ソケットレンチ-ハンドル編


 ソケットのサイズについていろいろ考えたので、ついでにハンドルについても書いてみましょう。

 すでに工具を持っている人で、ソケット類を持っている人はたいていラチェット・ハンドルと組み合わせて使用しているのではないでしょうか。各工具メーカーもそれぞれ工夫したラチェットを発売していて、ラチェットの需要がいかに高いかわかります。あの、カリカリ言う音は、いかにも”バイクいじりをしている”という気にさせて、メカ少年(中年も老人も)の心をくすぐります。

 が、実際にバイクだけを対象とした場合、これが効率の良い工具かどうか疑問を感じます。実際私がバイク屋で働いていたときはローラーキャビネットの横にキャビネットが倒れるのではないかというほどの大量のTレンチがかかっていて、ほとんどこれで作業を行っていました。決定的なのは、ラチェットは1アクションでの送り量が人間の体の構造上最大でも60度前後であるのに対して、Tレンチが利用できるところであれば、上手くすれば1アクションでボルト1本抜き取ることができるという効率の違い。言葉で表現するのは難しいので、今度バイク屋さんに行ったら観察してみてください。Tレンチのハンドル部を握ってボルトやナットにかかっているトルクを解除したら、後は垂直の部分に軽く手を沿えて、ハンドル部を人差し指で”ポン”とたたいて”クルクル〜”とレンチが回るに任せてボルトやナットを外している光景を必ず目にすると思います。

 にもかかわらずラチェットがハンドルの基本のように世の中で考えられている原因は、四輪的な考え方がベースにあるような気がします。四輪の場合、ボンネットの中とか、周りにオープンスペースがないところでレンチを使うことが多いので、Tレンチを振り回すことができなさそう。一方、バイクの場合は、たとえフルカウリングの車両でも、外装を外してしまえばオープンスペースがいっぱいあるので、Tレンチを基本にするのが効率は良いと思います。ただ、アマチュアでTレンチを各サイズそろえるのは大変なので、ソケット+Tハンドルで代用します。

 ここで問題発生。

 ソケットのところで”6.3sqを基本に・・・”的な発言をしましたが、私の知る限り6.3sqのTハンドルはこの世の中に存在しません・・・・。9.5sq用のTハンドルに6.3sqのアダプターを付けてとりあえず使ってください。

 教訓:やっぱり9.5sqは便利ですね。6.3sqの車載用が一通りそろったら、9.5sqもそろえた方がより効率的です。

 このようにとてもバイク整備にはとても優れているTハンドルにも欠点があります。前にも少し触れたようにハンドル部分が通過するだけの作業スペースが必ず必要となるという宿命にある点です。

 たとえば、オフロードバイクでフロントホイールのアクスルシャフトを外すとき、アクスルの周り止めナットは車体前側から回しますが、Tハンドルだとハンドル部分がホイールと当たって回しにくい。

 ・・・・・そこでラチェットの登場となるわけですが・・・。

 最近もっと便利なものを見つけました。

 工具メーカーによって、”スピンナハンドル”とか”ブレーカーバー”とか呼ばれるハンドルで、構造はいたってシンプル。ラチェットと比較して長いハンドル部分と、180°〜90°またはそれ以上可動するソケットの差込部がついている単純な構造のハンドルで、その単純な構造上、ラチェットより安く、ラチェットより高トルクに耐えるものです。

 高トルクに耐えるので足回りの整備などへの応用が可能(9.5sqの場合)であるだけでなく、しっかりした製品であれば、まず締まっているボルト・ナットを弛めるときは90°の角度でボルト・ナットにかかっているトルクを解除し、軽く回るようになったら180°に角度を換えてドライバーのように早回しが可能です。

 実際、スピンナハンドルの登場により、私の工具箱の中のラチェットはトランポのシートを外すとき以外使われなくなりました。

 そんなわけで、お奨めのハンドル類ラインナップはメインにTハンドル、サブにスピンナハンドル、余裕があればラチェットというのが私の意見です。


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