Diary

Ichiro Satoh

もともとは研究用ソフトウェアの開発履歴に関するページだったのですが、開発関連よりも雑談の方が多くなったので、2001年分から別のページを用意することにしました。リンクは勝手にしてください(でもリンクしたい人なんているのでしょうか)。

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2008年12月31日

今年も今日で終わりですね。いろいろ変化があった一年でした。プロの研究者としては結局、論文で評価されるので、2008年の論文実績をあげると、まず単著の論文は論文誌が6本(内訳は海外論文が3本、国内英論文誌が2本、和文論文誌が1本)、国際会議が5本、共著の論文は論文誌が2本、国際会議が1本。ただし、いまは和文論文誌には研究実績にカウントしなくなっていますから、今年は単著の論文誌論文は5本ですね。それにしても妙に論文誌の論文が妙に多い一年でした。どうも当方は国際会議ばかりで発表しているというイメージがあるようですが、論文誌にも論文を書いているのですがね。そうそう海外出張ばかりはしてられませんから。いずれにしても論文は数ではなく質ですし、論文にはならない研究もあります。ですから論文数には本質的な意味はないと思います。そうはいってもプロの研究者である以上は最低でも毎年2,3本は論文誌論文を通すことが求められるし、それができなけばポジションを失います。情報系の場合、多くの大学は博士取得の条件に3年間の博士課程中に論文誌の論文を1本としていますが、その1本を通すぐらいで四苦八苦しているような水準だと博士をとれてもプロの研究者としてやっていけないのも事実だったりします。もちろん、当方の人のことを心配していられる立場ではないのですが、プロとして食べていくのはどんな分野でもたいへんということですね。

2008年12月30日

今日もプログラミング中です。といってもその半分ぐらいは考え事をしているのですがね。ソフトウェアの研究のためのプログラミングは、仕様書がしっかりあるようなソフトウェア開発とはだいぶ違います。つまり、作成するソフトウェアそのものが研究成果なので、研究で成果が出るかどうかわからないと同様に、ソフトウェアができるか否か、ソフトウェアが期待した効果が出せるか否かはわかりません。そして研究と同様に予め何をすれば成果がでるかがわかっているわけではないので、プログラミングをしながら試行錯誤を繰り返すことになります。またソフトウェアの研究のためのプログラミングは、いわゆるオープンソースのソフトウェアのためのプログラミングとも違いますね。オープンソースのソフトウェアではソフトウェアとしての完成度が求められますが、ソフトウェアの研究のためのソフトウェアというのは、少数でも卓越した機能や性能があることが望まれます。別の言い方をすると何か一つでいいので尖っていることです。そしてその尖りは鋭いほどいい。そのソフトウェアそのものを誰かに使ってもらう必要はありません。むしろ、商業ソフトウェアやオープンソースソフトウェアが、そうした卓越した機能や性能を実現する方法を取り入れてくれれば十分。それと研究では誰よりも先に発表することが求められます。ですから研究のためのソフトウェアではスピードが最優先。ですから無駄なプログラミングは極力避けることが重要。もちろん論文のためのソフトウェアでは困るのですがね。

