21世紀を迎えて
吉田裕康

源氏物語絵巻   
 喪中の新年とあって、華やいだことのない正月である。年賀状もなく、静かに酒を飲んでばかりいる。
 年賀状については、地域によってか人によってか知らないが、喪中の取り扱いに二つあるようだ。
まず、喪中の人が年賀状を出してはいけないのは恐らく全国共通だろう。しかしながら喪中の相手に対して年賀状を送るのはどうだろう。
「喪中の相手に対して、年賀状を送るのは失礼である。喪中の相手に『おめでとう』は失礼だ」
ということで、喪中の相手に対して送ってはいけないとする考え方がある。
この名古屋近辺では圧倒的にこの考えが多いように思う。しかし、その反対の説もある。
「年賀状はそもそも年始の挨拶代わりなので、年始の挨拶に行かないけれど勘弁してください、と出すのが年賀状だから相手が喪中かどうかは関係がない」
なるほど。この説も説得力がある。
 日本全国一般的なのはどちらでしょう???

  意外な人から年賀状が届いた。自分である。1985年3月21日、つくば博にてとある。自分で書いたことすらすっかり忘れていた。
 「一生会うことのない自分へ」と最後を締めくくっていた。高校1年生だった頃の1985年の僕。21世紀は当時の僕が想像していた世界とどう違うのだろうか。

 親戚に妙なコレクターの方がいる。いいおじさんだが、子供のように欲しいものは手に入れてしまう。何しろお金持ちの上、自分でも相当に稼ぐ人である。僕の知る限り車は「フェラーリ デイトナ」「フェラ−リ テスタロッサ」「フェラーリ F40」「ポルシェ959」「ベントレー」にを乗っていた。今はかなり処分したようで、世界に251台しかないポルシェ959しか置いていなかった。ここ最近はスポーツグッズに興味を持っていて、「タイガー・ウッズのサイン入り帽子」「マイケル・ジョーダンがバルセロナオリンピックで履いていたサイン入りシューズ」「NBAで優勝した時にジョーダンが親友のフランクに送った指輪」「イチローのサイン入りスパイク」「ジョー・モンタナのサイン入りヘルメット」ああ、もう書き切れない。
 このおじさんも実は先日奥様を亡くされて喪中の身だ。僕と同じように1985年から年賀状が届いていた。二人のお子様かららしい。「21世紀のパパとママへ」とあった。残念ながら21世紀を見ることもこの手紙を見ることもなく奥様は亡くなられてしまった。
 しみじみといろいろ考える正月だった。

年に一度の高校のクラブのOB/OG会に去年も参加した。ほぼ毎年言っているが、世代を超えて集まるのは楽しいことである。毎年12月30日と決まっているのも分かりやすくていい。秘密基地からの脱出にある「中世ファンタジー」作家の吉田縁さんとも何を隠そうここで知り合った。ずっと続いているらしいのですがこれからも続けて欲しいですね。このクラブのHPも欲しいなあ。


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