キャブセッティングの手順 vol.2〜ドツボからの脱出
 キャブセッティングに関するアクセスやメールが多いので、高開度のセッティングに移る前に低開度のセッティングの追加です。

 vol.1を見て、スロットルにマークを入れてセッティングを始めた方の中にもきっとドツボにはまってる方がおられるでしょう。それをそのままに高開度のセッティングに移っても結局セッティングは完成しませんからここは一つ低開度を徹底的に洗いなおしましょう。

 手に入れたキャブレターが自分の車両用に仮セットアップ済みであれば低開度ではまる事はあまりないと思います。危険なのは私のように他車種用を流用した場合や中古キャブを使用する場合でしょう。

 そして、vol.1を読んで仮にもセッティングを進めたのであれば、全体のフィーリングは向上している・・・はずです。ドツボなパターンは全体としてきれいに回るけれどどこか1箇所でシャクるような症状が出たり、スロットルの開け方によってストールしそうになったりするパターンではないでしょうか。こういう症状を残したまま、そのスロットル開度を使わないようにして走ったりするより徹底的に不調箇所は排除しましょう。

 いちばんヤッカイなのは1/4前後の開度で発生する不具合。より低い開度であればエアスクリューとスロージェットで補正するに決まっています。1/4がヤッカイなのはこの部分に影響するセッティング・パーツ類が多岐に渡っているためです。vol.1に沿ってセッティングを進めていくと、1/4開度はストレート径で決めるわけですが、ストレート径だけに頼ってこの不調を解消すると、今度はスロットルを急開した際のフィーリングが悪化したりして、妥協点を探さなくてはならなくなります。

それでは頑張って完全にスムーズに吹けるセッティングを目指してみますか。

その@ 見直すべきこと。

 @の1 オーバーホール、油面チェック
 オーバーホールが不完全なキャブレターをサーキットで渡されて”セッティングして”と言われた事があります。こうなるとあっちを立てればこっちが立たずのセッティングしか出せないものです。セッティングがうまく出ないときはまずオーバーホールしてみましょう。

 油面に関しては樹脂製のフロートを採用しているキャブは昔の真鍮フロートのものと違ってあまり狂っている事は無いと思いますが、中古の場合は要チェック。左右のフロートのレベルがあってるかどうかも確認してください。これは狂っていればかなりセッティングに影響します。

 @の2 プラグ交換、エアクリーナーの清掃
 これも私の反省点。キャブレターセッティングを詰めながら日常の足ともなっている私のバイクの場合、セッティング不良のまま1週間走行したりする事があります。その間にプラグにたまったカーボンで更に症状は悪化します。プラグが悪いのか、セッティングが悪いのか見極めるためにもはまったら一旦プラグを新品にしてみましょう。エアクリーナーも同様の理由で一旦清掃しましょう。

 @の3 スロットルケーブルの遊び
 スロットルケーブルの遊びを再チェック。遊びが多すぎるとそのAにあげる不調箇所のスロットル開度の特定が難しくなります。

そのA 不調箇所探し
 不調となるスロットル開度を特定します。おそらく悩める子羊の場合、不調が出るのは1/4前後でしょう。1/8あたりの場合は迷わずエアスクリューとスロージェットの調整に戻ってください。

 ここで注意しないといけないのは1/8あたりで好調でも始動性が悪いとか、アイドリングが不安定な場合。以前、エアスクリューとスロージェットは相殺関係にあると書きましたが、完全には相殺しません。

 4ストのキャブの場合、エアスクリューとスロージェットで混合比を決めた後、アイドリング時の混合気の料をパイロットスクリューで決めていますが、2ストの場合は吸入負圧がそれほど高くないためかそこまで厳密な軽量を行う機能はついていません。特にPWKを4ストに流用する場合なんかは要注意で、混合気量をエアスクリューとスロージェットで決めてやる必要が出るわけです。

 文字にするとわかりにくいですが、例えばスロージェット40番、エアスクリューを1/2戻しで安定した性能を発揮した場合でも、42番&1回転戻しや45番&1.5戻しを試してみる必要があるわけです。始動性の悪いのはたいていの場合、スロージェットを大きくして、エアスクリューも開ける方向で解決できます。

 さて本題の1/4開度です。ストレート径で調整するのがセオリーですが、それにも限界があります。ストレート径をどんどん太くして限界を超えると信号からの発進など、開度ゼロから速い速度でスロットルを空けると一瞬ストールしそうになってから急に加速するような症状となります。こういう症状が出たら、それが収まるまでストレート径を細くしてください。

 問題が発生している場合はここでストレート径を細くすると今度はカブったような症状になったり、1/4を越えたあたりで回転が重くなったり、シャクるような症状が出たりするのだと思います。これはクリップ段数で調整します。


 クリップ段数について問題が発生するのは多くの場合、他車種のキャブを流用した場合や汎用のキャブをセッティングしようとしている場合だと思います。

 今まで書いていなかったことですが、ニードルのストレートがテーパーに切り替わる切りあがり位置もセッティングの対象となります。切りあがり位置はクリップ段数と完全相殺関係ですが、クリップでの調整限界を超えた場合は切り上り位置の違ったニードルを用意する必要が出てきます。ケイヒンのニードルの場合、切り上り位置はニードル記号の最後のアルファベットが手がかりです。

 更に、テーパー角違いのニードルの場合、構造上同じストレート径、同じ切り上り記号でも切り上り位置が変わってきます。具体的には下記の表を見てください。

ニードル番号 切り上り位置 ニードル番号 切り上り位置 切り上り位置はニードルのクリップ溝最上段からテーパー開始位置の距離です。
R20**J 40.23 R20**N ナシ
R14**J 40.19 R14**N 41.99
R13**J 40.15 R13**N 41.95

 ちなみにクリップ一段で移動する距離は0.9mm。J針とN針で2クリップ分移動する事になりますから、クリップ段数が5段まできても、中央に戻せる計算になります。良くできてますね。


 なかなか文章だけで表現するのは難しいですが、だいたい、以上のような項目をしらみつぶしにしていけば1/2開度くらいまでは問題なく回るようにセッティングできるはずです。それでもうまく行かない人はメールください。

 


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