Diary

Ichiro Satoh

もともとは研究用ソフトウェアの開発履歴に関するページだったのですが、開発関連よりも雑談の方が多くなったので、2001年分から別のページを用意することにしました。リンクは勝手にしてください(でもリンクしたい人なんているのでしょうか)。

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2011年9月30日

HPの迷走が止まりませんね。先月、個人向けPC事業の分社化または売却、WebOS事業の停止という路線変更を打ち出したのに、そのCEOが辞任とか。経営上の大きな路線変更を打ち出したならば、その変更が軌道に乗るまで、そのCEOはコミットメントする(させる)のが普通なのですがね。さて新CEOはHPの社外重役だそうですし、eBayを成長させた立役者。ただ、その一方で、カリフォルニア州知事選に名乗りを上げて民主党の最終選挙で敗れた方で、経営者というよりは政治家志望。大丈夫なのですかね。ここまでCEOの交代が多いと、個々のCEOの問題というよりは、そのCEOを選んでいる役員会の問題にみえてきます。いずれにしてもHPといえば世界代表するテクノロジーカンパニーのひとつ(だったはず)。復活していただきたいですね。

2011年9月29日

午後から講演。2時間講演のうち、かなりの時間をAmazonネタが占めたのですが、その意味ではAmazonには感謝です。ただ、体力的に弱っていたところだったために2時間講演が終わった後はぐったりでした。

ところでAmazonの新型Kindleの話の続きですが、昨日は技術的にも重要と書きながら買ったのかというと実は買う気になれませんでした。理由は価格の妥当性。昨日発表された新機種は世間では安いという評判なのですが、KindleはAmazon独自の電子書籍フォーマットに最適化されているので、(もちろんPDFそのフォーマットに変換できますが)コンテンツをAmazonから買わないといけなくなるわけで、その費用を考えるとKindleは決して安いとはいえないはず。

その意味ではAppleのiPadも同じかもしれませんが、AppleがAmazonに対して上手いのは、サービス開始当時にiTunes Storeにおいて楽曲を統一価格で提供することで、ユーザに対して将来コストを明示したことがあげられます。それと、どんな商品にもいえますが、安く売られるにはそれなりの理由があるはず。他社の同様商品と比べると半値程度ですが、Amazonとしてはコンテンツ販売や通販でKindleユーザからお金を取って採算をあわせるのでしょう。例えばKindle Fireはカラーですし、昨日書いたAmazon Silkのおかげで、PC用並のWebブラウザが動くでしょうから、Kindle FireでAmazonの通販を利用させる。このときにKindle Fire購入者はAmazonの通販を例えば3%割引きなどのセールスキャンペーンを張れば、Kindle Fireも売れるし、本業の通販も売れるわけですから。

実際、Amazonの価格戦略はおもしろいところがあって、過去にWalmartと、赤字覚悟の書籍の安売り合戦をしたことがありました。その背景としてよくいわれているのが、AmazonはWalmartと競争しなければならない必然性なかったけど(両社の購買層が相違)、安売り王であるWalmartと争うことで、ネット通販は安いという印象をユーザに植え付けたかったからといわれます。もちろんユーザにとっては安売り合戦はありがたいことなのですが、この安売り合戦が、米国における2大書店チェーンの倒産の大きな要因といわれます。その意味では本好きのユーザにとってよかったのかはよくわからない。通販のAmazonはもちろん、Walmartも本をじっくり選ぶような店では決してないですから。

さて新型KindleではAmazonが戦陣をきって安売り戦略をとってきましたが、興味があるのはその安売り戦略に乗るところがあるか。ブランド重視のApple はおそらく参戦しないと思いますが、Android陣営は電子書籍端末で出遅れていることもあり、参戦してくるかもしれません。どちらが勝つかは別にして、敗者はまったく別の業種や企業かもしれません。個人的には仮に電子書籍端末の安売り競争が始まったときの敗者は新聞社と出版社ではないかと予想しています。その理由はまたいずれ。

2011年9月28日

Amazonが新型Kindleを発表しましたが、最上機種のKindle Fireに摘んだAmazon SilkというWebブラウザがおもしろいですね。簡単に言えば、普通ならばWebブラウザからインターネットを介してWebサーバにつなぐところを、いったんAmazon EC2/S3上のサービスに接続する。ただし、ただのキャッシュではなく、HTML/CSSの展開やJavaScriptの実行など、計算処理が思い処理をこのサービス上で実行して、電子書籍端末(この場合、Kindle Fire) 側の処理を減らしています。さらに単純に計算代行するのではなく、端末の画面サイズなどを想定して、画像などを縮小して転送させるそうです。この結果、通信回数が減りますし、端末の計算リソースが少なくても重たいWebコンテンツを扱えるようになります。ただ、個人的には、Webコンテンツの事前展開・縮小には限界があるので、短期的に重要なのは計算や通信が減ることによってバッテリ持ちがよくなることだと思っています。

問題なのはインターネットとの関係です。クラウド側で、インターネット上のWebサーバ情報を集めて、それを束ねてしまうというのは、事実上、端末からインターネットはアクセスできないということになり、いいかえればクラウドという雲でインターネットを被い隠されることになります。モバイルとクラウドの関係を再定義するのはもちろん、インターネットの再定義しかねないので興味のあるところです。

それとソフトウェアの研究者としては、Amazon Silkは考え深いものがあります。というのはいまのPCのアプリケーション、例えばワープロ、表計算、メールなどはWeb上で実現することができるようになり、アプリケーション(つまり実行可能なソフトウェア)がサービスに置き換えられてきたのですが、唯一のアプリケーションとして残されたがWebブラウザでした。これはWebブラウザが、サービスの表示・操作するためのアプリケーションだったからですが、そのWebブラウザもサービス化されることを意味します。FirefoxなどのWebブラウザがありますが、今後はWebブラウザの差別化は、Webブラウザそのものではなく、背後にあるWebブラウザの支援サービス次第ということになりそうです。

2011年9月27日

来客と外出。夕方、新しく会社をおこされた方のオフィスにお邪魔したのですが、リバーサイドのオフィスっていいですね。やはりオフィスって、窓から見える景色は重要だと思います。以前、シアトル方面にある某大手ソフトウェア会社の研究所に伺ったときに、いくら個室でも窓がない個室というのは、オフィス環境としてよくないのではないかと思ったのですよね。

2011年9月26日

ぐったりしながら仕事中。今日はいくつかの用務の日程変更をさせていただいたのですが、それでも追いつかない。

2011年9月25日

今日も休日出勤。海外出張をしたからといって、誰かがその間の仕事を代わりにしてくれるわけではなく、出張中に生じた仕事を黙々と片付けております。それとカメラレディ論文2本の仕上げと、投稿論文の執筆というお仕事もあるし。ギリギリの状態がしばらく続きそう。

2011年9月24日

休日出勤、午前はオフィス、午後は早大理工。

ちょうど10年立ったので時効だとは思いますが、当時、某携帯電話キャリアの役員の方から、(その1年後にはそのキャリアは海外企業に多額出資までして、そのサービス売り込んまでした) 某サービス(携帯電話向け電子メールやWeb観覧) を使ったことがない、という話を自慢げに聞かされたことがありました(まったく使った経験がないというよりは、使っていないという意図なのでしょうが)。

情報関連の経営陣というのは自社製品・サービスは使いこなせるべきだと思うし、特に携帯電話は使い勝手が重要なので、自社製品・サービスを使ったことがない、または使えない人にその製品・サービスに対する正しい経営判断ができるわけがないです。

その一年後にはそのサービスの普及を狙って、海外の大手キャリアの大型出資をはじめます。ただ、他にも同様の役員がおられたとしたら、そのサービスに関わる海外戦略が描けていたとは思えない。結果は御存知のように同サービスの普及はおろか、同社は多額な損出を残して終わります。

これは10年前の話だし、いまは違うのだと思いたいのですが、Steve Jobsのようにデモンストレーション付きのプレゼンは無理にしても、日本のIT企業や通信キャリアの経営陣でデモンストレーションをされる方は皆無(自分でデモンストレーションするのはKDDIの社長ぐらい)。本当に自社製品・サービスは使いこなせているのかはいまも謎ですね。

2011年9月23日

エアーカナダのトロント発成田行きは予定よりも1時間半ぐらい遅れて成田空港到着。カナダは米国よりも北に位置するので、飛行時間はかからないという感覚でしたが、それでも約13時間。やっぱり疲れますね。ただ、エアーカナダのエコノミー席のうち2/3はシート電源があるので、助かります。

それから渡航先のナイアガラの写真をWebに置きます。写真をみるといい場所に見えますが、個人的にはNGでした。というのはナイアガラは都会というか、アトラクションからカジノまで乱立した観光地。有名な滝も人工アトラクションといわれればそう思えるぐらい。そうそう、虹がかかる写真がありますが、通常、カメラだと人間の目ほどは虹はきれいに写りません。今回はPLフィルターを使ったので、きれいに写せました。サーキュラーPL(円偏光)フィルターは、虹に限らず、青空やビルを撮すときは便利なので、持っていると便利です。

2011年9月22日

早朝から11時ぐらいまでトロント市内をまわってみる。トロントは人口の半分が移民だそうですが、人種と文化が多様化していますね。多少写真を撮ったので、トロントの写真をWebにおいておきます。トロントの街の雰囲気が伝われば幸いです。

さて帰国なのですが、空港に着いてみるとエアーカナダのトロント発成田行は1時間強の遅れだとか。21日に台風の影響で成田発トロント行きが欠航になったために、機体のやりくりのためにパリ発トロント行きの飛行機を、トロント到着後に成田行きで使うことになったためとか。でもそれも遅れて出発したとか。

2011年9月21日

国際会議の3日目。国際会議は午前中で終わり。さらに今夜はホテルの予約がとれなかったので、トロント市内に移動。カナダとはまったく関係ないのですが、8月のFirenze出張で撮った、Finrezeの写真と、やはり8月のClermont-Ferrand出張で移動の都合上、立ち寄ったParisの写真をそれぞれWebにおきます。朝晩と帰国日ぐらいしか写真を撮る時間はないので、寄れたところだけ。

2011年9月20日

国際会議の2日目。発表終了。ところで、はじめての国際会議なのですが、不思議なコミュニティですね。昼食時に見知らぬ研究者の席に着いたのですが、話題が国際会議をマネージメントが中心。国際会議の開くの好きな方が多いコミュニティのようですね。個人的には国際会議のチェアとか面倒なことはしたくない方なので、話題についていけませんでした。夜はバンケットだったのですが、ビュッフェ形式、しかもランチとまったく同じ。ランチとしてもお世辞でもおいしいとはいえないのに、これをバンケットとして出されてもね。というわけで、10分ほどで早々に退出、まっとうそうなレストランに行きました。出張ですから、食事のお味でとやかくいう立場でもないのですが、米国・カナダ開催の国際会議でバンケットがおいしかった例しがないのですよね。

2011年9月19日

国際会議の一日目。実はナイアガラの滝の近くのホテルが国際会議の会場なのですが、ナイアガラはラスベガス状態ですね。ど派手なホテルがいっぱい、大観覧車からカジノまでアトラクション施設もいっぱい。会場のホテルの両隣は、ハードロックカフェとプラネットハリウッド。観光化されすぎてますよね。有名なナイアガラの滝も迫力こそありますが、夜はカラフルにライトアップされるし、人工のアトラクションといわれれば信じるぐらい。実はナイアガラの滝というと大自然を想像していたのですが、大都会でした。

ところで学会会場とナイアガラの滝の遊覧船乗り場が至近なことをいいことに、昼休みに遊覧船に乗ってみました。ただ、びしょ濡れになってしまって、午後のセッションぎりぎりに学会会場に戻ったときは一人びしょ濡れで目立ってしまいました。

2011年9月18日

今月二回目のカナダ行き。国際会議のためにトロントに移動。それからバスでナイアガラまで移動。ところでトロントともナイアガラとも関係ないのですが、今月、カナダのバンフで撮影したBanffの写真をWebにおきます。ほとんど泊まったホテルの写真ばかりになっていますが、カナダ有数のホテルらしいので、そのホテルをお楽しみください。