2008年12月29日

今年は新しい研究テーマをいくつか始めて、いままでの研究テーマをいくつかやめました。実はそれらの新しいテーマに共通していることがあり、それはシェアリング(Sharing)です。わざわざ共同物流トラックの経路の研究をしたのも、物流や経路に興味があったというよりも共同物流はトラックのシェアリングだから。クラウドコンピューティングに興味をもったのもコンピュータのシェアリングだから。ご存知のようにシェアリングは環境問題と関わります。しかし、現在は省エネという言葉に代表されるように個々の製品のエネルギー効率に関心が集まっています。その代表事例が先日書いた某自動車会社の「エコ替え」キャンペーンだと思います。いくら温室効果ガスの排出量の少ない自動車に買い換えても、その自動車の生産で大量の温室効果ガスが排出されています。ですから温室効果ガスを減らそうと思ったら自動車の数を減らすしかありません。自動車の需要を満足させながら台数を減らすためには、自家用車という概念を捨て、複数人で自動車をシェアリングすることになります。同じことはグリーンITにもいえます。電力効率のいいコンピュータに買い換えれば電気料は減るかもしれませんが、コンピュータを生産すれば何らかの環境影響があります。そうなるとコンピュータをシェアリングした方がいいことになりますし、クラウドコンピューティングはコンピュータのシェアリングの一つの方法になります。ただ、自動車やコンピュータを含む、多様な社会リソースをシェアリングするには、所有権という現代社会の根幹を変えることになり、大変難しい問題になるでしょう。技術的にもシェアリングしたリソースをどう管理するかが大きな問題になり、情報技術はシェアリングを支える根幹となるでしょう。個人的にはシェアリングのための情報技術の利用は現在の電子商取引などよりも大きなものになると予想しています。年末に排出量取引の特許を出したのも、排出枠(排出権)がシェアリングにおける貨幣に相当する価値単位になりえると思っているからだったりします。いずれにしても情報技術に限らず研究開発は、例えば環境影響などの外部経済性を含めたコストが重視されるでしょう。その意味ではHondaのF1撤退の理由ではないですが、性能がよければ他を犠牲にしていいような技術はこの先は許されなくなるでしょう。情報技術では計算性能や通信性能だけを追い求めて、コストや環境影響を無視した研究がまだまだ多いのですが、そうした研究はいつまで続けられるのでしょうか。そして今回の経済危機は世の中の変化だけでなく、研究開発への要求の変化も加速するでしょうし、その経済危機は所有権の代表である住宅のローン問題がトリガーになったのは偶然ではないと思います。ちなみに当方自身は環境問題に無関心ですし(だいたい海外出張が多いので、CO2を排出しまくっています)、コンピュータサイエンスの研究者です。ただ、環境問題が重要視されるのであれば、コンピュータサイエンスの研究者としてやれることを考えないといけません。それからやめたテーマですが、シェアリングに関わらない研究テーマはきっぱりとやめてしまいました。

2008年12月28日

今年、PC環境の変化というとSSD搭載のノートPC(MacBook Air)を導入したことでしょうか。性能的にはHDDと大差なかったのですが、むしろその耐久性能に驚きました。不慮の事故でノートPCが1メートルほど落ちて、ボディがへこむという事故があったのですが、データは無事でした。SSDはHDDと違って機械的に駆動する部分がないので、HDDより故障確率(MTTF)は低くなりますが、それが実感できたことになります。ご存知のようにHDDはPCの主な故障原因となっており(特にHDDは駆動と停止を繰り返すと故障率がさらに上がりるといわれています)、そのHDDがSDDに変わることはPCの故障確率を下げる、つまり無故障期間をのばすことになります。それはすばらしいことなのですが、PCメーカにとっては諸刃の剣になります。PCの買い換え需要は故障また、使用年数の長期化による故障率の増加によるところが大きい。しかし、PCのHDDがSDDになって使用可能年数が伸びると、ユーザは古いPCを使い続けることになり、買い換え需要が減ることになります。PCは自動車産業と近い状況になるかもしれません。自動車も買い換えサイクルが伸びているのですが、その理由の一つは壊れないことがあります。また、WindowsがVista発売後2年以上たっても、2001年発売のWindows XPを搭載したPCに人気が集まっているようにソフトウェア的に買い換える理由は少なくなっています。そうなると近い将来、PCの使用期間は7,8年になってしまうかもしれませんし、さらに伸びるかもしれません。さらにクラウドコンピューティングの時代になるとPCはWebブラウザが動けばいいことになりますから、ハードウェア的にもソフトウェア的にも枯れたものになるかもしれません。いよいよPCとそのPCが生み出したパラダイムの終焉ですね。

2008年12月27日

今日もプログラミング中。ところでACM(コンピュータサイエンスの大きな学会)が米国のK12(幼稚園から始まり高等学校を卒業するまでの13年間の教育期間)にコンピュータサイエンスを教えるべきだと提言しているそうです。実はコメントを求められたのですが、何を教えようとしているのかがわからないので答えようがなく、丁重にお断り。でもコンピュータサイエンスをK12に取り入れるべきなのでしょうかね。世の中は情報技術に頼っていますから、その情報技術の原理的なことを教えることは意味があるかもしれませんが、ACMの提言そのものは我田引水に聞こえますね。個人的にはコンピュータサイエンスを教える時間があったら、数学や物理を教える時間を増やした方がいいでしょうし、日本に限れば経済学や金融工学を教えた方がいいと思います。今回の経済危機を金融工学のせいにする方は多いのですが、金融工学ではなく格付け会社に頼ったのが失敗の原因になったのではないでしょうか。それとACMはACM推奨の大学向けのコンピュータサイエンスのカリキュラムを見直した方がいいと思います。所詮、情報技術は道具。つまり情報技術そのものが何かを生み出すわけでなく、情報技術を使って何をするかが重要なのですが、ACMのカリキュラムでは道具の仕組みだったり、作り方を教えようとしています。数学が純粋数学と応用数学に分かれているように、コンピュータサイエンスもコンピュータサイエンスそのものを扱う方向と、他分野に適応することを主眼としたコンピュータサイエンスにわかれてもいいように思います。後者ですが、応用数学はApplied Mathematicsですが、Applied Computer ScienceというようりもApplicable Computer Scienceというべき分野かもしれません。

