよ、皆が忘れたわけではないぞ。 また、セドリックターボが発売された時、 ターボを批判する意見を顧客に示したが、 それは時間稼ぎで、1年もしないうちに クラウンターボを発売したこと。

マツダ
操作感の不自然さが気になる。 内装の質も低く、各部分がバラバラにデザインされたような 不統一感に限界を見る。 また、発売から時間が経てば改良が加えられ、 モデルチェンジ前がもっとも品質が良いとは良くいわれるが、 マツダの場合には規模の割に車種をふやしすぎたせいか、 継続車種の熟成が余り感じられないという報告も時々ある。 しかし、頑丈に見えない割には耐久性は良く、 台湾で20万キロ走ったレーザーのタクシーに乗ったが、 まだまだ走れる感じだった。
ホンダ
以前はモデルチェンジ毎にコンセプトを全く替えるので、 信じてついていったユーザは裏切られた。 脆弱なボディで馬力だけやたらあったので、 危なくて仕方がなかったが、 これでもし安全キャンペーンでも始めた日には怒るぜ。 今では、実力のないトヨタ。 アメリカにかぶれ、日本でもでかい安物を売りつけようとしている。 ベーシックモデルのシビックが、日産の下から3番目である プリメーラよりでかい。

外国車

まだ書かれていない。