♂と♀の偏微分な方程式
戦えアスカちゃん!?

きょちゃん!? 

Presented by Mutsuki






電波 じゅうく − 決戦、第三東京第一中学校 〜燃えろいい女っ…そして、萌えろいい女(笑)〜

跳ねるように軽やかに歩み続けるシンジ、それにワンテンポ遅れて弾む何か(?)
綾波レイが油断なく隣を陣取り、左手をシンジに触れて存在を確認すると同時に周囲を威嚇する。

シンジに不用意に近づくと凍る視線で射抜かれ、
絶対零度の「・・・何?」を拝領する。

綾波レイの納得する理由を紡がない限りその視線から逃れる術はなく、活動を停止させられ、
その視線から解放されてもしばしは復帰できずに固まったままうち捨てられる運命になる。

あたしはシンジの周囲を徘徊し、シンジの様子をうかがった。
ファーストはあたしがシンジのそばにいることが気に入らないみたい・・・
おそらく、今朝シンジが、例え冗談であっても、あたしに構うそぶりをファーストの前で見せたからだろう。

臆病ってのは嫌だけど
はっ・・・変態の仲間入りする勇気なんて、要らないわよ。

ファーストの視線など物ともせずにシンジを観察する。
別にファーストを見てるわけではない。
ファーストを気にしなければ、ファーストの視線も気にならない。

シンジに陰が見あたらなくなった。
いつも一歩引いていて、必ず誰かに歩調を合わせる。
いつもの誰かの顔色うかがう仕草がなりを潜めた。

シンジは今、自分のリズムで歩いている。

女装、オカマ・・・
昨日までは変態の一言で終わらせれたのに・・・

シンジは新生してしまった・・・


変態のシンジは本当に『変態*』した。

(*変態:蟹などの幼生が成長の過程でその形態を変えること)

今までのシンジを知らない人間がシンジを変だと思うことはないだろう。

シンジが受け入れる限り、このシンジが普通になっていくだろう・・・

シンジが普通、シンジが普通、シンジが普通・・・!?

あたしは普通?


あはっ

「あはっ、あはははは・・・」




「?」
「アスカ?」

「ははははは・・・」

「アスカ!?
 どうしたの?」


「ははははは・・・」

くいくい・・・

「碇君、碇君・・・こういうときは(嘲)笑えばいいと思うの」

「えっ?」


「くすくすくすくす・・・」
(弐号機パイロット、無様ね・・・)

「えっ!?

 ええっ!?」

「くすくす・・・」
(お猿さん、いい気味・・・)

「あ、綾波・・・こういうときは違うと思うんだけど・・・」

「・・・違うの?」

「えっ?

 あ・・・うん、そうだと思うよ。」

「そうなのね・・・

 でも、問題ないわ。」(断定)

「問題・・・ないの?」

「ええ・・・

 でも、このままだと、学校に遅れてしまう・・・
 問題あるわ

 先に行くから・・・」



「えっ?」

綾波・・・行っちゃうの?

「さよなら・・・」

!?

さよならは言わないでって言ったのに・・・



「さあ、行きましょう・・・碇君」


・・・って、僕も?

「あ・・・綾波、アスカはどうするの?」


「碇君、司令は言っていた。

 『人は忘れることで生きていける。しかし、決して忘れてはならないこともある』

 だから、問題ないの・・・」




『忘れてはならないことある』

アスカって、れてもいいの!?



「さあ、行きましょう、碇君。」

弐号機パイロットをここに置き去ることに問題があること、碇君には秘密なの・・・

弐号機パイロットをこんな所に不法放棄する事は悪いこと・・・
みんなが迷惑してしまう・・・

ごめんなさい

いつか、手順(?)を踏んで、きちんと(?)処理(???)するわ・・・

碇君と私のためだもの・・

今はまだ準備ができてないし、機も満ちてない・・・なのに弐号機パイロットを不法投棄してしまった。

でも、これも碇君と私のためなの・・・

遅刻すると碇君も私も怒られてしまう・・・碇君も悪い子になってしまうの。

遅刻で立たされて、二人して教室の外に追いやられるの・・・

まるで楽園を追放されたアダムとイブのよう・・・

ちょっと、素敵・・・

そして、授業中の廊下は誰もいないの・・・

誰もいない?

・・・・・・・・・・・にやり








くすくすくす・・・


「碇君、誰も見てないの・・・(やや謎)
 二人だけの秘密?(謎)
 二人だけの秘密は絆なの(さらに謎)
 さあ、一つになりましょう、絆を結びましょう・・・(激謎)」


くすくすくす・・・・




ビクゥ

ああっ・・・綾波までぇぇぇ!!!!


「あっ、綾波ぃ・・・僕を一人にしないでよぉ〜」

脈絡なく笑い続ける二人と一緒に居続けることは辛い・・・
もともと注目はされていたが、注目のされ方が変わってきたことは明白である。




はっ!?

