春季研修旅行(フランス)報告

 

●3月10日(土) 晴れ パリ  
午前7時5分ダブリン空港発の飛行機は、生徒たちの期待とともに花の都パリへ向かった。パリに到着してからホテルへ直行し、正午には2班に分かれてのパリ見学が始まった。

この日のA班は、まずパリ市発祥の地である、セーヌに浮かぶシテ島へ向かった。その前にまず昼食ということで、カフェへ。フランス語選択者の生徒たちが事前にアダムソン先生から聞いていた、クロックムシュー(ハムとチーズを載せたオープンサントイッチ)が美味という助言に従い、ほぼ全員がクロックムシューを注文。お腹も満腹になったところで、見学開始となった。

初めに見学したのは、ゴシック様式の傑作といわれるサント=シャペル。高さ6.6メートルのステンドグラスは総計1134枚を数え、うち720枚が13世紀の作品で、パリ最古のものだと言われている。生徒たちは、その美しさに圧倒されている様子であった。

次に足を運んだのは、800年以上をパリとともに歩んできた、パリの象徴にしてフランス建築の最高峰であるノートル=ダム大聖堂(ノートル=ダム・ド・パリ)であった。厳かな雰囲気の中、生徒たちはラ・ローズ(ばら窓)と呼ばれる美しいステンドグラスや、ジャンヌ・ダルクの像、大聖堂内の彫刻などをゆっくり見て回った。

体力も好奇心も有り余っている生徒たちは、次に凱旋門へ向かった。凱旋門の前で記念写真を何枚も撮ったあと、約270段の階段を軽々と昇り、晴れ渡った春の空の下、屋上からパリの全景を眺めた。この日はシャンゼリゼ通りを散歩した後、ホテルに戻った。 B班は、まず凱旋門に向かい記念撮影を終えた後、シャンンゼリゼ通りのカフェで昼食。権さん、関さん、三浦さんと女子3人はキッシュの昼食。こちらも、アダムソン先生のお薦めメニューだったらしい。ひとり平均600円程度と、経済的なランチだった。

食後はまずエッフェル塔に。しかし、かなり混雑しており、最上階は入場制限で中層階どまり。それでも、パリの名所を眺望することができて、生徒は満足げであった。その後ナポレオンの眠るアンヴァリッドに向かったものの、タッチの差で閉館時間になってしまった。仕方なく、パリ一の繁華街であるオペラに向かい、古きよき19世紀の雰囲気が漂う美しい町並み見た後、路線バスでホテルへ向かった。ホテルはリヨン駅の隣。昔からブルートレインやコートダジュール向けの豪華列車が発着所として知られるこの駅は、小説などにもよく登場する。

夕食は、ちょうどエッフェル塔とアンヴァリッドの間にある典型的なフランス料理店でエスカルゴや、タルタルステキー、南仏名物カスーレ(白インゲン豆、豚肉、羊肉、鳥肉、ソーセージなどの煮込み)を食べた。エスカルゴが気に入った生徒たちは、続く3日間、毎日エスカルゴを注文し続けていた。大胆にも内蔵の腸詰めを注文した瀬川君が、少々鼻につくケモノ臭に閉口していた
凱旋門の前で
エッフェル塔の上から
アンヴァリッドの前で
オペラの前で
   
●3月11日(日) 曇り時々雨 パリ  
前日とはうってかわって小雨のふる曇り空の下、この日の午前は電車に揺られてパリ郊外のヴェルサイユ宮殿に向かった。絢爛豪華な内装の中でも特に生徒の印象に残ったのは、奥行き75メートル、天井高12.5メートル、鏡、シャンデリア、金張の調度品が輝いている<鏡の間>であったようだ。生徒の世代でヴェルサイユと言えば、漫画「ヴェルサイユのばら」でその名を知ったというのが多数であろうが、実際の宝塚の舞台で「ベルばら」を見たという生徒もおり、実物を訪れることのできた幸運に多少興奮しつつ、見学を楽しんでいる様子であった。  

あいにくの雨とはいえ、フランス式平面幾何学庭園は宮廷内から窓越しに見ても圧巻であった。ここまで来たからにはと、宮殿内を巡回するバスに乗って庭園を一週、100ヘクタールを超えるというその広大さを実感することができた。  

ヴェルサイユ宮殿を後にして、午後はフランスが世界に誇る2大美術館の1つであるオルセー美術館へ向かった。オルセーは、かつては鉄道の駅だった建物を美術館に改装したもので、印象派の作品を中心に、19世紀後半の絵画、彫刻が集められている。日本人にも大人気のこの美術館の前には、長蛇の列ができていた。うち、2割ほどが日本人だろうか。しかし、ここではヴェルサイユで購入した「パリ・ミュゼーカルト」が威力を発揮。美術館グッズを売る店にある裏門から全く並ばず簡単に入場することができた。

