大学院(修士課程)の思ひで
石川県にある国立の某先端大は大変田舎にあります。この大学に進学することを決め大学の様子を見に大阪駅から雷鳥に乗って小松駅に向かいました。小松駅に到着し辺りを見渡したところ、比較的便利そうな街と思われました。私はタクシーで某先端大まで向かいました。便利そうに思われた小松の街はあっというまに町並みが途切れ、一件一件の間隔が少々広い住宅地を抜けました。さらに車が走ると一件一件の間隔はずんずん広くなり、私はそれに連動してどんどん不安になって行きました。しかし、さらに車が走った時、「あー、もーどうにでもなれ!!」と思いました。家が無いんです。いや、建物がないんです。あたり一面は田んぼしかなく、これを手入れする農家の人の家らしきものも何もないのです。地平線のようにパノラマ的に広がる田園風景は石坂浩二のナレーションがよくあうでしょう。(森本レオじゃあダメ。)
不安でいっぱいの北陸ライフはこうして幕を開けました。住んでみると住めば都といった感じでしたが、それなりに工夫も必要でした。例えば日本海側の地方は太平洋側に比べると湿度が高い為、洗濯物が乾き難く、部屋はカビが生えやすくなっています。そのため湿気とりの乾燥剤はクローゼットの中をはじめ、部屋のあちこちに置いておく必要があります。タバコや酒は備蓄しておかないと、ちょっとそこのコンビニが平気で10kmくらい離れているためタバコ一箱のため油を焚いて車を転がす必要が生じます。
しかし、なんといっても北陸ライフを満喫できるのは冬です。地元の人は町内会で口裏をあわせるように取り決めをしたのか、口をそろえて「最近は雪は降らない。」と言います。これから北陸ライフを始める人は要注意です。この言葉を信じてはいけません。かつて私もこの言葉を信じ12月頃まで大学での研究にかまけていました。しかし、ある朝雪が一晩で膝まで積もっているではあーりませんか。しかも、駐車場の車は雪ですっぽりと覆われカマクラになっていました。幸いタイヤはスタッドレスタイヤに交換していたのでよかったのですが、雪掻き(地元の人は雪スカシという)用のスコップ、長靴(靴の上の部分がひもで縛れるやつ)、車に積もった雪を払い落とすツールが必要でした。
北陸ライフ1年目の私は、この現実にかなりひいてしまいましたが、中には猛者もいました。某先端大の学生課ではスキー板、ストックなどを貸してくれます。某先端大がすっかり雪で覆われた時、学生達は学生課でスキー板を借りてちょっと学内で滑ってみようかなーんて話をしていました。しかし、もうその時すでに学内で第一号のシュプールを描いた人がいました。その人は某高分子系の研究室の助手の先生でした(現在T工大の助教授)。 →この先生のホームページはこちら
これを知った学生達は非常に悔しがり、来年こそは負けないと誓いをたてた(?)ようですが、2年目も一番乗りはこの先生でした。実験化学者はまず行動というところを身を持って示して下さった先生です。