2008年12月26日

勤務先の事務方は今日で仕事納めということになっていますが、研究職はむしろ休みの方が割り込みがすくなくなり、仕事がはかどります。当方はというと、おかげさまで頭の中はすっかりプログラミングモードに移行完了。ただ、電車の中のプログラミングが一番はかどるというのはいいのか悪いのか。

2008年12月25日

商売柄出張は多いのですが、新幹線に乗ると不思議に思うのが、某鉄道会社の「エコ出張」というキャンペーン。確かに乗客一人あたりの運行では飛行機に対して新幹線だとCO2排気量は10分の1かもしれません。でも新幹線の線路の建設段階で大量のCO2を排気しているはず。建設段階のCO2排出を含めると新幹線と飛行機のどっちが排出量が小さいだろうかと不思議に思ったりします。これって某自動車メーカの「エコ替え」キャンペーンと同じですよね。いくらCO2排気量が少ない自動車に乗り換えても、その自動車の製造段階で大量のCO2を排出しています。さらに下取りになった古い自動車が中古車として売られ、誰かが買って乗ればその古い自動車からCO2は排出され続けます。というわけでエコ替えがCO2排出を増やすことになります。類似ケースはコンピュータ業界にも多いです。消費電力の少ないコンピュータへの買い換えをすすめる広告が多いのですが、電気代節約というのならばいいのですが、CO2削減といわれると、部品を含むコンピュータ製造段階のCO2排出量が気になります。もちろん鉄道会社にしても自動車メーカ、そしてコンピュータメーカにしても商売ですから、ある程度の誇張は仕方ないでしょうが、消費者はこうした矛盾に気づきます。だから度が過ぎると逆効果になりますね。よくいわれることですが、企業の環境貢献の宣伝はその貢献活動に関わる既存顧客に限定した方がよく、マスに宣伝して企業イメージもあげようと目論んだりすると失敗することが多い。そういえばその某鉄道会社が建設を計画しているリニアーモーターも建設段階ではCO2を大量に出しそうですね。

2008年12月24日

いちおう国立大学法人・総合研究大学院大学・複合科学研究科・情報学専攻・教授という長い長い肩書きがあり、大学教育は職務の範囲内になります。ということで大学関連のこと。大学生などの奨学金を貸与している独立行政法人「日本学生支援機構」は、奨学金の返済が滞っている卒業生が多い学校の名前を公表することを想定しているようですね。借りたものを返すのは当然なのですが、個人名を公開するならともかく、なんで学校名を公開することは議論になりそうですね。同機構の奨学金では、大学などの学校が対象学生を同機構に推薦するという仕組みになっていますから、学校も責任の一端があるというのはわからなくはならないのです。ただ、奨学金の趣旨には逆行するかも。学校として延滞率・数ランキングには乗りたくないでしょうから、返済可能性が高い学生しか推薦しなくなる可能性があります。返済可能性が高い学生というのは例えば資産があるという学生さんになりますから、奨学金の本来の対象となる学生さんに支給されなくなってしまう可能性もあります。延滞率が高くなっていて、機構としても対処しないと行けない事情はわかります。しかし、本来ならば大学の推薦に頼らず、機構自らが支給対象者を選ぶべきことを、大学任せにしているわけですから、大学を巻き込むのはちょっとちがうような気がしますね。