2011年9月17日

ひさしぶりに量販店(ヨドバシカメラ秋葉原)にいってみる。相変わらず人が多いですね。ヨドバシカメラ秋葉原の売り上げは、デパートを含めて一店舗あたりの売り上げは国内一番だそうですが、それも頷けます。それと家電製品やパソコン関連はヨドバシカメラに限らず、量販店による売り上げが多いわけですが、コモディティ化された商品におけるメーカと販売店の力関係をみることになりますね。そうそうヨドバシカメラの入り口のところで、スターウォーズのBlu-ray版発売イベントをやっていました。ダースベーダーなど帝国側キャラクターが複数出演した撮影会。とっても参加したかった。DVD版はもっているけど、Blu-ray版もほしかったり。スターウォーズのためならBlu-rayプレーヤーを買ってもいいです。

2011年9月16日

教授会。博士論文の最終判定。特にもめる要素もなく、すんなりで終わる。まぁ、教授会は儀式。構成員が複数専攻の教授以上だからといって、その人件費はいくらとか悩んではいけない。

それにしても教授会があることをすっかり忘れて、カジュアルな格好で出勤してしまい、教授会の会場に入るときに事務方から冷やかされる。確かにカジュアルすぎました。昔は外出や来客がない場合も、ある程度はドレスコードを気にしていたので、スーツ、内勤モード、プライベートの3種類だったのですが、内勤モードが欠落して、スーツ(スーツコスプレともいいます)かカジュアルのどちらかになりつつあります。カジュアル系の服装だと、同僚から事務方、そして守衛さんにまで認識されないことが多かったり。

2011年9月15日

来客と取材。取材は写真を撮るならば前に言っておいてください。お願いしますです。

ARM版Windowsは簡単なシステム構成図程度しか情報がないので評価がしにくいのですが、MSにとっては自社の将来にも関わるので慎重なのでしょうね。Windows 8に関する報道などではARM版Windowsは亜流のように位置づけられていますが、台数ベースで見ればARM版の方が多くなり、実質的には主流に可能性はありますからね。

個人的には興味があるのは、ARM版Windowsで、非Windows開発者を呼び込めるのか。MSの最大の強みはWindows向けアプリケーションの開発者に対する手厚いサポート。これはWindows向けアプリケーションを拡充する上で役に立ちました。しかし、既存Windows開発者へのサポートというのは、非Windows開発者からみれば、古参優遇で参入障壁になり、その結果としてWindows開発者は固定化されてしまい、それがWindows向けアプリケーションの停滞につながりました。これをいうとWindows開発者の方は怒るのですが、WebにしてもSNSにしても、ここ10年間の新しい人気アプリケーションやサービスはWindowsとは違うところで生まれてきており、逆にここ10年間で従来にない新しい人気アプリケーションがWindowsにあったといえるでしょうか。それと他の比べて、Windows開発者の平均年齢が高いと思うのは当方だけでしょうか。

MSにとって古くからライバルであるAppleは、iPhoneとともに非Macintoshの数多くの新参開発者を集めらることに成功して、それがiPhone/iPad用アプリケーションの多様化につながりました。それを端で見ていたMSとしても新参開発者を集めることの重要性はわかっていると思います。ただ、それは既存開発者の優遇とは矛盾することになるし、仮に既存開発者の存在が新参開発者の障害になるならば、既存開発者を切り捨てるしかない。企業も開発者コミュニティも、組織は結局は人なので、組織を新しく変えたければ人を入れ替えるしかない。その意味でいえば、MSが取り込みたいのは、今回のMSの開発者向けカンファレンス(Build)に来ていないし、そのカンファレンスの存在する知らないような非Windows系開発者なのでしょう。

ARM版WindowsはMSにとっては、非Windows系開発者を招き入れる大きなチャンスなのだと思います(もしかすると最後のチャンスかも)。その意味ではアプリケーションの実行だけでなく、アプリケーション開発に関しても既存Windowsとの互換性を捨てて、古参Windows開発者と新参Windows開発者が対等に競える場を提供するのもひとつの戦略だと思います。そうでないとWindowsは、いまの古参Windows開発者とともに年を取っていくだけの存在になります。

2011年9月14日

札幌まで日帰り出張。北海道ぐらい泊まりで出張してみたいものですが、その余裕もなし。

ところでMicrosoftの開発者向けのカンファレンスで、Windows 8のプロトタイプが紹介されたようですね。ご存じのようにx86系に加えて、ARM系にも対応するそうですが、これは携帯電話以上、PC未満の市場を狙えることを意味しており、大きな変化だと思っています。

というのは過去のコンピュータの歴史では、メインフレームからミニコン、そしてワークステーション、PCと変遷があったのですが、いずれも変遷でも共通していることは、その時点は主流のコンピュータと比べて、安価だけど低性能なコンピュータが、その後、高性能化されて主流のコンピュータを凌駕することになることの繰り返し。どうして高性能化されたのかというと、それは数が出たから。逆に言えば変遷の条件は数が出る市場があることです。さて当初、玩具扱いだったPCが、なぜミニコンやワークステーションを性能的に凌駕できたのかといえば、ミニコンやワークステーションは企業向け市場に限定されていたのに、PCは先進国の消費者という大きな市場を持てたから。

仮にポストPCが出てくるとしたら、その絶対条件は先進国の消費者よりも大きな市場があることになります。現状で該当するような市場はただひとつで、それはBOP市場、つまり新興国や発展途上国の消費者市場だけです。BOP市場の所得は年間50千ドル程度。そうなるとBOP市場で売れるコンピュータは2百ドル以下になるでしょうが、市場は大きい。先進国はせいぜい10億人ですが、BOP市場は40億人以上。今いえることは当初は先進国の消費者が玩具扱いするような安価かつ低性能なコンピュータですが、数がでることにより、いずれは今のPCを越える性能を持つことになるはず。

さて類似した事例は100ドルPCという構想がありました。ただ、100ドルPCは、いまのPC向けアプリケーションを安価なコンピュータで動かすことを狙ってしまいましたが、過去のコンピュータの変遷を考えると、新しいコンピュータは必ずしも主力コンピュータの縮小版ではないし、そこで動作するアプリケーションも別物です。例えばメインフレームは往年は銀行の感情系などのトランザクション処理に利用にされてきましたが、実はそれは今も変わらない。ミニコンはメインフレームとは違うアプリケーションに使われたし、ミニコンやワークステーションのアプリケーションとPCのアプリケーションは同じではない。つまり、ポストPCのアプリケーションはPC向けアプリケーションとはちがう可能性もあるのです。

さて話をWindowsに戻すと、ARMという安価かつ低性能なコンピュータ向けプロセッサに対応したことは評価できますが、PCとARMの両方を対応に対応した時点で、ARM搭載にターゲットに絞ったOSには勝てないことになります。その意味ではBOP市場向けのコンピュータに近いOSはAndroidかもしれません。ただ、Androidも先進国消費者相手のスマートフォンやパッド以外の別の道を探って欲しいところ。

2011年9月13日

新横浜方面で打ち合わせ。新横浜の昔を知っている者としては(通っていた高校の最寄り駅の一つだった)、変貌ぶりに驚かされる街です。

さてHadoop関連の某セミナーへの参加者が900人を越えたそうです。個人的にはHadoopを必要としている人、またはHadoopに関わる人というのはそれほど多くないと思うのですがね。HadoopのもととなったMapReduceは良くも悪くも、きわめて癖が強い分散処理手法。それをベースにしたHadoopも当然、汎用的なシステムではなく、データ特性や処理内容を選びます。どちらかというと既存のデータ処理に問題を抱えている方で、その中で問題解決にHadoopがたまたま向いている方になると思うのですがね。

それとHadoopを使うと分散システムは様々な難しい問題を解決すると思っている方が多いのも気になります。分散システムのは難しい問題のほとんどは、元を辿れば通信遅延に起因します。つまりコンピュータ間で情報共有する場合、他のコンピュータに関しては恒に過去の情報しか知り得ないということです。これは光が有限速度で進むのと同じで、物理的制約なので根本的に解決することはできず、その通信遅延の影響を見えないようにするのが限界です。

1990年代、分散システム、特に分散アルゴリズムの研究は、コンピュータサイエンスでも最も秀英といわれるような人材が集まっていたのですが、それでも分散システムにおねる多くの難しい問題は解決できませんでした。これは研究上の経験則ですが、最優秀の連中が集まって無理だった難題はその後に解ける可能性はほとんどない。その意味では残念ながら、MapReduce/Hadoopのような特定の分散処理に対する個別対応が限界と思った方がいいのですよね。

2011年9月12日

数ヶ月前の話なのですが、ミドルウェア関連のベンチャーの社長様から、そこの製品であるミドルウェアの特許を取ったという話を伺ったのですが、(特許そのものは拝見していませんが)そのミドルウェアの機能を伺う限りは、目新しい技術は皆無。特許は成立すれば絶対安心だと勘違いしている方がおられますが、例えば特許侵害訴訟で、その特許以前に同様技術の公知事例があることがわかれば実質的にその特許は無効化されてしまいます。もちろん特許庁の審査官は先行技術を調べるわけですが、すべての先行技術を調べられるわけではない。せいぜい既存特許か、論文ぐらい。そもそも先行技術がないことは出願側が調べておくことというのが大前提。だから、先行調査能力のない弁理士さんに頼んだりすると、実際的には価値のない特許をとることになります。

それでも大手の場合は他社との特許のクロスすることがあり、その場合は中身よりも数なので、そうしたダメな特許でも数にいれられるという存在意義があります。でもベンチャーの場合、特許の使い道は他社に同様技術を使われないためなので、侵害訴訟で逆に消えてしまうような特許はもつだけ無駄なことがほとんど(維持費はかかるし)。

さて上述のベンチャーのケースでは、出願時期と成立時期を考えると、弁理士は早期審査をかけているはずで、早期審査したのですか、とその社長に伺うと、要領を得ない返答。通常は出願した特許を出願者が必要とするかは不明なので、審査請求期限ぎりぎりまで審査請求はしない。悪質と言っていいのかはわかりませんが、その弁理士さんは、出願早々に早期審査を申請して、出願費用だけでなく、審査の手数料も早々にとりたかったのでしょう。その意味ではその社長さんは哀れなかもしれませんが、むしろ自業自得。むしろそのベンチャーの社員さんは気の毒というか、技術系ベンチャーで知財戦略が欠けた経営陣の下では将来性があるとは限らないですからね。もちろん、その話を伺ったときは「強力な特許ですね」とお世辞で解答しておきましたがね。ただ、その自慢話は聞いていて本当に痛かったです。

2011年9月11日

今日も休日。ところでLuxembourgの国際会議後の会食会では、フランスの銀行の財務状況が話題に上ったのですが、フランスの大手銀の借金はフランスのGNPに対しても無視できない水準だそうで、そうとうたいへんみたいですね。リーマンショックの予兆のひとつにBNP Paribasの財務問題がありましたが、その問題は根本的に解決されているとはいえなのかも。当然、BNP Paribas以外の大手銀行(Credit AgricoleやSociete Generaleなど)にも不安の矛先が向かいます。これ以上書くと風評になりかねないのでさけますが、欧州経済は欧州銀行指数とフランスの大手銀行株価がキー指標になるのかもしれませんね。先方の金融系関係者の関心はQE3のようですが、QE3を期待する方とQE2およびQE3の後遺症を心配する方がおられます。日銀のQE2政策はデフレ抑制という意味が強かったのですが、FRBとECBに関しては金融機関の維持のためにQE2になっており、それが実体経済にいいとは限らないと思ったり。ただ、フランス銀行のバランスシートが崩れるといい悪い以前にQE3に迫られるかもしれませんね。いずれにしてもすでに前人未踏の世界に入ってしまっているのかもしれません。

