NHK『爆笑オンエアバトル』感想

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2002.11.16

ドランクドラゴンは、鈴木が塚地扮する女の子をナンパするコント。これまた塚地が自らの資質を活かした気持ち悪いキャラクターを演じている。セリフから察するに、マンガ特にアクションマンガおたくという設定だろうか。ツボは「すべてのお笑い芸人に謝罪しなさい!」や「西山と名乗りなさい!」。オチのくだらなさにも笑った。

チャイルドマシーンの漫才は、山本をアイドル・デビューさせようと、樅野が書いた歌詞を読む。だが、ミニモニやプッチモニの曲に実際にあってもおかしくないものだった。ネタにするなら、それを超えるくらいの爆発力が必要だろう。

ダンディ坂野は家電ジョーク。スベってもその後の笑顔で笑いを取り戻してしまう。得なキャラクターでうらやましい。
磁石は、コンビ2人とも拙さが現れていた。一所懸命なのは伝わってくるので今後に期待。

2002.11.9

麒麟が4戦4連勝。後半は、チキンナゲットの余分をお店に返しに行くという川島の一人芝居。今まで田村の下手さが気になっていたが、川島の一人芝居なんかには、彼の上滑りなツッコミは合っているのかも、と今回思えた。突飛なセリフに田村が「どういうこと?」と訊いたあと、芝居中のキャラも「どういうこと?」と言う箇所が良かった。

ブラザースは、紙芝居「浦島太郎」。大半は笑えなかったが、通常の紙芝居を逆手に取った「紙使いすぎや」でウケた。途中で「それからどしたの」と言うキャラクターの元は、アニメ「ハクション大魔王」のそれからおじさん。懐かしい。

エレキコミックは、コント「やっつんリストランテ」。客席に背を向けるシーンには唸ったが、それ以外は、エレキコミックにしては普通。彼らはネタを演じるごとに変えていくそうだから、これは作りたてだろうか。


2002.11.2

キングオブコメディは、登校拒否の中学生と家に訪ねてきた同級生のコント。じゅうぶんな間と、「つまり構図は変わんないんだね」「とどめ?」「なんだよ先駆者かよ」など、一字一句練られたセリフに笑った。今回の個人的MVP。

$10は、見かけ奇抜なのに内容がベタすぎ。フットボールアワーは、戦隊のテーマ曲にはウケたところもあったが決定打に欠けた。ダイノジは、大層に見えるネタだが内容的にはひどい。「魔王」のみくすっときた。


2002.10.26

オンエアのうち漫才が4組。
ランディーズ、アメデオは濃慣れてはいるが、ネタがパンチ不足。
三拍子もありがち。ボケの畳み掛けなど参考はホーム・チームか。
ルート33は、増田が、今までのようにフリやツッコミ役だけでなく、フリのときに自分もおどけたりする。言うなれば小ボケ担当。そこに堂土が更にボケをかますことで、笑いのバリエーションが広がる工夫がなされている。

一人しゃべりのだいたひかるは、よく物事を観察していて、はずれもあるが、言葉の遣い方や独特の間で笑いに繋げる。「ボディービルダーが〜」や、「〜という一連の流れ」などに笑った。

10月21日のNHK衛星第2「新真夜中の王国」で、失格組のネタを一部紹介する「爆笑オフエアバトル」を見た。ネタの一部だけでは評価できないので普段は言及しないが、今回、青木さやかがとても面白かった。全体が観たかった。


2002.10.19

スピードワゴンは、井戸田を主人公にした探偵ドラマを作るという漫才。普通の漫才に仕上げない姿勢が好ましい。井戸田もツッコむだけでなく、小沢のボケにノってきたり。渋々演じるときの井戸田の「特別だぞ」に笑った。

キングコングは、運動競技を題材にダイナミックな漫才。いい身体能力を持っているのだから、内容の幼稚さがなくなれば評価だって上がるはず。まだ若いか。

タカアンドトシはところどころ。後半の「持ち物検査する先生の役やるぞ」、「ちくしょうなんであいつだけモテんだよ」〜「オレだろう」の部分がウケた。
星野卓也は、個人的には、スベりまくってるように見えた。彼女の設定、ヘンなニックネームになんてしなくていいのに。


