ながの音楽祭1999のプログラムから

August 26(Thursday)

13:00 〜14:30
●レクチャー・コンサート1
 Lecture Concert 1
『韓国の伝統と羅仁容の音楽』
“Korean Tradition Music & Music of LA, In-Yong"
講師 作曲:羅 仁容(La In-Yong)
    パンソリ:蔡 水晶(Chal, Su-Jung)

羅 仁容:「任」
“Im-A" for pansori & Gosu
この曲に用いられている話は韓国の具常の作品で、切々と任(あなた)と恋しく思う哀歌。与えられたモチーフを即興演奏で展開している。韓国の伝統と現代が融合しあう様式です。

パンソリ
音楽的にみれば、「朝鮮声楽に属する朝鮮独特の民謡」とでもいえばいいだろう。歌い手ひとり、奏者の鼓手ひとりによって演奏される。Soriと呼ばれる歌を(緩急をつけながら)数曲歌い、間にAniri と呼ばれるナレーション(語り)をはさみ、身振り手振り(Palhm)を加えて、ひとつの物語をドラマチックに演じる。伴奏は拍子(Changan)を正確に刻み、時に「すばらしい」(oisigul) 「おみごと」(Chaochi, chotal) 「最高」(Kurochil)など合いの手(Chamsae) を入れて物語を進行させる。歌い手の衣装は伝統的なもので、右手に扇、左手は素手で、パンソリを象徴する小道具、鼓手の衣装も伝統的衣装で、模型の太鼓を、左手は素手、右手はばちでたたく。二人の下には筵(むしろ)がしかれ、歌い手は立ち、鼓手はその脇に座って演奏する。


●レクチャー・コンサート2
 Lecture Concert 2
『韓国の作曲界』
“Korean composers"
講師 作曲:李 誠載  Lee, Sung-Jae
    作曲:朴 永蘭  Park Yong-Nan
演奏 アンサンブル・ネッサンス
    アンサンブル東風

演奏曲目
李 誠載:「弦楽四重奏のための五章“散調”」
Lee, Sung-Jae :Five Movements for String Quartet "Sanjo"
作品は韓国の伝統的な音楽様式「散調」から派生した。三つのテンポから構成される。すなわち「ゆっくり(Jinyang-jo)」、「モデラート(Jung-mori) 」、「はやく(Jajin-mori)」であり、この三部分は独奏楽器の切れ目ない演奏によって相関される。

朴 永蘭:「回想」
PARK, Yong-Nan :"Reminiscence" for FL., Vn., Ve., Pf., Perc.
作品の冒頭部分をかいているときに、突然去年の冬が思い出された。作曲が進むにつれ、それは一つの絵に姿を変えるまでになった。この作品の随所で私はその像をあいまいなタッチとアグレッシブ・タッチ、両方をもちいて反復している。西洋と東洋の音楽言語を組み合わせて、作曲は6つの部分にわけた。すなわち非常にゆっくり、ゆっくり、モデラート、はやく、モデラート、短く非常にゆっくり。一音を加えたり、またそれを累乗させることやさまざまな強度の音程を使用(協和音と不協和音の相互関係)によって長さを徐々にましていく一連のリズムを使用している。


●オープニングセレモニー
Opening Ceremony
善光寺木遣り
サムルノリ


●ジョイント・コンサート
 Joint Concert
太鼓打ちたちの饗宴
“Feast of the Percussionists"
日本の伝統
(Tsutsumi)大倉正之助:三番三 Okura Shonosuke :'Sanbasou'

能であって能でないといわれる「翁」は、最も古い祝■の儀式。三番三は「翁」の中で五穀豊穣を祈ります。華やかな弾んだ拍子に始まり、段々律動的な演奏へと発展していきます。生命の鼓動を感じる躍動感溢れる一曲。

マリンバ&ヴィブラフォーン
Marimba & Vibraphone 〜
ふるさと・Wooden Music. G線上のアリア・ジョンゴ
打合器合奏:Mystical Asian
  福島優美 FUKUSHIMA Yumi
 稲野珠緒  INANO Tamao
  西川由美子  NISHIKAWA Yumiko

韓国の伝統
〜Korean Tradition〜
パンソリ:「興甫歌」
Pansori :Heung-Bo-Ga
パンソリ:蔡水晶  CHAE, Soo-Jung