2011年9月10日

さすがに疲れました。本当は某シンポジウムに行きたかったけど休養。今日は8月14日以来の休日とさせていただきました。

2011年9月9日

成田空港に到着。今回の出張は世界一周となってしまい、さすがに疲れましたね。でも荷物を置いたらオフィスにいってお仕事。お仕事。

ところで、ご存じ方も多いと思いますが、LufthansaのFrankfurt発成田行きはエアバスのA380の就航路線。実はA380に乗るのは初めて。乗ってみると大きいですね。CAさんに頼み込んで、1階席と2階席の両方を見学させてもらう。機体後方に階段があるのですが、鍵かかっていて乗客は移動できないのです。さて1階は全部エコノミー席。シートは最近はやりのクッション材を使った薄いシート、配列はBoing 747と同じ、3-4-3。機体が太い分、ちょっと広いかも。2階はビジネスとファーストクラス。ビジネスですが、シートはLufthansaの標準シートとほぼ同じようです。配列は2-3-2。ファーストクラスは見せてもらえなかったので謎(乗ることないからみてもしょうがないし)。機体自体は悪くないと思いますが、乗客数が多いので、荷物を預けると荷物が出てくるまでに時間がかかりますね。待ちくたびれてしまいました。

2011年9月8日

朝、Luxair便でLuxembourgからFrankufurtに移動。そして昼過ぎにはLufthansaのFrankfurt発成田行きに搭乗。驚いたのはFrankfurtのターミナルCのLufthansaのラウンジは、その中に搭乗ゲートがあるのですね。びっくり。確かに顧客サービス的には理想なのでしょうが、個人的には搭乗カウンターが目に入ると落ち着けないように思ってみたり。

ところで話は戻りますが、Luxembourgへの出張はいつも慌ただしい。Parisからの日帰りとか、泊まっても深夜に着いて一泊して用務だけ済ましたら電車に飛び乗るようなことばかり。今回も慌ただしい滞在となりました。ただ、昨日は会食会の前・後に夜のLuxembourgをそれぞれ1時間ぐらいうろうろできたぐらいでしょうか(実は昨日は昼食の時間も一時市内に、PCのプロジェクター用のアダプターをホテルに取りに行ったので)。わずかな時間で撮った写真をWebにおきます。撮りっぱなしをそのままおくので、クオリティは高いとはいえず。

2011年9月7日

国際会議で発表。結構、好評だったようでよかったです。というかいくつか質問がピンポイントで来たのにはびっくり。その意味では日程を無理してきただけのことはあったかもしれません。ただ、e-Commerce系の国際会議、それもいまや世界有数の金融の街であるLuxembourg、それも銀行が集まるエリアの開催ということで、企業でe-Commerceに関わっている方の参加が多いと期待したのですが、参加者の多くはアカデミア。コンピュータサイエンスでも基礎系はそれでもいいのでしょうが、商業的な応用がターゲットの分野の場合はアカデミアだけで集まっても、実際の問題点はわからない。その意味では期待はずれでした。ただ、夜は先方の大学の方の計らいで、国際会議の関係者数名と企業関係者で会食。同席されたAdobeの方のユーザサポートの裏話がおもしろかったです。会食はAmazon.euの方がアレンジされたそうで、Amazon.euのオフィス近くのレストランでしたが、おいしかったです。ビストロっぽいところでもミシュラン一つ星が付いていたりと、さすがにLuxembourgは水準が高い。Amazon.euのオフィスはLuxembourgでも世界遺産になっている旧市街にあるのですね。ただ、Amazon.euの入っている建屋だけ、夜も明かり付いていて、ちょっと雰囲気壊しているかもね。

ところで9月1日の講演を記事にしていただきました。それも前編後編という大作記事。

2011年9月6日

昨日、Calgaryを出発は昼ですが、Frankfurtの到着は早朝。それからLuxembourg空港へ。Luxembourg空港から、e-Commerceの国際会議(CEC'2011)の会場へ。昼休みにホテルにいって荷物を預けて、夜はバンケット。e-Commerceはまったくの専門外で縁遠い分野なのですが、バンケットで両隣に座った研究者は、面識はないもののの実は非常に近い関係と判明。ただ、バンケットが終わったのは12時過ぎ。夜行便で北米から欧州に到着した身には結構、ハードな一日でした。

さて国際会議の会場はLuxemburg大学なのですが、新しいビルができていて、会場もそのビル。Luxembourgは来るたびに、新しいビルができていて驚かされるのですが、大学の近くには大きなコンサートホールまでできていて、変化が大きい街です。新しいビルの多くは銀行関連なのですが、街ゆく人はLondonのシティ以上にスーツ姿が多い。当方が泊まったホテルは、そうしたビジネス客が御用達だったようで、スーツ姿でない当方は浮いていました。あとLuxembourgは食事がおいしい。どちらかというとベルギーに近い状況なのですが、水準の高さは欧州でも最上位ではないでしょうか。というかLuxembourgに住んだら絶対太ります。

2011年9月5日

さてCalgary空港に移動。それからLufthnasaで大西洋を越えて、Frankfurtに移動。ところでCalgary空港では無線LANサービスがあるのですが、それがおもしろいことに、Facebookアカウントで認証。たしかに実名ベースのFacebookならば誰なのかはある程度は特定できるので、実際的な効果もありそうです。このページの8月26日で転職とFacebookのことを書きましたが、実名ベースのSNSというのは、日本の匿名ベースのSNSにはない応用がありそうですね。

2011年9月4日

国際会議の発表。当方のセッションは他の論文の共著者は10年以上前からの知り合いの欧州研究ばかりという展開。というわけで先方への講演を依頼されることに。それにしても研究分野を変えるにしても、同じ方向に変えるということなのでしょうかね。Banffで泊まったホテルは120年以上の歴史があるそうですが、増改築を繰り返した結果、迷路のよう。同じ系列で、ちょっと離れたところになるLake Louiseにあるホテルの方がよかったかも。まぁお値段も違うわけですが。

2011年9月3日

カナダのBanffで国際会議(UIC)。二日目から参加なのですが、すでに最終日の午後という雰囲気でした。それと会議マネージメントに問題がある感じ。今回はちょっといいホテルにしたので、ホテルを楽しむことにします。ところでBanffは日本人が多いですね。たまたま訪問して、住み着く人が多いとか、確かに自然に囲まれていいのかも。ただ、日本からの旅行客は減少気味で、日本人旅行客相手の日本人ガイドさんは減ったとか。リーマンショック以降は日本人観光客は減っているそうですし、夏場はともかく、日本でもスキーをされる方は減っているので、冬場はたいへんかもしれませんね。

2011年9月2日

一昨日、フランスから帰国した場会ですが、今日からカナダです。さすがに中1日の海外出張は疲れます。その今回の出張は大西洋越えを含む世界一周。そして、このあとも中数日で海外出張が続きます。というわけで体力温存モードです。

2011年9月1日

入試と講演。さて講演は東京国際フォーラムでクラウド関連。2日間のセミナーでしたが、当方の講演分が最初に満員御礼になったとか、当日は立ち見で聞いていただいた方も多く、感謝です。ちなみに講演資料はこちら。なお、当たり前ですが、重要な話題は口頭説明で、資料には書いていないので、そのつもりでみてくださいね。

さて、そのイベントではビッグデータ関連が多かったので、ビッグデータの話題に半分近くついやしたのですが、そもそもビッグデータは一部の企業や組織が対象。最近はビッグデータで儲かる的な風潮がありますが、そもそも少量のデータの解析ができていない企業が組織がビッグデータの解析ができるわけでもない。それとHadoopなどの分散システムよりもデータ解析が重要という話をすると、いままでもデータ解析をしてきたと反論される方がおられますが、いままでのデータ解析とビッグデータのデータ解析は本質的に違う。前者は全データを解析にしていたのですが、後者ではデータ量が多いので、全解析は無理。どちらかというとつまみ食い的にデータを選んで解析することになります。ただ、どのデータを選ぶのかは人間に依存するので、データを読んで、必要なデータを選び、必要な解析方法を選べる人材が必要なのです。それとビッグデータは単一のデータがたくさんあるのではなく、相違なデータがたくさんある世界。そうなるとデータの組み合わせが重要で、どう組み合わせるかもやはり人間に頼るしかないのです。結局、データが読める技術者が必須だし、DWHなどでは人材を一変させる必要があるかもしれませんね。

それともう一つは、ビッグデータをもっている組織は少ないのですが、ビッグデータを扱う分散システムや解析手法は小規模データの解析の高速化などに役に立ちます。ただ、データ解析の結果を活かせるかは組織の問題。例えば公理で売上げデータ解析で、13ヶ月でなく、過去数年分になれば売り上げ予測精度があがりますし、データ処理が一日から数十分になればリアルタイムに商品構成を見直せます。でもデータ解析の詳細化やリアルタイム化を活かすのは経営上層部ではなく現場。つまり現場裁量が大きい組織でないと活かせないということをお忘れなく。

さて、今回は参加される方のバックグラウンドや立場がわからないので、話題をかなりセーブしてしまったのですが、何かの参考になれば幸いです。いいたいことはいっぱいあるのですが、こうしたセミナーで言っていいこととNGなことがありまして。

2011年8月31日

成田空港着。機内ではスライドの作成。実は明日はクラウド関連の講演。直前に講演スライドを作ると、内容が過激になる傾向があるんですよね。

2011年8月30日

帰国のためにParisに出て、それからパリCDG空港。そしてANA便に搭乗。ところでClermont-FerrandのあるAuvergne地域はフランスでは田舎というイメージなのですよね。農・工業的にも観光的にも空白地域。それだけに落ち着いた雰囲気。さてClermont-Ferrand市内の写真をおいておきます。最後の写真をみると、ミネラルウォーターVolvicのラベルの絵の意味がわかると思います。ちなみに火山なのですよね。そのためか石材が黒く、建物も黒いものが多いのがこの地域の特徴です。

2011年8月29日

国際会議のワークショップで基調講演。結構、好評だったようでなにより。物流系のワークショップだったので、いつもとは違う世界で、ちょっと緊張したのですが、質疑はどれも想定範囲内だったのはがっかりでした。ところで基調講演は朝一だったのですが、今日はClermont-Ferrand市内の公共交通機関はストライキ。ホテルから会場までは徒歩1時間半。結局、タクシーを見つけて間に合わせる。

2011年8月28日

Parisから特急(といってもTGVではなく、Teozという在来型の特急)で3時間半で、Clermont-Ferrandに到着。地方都市に多いのですが、駅前にタクシーが来る気配はなく、荷物を引きずりながら、2kmほどホテルまで徒歩移動。さらに部屋に入れず、トランクだけをおいて、国際会議の会場となる大学に移動。体力的に疲れます。ビジネスプロセス系の国際会議は初めて参加したのですが、名称にビジネスが付くだけあって、スーツ姿の参加者が多いのが印象的(しかもフランス開催だというのに)。先週(というか今週)のFirenzeは38度でしたが、こちらは10度。夏から秋になったという感じ。

2011年8月27日

前回海外出張(フィレンツェ)から帰ったばっかりですが、中4日で再び海外出張。今回はフランスのClermont-Ferrandという場所。ただ、今日中に到着できないので、Parisで一泊。Clermont-FerrandはAuvergne地方を代表する都市。日本ではVolvicの水源の近くで、タイヤのMichelinの発祥の地(いまも本社がある)というとイメージがわくかも知れませんね。フランスに住んでいた時代に同僚にClermont-Ferrandの出身がいて、いいところだと自慢を聞かされておりました。フランス人は地元びいきなので、話半分にしないといけないのですが、Clermont-Ferrandに関しては他の地域出身者もいい場所といっていたので、おそらくいい場所なのでしょう。

2011年8月26日

今日も残業、さすがにタクシーで帰る。というのは明日から出張でその準備があるので。

さて9月1日から転職される方が多いのか、何人かから退社のご案内。共通点はTwitterやFacebookををよく使う人たち。以前、TwitterのフォローワーさんやFacebookのお友達さんの転職率が高いと驚いている人がおられましたが、それは逆で、転職希望しているから実名ベースである海外SNSを使っているからでしょうね。TwitterやFacebookも米国SNSですが、米国の場合、企業にお勤めの方でも、キャリアパスとして他社への転職や独立を考えており、そうなると国内系SNSのような匿名ベースよりも、実名で参加して、自分を売り込んだ方がいいということなのでしょう。実際、Facebookの場合、(当方のまわりに限りますが)外資系にお勤めの方が多い。逆に言えばFacebookなどの実名ベースのSNSが日本でもユーザが増えると、企業への帰属意識は弱くなるかもしれませんね。