2002.10.12

ユリオカ超特Qは、ヘンなタイトルの曲にツッコむスタンダップコミック。着眼点がいい。「愛したら異邦人」のくだりに笑った。

チュートリアルは、心霊写真の除霊に来た不良とお寺のお坊さんのコント。笑ったのは「咲かせてみせます六分咲き」〜「満開ちゃうんかい」。徳井の細かい言葉遣いのボケなどは、ダウンタウン周辺を思わせる。

パックンマックンは、ハリウッド版の昔話「桃太郎」の脚本を読むという漫才。アメリカ人であることを前面に出したパックンのボケなどはいいが、ツッコミの弱さもあり爆笑には至らなかった。

アンタッチャブルは、万引きで捕まった息子とその父親の漫才形式のコント。早口で全力の漫才は迫力あるが、空虚ささえ感じるほど、全体に中身が薄かった。


2002.10.5

麒麟はいつも通りユニークな漫才。M-1グランプリ以来、話題先行の感があるが、今回も普通におもしろいし、そこここに才気も感じられる。有望なコンビだと思う。

ほかはとんとん。テツandトモはちゃんと楽しませようという気概が見えたが、シャカは設定の段階で止まっていたし、2丁拳銃のアニメネタは精彩に欠けた。せんたくばさみは、喋り方をユニークにすれば面白いというわけではないということ。


2002.9.28

エレキコミックは、昔話「鶴の恩返し」を元にしたコント。障子の向こうで、谷井の声でさまざまな不条理な出来事が行われるのだが、破壊的にくだらなくておもしろかった。

ドランクドラゴンは、父親からのビデオレターのコント。オチはもう一つだが、いつもながらの彼らの世界だった。ウケたのは、「病気か?」、「わしが医者だったら、どんなに女にモテるだろう」。

チャイルドマシーンは、ファンレターをネタにした漫才。笑ったのは、「初めてチャイルドマシーンを見たときから一向にくしゃみが止まりません」、「色の濃いほうが私です」。ところで、「いずくんば」という古語はなく、正しくは「いずくんぞ」。

ところで、オープニングで、演者の練習風景を映すとき、セリフが聞こえるのは止めてほしい。ネタは新鮮な気持ちで見たい。


2002.9.21

初登場のインパルスが、トップでオンエア。異様な雰囲気の中始まる、特異なきせる犯の取り調べコント。「完全なる30歳」など、セリフの言葉の選び方などにセンスあり。その手のマンガの影響を感じた。テイスト的に、しりあがり寿の『暗黒皇子ダーク山田』に近いか。

陣内智則は、児童の絵日記を読む先生の一人コント。日記を読んだ後、その絵がスライドで映されるのだが、笑わせようとする意図が透けて見えてしまい、冷めてしまう。最もいただけないのは、自分の絵にツッコむオチ。ぎりぎりの点数でのオンエアだったが、このネタでは仕方ない。

飛石連休も夏休みの日記をネタにした漫才。岩見の味のあるキャラクターを活かしていて、わりと良かった。
不動産屋さんネタのおぎやはぎの漫才は、面白いことは面白かったが、自らの持つ「味」に頼ってはいないか。もっとネタ自体を練ってほしい。


2002.9.14

アンジャッシュは、コント「ピーポーくん」。警視庁のキャラクターピーポくんに似せたピーポーくんにサンプラーで声をアてる。「逆に嫌味になっちゃうから」「何ヤなこと忘れようとしてるの」などのセリフ、構成、オチ、すべて完成度高し。めちゃくちゃ笑った。

長井秀和も、相変わらず偏執狂的でおもしろかった。「広末と田上は根源的に何かが違う」と言っておいて「ルックスだ」とか、「ここで言うヘンなおじさんとは、志村ではない。わりとマーシーのほうだ」とか。

ダイノジは、テレビや音楽をネタにした漫才。自分の嗜好ともかぶるネタだが、全く笑えなかった。ボケが弱いと思う。最後に決める「ダーイ」のポーズは、間があくので、一考したほうがいい。