2008年12月23日

トヨタは社長交代だそうです。大政奉還そのものは現社長が就任したときから噂されてていたことなので、おおかたの予想通りということになりますが、個人的にはこの時期に報道されたのには驚きました。というのもトヨタの現会長は経団連の副会長をしていて、その退任時期が来春だそうで、現社長が会長となり、それともない経団連副会長の職を引き継ぐといわれておりました。このため社長交代の発表はもっと先だと思っていましたし、現社長の就任中に悪いニュースは出すだけ出して、創業者一族の次期社長の就任環境を整えるのだと思っていました。でも大政奉還に関しては、トヨタは社名からわかるように同族企業なのですから、創業者一族が社長になることは驚くべきことではないはず。むしろ大政奉還を驚いているメディアや人がおられるということの方が驚きかも。トヨタというコミュニティの中では、きっと創業者一族というだけで求心力があるのでしょう、もちろん端からはまったく理解し難いのですがね。ところで経済状況によっては国内自動車各社はビックスリーと同様に政府援助を求めるという事態もありえますが、今回の社長交代はあとあと首を絞めるかもしれませんね。特に国内自動車メーカは業界団体(日本自動車工業会)による集団行動がお好きなのです、援助を求めるときも集団行動になることは予想されます。そのとき筆頭メーカの経営体制が、多メーカを含む業界全体の首を絞めるような事態にならなければいいのですがね。他人事ながら心配してしまいます。

2008年12月22日

トヨタが営業赤字発表。予想された事態とはいえ、実際に発表されると考え深いものですね。金融危機の影響とはいいますが、トヨタを含めて大手メーカは輸出に頼りすぎたのであって、金融危機は単にそれを露呈させただけなのでしょう。そして日本全体も輸出産業に頼りすぎています。だから日本による日本における経済危機と考えた方がいいのでしょう。景気回復させるためには日本全体の産業構造を変えないということなりますし、変えられなければ衰退していくだけかもしれません。さて次の問題はどのように変わっていくのかですよね。米国の次期政権はグリーン・ニューディールを打ち出して、IT、そして金融の次の成長セクターとして再生エネルギー関連を打ち出しています。米国の次期政権がいうグリーン・ニューディールでは、(1)中東などから輸入石油を大幅に減らす。(2)2015年までにプラグイン・ハイブリッド車を100万台普及させる。(3)自然エネルギー電力比率を2012年までに10%、2025年までに25%を達成し、温室効果ガスを2050年までに1990年比で80%削減する。そしてこれらのエネルギー政策に今後10年で1500億ドル(約14兆円)を投資して500万人の雇用を生みだすというものです。実際、GMなどのビックスリーの救済の話もこのグリーン・ニューディールの政策の文脈でみるといろいろ見えてきますね。もちろん米国次期政権の目論見通りにすすむ保障はまったくないですが、石油が枯渇しつつあるのは事実ですし、欧州や国連も同様の動きを見せている以上は世界的に環境・エネルギー関連に活路を見いだすしかないのかもしれません。経済危機なのに環境・エネルギー技術ではなく、経済だから環境・エネルギー技術が必要になるのだと思いますが。ただ、日本に限れば、いまだに環境・エネルギー技術は日本の得意分野だと思いこんでいる人がいっぱいいるような状況ですから前途多難ですが(というかもう手遅れ?)。日本のことはともかく環境・エネルギー分野は統合技術なので、さまざまな技術を取り込みがら進んでいくのだと思いますし、コンピュータサイエンスの活路も結構あるとように思います。実際、当方は今年一年でその方面にいくつかの布石だけは打ってあったりします。

2008年12月21日

ここ数日は年末恒例のリハビリ中。リハビリといっても頭を雑務処理モードからプログラミングモードへの切り替え。年末年始は休日が続くので雑務に惑わされずにプログラミングができるのです。普段、ちょこまか小さなプログラムは書いていますが、大きなプログラムを設計・実装するときはモードに切り替えないといけないです。これはソフトウェア設計・実装をしていない方だと想像ができないかもしれませんが。これから2週間ほどは雑務放棄状態にさせていただきます。すみません。