ところで、Steve JobsがApple CEOを辞めるそうですね(求職)。彼ほど個性ある経営者も珍しいわけですが、Appleは大きい会社ですから、彼一人で回しているはずで、 彼がいなくなったからといって大きく変わるわけではないでしょう。個人的には「お疲れ様でした」といいたいですね。

2011年8月25日

徹夜残業。ところで、先日のHPのリストラ策発表では、個人向けPC事業の撤退以外に、WebOSの撤退も発表されたようですが、WebOSを使ったことがある方はわかると思いますが、設計思想はいいにしても、動作が遅い。もちろんプロセッサの改良でカバーできる問題なのですが、現状でタブレットやパッドサイズは難しいのではないでしょうか。

2011年8月24日

今日もひたすら残務処理と、27日から出張の事前処理。実は中4日で次の出張なのです。

2011年8月23日

出張中の残務処理と取材、打ち合わせ。取材はクラウドコンピューティング関連だったのですが、なんというかクラウドコンピューティングの位置づけって難しいですよね。ただ、コンピューティングの名が付く以上は、コンピュータの歴史を繰り返すのだと思います。取材時にはCloud as a Serviceといいましたが、コンピュータの基本モデルはチューリングマシン。そのチューリングマシンには万能チューリングマシンという概念があります。つまり、チューリングマシン(コンピュータ)をコード化(ソフトウェア化)して、別のチューリングマシンで、それを実行することで、元のチューリングマシンを再現するというもの。クラウドもコンピュータである以上は、クラウド上で、別のクラウドを再現するというのは可能だし、むしろコンピュータの歴史を考えると、その方向性は避けては通れない。それが理解できれば、クラウドコンピューティングの将来も自ずと見えてくるはず。打ち合わせもクラウド関連だったので、クラウドコンピューティング漬けの一日。

2011年8月22日

成田空港に到着です。実はFirenzeが暑かったこともあり、第一印象は日本は涼しいでした。そうそうCAさんに手書きのお手紙をいただく。これもサービスなのでしょうが、CAさんもたいへんですね。でもそんなにいっぱい乗っていると思われたのかなぁ。

2011年8月21日

Firenzeの最高気温は38度。日陰はともかく、日が差しているところは歩くのも辛い高温。午前中はFirenze観光。といっても日曜日なので美術館以外は休み。というわけで美術館巡りをして、Firenze空港に移動。それからMunich空港に移動、そして全日空の成田行きに搭乗です。

2011年8月20日

国際会議はお昼で終わり。でんしゃnMontepulcianoに行ってみる。Montepulcianoはイタリアンワインがお好きな方ならば、トスカーナワインでは、白のSan Gimignanoの並んで、赤ワインで有名な場所。Montepulcianoの写真をおいておきますので、お楽しみください。Firenzeのルネサンス建築の原型となった街といういわれるだけあって、フィレンツェの有名建築物の小型版の建物がいくつかあるのですが、正しくはMontepulcianoが先で、それをFirenzeはその後に設計・建築されているものばかり。実はFirenzeで泊まったホテルの支配人がMontepulciano出身だそうで、おすすめのワイナリー(Contucci)とおすすめレストランに行ってみたのですがが、ワイン素人の当方でも、これこそがおいしい赤ワインということがわかるお味でした。

2011年8月19日

国際会議の発表終了。今回初めて参加する会議なのですが、内輪で固まっている感じ。発表するにしてもアゥエー感が強し、そもそも参加者のバックグランドがわからない。発表しにくかったですね。会議運営に問題があったわけではないのですが、なんかお友達同士で運営しているという感じ。国際会議は人に依存するので、それを悪いとはいいませんが、議論にならないのですよね。

話はかわって、HPが個人向けPC事業から撤退だそうですね。HPはPC市場ではシェアトップですから、規模の経済を制したところでも、薄利多売のPC市場ではやっていけないということなのか、それともPC市場の前途がジリ貧であると思っているのか。後者だとPCに関わるすべての企業にとって深刻ですね。さてHPは技術系企業の代表的な存在でしたが、前CEO時代に研究開発を大幅に削減しており、今後、技術系企業としてやっていけるのでしょうかね。高収益事業に特化されるそうですが、それなりに高額給の企業ですから、当然な話で、薄利多売のPC事業に入れ込む方が間違っているように思います。あとは手遅れになっていないことを祈るばかり。

2011年8月18日

国際会議に来ていて、こんなことを書くのはよろしくないのですが、最近思うことを少々。

ひとつめは国際会議が技術の先端ではなくなってきていること。Googleがいい例なのですが、彼らはWeb検索やデータセンター技術では先端にいっているわけですが、論文として発表されるものは最新技術でも現用技術でもなく、すでに使わなくなった技術だけ。

それと昔は論文誌や国際会議で論文として発表された技術は、そのあと企業が製品化して、社会に普及させるというサイクルができていました。このため研究者は論文を通じて論文誌や国際会議に研究成果を発信していても、企業を介してその成果を社会に還元できていたことになります。しかし、企業の方は論文を読まなくなっています。例えば国際会議の場合、企業の方で参加される方の数は減っているし、企業関係者がまったくいない会議も多い。仮に企業の関係者がきていても、事業とは全く別のセクションだったりします。これはいいかえると、アカデミアの研究者と社会の接点が減っているということ。

つまり、アカデミアの研究者がその成果を論文誌や国際会議で論文として発表したところで、それを社会に還元していくれる企業は相手にしていないことになるし、アカデミックの研究者の存在意義そのものが否定されつつあるとも解釈できます。というのはアカデミアの研究者の多くはその人件費や研究予算は税金などの公的資金に依存しており、これの根拠は研究成果が間接的に社会貢献につながるということが大前提になっており、その大前提が崩れてしまえば、その存在意義もなくなってしまいます。

もちろん研究分野によってはそもそも企業による事業化と無関係な分野があり、そうした分野の研究は今も昔も続いています。ただ、コンピュータサイエンスに限ると工学的な色が強く、ビジネスと無関係と開き直れるわけでもない。

さてアカデミアの研究者としてどうすればいいのか。(1)研究成果を事業を通じて社会に還元してくれる企業を探すのか、(2)企業が媒体になってくれないのであれば、研究者が直接、社会に還元するしかないのかもしれません。(3)開き直って、商用化が難しい分野の研究をする。(1)の場合も論文というの媒体は意味がないかもしれませんし、(2)の場合、そのもの論文そのものがいらないのかもしれません。(3)は商業ベースで採算性がとれず、公的研究資金に依存した研究(数学基礎論とかHPCとか)が相当しますが、研究成果を社会還元するというパスを作れるか否かが分かれ道になるのでしょうね。

とはいってもアカデミアにおける論文を中心としたシステムは数百年も続いてきたものであり、早々に崩れることはないのでしょう。でも論文だけを書いていればいい時代でもなくなってきているように思います。

2011年8月17日

ミュンヘンを経由して、フィレンツェに移動です。何度もフィレンツェにいっているのですが、フィレンツェ空港からはいるのは初めて。列車移動だったり、空港が工事だったりでなぜか縁がなかった。

2011年8月16日

明日から出張なのですが、やらないといけないことがいろいろ。

2011年8月15日

GoogleによるMotorola Mobilityの買収。特許目的と報道されていますが、当方も、特許がすべてとはいいませんが、特許目的だったと見ています。Motorola Mobilityが、本家Motorolaから引き継いだ無線関連特許は多く、それを手中にすることは大きい。ただ、報道されているように対HTCや対Appleの特許紛争への対抗策という見方には疑問を持っています。というのは特許防衛策にしては買収金額が大きすぎ。逆に言えば、Android事業が特許防衛のために130億ドルもかかるならば、ビジネスとしては失敗のはず。少なくても自社ソフトウェアを採用したパートナー企業を守るために100億ドル以上使うほどお人好しの企業はいないはず。

というわけで個人的にはAndroidに関わる特許防衛策よりも、Androidの絶対的優位を作るための布石だと思っています。Googleは他の端末メーカに対して、Motorolaの特許の利用許諾とひき換えに、Androidの採用を迫るためではないかと見ています。前述のようにMotorolaは無線関連では強力な特許をもっているので、端末メーカは逆らえないでしょう。

もちろん、いまはAndroidのライセンス料は無料ですが、Googleはそれを有償にして、端末メーカから徴収するというやり方もできますが、Androidの各種サービスはGoogleのインフラに依存していますから、世界中のAndroid搭載携帯電話を通じてユーザの行動履歴を集めることによるメリットを重視しているのでしょう。たまにGoogleをIT企業と勘違いしている方がおられますが、Googleは広告代理店です。実際、売上の9割以上は広告収入なのですから。

それにしても同業の端末メーカにとって今回の買収で困惑しているでしょう。Samsung、HTC、ソニーエリクソンなどは、今回の買収を歓迎するというコメントを発表したそうですが、彼らは、Googleに頼まれてAndroidを採用してあげたのに、恩を仇で返された状態。なんども書きますが、Motorolaの無線関連特許は強力なので、端末メーカはGoogleに逆らえる立場ではなく、助けた相手が商売敵になっても甘んじて受け入れるしかない。厳しい見方ですが、数年のうちに、これらの端末メーカはGoogleが設計したハードウェアを外見だけを変えて作るだけの工場になると予想しています。

それと今回の買収が興味深いのは、期せずしてAppleの垂直統合モデルが優勢を示したことになること。ハードウェアとソフトウェアを別々の企業が作るよりも、統合的に設計した方がいいということを、他社にハードウェアを任せていたGoogle自らが認めたことになります。実際、Androidはハードウェアがカオス化しており、それが普及の足かせになっていますからね。ただ、これはGoogleと同様に、水平統合モデルをとってきたMicrosoftには心中穏やかではないでしょう。早々に垂直統合モデルに切り替えるか、スマートフォンから徹底するかのどちらかの選択に迫られそう。前者の場合は、(Microsoft出身者を役員として迎えてくれる)Nokiaあたりを買収するしかないかもしれません。ただ、それはMicrosoftを大きく変えることになると思いますが。

さてGoogleからすると端末メーカとしてのMotorola Mobilityには魅力はないでしょう。実際、Motorola Mobileは大ヒットしたRAZR以降はジリ貧状態。というわけで特許だけ抜き取ったら、早々に売却すると思いますが、気になるのはMotorolaの軍事系部門の存在。当該部門がMotorolaからMotorola Mobilityに移管されているかはわからないのですが、その部門が含まれる場合は国防省の意向も重要になるし、Google自体の性格も変わるかもしれません。

ところで今回の買収劇ですが、仕掛けたのはCarl Icahn氏なのでしょうかね。すくなくても彼のコミットメントなしでは買収話は進まなかったはずですし。だとするとGoogleではなく、Microsoftが買収した可能性もありますね。もちろんYahoo!の一件でMicrosoftが同氏のやり方に懲りていなければとなりますが。

2011年8月14日

暑いです。近所に出かけただけでぐったりになりそう。

2011年8月13日

OSってなんなのですかね。突然何を思われますが、OSの代表であるUNIXの開発は1960年代の終わりなので、40年以上、昔に遡ります。なのにLinuxはもちろん、MacOS XもベースはUNIX。いまのWindowsはVMSに近いのですが、そのVMSも20年以上前。さらにWindowsは幼稚なUNIXもどきだったMS-DOSのうえに構築されており、いまもMS-DOSを歴史的経緯を引きずっている始末。そのうえUNIX自体の改良も、UNIXの前身となったMulticsの機能を付け足しているところがあって、そこまで考えるとOSは進歩しているのだろうかと疑問になってきます。

技術的にUNIXを超えるOSを作れなかったのか、そんなOSは必要なかったのかは悩ましいところ。ただ、一ついえるのは世の中は互換性をもとめるので、仮にまったく新しいOSを作ったところで、UNIXとの互換性をもとめることになることでしょうか。そうなるとその互換性維持のためにUNIXの束縛から逃れられないし、互換性という点では既存のUNIX系OSに勝てない。

結局、UNIXから脱却するためにはPaaSのようにOSを不要にする、正しくはOSを見えなくしてしまうしかないのかもしれません。OSの上で動いているアプリケーションやサービスを使いたいわけで、OSそのものを使いわけでないはずですから。問題なのはそのアプリケーションやサービス、そしてミドルウェアはOSの思想を引きずってしまっているところ。例えばデータのアクセス制御でもUNIX的に何でもできる管理者とそれ以外に分けてしまうように、OSとしての設計思想をアプリケーションやミドルウェアに持ち込んでしまう。それのすべてが悪いわけではないのですが、OSの思想から脱却できないと、まったく新しいソフトウェアを作るのは難しいと思っております。

