N. Y.行きNH10便にて
敵将、あっさり発見
2度目の発作
ICUの眠れない夜
お薬あれこれ
手術室へ
ビバ!サイバーパンク!!
本手術へ
3cmの忘れ物
つながった瞬間
断髪式、サラバ金髪
寝たきり生活は続く
放射線治療と
やがて訪れる退屈

退院を前に

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寝たきり生活は続く

 

 「つながった!」と言っても、そう調子良くいくワケがない。2、3日はけいれんもピタッと治まって「このまま行けるか?」と思っていたのだが、その後は再びけいれんを頻発するようになった。主に右顔面のひきつりから始まり、そのまま続くと、右手に行ったり左手に来たり、全身に及ぶこともある。腫瘍自体はキレイに取り除けたものの、周辺の組織がまだ一種の興奮状態にあって、発作を引き起こしているという。震源はなくても余震が続いているようなものか。

 けいれんが始まるとナースコールを押す。看護師が駆けつけ、酸素マスク、体内酸素濃度モニタを手際良く装着。様子を見て、薬を使うかどうか判断する。しばらく収まらないようであれば、セルシンを点滴でドリップ開始。それでも効かなければ抱水クロラールを注腸、というのが大体の流れだ(あんまり挿されるので、しまいには切れ痔になってしまった)。

 そのお陰で2月から3月頭にかけては、室内すら歩行厳禁だった。ベッドには柵。個室だったのでトイレは室内にあるのだが、行きたくなるたびにナースコールを押さなくてはならない。特に夜勤は2人体制なので呼んでもすぐ来ないことも多く、そのタイムラグを計算して、尿意または便意をそこそこ引き寄せたところでボタンを押す。これも不便だった。


 この頃まで、CTやMRIの検査室への移動もストレッチャーに乗ったままなので、部屋の中はとにかく、室外で視界に入るのは天井だけだった。しばらくして車椅子に乗って廊下に出ることが許された時には、今まで見ていた景色が全然違って見えた。とにかく寝たきりの状態の視野というのは極端に情報量が少なく、不安になりがちだ。

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