地球温暖化について

2000 年 10 月 11 日

1. 縄文時代は今より暖かかった

縄文時代には今より気候が暖かく,海はより内陸まで来ていた. これを縄文海進という. 今では海岸から離れた内陸部に貝塚があるのはそのせいである. 例えば,青森の三内丸山遺跡は,今は青森港からバスに乗って行くが 昔はすぐそばまで海が来ていた. 青森の冬の寒さは,縄文人には辛かったろうと一見思われるが, 当時は今より数度温度が高かったので,過ごしやすかっただろう. 三内丸山人から出土した栗の木や,うるしなども, 現在より暖かかった証拠である. 青森よりさらに北の北海道オホーツク沿岸にも, 縄文時代の遺跡が多数ある.

2. 中世は今より寒かった

中世は今より寒かった.今は凍らないロンドンのテムズ川が 十七世紀の版画では凍っているし,日本でも江戸の大川は 寛政年間までは凍ったが以後凍らなくなった(1).

地球の歴史には何度も氷河期があった. それは人類の歴史よりずっと長い期間の話で, 当面の地球温暖化とは関係ないと思うかもしれないが, そうではないらしい. 間氷期にも,数百から千年くらいのサイクルで暖かくなったり 寒くなったりを繰り返している.そのような寒い時期を小氷期とよぶ. このような気候の変動は太陽の活動と関係があるらしく, 中世は太陽黒点が今よりずっと少なかったらしいことが分かっている.

この時代に近代科学がおこり,現代に至る土地所有と海岸線の基本が確定した.

3. 温暖化の原因は人類活動だけでない

光度が大きく変化する恒星を変光星と呼ぶ. 太陽は変光星と見なされていないが,完全に安定しているわけでもなく, 人類の歴史の間にも数パーセントくらいの変動を繰り返しているらしい. これが地球の気候に影響を与えていると考えられる. 人間の消費エネルギーが今より桁違いに小さかった 十七から十九世紀にかけても気候が暖かくなっていることから, 地球温暖化は,人類の出す熱や二酸化炭素だけが原因でなく, 天文学的な現象が基礎にあることが分かる. よって,仮にすべての経済活動を停止しても, 縄文時代の海岸線まで海面が上昇することは十分起きることである. 氷河が融けたり,南の島が沈んだりするのを防ぐことはできない. せいぜい多少遅らせるだけだろう.

4. 人類の英知とは

すると,環境問題の解決に必要な人類の英知とは何だろうか.
  1. 「省エネルギー」や「エコロジー指向」の重要性は実は二次的である. それらでは海面の上昇を防げない.
  2. では,あらゆる国土を守るために堤防を築くか. これは,国益,土地の所有制度,公共事業といった既得権益を守る見地からは, 政治的に魅力的な選択であろう. 現在でも,護岸工事と称して,日本の海岸の至るところに驚くべき 長さのコンクリートの壁が作られ,大量のテトラポットが海中に投入されて, 自然を破壊している. しかし,歴史的に見れば,海岸線など常に変動しているもので, 守るべきものでも何でもない. 地球規模の土木工事は,例え技術的に可能であっても, 自然の営みという観点からは人類のエゴでしかない暴挙である.
  3. これは志田のオリジナルアイデアである. 冷戦時代核戦争後の「核の冬」というものが恐れられた. 舞い上がった塵が太陽光を遮り,地球が寒冷化するというわけである. 地球を冷やすには,わざと「核の冬」を起こせばよい. しかし,この方法は明らかに全く現実的でない.
そのときがきたら,国益や土地所有権の問題をクリアして, 粛々と高台に避難することが一番である. いかに混乱なく土地を放棄するか.これこそが人類の英知である.

(1) 三田村鳶魚全集第七巻「江戸っ子」163頁.