2011年8月12日

前にも書いたことですが、某省の研究助成の制約上、今年度は4月早々に作った予算計画書通りに、国際会議に投稿・採録・出張することが求められています。不採録になった論文の発表分の予算が要返還になってもいいのですが、その予算に関わる間接経費は事務方が使ってしまっている可能性もあるので、結局、計画通りに投稿・採録・発表は必須。

そんなわけで、今年度はひたすら当初計画通りに投稿・採録。おかげさまで昨日の採録通知で当初計画分は結果が出て、7つ採録、1つ不採録(以前2つと書いたですが、計画書になかった)。ただ、どんな会議でもいいかというとそういうわけでもなく、国際会議のレベルを下げると文句をいわれますから、当該分野のトップ会議をいれながら、LNCSの掲載論文が4本。あとIEEE主催が1本、Elsevier系が1本、その他が1本。それと予算返還となると迷惑がかかるので、なるべく早く結果がわかった方がいいので、年内の国際会議にしなければならず、自ずと日程がタイトになります。

それにしても採録必須という状況下で論文書くのは辛かったです。でもさまざまなことを背負って研究しているわけで、当初予定通りに採録させるというのもプロの研究者としては重要なミッションなのです。それが、いいかわるいかは別にしてね。

2011年8月11日

横浜方面にいくことに、それにしても暑かった。まぁ横浜は東京よりも涼しいことが多いのですが(といっても一度ぐらい)。

さて先日ですが、コンパクトデジタルカメラを購入。モデルチェンジに近い機種(キヤノンのS95)だったので、かなりお安く調達。写りには定評がある機種なのですが、こちらの狙いは日常記録用と露出計代わり。露出計付きまたはAE付きカメラを使うことが多いのですが、ポジフィルムかつ光が複雑なシチュエーションではマニュアルであわせた方がいい場合もあり、そんなときに露出計は有用なのです。もちろん専用露出計(特にメータ式ね)は、小型なものでも、測光用アタッチメントをつけると嵩張るのです。

ただ、露出計としてのコンパクトデジタルカメラは使い勝手が悪いところもあって、一番困るのが絞値の幅が広くないこと。この機種を選んだのは絞り値が下がF2からだから(広角端)。上はF8まで。本音で言えばF22までは用意してほしいところですが、F8以上に絞ることはまずないのでよしとしましょう(古いレンズは小さく絞ると内部反射のためか、かえって絵が甘くなることがあるのです)。なお、露出計としてコンパクトデジタルカメラを使う場合、なぜこの機種を選んだのかという理由は、詳しい方ならばわかるはず。あとこの機種のメーカ(キヤノン)のオートホワイトバランス(AWB)は優秀なのですが、色温度を表示してくれないでしょうか。色温度を調べておきた場合もあるのですよね。

2011年8月10日

イギリスの騒動は、報道されているかぎりだと人種差別や政治的な背景というよりも、ただの破壊と略奪になっていますね。そのニュースを見ていて思い出したのがキューブリックが監督した映画「時計じかけのオレンジ」。決して好きな映画ではないのですが、舞台が同じロンドンということもありますが、破壊と略奪などの無法を繰り返すという設定はよく似てます。もちろん今回の騒動も失業や緊縮財政などの背景があるのでしょうが、なかなか単純に整理できるものでもないのかもしれません。

2011年8月9日

昨日のAmazonのクラウドインフラ(AWS)のトラブルはたいへんだったようですね。クラウドコンピューティングでも、クラウドインフラ提供事業は、コンテナ型データセンターとか、次世代ネットワーク制御(例えばOpenFlow)性とか技術的な話題を重視される方が多いのですが、個人的にはクラウドインフラの善し悪しは運用能力に依るところが大きいように考えています。

長期的にはクラウドインフラのハードや基盤ソフトの差は縮まっていくのでしょうが、運用能力の差は縮まるとは限らない。むしろ早い時期に様々なトラブルを経験・解決した事業者はそれだけ運用能力が高まっているわけで、あとからクラウドインフラ事業に参入した事業者は永遠に追いつけないことになります。

個人的に興味深かったのは、今回のAWSトラブルの見方が人によって二分されたことでした。一つはAWSは可用性に関わるトラブルが起きたのだから、AWSの運用能力には問題があるといる見方。もうひとつはトラブルとその解決過程でノウハウが蓄積されてAWSの運用能力が高まったという見方。おそらく従来情報システムの常識では前者の見方で、後者は絶対にありえない見方とされるでしょう。これは従来情報システムの常識では将来の可用性を、過去のシステム稼働時間などで算出した可用性で計算するからです。でも本当にたいせつなのは過去ではなく、将来の可用性のはず。過去にトラブルがあっても、そのトラブルを通じて運用能力が上がって、将来の可用性が改善されるのであれば、トラブルが直ちによくないとは言い切れなくなってきます。少なくてもクラウドインフラ事業は導入が始まったばかりだし、その技術も進歩中だから、過去の可用性で将来を評価するのは適切とはいえないように思っています。

いずれにしても従来の情報システムの常識にとらわれていたら、クラウドコンピューティングを見誤ることだけは確かだと思います。もちろんこれは自戒をこめてね。

2011年8月8日

ビッグデータはお金になるという期待が膨らんでいるそうですね。先日、その方面の講演を頼まれたのですが(お断りしましたが)、ビッグデータまわりのお話は不思議なことがいっぱい(システムを売りたいベンダーが騒ぐのはわかるのですが、ユーザ企業までいっしょになって騒いでますからね)。

確かにこれまではデータは企業単位や部署単位などで分散されて保持していましたが、クラウドコンピューティングなどにより、ストレージだけでなく、計算能力もあるサーバ群に集中するようになるとと、相違なデータを組み合わせることで、これまでできなかったデータ分析もできるかもしれません。とはいっても小さいデータでもそれを価値に変えられる企業や組織が、大きなデータならば価値に変えられるかというと難しいと思います。データ量が多くなると、いくらMapReduce/Hadoopなどの流行の技術を駆使するにしても、その処理も難しくなります。まして、データの種類が多くなると、それを適切に組み合わせだけでも難しい。それと忘れてはいけないのは、多くの場合、データ量が増えるとノイズが増えるという現実です。厳選したデータと雑多なデータでは当然、精度も違うし、間違ったデータを含まれてきます。

データとコンピュータがあれば価値のデータが自ずと取り出せると思っている人がいたりしますが、実際には対象となるデータと、欲しいデータに応じてデータ解析方法は違うため、対象データの特性と調べたい性質に応じてデータ解析方法を選ばないといけません。残念だけど、最適なデータ解析を自動的に選ぶ技術はありません。だから、データを読んで、最適な解析手法を見つけられる知識や経験をもつ人材が必須。そうした人材がいなければ大規模データがあっても宝の持ち腐れ。少なくてもビッグデータでビジネスしたいならば、MapReduce/Hadoopのクラスタを組むことを考えるより、数学の統計系が強い人材を集めた方がいいと思います。

もうひとつ忘れてはいけないのは、ビッグデータの処理技術を駆使しないといけないような大規模データをもっている組織は少ないということ。むしろ本命はデータ処理時間の短縮でしょう。実際、データ量が問題になるのは、ストレージよりも、処理時間。例えば売上データ解析でも、数年分の売上データをもっていても、一年分(実際は13ヶ月など)しか解析対象にしないことが多い。それはデータ量を増やすと終わらないから。数年分のデータを使った方がいいのはわかっていも、夜間バッチでデータ解析をしている場合、バッチの突き抜けをさけたいわけで、一年分など短期に限られます。ビッグデータの処理技術で、処理時間の都合上、捨てていたデータを使えるようになることは大きい。

それと処理時間の短縮により、一週間かかっていた処理を一日で済ましたり、一晩かかっていた処理を一時間でできるようにすることの意味は大きい。というのは例えば売上データ管理を一日単位から一時間単位にかわれば、販売方法を含むビジネスそのものも変わりますから。

ビッグデータをもっているところは少ないと書きましたが、それは企業内ではという意味。仮に異なる企業や組織間でデータの共有ができるようになったら話は別です。ただ、データは各企業や様々な制約(守秘性や所有権など)があって、マルチステークホルダー化しています。そのマルチステークホルダー間の問題を解決することが前提になります。逆に言えばマルチステークホルダー間データ共有が進まないと、本当の意味のビッグデータの時代は来ないと思います。

2011年8月7日

非常勤で授業を持っている某大学の大学院レポートの採点。今年は40人ほど提出があってたいへんかと思ったのですが、採点がこのほか楽でした。というのはコピー元がひとつに集中したので、一つを読むと10通ほどは読まなくても済みました。評価は別にして、読む立場からみると本当に助かります。

ただ、コピーレポートの取り扱いは難しい。われわれの知識のほとんどは先人たちの知識の上にたっています。その意味ではコピーは仕方ない部分があります。ただ、だからといって引用を明記すれば図版を含めてコピー&ペーストが許されるというものでもないと思うのですがね。もっとも先方の先生に伺ったところでは「引用明記されていればコピーは可」とのことですから、当方が関知すべきことではないでしょう。

それはさておきコピーレポートの典型はこんなところでしょうか。(1)設問と内容が微妙にずれている、苦労して選んだと思うのですが、設問と合致した元ネタがあるとは限らないので(出題する方も微妙にずらしているし)、結局、設問とはずれた内容のレポート。これは採点しやすい。(2)無駄な説明が多い。(1)と似ていますが、一応、結論は設問に合致しているのですが、文量を増やせばいいと思っているのか、パターンは設問とは関係ない説明をコピーして内容を増やしたレポート。無駄に読む量が多いので、結構迷惑。(3)理解せずにコピー。これは本人がどこまで気づいているかは別にして、用語が不適切だったり、論理が不整合だったりするので、見つけやすい。コピーの是非以前に自分が理解していないことはコピーすべきではない。(4)コピー元が間違っている。これは(3)の亜流ともいえますが、設問の内容すら理解していないので、コピー元の選択も間違えるというケース。本人は間違っていることも気づいていないのでしょうが、採点する側は楽です。

手抜くにしても採点する側にそれを気がつかないようにしてほしいところ。もちろん今回の採点は学部と違って、修士だから当然、教育は受けてきているはずだし、大学側の教育方針とも関わる問題。だから、当方が関知するべき事項ではないのかもしれません。強いていえば、当方もその大学の出身なので、一緒にされるということでしょうか。

2011年8月6日

研究者って、未知の現象の発見したり、新しい理論的説明を考えるのがお仕事。実は研究絡みでコメントを求められたので、答えたのですが、「そのコメントに関する文献を教えろ」と言われてしまう。そのときはお教えしましたが、文献がある時点で、研究者としては興味外。もちろん何事も文献がないと納得しないというのは、勉学指向が高いのだと思いますが、そこが勉強と研究の違いなのかもしれません。

2011年8月5日

いろいろ打合せ。どうなることやら。さすがに今回は想定外の世界。どうしたもんでしょう。

2011年8月4日

朝からびっくり。日経朝刊に「日立製作所と三菱重工が統合」という記事。この組み合わせはおどろきました。可否はともかく、20世紀ならば冗談でも出ない組み合わせですから、時代は変わったということでしょう。

ただ、経営的に理解できないことも多いように思います。そもそも、どうして統合してどうするのでしょうか。記事ではトヨタに次ぐ規模のメーカが誕生するとありましたが、売上げ規模からいえばその通りですが、三菱重工は日立製作所ほどではないものの、両社ともに多様な部門を抱えるコングロマリット型企業の典型。全社的な売上げ規模は大きくても、個々の部門は大きいとはいえない(特に日立製作所の部門)。つまり比較対象にあがったトヨタの場合、自動車メーカとしては大きな規模をもっていますが、日立製作所と三菱重工を統合しても、重電もインフラ事業、材料系などの主要部門はどれも圧倒的なシェアをとれるわけではない。もう少し正確に言うと、三菱重工は航空宇宙などの特定分野では大きなシェアをもっている部門がありますが、そうした部門は日立製作所は非常に小さい。一方で日立製作所は部門こそ多いけど、小粒の部門ばかり。そうなると日立製作所はともかく、三菱重工にしてみれば日立製作所と統合してもメリットが少ないはず。