2008年12月20日

昨日はさくらインターネットのシステム障害でGREEなどのサービスが止まったようですね。こうしたシステム障害はクラウドコンピューティングでも起きるのでしょうね。むしろ考えないといけないのは、こうした問題にどう対処するかですかです。システム障害にはいろいろ種類があるわけで、技術的に解決できる障害だけとは限りません。先日も書きましたが、個人的には最終的にはクラウドコンピューティング向けの損害保険を作るしかないと考えています。いまの情報システムはサーバなどはユーザ側が管理していることが多い。したがってサーバにシステム障害があったらユーザ側またはユーザが委託している管理会社が解決することができます。しかし、クラウドコンピューティングではユーザはサーバを直接管理することができません。したがってシステム障害あったときに対処方法がないのです。だからといってクラウドコンピューティングを使うべきではないと考えるべきではないでしょう。むしろ障害とどう関わるかです。システムトラブルがあればユーザ側は損害受けるわけですから、その損害を返してもらえばいい。つまり損害保険という形で障害をお金で解決できればいいはず。それでどうするかというと、クラウドコンピューティングのユーザは損害保険会社に保険料を払います。もしクラウドコンピューティング側のシステム障害により、ユーザが損害を受ければ損害保険会社から保険金が支払われるという仕組みです。この方法がいいのは損害保険会社がクラウドコンピューティングの信頼性向上に貢献するということです。次のステップは損害保険会社をクラウドコンピューティングの監視・助言者として働いてもらいます。損害保険会社にしてみれば、システム障害が頻発するようなクラウドコンピューティングは保険対象外にするでしょうし、保険金支払を減らすために積極的にクラウドコンピューティング側のシステム構成や信頼性技術に目を光らせるはずです。さらに次のステップはいかに損害保険会社とクラウドコンピューティングのインフラ提供会社との相互依存関係を作るかです。そこで損害保険会社はクラウドコンピューティングの損害保険を証券化します。そしてその証券をクラウドコンピューティングの提供会社に買わせます。そうするとシステム障害がおきると損害保険会社だけでなく、クラウドコンピューティングの提供会社も経済的な負担することになりますから、クラウドコンピューティングの提供会社もシステム障害が起きないように必死になるはずです。結局、クラウドコンピューティングが普及するかしないのかというのは技術的な問題ではなく、課金モデルであったり、障害時の対応策だったりするのではないでしょうか。

2008年12月19日

午前中は博士中間発表。当方が指導教員になっている博士課程学生の中間発表。それからICタグ関連で2時間講演、それから取材。なかなか忙しいですね。というか頭の切り替えがたいへん。午前中はユビキタスコンピューティング、午後はICタグ、夕方はクラウドコンピューティングですからね。そろそろ専門分野を減らさないといけませんね。ただ、減らすだけではつまらないので、いまとは別分野の研究を始めた方がおもしろいですよね。

2008年12月18日

512GBのSSDが発表されましたが、いままでSSDは容量はハードディスクよりも少なかったのですが、ハードディスク(HDD)の最大容量500GBに追いついてきました。今後は値段はともかくHDDの容量を超すのかもしれませんね。ところでSSDはシリアルATAなどのHDD用インターフェースを使っていますが、SSD用のインターフェースは作れないのでしょうか。HDDは動作原理的に一度に一つのデータしか読み出しまたは書込しかできません。しかし、どうせSSDは複数ラッシュメモリチップで構成されているのですから、複数チップ上のデータを同時に読み書きできるはず。そうすれば読み書き速度はかなりよくなりますよね。そろそろPCやサーバなどにSSD専用のインターフェースを考えてもいい時期だと思いますがね。SSDをHDDの代わりとして使うのはもったいないです。

2008年12月17日

当初情報不足で、実体がよくわからなかったOpenCLですが、今月に入って情報がでてきましたね。OpenCLによる影響は大きいように思います。簡単に言えばOpenCLを使うことにより、CPUとGPUの両方をひとつのコードで処理ができるようになります。当方はGPUを必要とするような処理のプログラムは書くことはないので、OpenCLを直接使うプログラムを書くことはなさそうですが、OpenCLがCPUとGPUに与える影響は大きいはず。例えばOpenCLで一つのでプログラムでCPUとGPUの両方を操作できるということは、プログラム開発側から見るとCPUとGPUを区別しなくてもいいということになります。そうなるとプログラミング上だけでなく、ハードウェア的にもCPUとGPUの違いは小さくなっていくと思います。つまりCPUはベクター演算的な機能が入ってきますし、GPUも汎用演算機能が強化されるでしょう。何年か先にはCPUとGPUを明確に分類することはできなくなっているでしょう。そうなるとソフトウェア的にも汎用演算とグラフィックス演算との区別はなくなってしまい、プログラミング方法まで変わってくることが予想できます。その影響を最初に受けるのはゲーム機とHPCでしょうね。次世代ゲーム機が出てくるタイミングにもよりますが、グラフィックス専用APIは使わなくなっていることでしょう。そうなったときMicrosoftのDirectXのようなグラフィックス専用APIは使わなくなっていることでしょう。HPCですが、当方はHPCは専門外なのでなんともいえませんが、いまのようにベクトル演算とスカラー演算をわけて考えることは不要になっていそうですね。