「碇君は私が守るわ」

「ありがとう、綾波・・・」

「行きましょう、碇君」
「うん・・・これ以上はしょうがないかもね・・・」

「じゃあ、行こう。」
「何処によ・・・」

「どこって、学校だよ・・・って、アスカ!?
 帰ってきたの(?)」


「そのまま、逝ってればよかったのに・・・」

「そのまえに、あんたを逝かしてやるわ」


か、会話が妖しい(?)よ・・・







何だかんだ言っていても何とか僕らは学校に着けました。

登校途中で何人か爆走するアスカに轢かれたけど・・・

まっ、いっか

アスカ、何か嫌なことでもあったのかな?




「おはよ、ヒカリ♪」

「あっ、アスカ!?」

久々に帰って来た親友にヒカリは驚いた。
しばしの観察を経て・・・

「やっと、正気に返ったのね・・・
 嬉しいわ♪」







「ヒカリ、あのね・・・
 あたし、その表現はかなり不本意だわ・・・」









「えぇ〜!?」
「惣流さ〜ん・・・」
「もどっちゃったのぉ〜」

「格好良かったのにぃ〜」

「「「はぁぁぁ、残念ねぇ〜・・・」」」






「あんた達・・・

 人の不幸を喜ぶような奴は

 ろくな死に方しない・・・って、実感させてあげよっか♪」

「「謹んで辞退させて頂きます。」」

「おはよ〜、洞木さん♪」
「おはよう、碇君」

・・・・・・

「ちょっ・・・ちょっと、ヒカリ」
「なに、アスカ?」

「なにって、あんたシンジ見て何で何も言わないのよ?」

「なにって趣味なんでしょ?
 昨日からそうだったじゃない?」

「昨日になくて今日あるもんがあるでしょうがっ!

 シンジっ、こっちに来なさい!」

ちょいちょい・・・
手招きする。
そこは外人らしく、逆手・・・手のひらを内に向けて指を前後に動かす仕草だ。

「?
 なに、アスカ」

ひょこひょことやってきたシンジの方を掴むとぐるりと自分に背を向けるように回転させヒカリに向かい合わせる。

そして・・・
後ろ側から

わしっ!・・・っと、掴んだ。

「これよ、これぇ!」

わしわしぃ!

・・・今度は持ち上げる。

「普通、男に、コレはついてないでしょうがぁ!!!」








かっぽ〜ん・・・(イメージ擬音)





「アスカ・・・いま、何してるか・・・

 わかってるの?

 わかってやってるの?」



アスカ・・・
昨日までのあなたなら

反転カップルとして・・・

ちょっと退いてしまうけど・・・
かなり、変な組み合わせだけど・・・

祝福できたかも知れないのに・・・


碇君も碇君よ・・・

アスカがトチ狂ってる間に変身してくれれば、まだ、社会的にまともな組み合わせだったのに・・・



「駄目!!!」

ドンッ・・・
綾波レイがアスカを突き飛ばす。

「碇君に何をするの・・・
 碇君から離れて・・・」

「あんたこそ、なにすんのよ!?」

「碇君は私が守るわ・・・」

「はっ、シンジの胸なんかに顔埋めて喜んでる奴が何が『碇君を守るわ』よ、笑わせるわ。」

「!!」

き・・・絆を、私の絆を・・・

「なんか・・・って、ひどいよ、アスカ・・・

 二度も揉んだくせにぃ・・・」


・・・って、アスカ、二回もって、不潔よ!

それに、祝福されないわ・・

駄目よ、アスカ




「!!!!!!」

碇君が呼んでる・・・(?)

あなた、許さない・・・
招かれサルものは日光の山に還るべき・・・
      (ざる)     (深淵の淵)

殲滅滅殺殺!!!

日本動物保護団体が許しても、私の中の碇君(?)は決して貴方を許さない!



「・・・・・殲滅するわ」



「やれるもんならやってご覧なさい!」


「異議ありぃぃぃ!!!」

「惣流!
 それは違うぞ!」




「シンジぃ!」

「・・・なっ、何?」

「ち、ちち・・・さわってもいいですか?」

「い・・・嫌だよ」


「ち、ちちに埋まってもいいですかぁ?」

「だから、嫌だって・・・」

「さすが、ネルフ!

 昨日今日で
 おどろきのでかさに!」(やや意味不明)




まりたいぞ、シンジ!」

「埋もれられたら、嬉しいぞ、惣流!」

「俺達・・・

 ちょっと(?)、シンジを守りたい気分だぞ!」


「「やだぁ・・・最低ぇ・・・」」



「駄目・・・碇君は私が守る。」



「綾波には悪いが、『愛は惜しみなく奪うものだ』

 いざ、勝負ぅ!!!」

同心円上にずらりと立ち並ぶ。
護衛は綾波レイ一人だが、棒倒しのようだ。

ただし、押し倒されるのは棒ではなく、シンジなところが倫理上問題、大ありだ。

「おぉぉぉ!!!」


駄目ぇぇ!!!」

ガッ

ボフッ

ゴッ・・・ズゥ

感情的に思わずやった様に見えて実にスキルフルに、足払いから、蹴り上げて、打ち下ろす感じに蹴り伏せる。

一連の流れで止めを刺し、活動停止に追いやったところが怖い。






アスカ・・・

「惣流・・・なんで、駄目なんだよ・・・?
 シンジを馬鹿にしてたじゃないか・・?