むしろ、いま両社に必要なのは選択と集中。つまりさらに巨大なコングロマリット型企業を作ることではなく、不要な部門を売却して、今後の収益性をあげられる事業を強化することのはず。その意味では例えば日立製作所が三菱重工の特定部門を買い取って、自社の当該部分もいっしょにすれば十分。当然、その逆に三菱重工が日立製作所の特定部門を買い取ってもいい。どちらにしても経営統合する必然性は少ない。両社の経営陣とも、当方が考えるより深い経営論理をお持ちなのだと信じますが、当方から見ると巨大コングロマリット型企業という、時代遅れの弱者連合にしかみなかったりします。

ちなみに当方が一番驚いたのは、この統合を賢明だと評価する方が多いことでした。当方の考え方が間違っているのか、競争力よりも企業規模に拘る方が多いということなのでしょう。これをいうと「国内巨大企業が変わることが重要」と反論されるわけですが、それは「政権交代」が目的化したのと同じで、組織が変わることは目的ではないはず。重要なのは組織が変わることで何が変わるか。今回の統合の話はそこが見えないのが気になるのです。実際、日立は巨大なコングロマリット経営の典型だったわけで、それで太刀打ちいかなくなってきたらから、さらに巨大な巨大なコングロマリットになることで問題が解決できるのかは興味あるところ。

2011年8月3日

ある意味で、これって真のThinkPadかもしれない。というか、これまでThinkか否かは別にして、Padとはいいにくかったから。

それにしても、上述のThinkPadをはじめ、PC未満のマシンのARM系チップへの流れが大きくなっていますね。気になるのはPCもARM系チップに向かうのかということ。MicrosoftはWindows 8でx86系以外にARMのサポートを正式発表。AppleもARMを前提にしたiOS系と、x86を前提にしたMac OSを統合に動くと思いますし、その場合、Mac OSがx86に加えてARM対応してくるはず。実際、AppleはPowerPCとx86のハイブリッドアプリケーションの経験もあり、アプリケーションについてもx86とARMのハイブリッド化をしてくるでしょう。もっともWindowsにしてもMacintoshにしても、アプリケーションは本体はクラウドコンピューティング上、GUIはHTML5+JavaScriptとなって、バイナリアプリケーションはなくなってしまうかもしれませんが。

2011年8月2日

まだまだ若造だった頃、IT製品のエンタープライズ向けとコンシュマー向けの価格差に驚いていたとき、大手メーカの部長さん(その後は役員になられた)から、エンタープライズ向け製品は技術ではなく、クラブだから、そのクラブに入るならば、仕来りに従わなければいけないし、会費もかかるんだよ、と言われたことがあります。エンタープライズ市場に需要があるからといって、テクノロジー指向の新参企業がエンタープライズ市場に参入すると軋轢を生むことになります。まず既存会員はクラブの一員になれるか試そうとします。さらにその新参企業がクラブにとって鬼っ子と思われると排除を試みてきます。クラブの会誌に新参企業の紹介文を削除・変更を迫るぐらいは序の口。風評的なことから、露骨な営業妨害まで、およそ紳士的なクラブとは思えない手段が繰り出されます。とはいえ一部の声の大きな会員の反感を買うかもしれませんが、古い仕来りに疑問をもっている会員は多いわけで、正論をついている限りは応援してくれるはず。でも入会間もない時期は如何せん多勢に無勢になりやすい。ときには羊の皮を被った狼になることも必要。牙はいつでも剥けますから。

2011年8月1日

来客の日。今年は企業は夏休み時期が分散しているようで、今日来られた方はすでに夏休み取得済みだとか。それはそれでいいのでしょうが、タイミングが狂いますよね。

話題はかわって、スルガ銀行とIBMの裁判が終盤戦に入ったようですね。内実は当事者しかわからないのですが、個人的に気になるのは、裁判になるほど拗れてしまったこと。昔、IBMスパイ事件でも、スパイした企業にIBMにとっての顧客企業が含まれていたとき、IBMは米国司法当局にその顧客企業は訴追対象から外させたぐらいに顧客は重視するのに、この裁判では正面切って戦うこととなりました。スルガ銀行はいいとして、IBMにとっては他の地銀への営業を考えると裁判にするより、水面下で処理した方がよかったはず。第三者には知り得ない何かがあったんでしょうね。

2011年7月31日

今週末は休日出勤はなし。やれやれ。

2011年7月30日

Java 7が正式リリースだそうです。ダウンロードだけはしたのですが、新たに追加された機能のほとんどを使う予定もなく、関心があまりなかったり。スレッドを駆使するプログラミングや入出力は使うので、もちろん新機能は関係するのですが、研究としてソフトウェアを作る立場だと、それらは必須ではないのですよね。説明しにくいのですが、あれば便利な機能が拡張された感じで、いままでできなかったことをできるようにしてくれる機能ではないのですよね。それと先日も書いたのですが、Javaに限らず特定の言語に特化した技術というのはその言語以外の世界からみると価値が見いだせるとは限らないのです。

2011年7月29日

新丸ビルで開催された環境系のセミナーで講演。いかがだったでしょうか。自分的には話すべき情報をいろいろ話し忘れていて、反省の多い講演でした。そうそう環境省の方も講師にこられていましたが、Coolbizロゴ付きのポロシャツでいらっしゃいました。当方はネクタイ締めていったのですが、浮きました。ただ、普段の服装はカジュアルすぎて絶対NGでしょうけど。

2011年7月28日

結局、サブマシンに入れたLionはSnow Leopardで上書きされました。気になるのはLionと同時期に発表されたMacBook AirのOSをLionからSnow Leopardにダウングレードできるか。メーカは不可というと思いますが、ちょっと知りたいところ。試された方はおられるのでしょうか。

2011年7月27日

なんで以下のようなことを書いているかというと、伏線があるわけですが。それはともかく研究でも(シーズベースの)製品開発でも共通していると思うのですが、何らかの有用性や需要があると仮定して研究をしたり、製品開発を行います。ただ、そのとき有用性や需要の仮定は可能な限りに明確に定義をして、仮にその仮定が間違っていたら、その間違いが明確にわかるようにしておくべき。というのは途中でその仮定が間違いだったと気づいても、仮定が不明確だと仮定を拡大解釈をしていってしまう。製品開発でいえば、そもそも製品の機能要求が不明確だと、当初想定していた機能が不要とわかると、別の機能を追加してしまうし、その機能追加をあたかも当初予定の機能のように扱ってしまって、製品ターゲットがますます不明確になっていきます。最悪、機能リストのチェックマークを増やすことが自己目的化してしまう。だから製品開発でも研究でも、どうしてその製品が必要なのか、どうしてその研究が必要なのかという仮定は明確に定義をして、それが仮に間違っていた場合は、誰の目からも間違いだと気がつくようにしておかないといけない。でも現実はそれで失敗する研究や製品開発は多い。とっても多い。

特にソフトウェア開発の場合、Agile的な開発にもいえると思いますが、動的特性をもつスクリプティング言語を使う場合はマネージメントが難しい。実装的に機能追加が簡単なことと、実際に機能追加をすべきかとは違います。結局、とりあえず動いたところでリリースしてしまうか、永遠に機能追加を続けていつまでも完成しないかのどちらか、になりがち。

いまのソフトウェア開発に求められているのは、生産性や機能よりも、信頼性や使い勝手。従来の発想から抜け出せないと、結局、信頼性と使い勝手に問題がありながら、短期開発の自慢話か、機能リストのチェックマークの数以外にとりえのないソフトウェアができあがります。学術研究はもちろん、ベンチャー的な企業は全方位的な戦略はとれません。機能リストにチェックマークを増やすより、コアになる部分、つまり他の研究や他の製品に対して、差別化できる部分だけにフォーカスした方がいい。

研究の場合、仮定の妥当性やその明確な定義は学生さんにはなかなか難しいかも。指導する教員がマネージメントすべきなのでしょうね。開発者の場合はどうすればいいのかはなんともいえませんが。

それと個人的には、特定のプログラミング言語が好きとおっしゃる研究者や開発者は苦手だったりします。「ある言語を使える」というのと「ある言語を好き」というのは違いますから。あるプログラミング言語を好きという方は、しばしばその言語の機能をとことん使い切ろうとされることが多いようです(もちろん、そうでない方もおられます)。でも、そうした機能やテクニックはその言語のコミュニティでは高く評価されても、それ以外からは意義が見いだせないことが多い。所詮プログラミング言語は道具ですから、適材適所で使い分けをしてくれればいいし、ソフトウェアを使う側からは、そのソフトウェアをどんなプログラミング言語で書かれたかはそもそも見えません。特にソフトウェアのアーキテクチャは言語と独立して考えた方がいい。相違な言語を組み合わせてソフトウェアを作れる時代ですから、特定の言語に入れ込むのはいかがなものかと思います。

2011年7月26日

鉄道事故の続きですが、ニュース記事に日本の鉄道関係者が「日本の新幹線、追突ありえない」というコメントがでていましたが、原発事故のあとだけに「ありえない」といわれると逆に怖くなります。それはともかく、今回の事故の背景には、相違な国やメーカの技術を組み合わせたシステムだったために、その組み合わせで不整合がでていることがあげられています。逆に言えば新幹線は特定のオペレータ(鉄道会社)とメーカが摺り合わせで作っているシステムであり、こうした問題は置きにくいのでしょう。

ただ、長期的には特定の国やメーカで閉じたシステムがいいともいえないような気がします。情報系と鉄道系では違うのかもしれませんが、本来は各国や各メーカや強みを組み合わせてシステムを組んだ方がいいはずです。問題なのはその組み合わせが難しいこと。その意味では国内IT業界のSIに相当する事業者が必要なのかもしれません。日本は個々の技術は強いが、そのシステム化に弱いとされます。鉄道、水道、電力、通信などのインフラ系はオペレータがSI的な役割を演じており、それはそのオペレータ内ではうまくいきますが、それをオペレータ外(海外展開を含む)に出すことは難しくなります。インフラ系のSI的な事業者を育てなかったからなのか、そもそもSI的な事業が苦手なのかは難しい問題ですが。それはともかく、インフラ輸出にSI的な事業が必要だとして、情報系のSI事業者に長年、SIビジネスを続けてきたのですが、インフラ系SIに役立つ知見や経験があるのかは興味深いところ。

2011年7月25日

事故車両を早々に粉砕し、野菜畑に埋めてしまうことまでは想定していませんでした。これもお国柄なのでしょうか。でもその国におられた昔の偉人は「小人之過也必文(小人の過つや必ず、文る)」(論語)をおっしゃっております。もっともどこかの国も原発事故をみていると大差ないというか、もっと困ったさんなのかもしれません。

修理された自宅メインPC(17インチMacBookpro)が届く。実質、2日間で修理・配送となり、作業停滞は必要最小限となりました(今回は魔法を使ったお願いはしておりません)。データはバックアップがあったのですが、アプリケーションはライセンスの関係もあって、最新版をこのPCにしか入れていないものがあり、一部の図版データが開かないという事態になっていました。

2011年7月24日

今日も休日出勤。今日でアナログTV放送終了。休日出勤でその瞬間をみることはできませんでしたが。実は停波延期になると予想をしていたのですが、予定通りに実施することになることは想定外でした(某省の皆様、ごめんなさい)。テレビは滅多に見ないのですが、砂嵐をみるためにつけてみる。なお、砂嵐を見ても画面から貞子は出てきませんでした。

ここまで書いて思い出したのですが、自宅は電波の影響でケーブルテレビ回線を使っていて、そのケーブルテレビが先週のうちに、アナログ放送を止めていたとか。いかにテレビを見ていないかがわかる結果となりました。

