立方体から

顔(前面のみ)を生成

モデリング講座第2回:「顔の基本モデル製作」

前回と同様、このテキストはtrueSpace4(以下、TS4と記載)を使ってのモデリング方法を解説したものです。trueSpaceEZ(以下、EZと記載)は持っていないので同様のことがEZで行えるかどうかは確認してません。
モデリングの方法論も同様で、ラフに大まかな形を作り、プラグインの「ThermoClay2」を使ってサブディバイドして整形する、という形を取ります。

さて、顔の原型作成です。現在では、件の美少女3Dブームとかとあいまって、顔から3Dモデリングを始める人も多いようですね。しかし同時に、顔のモデリングは有機体モデラーを目指す人にとっての登竜門の一つでもあるわけで、ツールに慣れない状態であれこれやってもうまくいかないものなので(実際、私がそうでした)初心者の方は操作基本をマスターしてからの方がよいでしょう。
このコンテンツでも、上半身作成の時と同様に、TS中級者以上を対象にしています。最低でも

  ・「ポイント編集」の「ポイントナビゲーション」パネルの諸機能
  ・「ポリゴンドロー」パネルの諸機能
  ・「オブジェクト変形」の「変形ナビゲーション」パネルの諸機能
  ・Wld軸とObj軸の操作の違い

はマスターしているのが条件です。
また、前回同様、サブディバイドに「ThermoClay2」プラグインを使いますのでそれも必需とします。
では、始めましょう。


まず

今回作成するのは、顔の雛型となる原型製作までとします。
まあ、ようするにラフモデルですな。一旦原型が出来あがった後、そこから頂点編集でいろんな顔に作り変えていくワケで、男性用、女性用、老人用、子供用など、何個か作ってストックしておくと非常に便利です。
テクスチャーや目玉、シワ、眉毛・毛髪といった付属物はさらに後の段階での作業となりますので、それらはまた別の回に説明いたします。
ちなみに、今回はサブウインドウに3DRを起動して作業しました。


Step1

例によって立方体からモデリングを始めます。
立方体を解像度5で作成し、「ポリゴンスライス」「オブジェクトの選択部分を分離」機能を使って後の3ブロックまでを切り離し、削除します。
これに、オブジェクト変形をかけ、図のような形状に変形します。
「〜軸に垂直な面に沿って変形」機能を使って移動・拡大変形させていくわけですが、一つの軸で変形をかけた後、一旦フリーズさせてから別の軸で作業する、という方法を取った方がやりやすく感じます。

Step2

鼻にあたる部分をスイープで押し出します。(右図)

鼻のスイープが終ったら、ポイント編集で各頂点を左右対象に移動させ、
顔らしいデコボコをつけてやります。(下図)

この時点でだいたいアウトラインを作ってやるわけなんですが、コツは

・ 目の部分のくぼみ
・ 頬のでっぱり
・ の部分の出っ張り
・ アゴ

をしっかりと張り出したりへこませたりさせておく事です。なお、この時点では頂点は移動させているだけで、新しい面を割ったり、ポリゴンを削除したりしているわけではありません。
ちなみに、色のついている部分が目、口になる予定です。


Step3

目が四角のままでは少々アレなので、目元と目尻のところに頂点を加え、あたらしく辺を引いてポリゴンを割ってやります。
この時、どうしても三角形ポリゴンができてしまいますが、ジャマなので隣の面ごと「オブジェクトの選択部分を分離」
で面を切り離し、5角形ポリゴンにしておきます。(コラム「面の分離時の描画エラー解除」

Step4

目の位置と形が決まったら、次は口を調整してやりましょう。
口はただ穴が開いているのではなく、唇というでっぱりが付属しますので、口の周囲にそれ用のポリゴンを用意しなければなりません。このような場合、口ポリゴンの周囲にぐるっとポリゴンドローで面を割っていけばいいわけなんですが、今回はそれよりも簡単な方法でやってみます。
まず、口の位置の3面を選択し、Wld拡大してやります。その後、ベベルをかけ、内周を作ってやるわけです。
あとは突き出したその3面を移動させて元の位置付近に戻してやれば、アラ不思議(でもないか)口の周囲に唇のガイドとなるふちどりが出来あがりました。
とりあえず、下唇とアゴの間が直線で繋がっていてはおかしいので、面をスライスしてアゴと下唇の間に段を作っておきましょう。

Step5

同様に、目の周囲にも瞼や眼窟となる凹凸が必要なので、唇と同様に周囲に縁取りを作ってやります。目の場合、目となる予定の2つを同時選択し、拡大>ベベルしてやるわけですが、この時、唇とは違い、Obj拡大を行います。
Wld拡大を使う場合、2つの離れた面を選択して行うと拡大中心がズレてしまうためです。頭に叩き込むために、一度ためしにやって失敗してみましょう(笑)

さて、拡大が終ったら、2面を同時にベベルしてやります。あとは各頂点の位置を左右対象編集で微調してやります。
ついでに、目元のところのポリゴン割りが気に入らないので、割りなおしてやります。あ、そういえばポリゴンの割りなおしについて説明してなかったですね。コラムつけときます。(コラム:ポリゴンの割り方の変更)(←スミマセン、現在未対応(泣))
さて、そろそろレンダリングしてみましょう。(右図)

うむ、顔らしくなってきました。


Step6

目の概略ができたとはいえ、眉びさし(っていうのか?)がないと落ち着きません。目のすぐ上の頂点群(額の中央にあったヤツ)を下ろしてきて、眉びさしを作ってやりましょう。頂点を移動するだけですぐできます。(図の色つきの面の形を整えるわけです)
あと、やっぱり額が短すぎたので、上部の頂点群を動かして額を広く取ってやります。目元も微調してやりましょう。
さて、レンダリングです。
ノーマルのままではなんだか萎え萎えですが、サブディバイドした方はずいぶん外形が整ってきたことがわかります。

Step7

最後に、唇部分がまだつるりとして気持ち悪いので、ポリゴン割りを増やしてそれらしく整形してやります。
ほとんどが「辺の追加」機能での作業になります。


今回は急いでやったので、この状態では問題点もまだまだ残っています。
鼻はブロックのままですので、リアルなモデルを作ろうと思えば、これらの作業の上に鼻の造形が加わります。(逆に、アニメ調のものを作るなら、鼻はこの程度でも充分ですが)
また、眉間や唇の三角ポリゴンも気になります。サブディバイド効率化のため、できるだけ四角形に直していきたいところですが、ラフ作成ということで今回は勘弁してください。

製作時間は約1時間半でした。

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