縦横夢走 2007年 沖縄 編

 南国での旅は? (2007/08/16-08/19)

・08/16 オーリトーリ
・08/17 雨が降り出した
・08/18 台風はそれて
・08/19 島と海


08/16 晴れ/曇り/雨 オーリトーリ 沖縄県石垣市/ドミトリー宿風香/183.8km

 オーリトーリとは石垣島の方言で、沖縄本島で言う「メンソーレ」の意味。「ようこそ」という意味だろうか。

 フェリーが石垣港に入港する直前に目が覚めた。時間は5時。外はまだ暗く、星空が美しい。下船後はまず、今夜のお宿に荷物を預けに行く。こんなに朝早いのに預かってくれるというのは非常にありがたい。身軽になったところで、石垣島巡りに出発!

 今日の天気はまずまず良さそうだが、天気予報によると明日からは期待出来ない。台風が近づいてきているとのことで、その外側の雲が掛かってくるらしい。今回の台風は猛烈に強い台風らしいので困ったもの。明後日に西表島へ行く予定だったのを変更し、20日に西表島へ渡ることになった。フェリーと宿の予約も変更したのでとりあえずは一安心。今までの旅では宿の予約をすることもなくテント泊が中心だったが、こっちの夜はあまりに暑いのでクーラーが無いことには厳しすぎる。ということで、テントは那覇の友人の家に置いてきたので、安宿を利用して旅をすることにした。

0816a 今日巡ったところといえば、まずは「玉取崎展望台」。ここへ来る途中の地面が濡れていたが雨に降られることはなかった。朝日を受けた景色はもう最高に美しく、日が昇るにつれて水の色が変わっていく。写真を何枚か撮ったところで、ふと後ろを振り返ると、大きな虹が出ていた(ロールオーバーイメージ)。

 その後は石垣島最北端の「平久保崎灯台」へ。天気がいいからか水の色が美しい。早朝だからか他に誰も居なかったのをいいことに、この素晴らしい景色を1時間程独り占めしてしまった。

0816b そこからは県道206号の終点まで行くと「この先200m行き止まり」という看板が現れる。が、ここで引き返すのではなく、この先に牧場の中を通っている道があるからそこを通るといいよ、という友人のアドバイスに従い、その先の道を探す。
  あたりをウロウロすると、それらしいゲートを発見。ゲートには「注意:必ず閉めてください」の文字が・・・ここは平久保牧場の私有地になるが、通りたい人は通ってもいい道らしい。途中に水溜りや川まである未舗装路なので、普通のレンタカーで通るのはちょっと厳しいかもしれないが、図鑑で見たような蝶がたくさん飛んでいて、そのからの眺めは最高!(ロールオーバーイメージ)
  さらに、「セマルハコガメ」という天然記念物まで見ることができた。平久保崎灯台を訪れる人の99%はこの道を通らないと思うが、それ故に美しさが保存されているのかもしれない。
  ただ、1つ難点もあって、道路にやたらと牛糞があるということ(笑)
牧場の中を通っている道なので、こればっかりは仕方が無いが、無数にある牛糞を上手く避けるのに肩がこってしまった。

0816c その後は西側に回り、椰子の一種である「ヤエヤマヤシ」の群落を観察(ロールオーバーイメージ)。椰子が集まって生えている様子なんて見たこと無かったのだが、いかにも南国という雰囲気で楽しいものだ。

 お次は、石垣島で恐らく最も有名な景勝地「川平湾」へ。ここは評判通り美しいところで、水が恐ろしく透明だったのが印象的だった。それ故に観光客も多く、それを目当てにした店も多く“いかにも”な雰囲気になってしまっていたのは残念だった。また、今回はしなかったが、グラスボートに乗って珊瑚礁の観察が出来るようで、たくさんのグラスボート屋が建ち並んでいた。

 そこから川平石崎、御神崎灯台、電信屋、唐人墓など、石垣島の名所を巡る。 御神崎灯台へ向かう途中、南国特有スコールにやられてレインスーツを着る余裕も無くずぶ濡れになったが、走っているとすぐ乾いたので助かった。

 石垣島を訪れた人にとっても「電信屋」は聞きなれない場所かも知れないので解説しておくと、明治時代に日清戦争で割譲した台湾との通信連絡用に海底ケーブルを敷設したのだが、そのケーブルの陸揚場だったところだ。鹿児島から沖縄本島、石垣島、西表島を経て台湾に至るケーブルで、太平洋戦争の際の米軍の攻撃目標になったため、残されている建物には無数の弾痕が残っている。高度情報化時代と言われる現在において通信の重要性という言葉はよく聞かれるが、そのことに明治時代に気づいていたということに感心してしまった。

