神戸の工具屋KTC楽天市場店

日常整備の話@


 車載工具の最後の方に書いたように、厳選された工具でツーリング先でのトラブルに対処するには日常の整備が欠かせません。ここではそれに関する話。

 日常整備といっても、基本的にはバイク屋さんにお願いしている人から、タイヤ交換まで自分でこなす人、または私のようにクランクケースの分解まで家でやってる人、さまざまそれぞれに経験も設備も違うと思います。今回はそんなどんな人にもついてまわる、基本的なことについてです。


 一番基本的なことは、ネジの弛め方、締め方でしょう。と、ここまで読んで、”そんなの知ってる”と思った人もだまされたと思って読み進んでください。

 ネジの頭をなめる

 固く締まっていたり、錆ついていたりするネジやボルトを弛める際、工具が接触する部分を変形、破損してしまって、工具がかからなくなることがあります。これは、メンテナンス初心者ほど発生しがちなトラブルで、こうなると結構大変な問題を抱えることになります。

 で、よく、雑誌なんかに”力の加え方が悪い”とか書かれていますが、”力の加え方って一体????”

 私はそれ以前に、”なめるまで続けない”が一番いいと思います。たとえば、プラスネジ(フィリップス・スクリュー)を弛めるとき・・・・・

  • ネジの頭に合ったサイズのドライバーを用意するのは当然。
  • 押しながらまわすのも当然。
  • ネジ及び、その周りをきれいにしておくのも当然の準備。

 で、まわしていって、回りそうにない感触だったら、とっととまわすのをやめましょう。ここでネジの頭をつぶすまで挑戦するか、やめとくかが、運命の分かれ目です。つぶしてしまうと、後はかなり厄介な作業が待っています。

 じゃあ、やめて、どうするか。次にやるべきことはいくつもあります。

  1. ネジの穴とネジの間にCRC556等の浸透潤滑材を流し込んでまわしてみる。
  2. ドライバーの先に”荒め”のコンパウンドをつけて、滑り止めにしてまわしてみる。
  3. 貫通ドライバーをネジにはめて、ハンマーなどで”ゴン”とショックを与えてまわしてみる。
  4. インパクト・ドライバーでたたいてまわす。(持ってる人だけ)
  5. バイク屋さんにお願いして外してもらう(エアツールなどで外してくれます。)

 私のバイク屋時代の経験からすると、3までの作業でほぼ9割のネジは外れます。とにかく、正しい工具ですら回せなくなったネジは、正しい工具がかからなくなったら、かなり厄介な存在となるので、まず、なめる前にあきらめることを習慣付けてください。


 特に、ブレーキやクラッチレバーのホルダーのネジを弛める際、”パキッ”て音がしたことありませんか?ネジを抜いてくると、ねじ山に、白い粉が浮いていたりしますね。これは、材質アルミニュームのホルダーに鉄のネジをねじ込んであることによって材質同士の電位差から”電解腐食”が起こっているのだそうです。私もこの件詳しくは知りません。よく、アフターマーケットの軽量ボルト(アルミ製)を買うと、チッチャイ袋に入ったグリスがついてきたりするのはこのためです。

 で、そのネジをそのまままたぶち込んでねじ込んでしまっている人。いずれ前に上げたような苦労を味わう運命が待っています。

 無事、ネジを外すことに成功したら、是非、組み込む際は正しく組み込んでください。正しい、ネジの扱いは以下3点。

  1. ワイヤーブラシなどで錆や汚れを落とす。
  2. パーツクリーナーやガソリンで洗う。
  3. メーカーからネジロック塗布が指定されていない限り、ねじ山と座面にグリスを塗布して組み込む。

3.のグリスを塗布して組み込むのは、振動でネジが緩みそうで怖いかもしれませんが、実際には潤滑して組み込んだネジは同じ力で締めても締結力が高く、緩みにくくなります。

 実際、私のTS200Rの場合、サイレンサーの上に位置するリヤフェンダーの右側固定ボルトがどうしても走行中緩む傾向にあり、ネジロックを塗布しても緩み、毎週まし締めしていましたが、ためしにグリスアップして組んでみたら、それ以来、緩んだことはありません。


 こういった、ボルトや、スクリュー類の潤滑は、メーカー出荷時にも基本的には行われていないようです。サービスマニュアルや整備手帳にも特に規定されていません。また、バイクショップによってもやったりやらなかったりいろいろです。

 でも、皆さんのバイクは是非、こういった細かい点に気を使って整備することをお奨めします。ネジを弛めるのが楽なバイクはツーリング先でのトラブルにも強いし、バイク屋さんにも好かれますよ。


 で、最近、ネジの潤滑に使うグリスの種類を聞かれたことがあります。ネジの潤滑専用のグリス(Wako'sのスレッドコンパウンドやNEVER SEES)もありますが高価なので、外装部品の取り付けなど、一般的なボルトに関しては私は普通にホームセンターとかで売っている”万能グリス”(リチウム基グリスのことです。)を使用しています。これはバイクの整備を行う際、少量ですが、必ず必要となるものなので、フイルムケースに小分けにして工具箱に常に入れておきます。

 1本づつ塗るのが面倒ならスプレーグリスが便利。

 エンジンの組み立てはNEVER SEESを使っています。エンジン部は高温になることと、締め付けトルク管理をできるだけ一定にするため、それからあんまり分解するところではないので、高耐久性のグリスを使用したいからです。この前、雑誌を見ていたら、”ヨシムラ”では、モリブデングリスをエンジンオイルで溶かしたものを使っていました。それぞれのスタイルがあるようです。


 どうです?ちょっと、サイドカバーでも外してネジにグリス塗りまくりたくなったでしょう?


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