中に入ると、見学は自由。生徒は、研修旅行のしおりに掲載されている名作を次々に探し歩いた。いくつ見ることができたか、数を自慢しあっている生徒あり、気に入った絵の前に佇む生徒ありということで、それぞれ充実した2時間を過ごしていた。もともと駅だけあって、館内は大きな吹き抜け構造。最上階からは、見学に熱中している滝澤さんの姿も見えた。 オルセー美術館では、旅行後半で訪れることになる南仏と縁の深い作品、たとえば、ファン・ゴッホの《アルルの寝室》やセザンヌの《トランプ遊びの人々》、《リンゴとオレンジ》の作品も鑑賞することができた。

夕食は、映画の撮影に使われたこともあり、昔は図書館として使われていたという、とても雰囲気のあるフランス料理店でとった。といっても、大衆的な定食屋で庶民的。隣のテーブルの人から、「キミの食べているそのアイスクリームは美味そうだねえ、ワシもそれにしようかなあ」と話しかけられてたのは野並君。鶏肉とご飯の煮込みや、羊肉、エスカルゴなど、高級というよりは庶民的な料理を食べた後、さらにデザートにも挑む生徒たちであった。
ヴェルサイユ宮殿正面ルイ14世の銅像の前で
鏡の間で
   
エスカルゴに舌鼓の男子生徒たち
関さんもエスカルゴ
   
●3月12日(月) 晴れ パリ  
ホテルを出発し、質・量ともに世界一とも言われる収蔵品を誇るルーヴル美術館へ向かった。オルセー美術館同様、しおりに掲載されている名作を探して広大な館内を歩き回る生徒たち。お上りさんと言われようが、《ミロのヴィーナス》とレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》の前ではしっかりと記念撮影をして、ラファエロの《聖母子と洗礼者ヨハネ》や男性の《モナ・リザ》といわれる《バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像》に感銘を受けながら、1つでも多くの作品を見ようと生徒たちは広い館内を走り回っていた。こらだけがんばっても、2時間では全体の5%も見ていないのではないだろうか?

ルーヴル美術館の一帯は、地下がショッピング・アーケードになっている。中には、日本の<無印良品>の店まである。<無印良品>の前のカフェテリアで昼食をとった後は、A、B2班に分かれてのパリ市内見学となった。A班はパリ最終日ということもあり、一通りの名所見学を終えるべく、まずはオペラ座に向かった。オペラ座は19世紀半ばのナポレオン3世時代の典型的なネオ・バロック様式で、一般に豪壮な建築が多い当時の作品の中でも飛びぬけて絢爛豪華な内外の装飾を誇っている。生徒たちも外観に圧倒されている様子であった。当日は催し物があったことから内部見学は行っておらず、生徒たちは非常に残念がっていた。

オペラ座界隈を散策した後、地下鉄を乗り継いでエッフェル塔に向かった。A班はエレベーターで最上階まで上り、名残はつきぬパリの風景の見おさめ。その後、革命広場と呼ばれ、ギロチンが置かれてルイ16世他多くの人々が処刑されたコンコルド広場に向かった。コンコルド広場では観覧車に乗り、隣接しているチュイルリー公園内のカフェでクレープやワッフルを食べ、パリジャン、パリジェンヌ気分を満喫した。

B班は、史跡見学に重点をおいた。まず、シテ島に向かい、ノートルダム大聖堂を見学した後、サント・シャペルの見事なステンドグラスを堪能。さらに、大革命時代の牢獄であるコンシェルジェリーへ向かった。マリー・アントアネットも幽閉されていた陰鬱な内部には、多数のフランス人の小学生・中学生が社会科見学に訪れており、特にマリー・アントアネットの牢獄の中は混雑していた。生徒たちは、昨秋見学したヴィーンのシェーンブルン宮殿で育ち、昨日見たヴェルサイユ宮殿に嫁ぎ、そしてこの狭い牢獄で短い生涯の最後の数年を過ごした王妃の波瀾万丈の人生に、感ずるところ大だったようだ。

ついで、B班は徒歩でセーヌを渡った後、地下鉄でポンピドー・センターへ。「この珍奇な近代建築の設計者の作品が日本にもある、それは何でしょう」という質問に、「東京ドーム」、「お台場」といった答えが出たが、正解者はゼロ。答は関西空港なのだけれど、どうやらB班の中では関空見たことのある者がいなかったようだ。クレープを食べた後、センターの中に入り、ピカソ、マティスなどの現代美術を鑑賞。5階からは、モンマルトルの丘がよく見えた。 最後の気力をふりしぼって、オペラに移動。内部はわずかしか見られなかったが、その豪壮さにB班もびっくりしていた。  

夕食は、全生徒そろってソルボンヌ大学近くの学食風レストランに行った。このレストラン、かつてジョイスも来たことがあるそうだ。またまたエスカルゴを食べる生徒、今度はフォアグラを注文する生徒と、様々であった。
ルーヴルの入り口にあるピラミッドの中
ノートルダム大聖堂の前で
コンシェルジェリとセーヌをバックに
配管むき出しのポンピドー・センターの前で
 
クレープ屋の前で
 
春季研修その2