番外編 4ストエンジンの分解。


 一般的に2ストロークエンジンよりも4ストロークエンジンの方が分解組み立てが高度であると言われます。実態はどのようなものか。ちょうどよい材料が手に入りましたので簡単に触れてみましょう。


ガレージがあるわけではない私のエンジン整備風景。知る人ぞ知るマンションの1室です。エンジンを抱えて階段を3階までのぼる必要がありますので多気筒エンジンは多分ムリです。

このR&Dで日夜様々な研究と実験が行われているわけで、周辺住民は”爆弾でも作ってるのでは?”と不信に思っていることでしょう。ご安心ください。内然機マニアなだけです。


 単に分解するという観点に立った場合、2ストと4ストの大きな違いはカムチェーンの存在です。2ストであればシリンダーとクランクケースはボルトで接続されているだけですが、4ストの場合、カムチェーンでも繋がっているのです。

 逆に表現すれば、カムチェーンさえカムギヤから外せばあとの分解は2ストと同じレベルです。


このエンジンの場合、カムチェーンテンショナーを取り外せばカムチェーンはカムスプロケットから取り外す事ができました。ラッキー。通常はカムスプロケットをカムシャフトに止めているボルトを外してカムスプロケットとカムシャフトを分離する必要があるのですが、これが曲者で、組み立て時にカムチェーントンネル内にボルトを落としたりすると再び全バラしなくてはならなくなったりします。

 カムチェーンとカムシャフトを取り外せば後はシリンダーヘッド、シリンダーの取り付けボルト(このエンジンの場合、共通でした)を取り外してシリンダー、シリンダーヘッドをクランクケースから分離します。

 つまり、ピストンやシリンダーを交換するだけの作業であればここまでの作業。2ストと比較して大幅に複雑なわけではありません。


シリンダー内部を覗いています。シリンダーのクロスハッチも充分残っていてコンディションのよいシリンダーです。見慣れた2ストのシリンダーのように壁面にポートが複雑に入り組んでいたりするわけではなくタダの筒です。シリンダー単体の部品代が4ストの方が安いのも頷けますね。

 シリンダーヘッドです。こっちは2ストと違って複雑。バルブ4本、それに通じる排気ポートや吸気ポート、カムシャフト、タペット。とにかく複雑。

 4ストエンジンの場合、ここが性能の肝になります。エンジンオーバーホール時にはピストンやピストンリングよりもシビアに整備したいところ。

 圧縮が減少しているエンジンなんかでも、この、バルブの密閉性が下がっているケースが結構あるのです。2ストのように圧縮の減少はピストンリングの交換やボーリングで解決できると限ったわけではありません。このシリンダーヘッドの複雑さが4ストの方が難しいと言われる所以でしょう。

 私が過去に触ったエンジンでも、バルブのスリあわせをしっかり行っただけで中低速のトルク感が著しく向上した例がありました。


 というわけでシリンダーヘッドを除外すれば完全分解は2ストと同じ。

 つまり、クランクケースの分解についてはなんら変わる事もありません。トランスミッションの整備という意味では同じレベルということです。


 そういうわけで今回は番外編。シリンダーヘッドの整備などについて気が向いたら追加するかもしれませんがあまり期待しないでください。

 私が思うにエンジンの整備は2スト、4ストの差はあまりないです。それより単気筒、多気筒の差が大きいです。4スト単気筒であればその気になれば自分でもできますよと言いたかったわけ。

 多気筒、特にV4なんかになるとかなりの経験がないとキャブレターの取り外しにも苦労します。


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