2011年7月23日

休日出勤。いろいろお仕事いっぱい、いっぱい。お休み欲しいです。

ノルウェーでテロが起きるとはね。ノルウェーの政治状況は知らないのですが、スウェーデンやフィンランドでは反移民を掲げる極右政党が議席をとるようになっており、そうした流れが今回のテロにつながったのかもしれません。ただ、そうなると他の欧州諸国でも同様のことが起きる可能性があるわけで、欧州のMulticulturalismの流れはひとつの曲がり角を迎えるかもしれません。実は以前関わったEUの技術委員会でも、Multiculturalismは中心課題で、MulticulturalismとCitizenshipを両立することがITの役割の一つとしてあげられており、それを3日間ひたすら議論したのでした。

2011年7月22日

思い切って受信メールを全削除したら、すがすがしい気分になれそう。そうそう自宅のメインPC(17インチMacBookpro)が起動しなくなり(おそらくメモリスロットのまわりのトラブル)、急ぎだったこともあり、夜遅くにメーカの直営店に持ち込み。やはりメモリスロットの問題だとかで、預かり修理でボード交換。

2011年7月21日

Googleが「Google Labs」を終了させるそうです(Webニュース記事)。Googleは収益の9割以上は広告収入からあげる広告代理店。一方でGoogle Labsが提供してきたのは(Web上の)ツール群(サービスといいにくい)。ツールは広告媒体になりにくいし、広告を直接的に集められるとは限らないわけで、Googleが本業、つまり広告代理業に集中するというのであれば合理的な経営判断といえるでしょう。問題があるとしたらGoogle Labsが提供しているツールが直接的または間接的に収集するユーザデータが広告効果に貢献していた場合でしょう。世間的にはGoogleをテクノロジーカンパニーだと思っている方々が社内外におられることでしょうか。こうした方々には今回の発表は戸惑うと思いますし、顧客離れや社員流出につながると思います。ただ、前述のように収益を見る限りは純粋な広告代理店なのですから、テクノロジーカンパニーだと思う方が無理があると思います。

2011年7月20日

いよいよMac OS X 10.7 (Lion)が発売になったようですね。先日書いたように、一足先にLionを使う機会があり、使い勝手や互換性問題は情報を持っていたこともあり、ひとまず古いMacBook Airに入れてみただけ。当面は普段使うマシンにLionをいれる予定はなし。LionがAppleにとって終わりの始まりにならないといいですね。先日はLionはVistaの轍を踏んだかもと書いたのですが、Vistaよりも深刻かもしれませんね。

2011年7月19日

私事でいっぱい、いっぱい。ここ数日、中央区で寝泊まりしてましたが、それも今日で終わり。

2011年7月18日

国際会議用のカメラレディ論文を送付。このところ、ある国際会議のカメラレディ論文を作成・送付すると、別の国際会議のカメラレディ論文を作成・送付の繰り返し。今月中はこの繰り返しが続く。論文を書くのは研究者の重要な仕事の一つですが、今年度は某省の研究予算で4月に作った研究計画&予算計画書通りに、国際会議に投稿して、採択されて、発表・出張するという状況。国際会議の論文は当初計画通りに書けるわけでもないし、まして採択されるとは限らない。すでに採択結果がわかっている国際会議に限ると、6つ中、取りこぼしは2つですが(通しやすそうな国際会議でミスるという状況)、もうすこし研究の不確定性というものを理解して欲しいのが本音。

2011年7月17日

しつこくGoogle+のことですが、グループウェアとしてみると結構おもしろい。サークルの機能はグループウェアのユーザグループと本質的に同じですから。これでカスタマイズ機能があれば企業向けの汎用グループウェアとしては十分なのではないでしょうか。

2011年7月16日

昨日の続いて、GoogleとFacebookのこと。極めて個人的な印象を書くと、Googleは(Web上の)ツールを提供する企業、それに対してFacebookはSNSという場を提供する企業。ツールは技術ですから、優秀な技術者が必要です。一方、場というのは居場所や環境ですから、居心地のよさや、場としての魅力を作り出す人材が必要です。GoogleとFacebookは対象が違うのですから、両者は対抗する必要性もない。ただ、不幸だったのはGoogleの収益源は、そのツールではなく、広告代理業。いいかえれば広告用看板です。その広告用看板は場に置かないと効果がない、つまり広告が集まらない。そうなるとGoogleとFacebookは敵対するしかない。

どんなビジネスでもいえますが、場をもっている企業は強い。例えば電子マネーを例に取りましょう。同じFelicaカードを使っているにしても、場を持つJR東日本やセブン&アイ、イオンと、場を持たないEdyを比べると、いくらEdyに対応した店舗が多くても、JR東日本やセブン&アイ、イオンは駅構内や店舗で自社の電子マネーだけを使えるようにすることができます。

これはGoogleとFacebookの関係にもいえて、Googleは優秀な人材を抱え、すばらしいツールを数多く提供していますが、ユーザが他社の類似ツールを使うことを排除することはできない。一方でFacebookは、ぱっとしないツールでも、自らの場の中ではユーザに使うことを強制できます。この差は大きいのです。

それとGoogleほど提供しているサービスと収益源が乖離している企業も珍しいと思っています。その乖離がGoogleの強さの源泉なのかもしれませんが、やはりサービスと収益源を一致させるのが本筋だと思います。ただ、Googleを見ているとその乖離を埋める努力は見えないのですよね

2011年7月15日

Google+に関して聞かれたのですが、どうなんでしょうかね。ちょっと使った感想をいうと、サークルなどの機能はあるものの、現状はFacebookとTwitterを足したようなサービス。一方でFacebookとTwitterはすでに多数のユーザ数が獲得している状態。新しい仕掛けを提供しない限りは両者を凌駕するのは難しいのではないでしょうか。つまり個人的な評価としては、Google+はいいと思うのですが、登場するのが遅すぎたというもの。ただ、Googleというブランドの大きく、それを上手く使えば伸びると思います。ただ、いまからFacebookを超えるユーザ数を獲得できるかというと、Facebookが何らかの失敗をしないかぎりは難しいかもしれません。

Googleにとって一番恐れていることは、Facebookがユーザ数を拡大することよりも、Googleの収入のほとんどをあげているネット広告が、Facebookにとられることにより、収益悪化ではないでしょうか。ならばFacebookに乗ずる形のサービス展開もあったと思うのですがね。

個人的にはFacebookやTwitterの対抗馬よりも、複数のSNSを統合してくれるようなサービスが欲しかったり。これ以上、SNSが増えると対応しきれないのですが、SNSは相手があってのことですから、その相手が相違なSNSを使う場合は相違なSNSに対応しなければならないという事態になります。

2011年7月14日

まだ発売まで数日あるそうですが、先日、MacOS X 10.7 Lionの事前配布の最終版(Gold Master)を使わしてもらったので、その感想を少々。短時間の評価であまり論評すべきではないのですが、個人的には様子見でしょうか。ひとことでいうと使い勝手とひき換えに複雑なことがやりにくくなっている感じ。特にフルスクリーン指向なので、大画面で複数アプリのウィンドウを開きながら使っている方は改悪と感じるかもしれません。それとデスクトップでMagic Trackpadを使っているか、マルチタッチに対応したMacBook系 (どちらかというとProよりもAirの方が相性がいいかも)でないと真価が発揮ができなさそう。逆にいうとマウスなどのポインティングデバイスと決別したGUIといえるかもしれません。また、Macintoshの伝統である画面上部のメニューはある意味で役割を終えたのかもしれません。このメニューは画面の高解像度化とともにユーザ操作の負担になっていたので、いいように思いました。それとコンテンツを見るときは使いやすそうですが、コンテンツを作るときは結局、アプリケーションまかせだし、見るときの操作と作るときの操作の差異が大きくなって、使いにくいように感じます。

いずれにしても全体としてみたときには理解に苦しむ部分はあり、特にUI設計に一貫性がいまひとつない。GUIは入出力デバイスとの依存性が高い。iPhone/iPadのマルチタッチスクリーン向けのインターフェイスがPCに向いているとは限らない。

当方のまわりではLionへはネガティブな評価をする方が多いのですが、もちろん新しいもの、慣れていないものにはネガティブな評価になりがちなのですが、その一方で新しくする必然性も少ないのも事実。MacOS XもWindowsのXPからVistaへの移行時と同様のトラップにはまっているのかも。もちろんLionの新機能はおもしろいのですが、ユーザが求めているのはその新機能で(ユーザにとって)何が変わるのか。残念だけど、何が変わるのか、という部分については未消化におわっているように感じます。

2011年7月13日

なぜか今日のある一時間ぐらいのあいだに3つの国際会議の論文採録通知がやってくる。そのうち一つはいままでとはちょっと別の分野、どちらかというと、コンピュータサイエンスというよりも、物理学や生物学に近い分野。別の分野の研究を始めるのはたいへんなのですが、その研究の論文が当該のトップ研究者が集まる国際会議に通ったのはよかったです。というわけで、たいへんありがたいのですが、ちょっと無計画に投稿しすぎたのか、ぎりぎりになりつつあるのも事実。もちろん日程は重なっていないものの、こんなに採択されると思わなかったから、綱渡り状態。というわけで採録済み未発表の単著論文は7本から10本となりました。

2011年7月12日

大急ぎでカメラレディ論文を作成・送付。採録通知が届いているに気づいていなかったというか、投稿したことも忘れていた始末。危ない、危ない。国際会議に採録済み未発表の単著論文が7本あり(既発表は単著論文3本)、把握できていません。

論文を書くのは研究者の仕事なのですが、論文は研究の副産物みたいなもので、論文を書くことと研究とは同じではない。というわけで論文よりも研究をしないといけないのですが、今年度は予算的な理由もあり、論文の大量生産状態。不毛ですね。

2011年7月11日

午前中は慶大の大学院の授業。来週は祭日なので、今期は今日が最後。

Miamiの写真はなし。というか時間もないし、そもそも写真を写す気もない。北米出張と欧州出張ではモチベーションが違いすぎですね。というわけで4月にスペインのSalamancaに出張したときに撮った写真をここにおきます。夜に加えて、シエスタの時間に炎天下で写真を撮っておりました。もうひとつは数年前にいったドイツのUlmの写真もおいておきます。

2011年7月10日

ANAのワシントン発成田行きは機内トイレ(複数)の故障で、ワシントン空港から発着が大幅に遅れ。さらに修理できなかったので使えるトイレの数が少ない状態。乗客が2/3 程度だったからよかったものの、もし満員だったら待ち行列ができて険悪なムードになっていたかも。CAさん曰く、「化粧室(トイレ)なので、運行には支障がないので、出発することになったようです・・・」と申し訳なさそうにおっしゃっていましたが。なお、成田空港ではゲートにつけるのに手間取り、結構な時間待機することとなりました。それでも米国の航空会社と比べればトラブルのうちに入らないでしょう。

余談ですが、飛行機は乗り降りは左側の出入り口を使って、右側を使わない。不思議に思ったことはありませんか。技術的な理由があるわけではなく、船の古くからの習慣から。というのは欧州の中世以前の船は船尾に舵をつけるのではなく、船のサイドに板(Steering board)を付けて、これを動かして船の向きを変えていました(さらに昔はオールや帆で向きを変えていたので、舵の要求は少なかったらしい。ちなみに船尾に舵をつけるのは中国が最初で、その後に欧州に伝わったとされます)。この板を船の右側に付けていたので、港に付けるときは船の左側(右舷)を岸壁につけていました。飛行機は機体をシップ(Ship)、機長を船長(Captain)と呼ぶように船舶の影響を受けており、旅客機が左側からドアから乗り降りするのその影響。ちなみに組織の意志決定機関をSteering boardと呼ぶことがありますが、これは船の方向を変える板(Steering board)からきています。

2011年7月9日

なんか着いたばかりのような気がしますが、早朝、ワシントンDCに向かって飛んで、それから成田行きに搭乗。昨夜、昨日書いたようなことを現地大学の関係者(NSFへの出向経験もあるシニアの研究者)と議論したのですが、米国の場合、コンピュータサイエンスは人材輩出というミッションがあり、それがある限りは大学におけるコンピュータサイエンス学科の存在意義があるとのこと。ただ、今後は二つの懸念があるとか。

一つ目ですが、米国でも教育は基本的に連邦政府や州政府の持ち出しで実現しています。さて米国大学のコンピュータサイエンス学科の大きな特徴は外国人比率が他学科と比べて突出して高い。これでも許されたのは、その外国人学生の多くが米国内で就職して、米国のIT産業の競争力の源泉になってきたから。ただ、彼らが米国以外で働くようになると、風当たりが強くなることが予想されるそうです。

