上海情景
14年ぶりの上海は寒かった。
滅多に降らない雪の後で、まだ地面が部分的に凍っていた。

前回の訪問では横浜港から船だけで片道3泊4日。
船上での1週間を含めて滞在は約1ヶ月だった。

今回は飛行機でたったの2時間。
滞在日数は2泊3日。何か物足りない。

蒸気機関車がまだ現役で走り、複葉機が飛んでいた上海の町は大きく変った。
蒸気機関車どころか、今やリニアモーターカーが走る都市となった。
労力(クーリー)と呼ばれた貧しい労働者の町の面影は高層ビルに隠され、
外灘(ワイタン)はもはや過去の上海の栄華を振りかえる場所ではなく、
現在の上海の力を誇示する場となった。
外灘の感傷的な風景も失われてしまった。

地方からの出稼ぎが多いのか、
あるいは普通語(プートンホア=中国の標準語)が一般的になったのか、
こちらが上海語で挨拶してもほとんど無反応だ。
「ヌンホー(儂好)」(こんにちは)
と挨拶しても綺麗に
「ニーハオ」
と普通語で返してくれる。
「シャヤノン(謝謝儂)」(ありがとう)
も丁寧に
「シェーシェー(謝謝)」
発音が下手になって通じないのかと思ったが、
豫園商城のみやげ物のおばちゃんはちゃんと上海語で返してくれた。
「ヌンホー!(儂好)」
「ヌンホー!(儂好)」
「ング ザパニン(我是日本人)」
「ング サンヘーニン」(我是上海人)
値段交渉もとんとん拍子。

僕のかつての恋人だった上海人は
「上海人は日本の大阪人と同じ。みんな商人よ。」
つまり僕は大阪なまりの変な外人と同じなのだ。
「シャヤノン(謝謝儂)」
「シャヤノン」
「ゼーウェー(再会)」(さようなら)
「ゼーウェー」

こんな下町風情もだんだんと失われていくのであろうか。

上海写真館

上海 外灘

上海 新天地

上海 豫園

 上海 街、リニア、上海蟹

Copyright (c) Hiroyasu Yoshida 2005 All Rights Reserved.