七夕パーティー報告

 

1学期の殆どの行事を終え、今学期も、残すは7月14日の七夕パーティーだけとなった。  

事前に生徒会から配られた短冊に思い思いの願いを認め、笹に結わえ付けた。健康を祈願するもの、幸福の到来を庶幾うものなどが多い中、思わず失笑を禁じ得ないようなユニークな想いも綴られてあった。  

織姫と彦星の邂逅に相応しからぬ厚い雲に覆われたこの日の空からは小雨が時折ぱらつき、生憎の天気となったが、なんとか最後まで行事を終えることができた。  

今回の七夕パーティーは、生徒が6人ずつの6チームに分かれ、スープ、焼きそば、カレーの3種のメニューを、それぞれ2チームずつが調理して、その出来映えを競うという趣向である。いわば、駿台版「料理の鉄人」である。各班のもち時間は、およそ2時間半。といっても、先ずはレンガを積み重ねてかまどを作ることから始まる。しっかりした礎が出来上がると、今度は薪に点火である。新聞紙、落ち葉、小枝と順を追って火を移していき、最後に少し大きめな乾いた潅木の幹に点火するのは、以外と難儀である。  

一方、テーブルの上では、にんじん、じゃが芋、玉ねぎ等、それぞれのメニューに合わせたさまざまな野菜が刻まれていた。といっても、チームによってはずいぶんと不恰好に仕上がっているところもある。やがて鍋の水も煮えたぎり、刻んだ野菜もやわらかくなる頃には、なんとなくスープらしい見映えになってきた。他方、焼きそば班は、専らフライパンとの格闘である。審査員を含む生徒全員の食べる量を賄うため、何度も何度も野菜や麺を炒めていかなければならない。  

しかし、この日の「傑作」は、カレーだった。ひとつの班は、調理終了30分前になっても、一向にカレーらしい格好になっていない。どうやら、作り方を誤ったらしい。カレー担当のいまひとつの班は、既によい匂いをそこここに漂わせている。殆ど有りったけのカレーパウダーを使用して、終了ぎりぎり、ようやくカレーの形になるにはなったのだが、その味たるや、ただ辛いだけであった。 

調理時間が終了した。審査の結果、焼きそばは、日本製のソースを使ったチームが、ヨーロッパ製のソースを使ったチームに圧勝。カレーの対決は、かけこみでどうにか間に合った班の完敗。ただし、ひとり審査員の黒木先生が熱烈に激辛カレーを支持。いわく「本場はきっとこれに近いのでは」とのこと。スープ対決は、クラムチャウダーとキムチスープが接戦。結局、ぴりっとした辛さのキムチスープに軍配があがったが、クラムチャウダーと言いながら、クラム(あさり)ではなくムール貝を入れていたのが響いたかもしれない。  

審査員の試食が済むと、皆の夕食の時間である。野外で摂る食事は格別だ。各班のテーブルに盛られた食事は、談笑と活気の中で瞬く間になくなった。例の激辛カレーでさえ、好奇心と恐いもの見たさとで、瞬く間に皆の胃袋におさまった。  

もっとも、この日一番美味だったのは、先生方の準備した素麺かもしれない。この3月に辞められた木部先生が残していってくれた播州素麺の味は、また格別であった。  夏らしい食事をさっぱりとたいらげると、いよいよ夏季休業である。満ち足りた午後のグラウンドで、生徒たちは一学期の総括の味をどんな思いで噛みしめていたのだろうか。終わったばかりの期末考査の結果に欣喜雀躍した者、或いは逆に日頃の努力が発揮できなかった者と、生徒のさまざまな思いが交錯しながら、しかし全員が等しく楽しんだ一日であった。