 一旦宿に戻り、夕方からは釣具を持って石垣港へ。せっかく釣具を持ってきたので、釣りに出かけてみたものの台風が近づいてきている為、風が強くて釣りにならなかった。

 明日からの天気が心配なので、今朝は早朝から動きまわれるだけ動き回ったがとにかく疲れた。明日はどうなるかわからないが、今日は惰眠をむさぼることにしよう・・・

08/17 曇り|雨 雨が降り出した 沖縄県石垣市/ドミトリー宿風香/73.6km

 目が覚めると10時。よく寝たので気分もスッキリ。曇天で今にも雨が降り出しそうだが、出発した。昨日通っていない道をつかって、まずは島の北部にある明石集落へ向かう。ここには「明石食堂」というソーキそばで有名な店があるとのことで、是非行くようにという友人のススメがあったから。かなり有名な店らしく、店の前には行列が・・・が、1人の客は珍しく行列に並んだ直後に1席だけ空いているからどうぞと案内が掛かった。もちろんソーキそばを注文したが、どでかいソーキ(豚の軟骨)を煮込んだものがそばの上に乗っており、ボリュームは満点!もちろん完食したが超満腹になってしまった。

 満腹になって気を良くして出発したのもも、まもなく雨が降り出した。降り始めた時にレインスーツを着たのでなんとか助かったが、石垣島も雨だとやたらと路面が滑る・・・その後宿に戻ってくる間に2回滑ってコケそうになった。

 帰り際に石垣市の公設市場に寄ってみたが、商店街で本を1冊だけ買って帰ってきた。外は結構激しい雨で、おまけに風も強くなってきたのでなかなか外出も出来ない。明日の天気予報は暴風雨のようなので、1日宿にカンヅメになることは必至だと思われる。こういうことも予想していたので、のんびり過ごして疲れを癒すことにしよう。

08/18 曇り 台風はそれて 沖縄県石垣市/ドミトリー宿風香/89.1km

 昨夜はドミトリー宿の仲間と酒盛り。こういう宿にくると夜は必ずと言っていいほど宴会が行われる。北海道などでライダーが集まるキャンプ場とはまた違った雰囲気だが、こういう交流は楽しい。ビールや泡盛を楽しんで、夜中には土砂降りの雨と強い風になった。

 今朝起きて、まず外を見ると、風はそこそこ強いが雨は降っていない。天気予報だとどうやら台風はそれたようだが、午前中は激しい雨が降るとのことだったので、出発は昼にする。天気予報は的中し、まもなく大雨が降ってきたが昼前にはそれもやんだ。

 曇天の中だったが、雨が降る気配はなさそうだったので、島内をぶらっとすることに。まずは昼食に「山羊汁」で有名な「一休」という店へ。山羊汁は、食べた人はみな「あれはキッツイ・・・」と口を揃える沖縄では有名な料理。「これは食べとかなあかんで!」という友人のススメもあり挑戦することにした。

 お値段は結構高く、画像の山羊汁とライスのセットで1350円もしたが、高級な食材らしく仕方が無い。「獣独特の臭いが非常にきキツイ」との話だったが、オレはそれ程気にならなかった。山羊汁は肉だけでなく臓器や血も入っているらしく、確かに特有の臭いがあるので苦手だと言う人が多いのもうなずけるが、 今まで世界中で得体の知れないものを色々食べてきたオレにとっては、山羊ごときで耐えられないはずはない(笑)

 食後は島を一周し、道端にある露店などでフルーツを物色。しかし、観光客を相手にしている多くの店は、熟れ過ぎた真っ黄色になったものをやたらと高い値段で売っている。こういう店は試食などもたくさんあるので、そういう店では試食だけして、地元の人が買いに来るような、あまり商売商売していない店で買うのがベストだ。そういう店でパッションフルーツ(1個50円)、スターフルーツ(1個200円)、カニステル(1個300円)、島バナナ(普通はめちゃくちゃ高いのだが、なんとタダでくれた)でGETできたので大満足だった。

 カニステルというのはあまり聞き慣れない果実だと思うが、これは別名エッグフルーツとうものらしい。食感はゆでたまごの黄身のようで、水気が無いらしい。美味いか不味いかは別として、一度食べておきたかったので買ってみたが、食べ頃は明日くらいとのことなので楽しみに取っておこう。

 天気は相変わらずの曇天だが、楽しそうな林道を走ってみたが、国道や県道沿いと違って、まわりの景色はまさにジャングル。亜熱帯の植物が繁茂しており、クルマも走っていないのでかなり楽しめた。

 お次は「ミンサー織り体験」というのをやってみた。ミンサー織りとは八重山の伝統的な織物らしく、それを体験できるところがあったので寄ってみた。1500円を支払い、コースター作りに挑戦!
 もともと手先は器用だし、そんなに難しいものでもなかったが、店の人は「本当に初めてなんですか?これなら売り物になるわ!」とベタ誉め。他の店員まで呼んできて「見て見て!この人凄いわよ!」なんて感じでちょっと恥ずかしくなった。しまいには「今の時期は体験織りが忙しいから、しばらくここでバイトしてくれない?」とまで言われる始末・・・さすがにそうする訳にもいかないので丁重にお断りしたが、ちょっともったいなかったかも(笑)

