Burkhard Stangl (guitar) + Dieb 13 (turntable)w/ Billy Roisz (live visuals)____________________________________
ブルクハルト・シュタングル(ギター)、Dieb
13(ターンテーブル、コンピュータ)、ビリー・ロイツ(ビデオアーチスト)の3人は、ウイーンの先鋭的な音楽・映像シーンで活動しているアーチストだ。
シュタングルのギターからシンプルな和音が鳴り、その余韻の後にDieb
13のエレクトロニクスのノイズが滑り込むように入ってくる。長い間の後に投じられるアコースティック・ギターの和音が、しんと静まりかえった静寂を生む一方で、Dieb
13のラップトップから低周波の電子音が生まれて、細かな粒子のように空気中に満ち、静かに壁や地面を震わせている。アコースティックな音と電子音が、まるで違う場所で鳴っている音のように、けっして混ざり合わずに、交差しながら展開していく。まったく風景の違う写真が2枚重なっているのを透かして眺めているような違和感とともに、不思議な心地よさがある。
ステージの背後のスクリーンでは、ビリー・ロイツのビデオの映像が、音楽の微かな変化に反応するかのように、音楽と同じパルスをもって上下に振動しながら動いていく。まるで、ギターの音や微かな重低音から生まれた力が、スクリーン上の画像や線をゆっくりと溶かしていくように、音と映像がぴたりと合っている。映像が音楽のじゃまになることはなく、音の高まりや静けさと映像の変化が同じ波動で動いている。じっと見ていると、まるで映像からギターの音や電子音が生まれているかのような錯覚にもとらわれる。しだいに大きくなっていく電子音の渦は、静けさを保ちながらも畏怖感を呼び起こす力がある。ノイズの巨大な渦が吹き荒れた直後に、ふいにDieb
13のラップトップからクリアな音が生まれ、一瞬にして空気が浄化されたかのような透明な感覚に包まれる。広い真っ白な空間をゆっくりと横切る小さな靴音のようなサウンドに、Dieb
13の洗練された感性を感じる。
音楽の背後の映像の中で、デジタルな描写の線と手書き風の線が、ちょうと2つの異なる楽器が互いの音に敏感に反応するように、微かに震えながら交差していく。ビデオの映像が、音楽に同調してそのインパクトを増幅しているよう。音楽の終わりに、それまで別々の空間で鳴っていたかのようなアコースティック・ギターと電子音が、ふと重なり、一つに溶け合う瞬間が訪れる。スクリーンの映像の2つの異なる線が溶けるように重なり、その溶け合った格子模様の中に、車や人の往来やビルの形が浮かび上がるように現れ、ふと気がつくと、それは雑多なエネルギーに満ちあふれたマンハッタンの風景に見えていた。
copyright 2003 (c) Yuko Zama |
||

