◆実録◆ER(救命救急室)
 今回は、ファーストエイドとはほぼ無関係。暇つぶし的読み物です。

 ERといえばアメリカの人気テレビドラマ。あのドラマでは外科や内科、精神科といった専門の科へ移す前の応急処置を専門に行う救命救急室というのが存在して、そこが舞台になっているのですが、そういえば、そういう所って、日本の病院にもあるのでしょうか。ちなみにオーストラリアにはありましたねM上さん。ネバダにはありましたか?T田さん。

 さて、救急車で運ばれた私はストレッチャーに乗せられたまま整形外科へ直行です。そうです、ここにはERはありません。診察待ちの患者さんたちを押しのけて割り込んでそのまま狭い診察室へ。担当の医師は簡単な問診で即座にX線撮影箇所を指定。レントゲン撮影となりました。

 レントゲン撮影を終えて再びストレッチャーで戻ると、驚くべき事にすでに私の足の写真が出来上がって診察室に掲げられているのです。

 実は土曜日、交通量が少ない時間帯に、交通量が少ない場所での事故であった為、事故発生からそれほど時間が経っておらず、この時点ではまだ患部はそれほど腫れていなかったのです。

 私を乗せたストレッチャーが医師の前で停まるか停まらないうちに、医師は”困りましたねぇ。折れてますねぇ〜”。ちょっと体をひねって写真を見ると私が見てもきれいに真っ二つに折れています。

 医師:"うーん、どうしようかなぁ〜。”医師は写真を見たり、足の骨格模型を持ち出して頭の中でシュミレーション中。

 医師:”指を引っ張った形で固定してしまう手がありますねぇ。でも、関節の部分も少し崩れているから、あとでだいぶ経ってから痛くなるかも知れませんねぇ。このまま固まるのを待つ手もありますが、少しだけずれた形でついちゃいますねぇ。一番確実なのは手術してしまうことなんですが、それだと2ヶ月ほど入院してもらわないといけません。”

 医師:”う〜ん、やっぱり手術しますか。すぐに入院の手続きを取りますよ。どうしますか?”

 私:”実は私、自分で会社をやってるんです。しかも、今、1人でやってるんです。入院しないで済む方法はないですかねぇ。旅行会社なので、今の時期2ヶ月入院はヤバイです。倒産しちゃいます。”

 医師:”そうですかぁ〜。なるほどぉ〜。それでは入院はムリですねぇ〜。という事は手術もムリですねぇ〜。”と再び足の骨格模型を手に考え込む。

 医師:”治療の方法は患者さんとの相談で決めますから。そういう事情なら入院はムリでしょう。でも、多分明日あたり腫れがひどくなって、相当痛いですよ。だいたい我慢できて2日でしょう。いや、脅かしてるわけじゃありませんよ。たいていの人がそうだから。”

 私:”とりあえず、動けるようにお願いします。”

 医師:”判りました、でも、痛いですよ。”と、看護師さんに”それじゃぁ○○をXXして△△してあげてください。”
 ※多分、伸縮包帯でキツイ目に巻いて固定してあげてくださいという意味だったと思います。※

 看護師:”エッ? 先生!、本当に?、本当にそれだけですか?”

 医師:”だって、この方は動けないような固定は困るんですよ?”

 看護師:”でも〜”

 医師:”あなた聞いてたでしょう?この方の事情を。人それぞれ事情というものがあるんですよ。治療というのは患者さんによって事情との兼ね合いで一番よい方法を考えないといけないんですよ。”

 医師と看護師がもめ始めてしまいました。どんな顔をしていたらよいのか悩む私。そこに矛先が・・・。

 医師:”ただし、さっきも言いましたが、かなり痛むと思いますよ。脅しじゃなく。明日、明後日は相当腫れますよ。我慢できなくなって戻ってくる人が殆どですよ。”

 看護師の方は納得のいかない顔で足に包帯を巻き始めます。

 医師:”それじゃあ、これもつけときましょうかねえ。”とアルミ板にウレタンを合体させた添え木(最近知ったところによると「シーネ」と呼ぶそうです。)を曲げて足首を固定してくれました。

 自分の生活そのものまで考えて治療方針に頭をひねってくれた医師と、追って訪れるであろう激痛を本気で心配してくれた看護師に感謝。


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