 興甫歌は5つのパンソリシリーズのひとつで、昔、欲張りの兄(nol-bu)とおとなしい弟(興甫)の話で、おとなしい興甫は貧しく暮らす中で正直に兄弟愛と信義を大切にしながら生活する。
 ある日、興甫が助けたつばめが持ってきた夕顔の種から金の玉が出てきて大金持ちになった。しかし兄のhol-buは、わざと燕の足を折ったので天罰があたった。それでも弟の兄に対する愛は変わらず、自分のお金を兄にあげていつまでも仲良く暮らしたという昔話。
 今回の演奏会で演奏するところは興甫歌の中で「夕顔打分」です。つばめが持ってきた種に実が入っていてその実を半分に割るところを表している。


サムルノリの饗宴
“Feast of the Samulinori
サムルノリ
Samulinori 
サムルノリ:韓国正楽院サムルノリ


August 27  Friday

10:00 〜10:50
●レクチャー・コンサート3
 Lecture Concert 3
『韓国のエスプリ』
“Korean Spirit"
講師:パンソリ:蔡 水晶

11:00 〜11:50
●レクチャー・コンサート4
 Lecture Concert 4
『韓国のエネルギー』
“Korean Energy"
サムルノリの実演と実習

講師:韓国正楽院サムルノリ

12:00 〜12:50
●レクチャー・コンサート5
 Lecture Concert 5
『日本の伝統音楽と文化』
Japanese Tradition and Culture

司会:松下功 MATAUSHITA Isao
講師:望月太八 MOCHIZUKI Tahachi(横笛)
    堅田喜俊 KATADA Kishun(邦楽打楽器)
    豊藤音 TOYOFUJINE(三味線)
    豊静音 TOYOSHIZUNE(三味線)

10:00 〜12:00
韓国食文化の紹介(於:長野市ふれあい福祉センター)
講師:横山タカ子(料理研究家)
YOKOYAMA Takako

14:00 〜16:00
一校一国交流会:古里小学校
李 誠載(作曲家/ソウル大学名誉教授)
サムルノリ:韓国正楽院サムルノリ
パンソリ:蔡水晶
ソプラノ:韓 明成
テノール:李 R Lee, Hyon

12:15 〜13:00
●長野市役所ロビーコンサート
アンサンブル・ネッサンス
(韓国の弦楽四重奏団)

14:00 〜16:00
●服部譲二ヴァイオリン講座(於:白沢ホール)
Violin Master Course
講師:服部譲二
Lecturer:HATTORI, Joji

14:00 〜16:30
●作曲公開講座
Compositions Master Class
〜日本と韓国の若い作曲家たちによる〜
by Korean and Japanese young composers
米倉香織(日本):「標の庭園」
YONEKURA Kaori:"Shirube no Teien"(A Significant Garden)
 「庭園」とは、既にある風景を再現するのではなく、整った風景として認知される以前の、いわば兆しの状態を閉じ込めておくものである−と述べられた話があった。それが風景の中にうずもれて、落ち着き払った表情の一つにされてしまう前の、何の前触れも無く沸き立ってくる、もっとも神秘的な瞬間を残そうとするものだから、庭園は美しいのだと。
 明確な形が現れる前のそんな状態、不安定で曖昧で名づけようもない不思議な感慨を伴い一瞬、それでいながら確実な存在感を含んでいるその瞬間と、庭園という言葉の思いがけない関わり、その取り合わせへの驚きから、むしろ言葉の方が一人歩きしたようにこのタイトルがついてしまった。それなので、タイトルの確かな意味を説明するのは難しい。でも敢えて作品との関連を探すならば、何かの拍子にふと引っかかった些細な音の断片から瞬時見えかけた表情を、できる限り露わに留め、それに秩序を与えて一つの纏まりにしようとする私の書き方には、前述した意味での説明という空間を理想と思う気持ちがあるのかもしれない。
 曲はほぼ、ソロクラリネットとそれに付随する弦楽器という役割をベースとして進行する。各楽器が示す音の断片の数々は、その音たちの持つ勢いが、常に単純に、同方向へ進むように注意が払われている。他三楽器のやや息の長い断片に比べ、クラリネットはより小さい単位の断片をそれぞれの表情を捉えて演奏することになる。

