Oncoplastic Surgeryとは

 乳腺外科は日本国内で徐々に増えてきており、消化器外科医の片手間ではなく、乳房を専門とする医師が増えてき
ています。同時に、乳房という外からはっきり分かる器官であり、更に女性の性のシンボルという特徴のため、癌といえ
ども術後の整容性を保つ手術の要求が高まってきています。そこで生まれてきたのが、形成外科と外科の知識、技術
を併せ持つ医師です。
 従来は形成外科医は外科医による乳房切除術後の乳房再建に関与するのが通常の関与の仕方となっており、はじ
めの腫瘍切除術から参加することはほとんどありませんでした。つまり、
・一期的乳房再建
・二期的乳房再建
・皮下乳腺全摘後再建 
などに限られていました。乳房切除術の場合はそれほど術式やテクニックにバリエーションがなく、外科医による今まで
の完成したやり方で十分でした。しかし、近年乳房温存手術(乳房部分切除術)が一般化してくるに従い、乳房(乳腺)
が残っているだけではなく、美しく、かつ左右差なく残っていることを患者さんも医師も願うようになってきました。そんな
中、90年代末期より乳房温存手術への形成外科医の積極的な関与がドイツ、フランスなどのヨーロッパの国の一部に
見られるようになってきました。Oncoplastic Surgery(腫瘍形成外科とでも訳すべきか?)といわれています。アメリカで
は制度上、もうしばらくそのようなスタイルは確立しないと思われるものの、日本では形成外科的緻密な手術能力にた
け、癌の知識を併せ持つような医師の誕生は可能だと思われます(Oncolpastic Surgeon )。乳房のどの部位に出来た
腫瘍でも以前よりはるかに整容性の優れた手術をすることは言うに及ばず、いままで乳房切除術の適応と考えられて
いたような患者さんでも乳房温存手術が出来るようになりました。
乳房における腫瘍形成外科のゴールは2つあります。
・整容性の満足できない手術(美しくない手術)を減らすこと
・乳房温存手術を増やすこと
です。具体的には、今まで乳房切除術の適応と考えられていた
・多発腫瘍
・中心部腫瘍(乳頭下腫瘍)
・巨大腫瘍
の患者さんの手術に特に有効です。見たことのないような特別な治療装置や機械を使うということではなく、既存の知
識、技術の組合せをもとにして実現されるこの分野は、今後乳腺だけでなく、顔面、皮膚悪性腫瘍などにおいても盛ん
になっていくと思われます。

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