キッチン改善アドバイス
     冷蔵庫の収納効率の改善


われわれがすでにオープンして営業している店を見に行ったり、改修を計画しているというので現場を訪問した際、現場のコックが漏らす不平はほぼ一致しています。それは
@冷蔵庫が小さくて仕事にならない。
Aガスレンジの火口(バーナー)が少なくて、料理が上がらない。
の2点に集中しています。
今回は、そのうちの冷蔵庫は本当に容量が不足しているのかという点を懸賞し、使い方のアドバイスをお届けします。

1.
もともと冷蔵庫は食物を冷却しておくという役割のものですが、近年クックチルシステムや真空調理方式などの新しい技術が開発され、導入されるようになると、単に冷やしておいて細菌の増殖を抑制するという役割のほかに食材の整理をし、管理しやすくするという役割も重視されてくるようになっています。それは、新しい調理システムでは容器ごとの単位でストックし、そのままコンビオーブンやスチーマーやケトルなどで加熱調理することが多くなって、その前段階の保管場所として冷蔵庫内の保管方法がわかりやすくなっていなければならないという事情によります。
冷蔵庫は一般にはランダムに、あるいは雑多につめ込んだ方がたくさん物が収納できて便利と考えられていますが、実は逆であり、今後はいかに食材を整理し、専用のコンテナーにならべて、スペースの無駄をなくすかがテーマとなってきています。よく行われているように、購入した食材を、買ったままの状態でつめ込んでいけば、奥のものをとり出すために、手をさし入れ、持ち上げて手前に引っ張り出すためには、半分以上の空間をあけておかねばならず、そのことを考えれば、一杯一杯に物をつめ込んでも、せいぜい収納に使っている容積は、全体の40%程度でしかないと思われます。つまり冷蔵庫の内部の半分以上は空間としてあいており、無駄になっている状態であると言えます。

2.専用コンテナー(ホテルパン)の活用
そこで、改善案は国際規格の容器に、購入した食材を箱から出して詰め替え、冷蔵庫の中で専用の棚受けを設けてさしていく方法が考えられます。これは一種のドロワー(抽出し)式ですから、分類整理して食材ごとに区分けし、必要な容器だけを引き出し、必要なものをとりだしたあと、またもとの位置にもどしておけばよく非常にスムーズび食材の出し入れができるようになります。奥のものを持ち上げて手前に引き出す必要がないので、そこに専用容器(コンテナーやホテルパン)をさし込んでおけます。このようにすると単純に考えても倍の容積が稼げる事になり、またほんの少しだけドアの有効幅や奥行を変更しするだけで、ホテルパンの収納数を倍にすることもできます。
ホテルパンのフルサイズは325×525(mm)ですから、現在の日本の冷蔵庫に多い間口600ミリ×奥行600ミリという有効寸法では、たて方向に差しても、横向きに置いても275ミリほどの隙間が生じ、スペースの無を生じてしまいます。これをたとえば奥行を80ミリほどふやすと、手前を奥に2枚並べてホテルパンが収納できるようになります。一般の冷蔵庫の奥行は750ミリで作られているのが普通ですから、830ミリくらいに奥行を伸ばせば、わずかな寸法調整で収容能力は簡単に倍になってしまいます。もちろんその為には、現在のように冷却装置が庫内にぶら下がってくるタイプでは温度ムラを生じてしまいますから、冷却方法も冷蔵庫内に冷却ダクトを通し、どの部分も均一に冷気が吹き出す方式に変更しなければなりません。
そのように庫内の有効寸法や冷気の循環方式を変更することにより、また収納用の専用コンテナーを利用することによって、いつも不足している冷蔵スペースに余裕をもたせることができるようになります。現在皆さんが使用されている冷蔵庫は、食材をある程度冷やすことができる箱ではありますが、業務用というタイトルをつけて呼べるような製品ではありません。皆さんがメーカーに質問すべきことは「この冷蔵庫は何リットルあるのか」という事ではなく「フルサイズのホテルパンなら何枚収容できるのか」ということです。その基準を正しくすことによってその冷蔵庫を評価することができますひ、自分たちのキッチンに適しているかどうかを判定することができます。



<一般的な冷蔵庫とその利用状態>


現在多々のキッチンで使用されている冷蔵庫は、多くの機器や什器備品の規格サイズとは関係なく、旧来の習慣からくる外形寸法を基準として製作されており、冷却方式も業務用としての機能を果たしているとは言い難い。
しかもその使用方法が、入庫した順に雑多に詰めこまこれることが多く、奥のものを取出すために、半分以上の空間をあけておかなければならない。多くの無駄を発生させている(スケッチ中黄色の部分が無駄になっている空間)。
しかも庫内にセットされた冷却器もファンで空気をかき回すだけであるため、ファンの周辺は食品をおけず、また庫内に物をつめ込んだ場合、温度ムラを発生させやすい。ほとんどのキッチンでは、このように使っていて、冷蔵庫が小さい、狭い仕事にならないと愚痴をこぼしている状態と考えてよい。



<有効利用のための企画改善>


冷蔵庫内の収納効率をあげるためには、他の機器(コンビオーブンやスチーマー、ウォーミングキャビネット)で使用されるものと同じ什器(コンテナー=ホテルパン/ヨーロッパではガストロノームと呼ばれる)を使用して、食材を整理し、ドアを開けた時に、どこに何がまとめてあるのか、わかりやすくしておくことだ。このようにすれば目的の食材を簡単にみつけて取出すことができ、またドアを開けている時間が短くなるので、冷却効率も高くなり、省エネ対策にも有効となる。またその場合、現行のモデルより、庫内の有効奥行を70〜100m/m深くし、高さを800m/mくらいにすると(スケッチの状態)、ホテルパンの収容能力は2.5倍くらいは跳ね上がる。ちょっとした改造や規格の変更により、冷蔵スペースは随分と大きくなるので、キッチンサイドでは、どのようなものが必要なのか、常にメーカー側に要求をし続けることが必要だ。