2002.9.7

はなわはベースに乗せての「佐賀第7章」。今回は佐賀での収録ということで、彼のためにあるような回だった。ネタにめぼしさはなかったが、観客と一体になって盛り上げていた。

華丸・大吉も地元九州ネタ。おもしろかった。他地方の人にはハテナなローカルネタも、自分の土地に置き換えてみるとわかりやすい。川平慈英の真似をしてたが、似てるね。

ペナルティは、爺さん型お手伝いロボットのコント。いつものように、昔のナンセンスギャグマンガを思わせる味。表情だけでなくネタとしてもちゃんと面白い。中川のツッコミもいい。

バカリズムは、ラジオ体操の節に乗せた「ラジオ挫折」。発想の先にもう一ひねり欲しい。体操っぽかったり、音楽に合わせたりするホテルのくだりは、よくできてると思った。


2002.8.31

アンタッチャブルは、プロポーズネタの漫才。彼らのネタとしては味薄めだが、柴田の速射砲のようなツッコミがそれをカバーし、高得点をマーク。力技だった。

ユリオカ超特Qは、女性の多い客席を前に、本来プロレスファン向けでしかない藤波辰巳のネタで全編通した。勇気あるなあ。

底ぬけAIR-LINEは、代表作ATEBURI。動作で曲の歌詞を表すのが肝だが、たとえば、前フリで「大助」という言葉を出していなければ、曲が流れるさい理解できないというのはどうも腑に落ちない。ATEBURIには、うまさを求めてしまうのだ。


2002.8.24

今回は平均点くらいのネタが多かった。

スピードワゴン、18KIN、2丁拳銃が漫才を披露。
スピードワゴンは、小沢の書いたドラマの脚本を披露するネタで、マンガ並に突飛な話だが、井戸田が適時にツッコむので辛うじてついていける。18KINは、冷蔵庫の擬人化など、いかにもな爆笑問題的発想。
3年ぶり2度目の登場でオンエアの2丁拳銃は、アテレコとテレビショッピング。紹介ナレーションの通り、よくできたネタだとは思うが、爆発力のある笑いがほしい。笑ったのは「妥当!」。

スマイリーキクチは、バカな若者に遭遇した体験を、わかりやすくも独自の話術で面白おかしく話した。福田哲平は「平成教育委員会」を下敷きに、日本のヒット曲のフレーズを使ったネタ。ぽつぽつとウケたが、曲に偏りが見え、もっともっと多くの曲を聴いてネタを吟味してほしい。


2002.8.17 サマースペシャル2002

今回のスペシャルも、番組ファンに向けた内輪ネタの目立つファン感謝デー的なノリ。

その中でウケたのは、アルファルファ+アンジャッシュのソウルフル合唱団、おぎやはぎ+バナナマンのダ・ポンプ、いつもここから色の強いいつもここから+ルート33の葬式コントなど。ロングコントの時代劇では、アンタッチャブルが頑張っていた。


2002.8.3

オンエア常連の5組が合格という、順当な結果だったが、全体的には物足りなかった。

テツandトモは、談志のアドバイスもあってか、いつものパターンに、ワールドカップ、映画『スパイダーマン』、鈴木宗男などの時事ネタを取り入れていた。ぎこちなくはあったが、時間をかければうまく消化できるようになるだろう。

ホーム・チームは勢いとコンビネーションで見せていた。ハリガネロックの漫才は、会場はウケていたが、テレビの前では温度差を感じた。
チュートリアルはサスペンス・ドラマのパロディーで、ちょっと安易な笑いに走った印象。一人コントの田上よしえは、ネタ切れ著しい。


2002.7.27

今週は粒ぞろいで、どの組も良かったと思う。

ドランクドラゴンは、新幹線の車内アナウンスと乗客のコント。この手のコント、設定を大きくはみ出せずに終わる場合が多いが、彼らはさすが。ラジオ番組に物真似と、脱線に脱線を重ね、大いに笑わせた。最も笑ったのは、マスオさんの物真似。

