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第二晶「百花霊乱」

First Crystalline: A Fuse of Bombs

 千の少女らの裸体しかし死体である所の祭り灯に照らされる死体回収者は裸体ではなく死体を回収しに来ていた、つまり少女然たる様の永劫欲しさを謳う悪趣味な美的感覚に適合する剥製素材の調達だとかまた死肉の塊にまだ以って少女の型を見その腐敗増進を助ける事に躍起になれる名状し難い愛の非常を往く者への理解だとかはまるで視野に入れていない、情動の影に飲み込まれる無抵抗なる究極静を宿す性玩具の取り扱い方など慎重に考えなくてよく、ただ、若き死のエキスを高純度で取得しそれを持ち運び易い物体に変えてしまえばいいのだ、目的とされているのは人の体ではなく、物の体、少女の体の整い様にも勝る意味合いを持ち得る或る一種としての個性を十二分に発揮した物たる格別それが欲しいのだ。であるからして選びの過程では外面のみに囚われ過ぎずかと言って無視し切るでもなく少女の死体に物としての未来を上手く透かし見る事が重要になって来る。この地から垂れ下がる花のどれが心も体もいつでも繋がっているのにどうしようもない程に一つの別個である私の片割れの一部となればアンバランスは形成されるだろうか、私の注意点はそこに集中する。私はこの花一つ一つが花に繋がっていた人の短い生の始終を語っていると考えている、波風立てずに静かに自らの死を受け入れた人、花を受け入れようとして花ではない自分を受け入れられなくなった人、花を破壊しようとして自分を壊してしまった人、花畑の景色に魅せられ過ぎてそこから動けなくなり果てた人、見えない何かを目指して必死で足掻いた人、見えない何かから必死で逃げようとした人、見えない何かを目指す事も無くそれから逃げる事も無くただ怯える事しか出来なかった人、ひたすら延命を目指しとことんまで花の都合に合わせた人、逆にそれを出来る限り蔑ろにして短命に終わった人、そういった様々な人生模様が花の姿の中に見え隠れしている気がしてならないのだ。その人生のどれも非難する気はないし賞賛する気にもなれない、一体何をどうする事が正解なのか、いやそもそも正解と呼べる物が存在するのか定かではないこの世界での過ごし方をどう評価していい物か皆目見当が付かないからだ。ただ分かるのは、時たま気がおかしくなって花との接続が解除された様になっている人が居た事だ、もはや死の足取りもその全てが判ると言う程に花との日々が終わりに近づいて来た頃になって頭の中の花園の住人と化してしまったらしき人々の墓碑である水仙を感じ取る度、私はこれぞと考えて収穫することにしている。もしそうした花が崩れ出来た水を私に繋がった花に与え続ければ花と人とは繋がっているべき物、と言うこの世界での狂気の常識が覆るかも知れない、安定した強固さを示す私と花とを縛る鎖に錆が生まれるかも知れない。勿論基本的に私と花との繋がりが絶たれれば即ち死が待っている事になっているが繋がりを無理やりにではなく自ら絶ってみせた人の存在の証拠をこの花畑で感じ取る事が出来ない以上、これはやってみる価値の有る事だと言えるだろう。私側にも、花側にも等しく爆弾は置かれ、その導火線は一本に繋がっている。それで如何に上手い事導火線の花側寄りに着火して見せるかだ、九分九厘それで私は死ぬが花をまず砕いてみせる事に意味の有りや否や、そんな悲惨な希望だけがとある一囚人に独房の外の見えない何かに対する抵抗意欲を抱かせてくれるのだった。

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