金 愛里(韓国):「弦楽五重奏曲」
Kim-Aeri
 韓国音楽の固有の響きを探究していて、韓国の伝統的な五つの音階から特有な音程をもつ第二、四、五音階を使用している。
 A部からはじまり、チェロ、コントラ・バスのように低音楽器の単線メロディーによりはじまり次第にポリフォニーを形成するB部が続く(またC部に向かいテンションを増していく)。ダイナミックなC部で密度は増し、またテンションも高まっていく、D部はC部との対称でいうと静的クライマックスといえる。E部では、ポリフォニーは薄れ、高音楽器が単旋律を奏でる。そしてまたA部、冒頭へと戻る。全体として緊張部分(BとC)と弛緩部分(DとE)の二つに大きく分かれる。

シンポジウム
石田一志(司会)
李 燦解(作曲家)
伝田高広(クラリネット奏者)
松下功(作曲家)

演奏:アルサンブル東風


19:00 〜21:00
●ゲスト・コンサート
Guest Concert
「山下洋輔弦楽セッション」
“YAMASHITA Yosuke"

ジョージ・ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー
Geroge Gershwin:"Rhapsody in Blue"  (string version)
山下洋輔:ピアノ
澤和樹:ヴァイオリン
小室昌広:コントラバス
アンサンブル東風

August 28 Saturday

13:00 〜16:00
長野市民による音楽の祭典
Music Festival by Nagano Citizens

10:00 〜12:00
澤和樹公開講座
受講:長野ジュニアオーケストラ

18:00 〜21:00
ドリームコンサート
Dream Concert
第1部「長野のアーティストたち」
part1 :Artists from Nagano
福島優美(打楽器)
FUKUSHIMA Yumi(Percussion)

ナイジェル・ウェストストレイク:ソロ・パーカッショニストとデジタル・ディ
レイの為のフェビアン・セオリー
ナイジェル・ウェストストレイクNigel Westlake(1958 〜) は、作曲家としても演奏家としても有名である。クラリネットを父から学び、New South Wales 音楽学校入学以来、オーストリア各地で演奏活動をしてきた。その後オランダに留学したが、作曲はほとんど独学で学び、オーケストラやアンサンブル、映画、サーカス、TV、ラジオ等あるゆるものを手がけている。“Fabian Theory"はデジタル・ディレイを使った興味深い作品である。奏者はフット・スイッチによつて機械を巧みに操る。また、忠実に反応する機械を相手に、いかに生きた演奏をするかが問われる。曲中のミニマル的なサウンドは、いかにもWestlakeらしい感じがする。

深沢雅美(ピアノ)
FUKASAWA Masami(piano)
リスト:ハンガリー狂詩曲第12番,嬰ハ短調
ハンガリー狂詩曲はリストのピアノ曲中もっとも有名なものである。全体は15曲から成立している。第12番嬰ハ短調は音楽的に十分な内容を持っている曲だが、まず、メストの導入がおかれ、これにウン・キコ・ピウ・レントのラッセンがつづく。第3部のフリスカは大規模なものであるが、そのなかにはさらに3個の部分が含まれている。

佐藤由香里(箏)
SATO Ukari(koto)
野坂恵子:津軽
NOSAKA Keiko:Tugaru
この曲は高橋竹山さんのじょんがらをもとに、いろいろな想いをからめた曲です。冬、雪と風と波音の他は何もないと言われるかの地の厳しさに耐えぬき、そこで生きた人たち…その自然と人生を想い曲を作りました。(野坂恵子)

長野邦楽合奏団「涛」
NAGANO Fogaku Ensemble
吉崎克彦:童夢
 筝・十七絃・尺八・和太鼓を使い、子供たちにもなじみ易い曲ということで、モチーフを東京・子供「わらべうた」に焦点をしぼり、六つの題材より器楽合奏・編曲変奏部、ソロなどを混じえて一つの曲にまとめました。子供に限らず、和楽器をひかれる方達が合奏という形式の中で、少しでも楽しんでひける曲であったらと願い「童夢」と名づけました。(吉崎克彦)

第2部「服部譲二と仲間たち」
part2:HATTORI.Joji
服部譲二(ヴァイオリン)
澤和樹(ヴァイオリン)
地元弦楽器奏者
Strings players from Nagano,
深沢雅美(ピアノ)
FUKAZAWA Masami(pianist)
クライスラー:愛の喜び ほか
Kreisler:'Liebesleid'etc.
J.S.バッハ:二つのヴァイオリン
J.S.Bach;Concert for two violins and orchestra