 何で、邪魔するんだよ?」

「気・・・気のせいよ、気のせい・・・」


「気のせいであんな事になってるのか?」

『沈黙の後』という題名が付きそうなオブジェがそこにあった。

気のせいであんなことするのか?」

「『駄目ぇぇ!!!』とか言ってたな・・・

 その辺はどうなんだ?








「アスカ・・・どうなの?」

「ヒカリまで・・・あたしを責めるの?

「いいえ・・・
 アスカが本当にやりたいことなら私、止めないわ・・・」





「止めないの?」

「ええ・・・だから巻き込まないでね♪






「あたし、もう、止まらないかもしれないわよ?」

「どうぞ」



「不潔・・・ってやつかも知れないのに?」

わかっててやってるんでしょ?






「あたし・・・ここにいていいの?

私を巻き込まなかったらね?



「そう・・・なの?

「そうよ・・・素直になりなさい、アスカ♪」




「惣流・アスカ・ラングレー・・・行くわよ!(謎)


「行くわよ・・・って、惣流、変だぞ?」

「そうだぁ、綾波もだ!」

「シンジは俺達の希望の産物だが、お前らにとっては非生産物(?)じゃないか!

何でだよ!?」

「生産する事が全てじゃないわよ・・・」

「碇君は絆だから・・・」

「ファーストもシンジにはでっかいの二つも付いてるんだから、一つくらいあたしに貸しなさいよ。」
「それは嫌・・・」

「けち」
「構わないわ・・・」

「独占欲の権化」
「あなたには負けるわ・・・」

「インモラリスト」
「あなたに言われたくないわ・・・」

「惣流、綾波!
 お前達・・・未来は明るくないぞ!」
「世間の風は限りなく冷たいんだ!」

「俺達の希望を閉ざさないでくれ・・・」(?)

「我々には補完が必要なんだ!」(?)


「碇君がいれば、それでよい・・・」

「ふん・・・
 そんなこと何度も考えたわよ・・・
 ・・・でもね

 『生きることへの絶望なくして、生きることへの愛はない』

 生きることに絶望を見たあたしなら・・・
 あとは生きること愛に見いだせばよいのよ!」














「生きることに愛を見いだすなら・・・俺達は愛に生きる




「あんた達は・・・死ねぇ!!!

『恋愛と戦争は手段を選ばず』

「目標は殲滅するの・・・そう、あなた達、死ぬのね





そして

決戦、第三東京第一中学校

勃発!!!












「碇・・・お前の息子(?)は何をやっている。」
「パイロットの性別が反転するとは・・・この修正容易ではないぞ?」
「性反転は問題ではない・・・なぜ、パイロットの精神が癒され補完されつつある!?」
「パイロットが補完されていては、サードインパクトの鍵とはならぬぞ?わかっておるのか?」

「碇・・・息子(?)の教育を、間違えたな・・・」
「さよう・・・同性で同棲するとは・・・」

「ふつう、同性の同棲は問題ないのではないのか?」

「同性の同棲で問題のある同棲なのだ・・・」(激謎)

「碇・・・いったい息子(?)に何を教育したのかね?」

「問題・・・ありません・・・」

我々の計画にも・・・一般社会でも・・・大いに問題があると判断するのだが、うかね?」

「ぐっ・・・」

「碇・・・息子に正しい道を説くことを願うぞ・・・」

「全ては、ゼーレのために・・・」

「「「ゼーレのために!!!」」」







「碇・・・随分とつるし上げをくったようだな・・・」
「しょせん口先だけだ・・・枯れたジジイに何ができる。」

「碇・・・?
 何を言っている?」

「問題ない
 全てはシンジが悪いのだ。」

「シンジ君が・・・か?
 なら一言、言ったらどうだ?」

「くっ・・・」

「ユイ君を思い出して、ろくに見ることもできんくせに・・・」

「くっ、」

「それで、赤木博士にシンジ君の調査は進めさせているのか?」

「いや・・・問題ない、使徒の迎撃が最優先だ。」

「いまのシンジ君が可愛いだけなくせに・・・」

(これが、こいつの可愛い処かね・・・ユイ君、犯罪スレスレだよ・・・)



今後の世界はきっと幸せ
いろんなことをしたりされたり(激謎)

〜The End〜





  〜あとがき〜
これが最後。

次回…もうない。ごくろうさんでした。
それでは、さようなら。

睦月  3/28,2000


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NACのコメント:
最終回です。お疲れさまでした(^^)
シンジの女性化が騒動になるかと思いきや、みんなに受け入れられまくってますね(^^;
どれくらい可愛くなったものか、ちょっと現物を見てみたい気も・・・。
ずっと悩める主人公だったアスカも割り切って突き抜けちゃったようだし、めでたしめでたし(^^)・・・なのかなぁ・・・(^^;
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