新聞書評

世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団
クリックすると拡大画像が見られます 世界で一番いのちの短い国 山本 敏晴著

 著者は65年生まれの医師。国境なき医師団(MSF)の一員として、世界最悪の医療事情に苦しむ西アフリカ・シエラレオネに派遣された。
 日夜の診療に加え、病院の再建、辺境への診療所開設、現地スタッフの育成など、半年間によくぞここまで、と感嘆する奮闘ぶりが語られる。特に共感するのは、言葉や風習を覚えて人々に溶け込もうとする姿勢と、人間関係のトラブルや、恥ずかしい失敗も隠さず書いている点だ。
 MSFは80か国に医師や運営スタッフなどを派遣し、ノーベル平和賞も受賞したNGO。それでも参加者には、旅行好きや、ちょっといいことがしてみたい、といった程度の動機が目立つという。そういう人は劣悪な環境にも適応力が高く、重宝がられることが多いのだそうだ。
 救援の現場で真に求められるのは、有用な人間であり、高尚な動機などなくてもいい。国際貢献を志す人に、勇気と実践的な知識を授けてくれる一冊だ。

今週の赤マル / 読売新聞 2003.02.09


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