 最後は公設市場の近辺でお土産を物色。その中にある店のおばさんが凄く面白くて、オレが「石垣島ラー油が欲しい」と告げると別の店を紹介してくれたり、何故か腹いっぱいパイナップルを食わせてくれたり・・・家に帰ってから使えそうなお土産として調味料を買うつもりだったし、値段も他の店よりも安かったのでそこで購入。もちろんオマケもつけてくれて、なかなか買い物が出来た。

 台風のおかげで随分予定が狂ってしまったが、今日はなかなか楽しい1日を過ごすことが出来た。旅に予定変更はつき物だが、こういう1日も悪くない。明日は離島行きの船も出るような感じなので、近場の離島へ日帰りで行こうかと思っている。さてさて、明日の旅はどうなるのでしょうか?

08/19 曇り 島と海 沖縄県石垣市/ドミトリー宿風香/45.8km

 昨夜もドミトリー宿の仲間と酒盛りで、寝たのは深夜2時過ぎ・・・それでも7時半に起きたのは立派だ(笑)

 風が若干強いくらいで、台風による離島便の欠航も無くなったので、今日は石垣島から近い「竹富島」へいくことにした。石垣島には離島桟橋と呼ばれる場所があって、ここから各離島への高速船が出港している。フェリー会社が何社も運行しており、その本数はかなりのもの。まるで飛行場さながらの雰囲気だ。竹富島までの高速船は人間のみだが、竹富島は自転車か水牛で回るのが一般的になっているので、今回はオレだけでいくことにした。

 8時半出港の早い便なので客はオレ以外に2人。乗務員の話では高速船は時速70〜75km/hとめちゃくちゃ早い。約10分の航海で到着するくらい近いが、船に乗っていて爽快な気分になった。

0819a 島に到着後は、レンタルサイクル屋で自転車を借りて島内をまわる。竹富島は昔ながらの八重山の町並みが保存されている場所で観光客も多い。サンゴが敷き詰められた道と石垣、簡素な作りの赤瓦の家々・・・「なごみの塔」と呼ばれる、人ひとりがやっと通れる幅の急斜面の階段を上った先から見下ろすと画像のような町並みを拝める。それぞれの家の屋根には、魔よけのシーサーが飾られていたのも印象的だった(ロールオーバーイメージ)。

 サンゴが敷き詰められた道を自転車で走ると、シャリシャリと音がして心地よい。それぞれの家にはフクギなどの木が植えられているが、その白い道にはほとんど葉っぱが落ちていない・・・なんと自転車が走った跡もほとんど無いのだが、それは住民が毎日竹箒で清掃している努力の賜物である。

0819b 綺麗に並べられた石垣についても同じで、間から生えてくる雑草を綺麗に抜く努力があるからである。ちょうどそんな作業をしていたオバァから色々と話を聞くことが出来た。
 この町並みを残す為には多大な努力が必要であり、最初に“保存されている”と書いたが、住民の力で“保存している”と言った方が正しいと感じた。

 島には綺麗な砂浜もあり、その中には星砂が見つかると言う浜もある。手を砂に押し付けてくっついてきた砂から星砂を探すのだが、結構簡単に見つかるのは意外だった。星砂は有孔虫という海に住む小さな生物の死骸(殻)なのだが、昔竹富島では、死んだ星の骨と言われていたことがあったそうである。

 昼食は島で有名なそば屋でそばをいただく。竹富島にはピィーヤシと呼ばれる調味料があり、そばにはそれをかけて食べる。ピィーヤシとは島に自生するコショウの仲間のことで、コショウ程ピリッとしていないスパイスだがなかなか味があって、結構オレ好みの味だった。

 その後島をぶらぶら見てまわり、昼過ぎに石垣島へ戻ってきた。一旦宿に戻ったものの時間もまだあるので、米原キャンプ場にあるビーチにシュノーケリングに出かけてみた。せっかくの沖縄への旅だということなので、水メガネとシュノーケル、ビーチシューズなどを持ってきていたので道具は完璧。

 米原キャンプ場は友人から「シュノーケリングするならココ!」と教えられていた場所なのだが、遠浅のビーチでインリーフでもたくさんの色鮮やかな熱帯魚を見ることができた。「チョウチョウオ」や「モンガラハギ」など図鑑で見たことのある魚も多く、名前はわからない青い魚も多数。他にはナマコの類も・・・しまいには白と黒のストライプ模様の海ヘビまで居たのでちょっと驚いてしまった。写真を撮りたかったが、残念ながらオレのデジカメは防水はおろか耐水でもないので写真は撮っていないが、よく本などで目にする写真そのままの様子をイージーに拝むことが出来た。

 さて、明日は朝からカブと共にフェリーで西表島へ移動である。既に民宿を予約しており、宿探しの手間もいらないので、初日から存分に楽しんでこようと思う。日本の最後の秘境とも言える「西表島」では、一体どんなことが待ち受けているのだろうか?今夜は早く寝ないとマズいが、なかなか寝られそうもなさそうだ。


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