二つ目は、以前はコンピュータサイエンスの教育は米国が高かったけど、インドや中国の大学でもコンピュータサイエンスの教育がよくなってきており、インドや中国から優秀な人材が輩出されるようになりつつある。一方で米国内のIT系労働者の人件費は高く、同じ水準ならば米国内のIT系労働者ではなく、インドや中国で安い人件費でコンピュータサイエンス学科出身者を雇えばいいことになる。という危惧あるとか。

そのため、長期的にはコンピュータサイエンス学科は縮小して、需要と供給のバランスをとるのか、インドや中国などの新興国の大学が苦手な分野(教育設備費用がかかる分野、例えば機械など)などの知識をもつ付加価値の高い人材を輩出するような教育にかえる必要があるとか。一昨日からネガティブな話題が続いてしまいましたが、中にいる人間が思っている以上に事態は深刻ということでお許しください。今回の出張の最大の成果は、米国のコンピュータサイエンス系学科の方が、これほどまで前途を懸念しているということがわかったことでしょうか。この国際会議は会議自体はたいしたレベルでないのですが、妙に人脈があるというのか、去年は本来知り得ないシリコンバレーの裏側を見せてもらいましたし。

2011年7月8日

愚痴の続き。国際会議は採録数が決まっているし、集客も考えないといけないので、どうしても流行しているテーマに変重しがち(もう少し正確に言うと予算がついているテーマというべきですが)。流行しているテーマは、優秀な研究者が集まっているから、おもしろいのですが、ただ流行しているテーマからといって、研究すべきテーマとは限らない。多くの場合は研究のための研究テーマになっていることが多い。そして難関国際会議のプログラム委員をされたことは経験があると思いますが、本来、研究すべきテーマを流行っていないからという理由で採録しないということがあります。

それと難関国際会議の場合、ゲーム化しているというべきか、国際会議を通すことを目的とした研究も散見する始末。かくいう当方も、今回の出張は予算の実績作りという側面があるわけですが。ただ、ゲームというのは参加しているプレーヤーはそのゲームのゴールしか目に入らず、そもそもゲームそのもの目的は目に入らないものなのです。まわりが同じゲームに参加しているからといって、そのゲームが永遠に続くとは限らないし、ゲームに熱中していると、日暮れに近づいていて、ゲームオーバーに近づいていることに案外気がつかないもの。

以前、米国NSFのお偉い方から指摘をうけたのですが、自然科学系の研究は他分野からも参照されることがあるが、コンピュータサイエンスの論文は他分野から参照されることが皆無であるとのこと。それも難関国際会議でもコンピュータサイエンス、それも同じ分野の論文誌から参照されないところがあり、サイテーションが高くても、外部的には低評価になってしまう。コンピュータサイエンスの研究者が思うほど、コンピュータサイエンスは必要とされていないかもしれません。少なくても他分野から参照されるような研究をしないといけないのでしょうね。

2011年7月7日

国際会議の一日目。というわけでコンピュータサイエンスの国際会議にきているわけですが、そのコンピュータサイエンスの国際会議全般のこと。コンピュータサイエンス系の研究者には説明するまでもなく、コンピュータサイエンスは論文誌の論文よりも国際会議の論文が重視するという他の分野にはない特徴があります。これにはメリットがあり、は国際会議は論文発表の場であるとともに、人と会う場なので、ポジション探しから、有意義なコメントをもらえる場なっていたから。ただ、これも過去の話かもしれませんね。

国際会議は特定テーマで開かれるにしても、研究内容が多岐にわたってしまって、会議の参加者にその論文にコメントできる人がいるとは限らない。実際、コンピュータサイエンスは研究内容も多岐に広がってきているし、研究者も増えているし、国際会議も増えている。国際会議で論文を発表してもその論文に適切な研究者にあえる可能性は低くなります。

もちろん国際会議にもいろいろあって、国内学会の全国大会のように全通しの国際会議もあれば、当該分野のトップレベル研究があつまる難関国際会議までいろいろ。優秀な研究者が集まるのは難関国際会議なのですが、その難関国際会議にいっても、発表は聞かずに裏で雑談している研究者ばかり(その話題も研究ではなく、予算や人事の話が多い)。そうなると論文が通って、発表したところで、研究に役立つようなコメントがもらえるとは限らない。実際、当該分野のトップの国際会議で発表しても、有意義なコメントはもらえることが減りました。

それと最近、危惧しているのは企業からの参加者が減っていること。コンピュータサイエンスというように科学と名乗っても、コンピュータは工業製品なので工学的・商業的な視点は欠かせない。というわけでアカデミアの研究者は企業関係者との接点が先細り。そうなると実際的な課題を知る機会が減り、その結果、実際的な課題から離れた研究が増えてしまい、ますます企業関係者との接点が減るという悪循環。

愚痴っぽいことを書きましたが、最近、コンピュータサイエンスの研究が世の中の役に立っているのかが疑問になることが多いのです。特に国際会議はなんのために会議しているのかが、わからなくなることが結構あるのです。

2011年7月6日

Chicagoを経由して、Miamiまで移動。いつもながら米国は入国審査に時間がかかるし、空港のカフェやレストランのサービスはよろしくない。というわけで着いた早々、一分でも早く出国したい気分にさせてくれます。ちなみにMiamiは雨でした。出張中、ホテルの外に出ることもないので関係ないわけですが。

2011年7月5日

打ち合わせの日。某省の某予算の某プロトコルのために、某アイドルグループを想定した企画書をつくることになったのですが、いったい何をやっているだろうかという感じもありますが、内実はまじめなお話。午後はその某省の違う部局と別件の打ち合わせ。先方の人事異動絡みで挨拶的な内容でしたが、霞ヶ関もいろいろたいへんですね。既存の産業や企業(とそこで働く従業員)を守るための政策と、新しい産業を育てる政策は相容れるとはいえない。話題は日本のITが今後、成長産業なのか、衰退産業なのかというものだったのですが、前者ならば発展させるべきですが、後者ならば今後、有望になる産業を育てるために衰退産業をスクラップして、人的・資金的リソースを成長産業に注入しないといけない。

2011年7月4日

慶大の大学院授業。疲労困憊状態で授業をしてしまって、おそらくわかりにくい説明をしてしまったかも。反省です。

昨日の続きですが、クラウドコンピューティングが、計算だけでなく、ネットワークも取り込み始めるだろう、と書いたのですが、もうひとつのクラウドコンピューティングが取り込むであろうものはクライアント側。Web技術の進歩により、クライアント側のエンドはOSから、Webブラウザになりつつあります。今後、データなどはクライアント側ではなく、クラウドインフラ側におくでしょうし、ユーザが操作するのはOSのGUIではなく、Webブラウザ上に表示されたGUI。

さてWebブラウザがサポートする通信プロトコルやWeb技術は標準化されたものですが、それは接続先のサーバ側が他社のものであるから。でも接続先のサーバが特定されるのであれば、標準化にあわせる必要もない。クラウドインフラとWebブラウザの両方を提供する事業者(Microsoft、Google、Apple)は自社のクラウドインフラと自社製Webブラウザ間の通信は独自仕様にできることになります。実際、OfficeサービスなどのアプリケーションをWebブラウザで実現する場合、独自プロトコルの方が容易だし、使い勝手もよくなることが多い。今後、上記の3社のWebブラウザは標準化されたプロトコルに加えて、自社のクラウドインフラ上のサービス限定のプロトコルも乗せてくることが予想されます。

その絡みですが、いま最有力コンテンツ配信事業者はAppleのiTunesStore。iTunes Storeの強さは、Appleがコンテンツプロバイダーを取り込んだこともありますが、それ以上にiTunes StoreのクライアントであるアプリケーションiTunesがWebブラウザではなかったことがあると個人的には思っています。以前、音楽再生はMP3専用アプリケーションがあり、iTunesが専用アプリケーションなのは当然なのかもしれませんが、技術的には当時ですら、Webブラウザを想定して、プラグラインとしても実現できたはずです(iTunesの内部的な通信はきわめてWebブラウザに近いはず)。さらにAppleに御謹製Webブラウザ(Safari)を抱えているにも関わらず、いまだにiTunesからWebブラウザへの移行や統合をする気配がない。

AppleがiTunes Storeのクライアントを独自アプリケーションにこだわるのは、独自通信プロトコルが自由に使えるからでしょう。Webブラウザ上に乗せればWebの規範にあわせないといけなくなり、他社との差別化ができない。そしてこの状況はコンテンツ配信だけではなく、一般のWebブラウザにも広がるように思っています。

2011年7月3日

クラウドコンピューティングはブラックホールのようにコンピューティングを取り込み、巨大なコンピュータになりつつありますが、次の段階はインターネットを含むネットワークを取り込むことになるのかもしれません。インターネットの基本設計はエンドツーエンド。エンド側、つまりインターネットにつながったコンピュータ同士が通信を処理することが前提となっています。例えばメールでは送信側と受信側のメールクライアントとそのあいだのメールサーバが連携してメールを送ります。しかし、Gmailのようなサービスはメールクライアントもメールサーバもクラウド側になります。また各種Webサービスもサーバ間の連携から、クラウド上のAPIの呼び出し関係になると、Webサービスそのものの処理はもちろん、Webサービス間の通信部分もクラウド側に移行することになります。また、低レベルではOpenflow的な手法でネットワーク制御部分をクラウド側に取り込むということが行われるでしょう。こうなったときにクラウドコンピューティングとインターネットの関係は変わるでしょうし、インターネットそのものに求められる機能も変わってしまうかもしれません。

もちろん相違な事業者によるクラウドインフラ間はインターネットを介して通信されるわけですが、クラウドインフラ事業者の少数の大手に集約されるのであれば、クラウドインフラ間の通信も標準化される必要はなく、そのクラウドインフラ事業者間だけで決めた独自の通信プロトコルでも構わないのかもしれません。それは非公開の独自通信プロトコルという暗黒の時代にもどることになりますが、IETFにしてもW3Cにしても標準化作業に時間と手間がかかりすぎで、新しい通信プロトコルを想定した新しいサービスの普及が遅れることを考えると、まったく悪いというわけでもないのかもしれません。いずれにしても、当面、クラウドコンピューティングまわりで技術的におもしろいのはクラウドインフラとインターネットの境界付近かもしれません。クラウドコンピューティングという帝国はインターネット側に領土拡大を狙ってくるでしょうし、その境界では熾烈な領土争いが繰り広げられるはずです。

2011年7月2日

さて朝の8時前に成田空港に到着。今回は往復ともに飛行機は満員。結構疲れますね。それと用務がない場合、早朝に成田着のフライトは避けていたのですが、今回は仕方なく。時差ボケ対策は眠いのを我慢して調整するタイプなので、早朝に着くとその日、一日眠い状態で過ごすことになり、あとが辛いのです。今回は私事ですが、午前中から用事があったので助かりましたが。

2011年7月1日

さて帰国です。Croatia航空でDubrovnikからViennaに飛んで、Viennaから成田はAustria航空。Viennaでは3時間ちょっと待ち時間があったのですが、Viennaの空港と市内はちょっと距離があって、市内に出るには中途半端な時間。そうそうDubrovnikで泊まったホテルは、前日に、早朝にタクシーに来てもらうようにホテルの方に頼んでおいたら、朝食時間前だというに1セット用意してくれていて助かりました。

さてDubrovnikで撮った写真をここにおいておきます。 Dubrovnikiは街全体が世界遺産になっているだけの場所でした。まぁ仕事でいっていますから、朝晩しか観光はできないのですね。それと写真を見ていただくとわかると思いますが、壊れた建物の写真は20年前のユーゴスロバキア内戦で被害を受けたホテルだそうです。風光明媚なDobrovnikから3kmぐらいのところに、こうした戦争の傷跡がなまなましく残っているところに、この地域の現実を思い知らされます。

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Ichiro Satoh

Ph.D, Professor
National Institute of Informatics

2-1-2 Hitotsubashi, Chiyoda-ku, Tokyo 101-8430 Japan
Tel: +81-3-4212-2546
Fax: +81-3-3556-1916