フロントフォークのオーバーホール


 久しぶりのメンテナンス講座はフロントフォークのオーバーホール。メンバーの何人かはE&Gファクトリーへ来たことがありますね。

 今回はついでにセッティングを変えます。実は今まで圧側減衰力調整を最大にして乗らざるを得ないくらいに減衰力不足を感じていたため、この機会にオイル粘度を上げます。

 それから、今回はついでに”作業手順”というものも追ってみました。

写真は、ツールボックスの蓋裏です。分解組み立て手順はだいたい頭に入っているのでサービスマニュアルから各部の締め付けトルクやオイルの規定量、油面高さなど必要なデータを書き出してあります。特に倒立フロントフォークの場合、各部の締め付けトルクがシビアなので作業にかかる前にこういうものを書き出しておくと汚れた手でマニュアルのページをめくらなくて良くて便利。
部品取り車2000円・・・ではありません。
車体関係を整備する場合は極力安定した作業が安心した作業に繋がります。だからしっかりしたスタンドで車体を安定させます。
フロントフォークについている補器類と、作業の邪魔になりそうなものをどんどん取り外します。フォークプロテクター、ブレーキキャリパー、ブレーキホース・プロテクター、スピードメーターケーブルのクランプ、ヘッドライトあたりですね。
 フロントフォークは単体にしてしまうと丸いため安定しません。それなりのトルクで締まっているボルト類は車載状態で緩めておきます。この写真はアジャスターボルトを緩めているところ。この部分はタイヤが付いた状態で緩めないとフロントフォークのインナーチューブが回っちゃいます。ちなみにこのボルトを完全に緩めるとオイルがこぼれてきますので、ほんの少し緩めるだけ。
 アッパーブラケットのボルトを緩めています。これはフロントフォークを取り外すために緩めているのではありません。

 アッパーブラケットは微妙にフロントフォークのアウターチューブを締め付けているため、これが締まったままだとフォークキャップボルトが緩みません。キャップボルトを緩めるためにアウターチューブの締め付けを解除しているわけ。つまりアンダーブラケットのボルトは断じて緩めてはいけません。

 これでわかるようにブラケットの締め付けトルクは確実にフォークの作動性に影響します。締め付けトルクをしっかり管理したい部分。

 そしてキャップボルトを緩めています。上の手順でアンダーブラケットまで緩めてしまったあなたはここでキャップボルトとアウターチューブが一緒に回ってしまって動揺を隠し切れないはず。アンダーブラケットの締め付けを利用してアウターチューブを固定。キャップボルトをまわすわけです。
 これは、外した部品とかの段取りの話。人それぞれにパターンがあると思います。元YSP○○のメカニックT山氏の場合はその辺に工具も部品もほうりっぱなしで紛失して大騒ぎする姿がかわいいですが、私の場合真剣にやってるときは工具はウエスと一緒にプラスチックのコンテナボックス(100円ショップで売ってる)、部品は厨房用品のステンレスパレット。ちなみに1回の整備でパレットは2枚〜3枚使って、今回は外装や補器類のボルトや部品用に1枚、フォークの内部部品用に1枚の計2枚で作業を進めます。

 こうする事によって、部品がごちゃごちゃになってわけがわからなくなりにくくなります。

 ハイ、フロントフォークが外れました。
トップキャップを完全に取り外します。車載状態で緩めてあるので簡単に取り外しできるはずです。トップキャップを外して、スプリングやカラーをを取り外したらフォークからオイルをオイルパレットにあけます。
オイルがだいたい抜けたらアジャスターボルトを外します。こちらも車載状態で緩めてあるので簡単。アジャスターボルトを完全に外したらフォークからカートリッジが外れますので、カートリッジを取り外してオイルパレットにカートリッジ内のオイルを排出します。
フォークの全バラ風景。私はオイルシールドライバーという特殊工具を持っているのでオイル交換の際もここまで分解します。この方が内部の洗浄が楽。

 ちなみに上からスプリング、カートリッジ、カラー、アウターチューブ、インナーチューブ、そしてパレットの中にワッシャーやアジャスターボルトが入っています。これらをパーツクリーナーを駆使して完全に洗浄します。特にカートリッジの先っちょには減衰力を司るバルブが入っているのでこのあたりを念入りに。だいたい特大のパーツクリーナーをフォーク1本あたり1本使用する事になります。

 組み立てに入ります。ただ、ここはマニュアルを見ればわかるのではしょります。メスシリンダーでオイル量を測って組み立てたフロントフォーク内に投入。カートリッジ内にたまった気泡を気長に押し出してしっかりエア抜きしてください。エア抜き完了後、油面高さをチェックして問題なければスプリングを組み込んでキャップします。でも、キャップボルトを締めるのは車載してから。
キャップボルトを締めています。トルクレンチを使いたかったのでアンダーブラケットに仮止めした状態で締めています。アッパーまで入れてしまうとハンドルバーが邪魔になってトルクレンチが入りません。

この後、規定の位置までフォークを押し込んでアッパー、アンダーブラケットのボルトを規定値で締め、ホイール、ブレーキを組み込んだらスタンドから降ろしてアクスルシャフトの芯だしを行います。私はアクスルのクランプを締めこむ前にフォークを2・3度大きくストロークさせてから締めていますが、ホントはストロークさせた状態のまま締めるのが良いようです。

 

それほど多くの行程を必要としない整備なので自分でできるといろいろセッティングを試したりがやりやすくなります。最低限、メスシリンダーと油面調整器(自作可能)が必要。ホントはオイルシールドライバーもあれば完全分解できますが、必要なら貸しますよ。

 

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