マギー審司は、マジシャンはマジックを披露するものという了解を逆手にとって、時間の大半を物真似に費やした。「まんが日本昔ばなし」、「氷川きよしときどき伊東四朗」、「いっこく堂も伊東四朗」などおもしろかったが、最後に披露した肝心のマジックは、みんなにタネが割れてしまったのでは。

ブラザースは2年ぶりのオンエア。“一気”という言葉のところでの「年貢を“上げろ”」という二重ボケなど、ちゃんと練った跡がうかがえて好ましかった。ほかにウケたのは「動き過ぎや」、「大のほう」など。

チャイルドマシーンは、山本を主人公にしたヒーローものの番組を考えるという漫才。“キャメルマン”などはウケたが、全体に考えオチが多い。樅野は本を読むため下を向きがち、もっと前を見てしゃべったほうがいい。ところで、おそらく“ヤマモメン豆腐”という小ネタだけのための、ヤマモメンというネーミングは少し苦しいのでは。複数形だし。


2002.7.20

いつもここからは、クマのぬいぐるみを、キャッチボールの球、茶碗などに見立てるというコント。一見シュールだが、見立ての例もわかりやすく、ぬいぐるみが布巾や茶碗の代わりにされている可笑しさは、取っつきやすい。オチはあってもなくてもよかった。

フットボールアワーは、彼ら宛てのファンレターを読むという漫才。彼らは、手紙や本などの文を使ったネタが好きなようだ。こういう類はたくさん見ているので、個人的にはぴんとは来ないが、今回は、「好きな色はいろいろ」のくだりにウケた。後藤のツッコミは上手だと思う。

アルファルファ、いまいち。どうしたんだろう。


2002.7.13

麒麟は、今回も一筋縄では行かない漫才を披露。田村と川島が、新聞の勧誘、恋人からの詰問などの場面で、どんな勇気を出せるかを、お互いにやって見せる。川島のボケはほとんど無理問答に近いが、その前に田村が例を見せているため、笑いが起きやすくなる。

はなわは冒頭に、出演した学園祭で観た学生のコントをそのまま演じ、「パクりました」と発言、お笑いサイトでよくあるパクリだどうだの論議をせせら笑うかのよう。本編は、ベースに乗せて、千葉の特徴を歌った「千葉県」という曲を披露。難のない出来。途中入れるフェイクがおもしろい。

ペナルティは、小学生と妖精のコント。パンチパーマに口ひげと、映画『マイケル』のジョン・トラボルタの天使以上に、らしくないルックスの妖精に脇田が扮する。ウケたのは、習字とピカチュウ。中川のツッコミがいい。

スマイリーキクチはスタンダップコメディ。誰の心の中にもある性格の悪い部分を、自ら具体的に吐露してみせることで、見る者の共感の笑いを得た。

CUBEは、刑事と強盗のコントで初オンエア。石川の刑事はキャラクターがあるが、ボケが弱い。和田もツッコミ役以上のプラスアルファがほしい。


2002.7.6

アンジャッシュは、芸人が恋人との結婚をその父親に申し込むという小品コント。児島が、ダチョウ倶楽部のようなヨゴレ芸人を演じる。お笑いを全く知らない堅物の父親のリアクションや、場に似合わないバカっぽいセリフで笑わせる。ちょっといい話として終わるラストもいい。

佐久間一行は、やまんば、金の斧銀の斧、迷いの森といった、洋邦の民話や童話をモチーフにした一人コント。基本はすかしの笑いで、明るいキャラクターと軽い口調が笑いを誘う。素人っぽくもあるが、極めれば芸となりうろう。

ルート33は漫才。ステージ狭しと体を使うアクションや、増田が小ボケをし、堂土がそれを踏まえた大ボケをするパターンなど、笑えるかどうかはさておき新しめの試みが見られた。

坂道コロンブスは、壁が薄いアパートという設定のコントで、隣人役の松丘は声だけの出演。話がややとっちらかり気味。シャカは、ロシアン・ルーレットで、2人がおもしろい言葉を命がけで言い合うという、大喜利のバリエーション。肝心のネタがパンチ不足。両組とも、練ればもっとおもしろくなるネタだと思う。

2002年1月〜6月

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