J.S.バッハ:二つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 Bwv1048
 大バッハは、1717年から1723年までケーテンの宮廷楽長を務めていたが、この時代はバッハが室内楽の作曲に向かった創作活動の一大転換期であった。この時代には、二つの、しかもニ短調のヴァイオリン用の二重協奏曲を書いているが、今日では今日演奏するこの曲がもっともよく演奏されている。第一楽章はヴィヴァーチェ。第二楽章はラルゴ・マ・ノン・トロッポ。第三楽章はアレグロ。力強い全合奏で終わりを告げる。

F.ドゥヴィエンヌ:ファゴット四重奏曲ハ長調 op.73
 1759年にフランスで生まれ、1795年からパリ音楽院の初代のフルート教授として活躍した優れたフルート奏者であり、またファゴット奏者でもあった。1803年没。木管楽器を含む多くの室内楽曲や協奏曲を作曲。ファゴット四重奏曲は全3曲作曲したが、本日はその内の第一番目を演奏する。第一楽章はアレグロ。第二楽章はアンダンテ。第三楽章はアレグロ。ファゴットに重点が置かれているが、全体としては協奏交響曲な書法を用いている。


August 29 Sunday

日韓ジョイント・コンサート
Korea-Japan Joint Concert
ドウビエンヌ:ファゴット四重奏曲
Devienne: Bassoon Quartet

李 燦解:弦楽四重奏曲(日本初演)
LEE.Chan-Hae:String Quartet(Japan Premier)

日置あゆみ:「宵闇の丹花」、尺八と弦楽四重奏(委嘱作品・世界初演)
HIOKI Ayumi:"Yoiyami-no-Tanka"(World Premier)
「宵闇の丹花」尺八と弦楽四重奏のための
 幕末の頃、夜警に出る侍は、はりつめた雰囲気の中でひとつ咲く真紅の花。司馬遼太郎の小説を読んで想像した映像を、尺八と弦楽四重奏の音楽に表現しました。

ハイドン:弦楽四重奏曲op64-5" ひばり"
J.HAYDN:String Quartet 67, Op64-5 'Lerchen'
J.ハイドン:弦楽四重奏曲第63番ニ長調「ひばり」
 この曲は、ハイドンの弦楽四重奏曲の中でも一際演奏される機会の多い曲である。「ひばり」というタイトルは、第一楽章第一主題は旋律率的な特徴に由来している。第一楽章はアレグロ・モデラート、ソナタ形式。第二楽章はアダージョ・カンターピレ、三部形式。第三楽章はメヌエット、アレグレット、で変化に富んだ三部形式。無窮動風なフィナーレである。

アンサンブル・ネッサンス(韓国)
Ensemble Naissance Korea
山上貴司(ファゴット)
YAMAGAMI Takashi(Fg.)
佐藤幸宇山(尺八)
SATO Kozan(Shakuhachi)


善光寺奉納コンサート
第九in善光寺
“Beethoven 'Choral' in main hall of Zenkoji Temole"

尺八奏者の饗宴
Shakuhachi:

サムルノリ
Samulunori

尹  伊桑:「ムグン・ドン(無窮動)
YUN, Isang:"Mugun Dong"
 無窮動は1986年、ハンブルグの国立歌劇場においてH.ツェンダー指揮、アンサンブル・モデルネによって初演された。この作品について作曲者は次のように書いている。「この題名“ムグン・ドン”は韓国語の無窮動を意味している。作品は、永久に沸き出でる響きの一部分であり、宗教的儀式の祈り、呼び起こしを表している。冒頭から最後まで重厚でしかも変わらない祈りの前進は、主題を何回も変化しながら最後の絶頂まで到達する。(松下 功)

L.V.ベートーヴェン:交響曲第9番より「歓喜の合唱」
L.V.Beethoven:"Choral" from Smyphony No.9'

出演
Performers
サムルノリ
フェスティバルコーラス Festival Choirs
フェスティバルオーケストラ Festival Orchestra

ソリストSoloists:
ソプラノ(Soprano) 韓明成 HAN,Myon-Son
アルト(Alto)     宮澤美幸 MIYAZAWA Miyuki
テノール(Tenor)  李 R LEE, Hyon
バリトン(Baritone) 関口信雄 SEKIGUCHI Nobuo