2008年12月16日

今日の日経産業新聞に当方の研究に関する記事が掲載(昨日も二つの業界新聞に出ていたのですが)。ということもあって方々から問い合わせがいろいろ。5月の研究に続いて、まぁなんでこんな研究をしたのといわれるわけですが、もちろん脱線気味なのは確信犯。こんな変わった研究をなぜしているのかというと、5年先、10年先への投資といいましょうかね。ご存知のように当方はコンピュータサイエンスの研究をしていますし、たぶんこの先もコンピュータサイエンスの研究をしていると思います。ただ、コンピュータサイエンスの応用分野をコンピュータだけに限定しなくてもいいと思っています。例えばソフトウェアコンポーネントの研究を例にして考えてみましょう。コンポーネントの組み合わせで作れられる大きなソフトウェアを社会組織、例えば企業で考えると、コンポーネントひとつ部署や個人になります。コンポーネント間相互作用は部署間のやりとりと同じですし、コンポーネントの再利用性は企業において部署を切り離して、他の業務をさせるのと同じではないでしょうか。そうならばソフトウェアコンポーネントの研究成果が社会組織の研究にも役に立つはずです。また法律もある種の手順・ルールと考えれば、ソフトウェア検証やプログラム解析手法を使って法律の整合性を調べられるかもしれません。真に本質的な研究ならば対象を選ばないはずで、同じ研究がコンピュータでも社会でも適用できるのではないでしょうか。だから例えばOSの研究が社会組織の効率化や信頼性に役に立ってもいいはずです。いままでのようにコンピュータサイエンスをコンピュータサイエンスの問題を解くためだけに使うのもいいですが、そろそろコンピュータサイエンスをコンピュータ以外の問題を解くのに使ってもいい時期だと思います。というわけで、しばらくはコンピュータサイエンスの世界と外の世界を行ったり来たりするつもり。というわけで今回の研究(コンピュータサイエンスによるコンピュータサイエンス以外のための研究)が一段落したら、純粋コンピュータサイエンスの研究(コンピュータサイエンスによるコンピュータサイエンスのための研究)にしばらく復帰する予定。

2008年12月15日

知財関連のセミナー。といっても当方は勤務先の副所長の代理ということで、仕事は主催者代表挨拶と講師の紹介だけ。さて話は変わって三菱東京UFJ銀行のシステム統合は無事に終わったようですね。5月にコンビニのATMでトラブルがあったぐらいで、表沙汰になるような大きなトラブルはなかったようですね。まぁ噂では顧客側も受注側も経営トップの交代時期を延ばして、トラブルがあったときはトップ引責辞任のカードを用意しておくほどの念のいれようでしたから。でも心配になるのは関わった方々の行く末。IBM、富士通、日立などの大手に加えて、下請け業者も含めると5千人以上の人員を投入したいわれていますが(作業量は14万人月だとか)、10月以降はIT関連の設備投資が急激に落ちています。関係者の行く末が心配です。それともう一つの心配は二つの2009年問題。ひとつは大型の案件が2009年以降は少ないことによる2009年問題、もうひとつは労働者派遣法の改正にともなう2009年問題。業界企業はともかく業界の方々には生き残って欲しいです。

2008年12月14日

一世を風靡したシャープのPDA、「ザウルス」が生産中止だそうですね。個人的には苦手でしたが(電子手帳が苦手です)、父親が相当なザウルス使いだったので、以外に身近なデバイスでした。最近は携帯電話が高機能化しており、PDAというジャンルそのものが消えてしまった感じ(もちろん業務用では結構使われていますが)。ただ、その携帯電話もいずれは駆逐されるのでしょうが、携帯電話を駆逐するデバイスはどんなものなのでしょうか。

2008年12月13日

新国立劇場でモーツアルトのオペラ「ドンジョヴァンニ(Don Giovanni)」を鑑賞。いい出来でした。Don Giovanni役はLucio Galloは安定感もありますし、歌も演技もすごく良かったです。これだけでも大満足です。ヒロイン役(Donna Anna役)はソプラノ歌手Elena Mosucもよかったですね。Elena Mosucは、2007年3月にチューリッヒ歌劇場でやはりMozartの「魔笛」で夜の女王様役、2008年6 月に新国立劇場でVerdiの椿姫のタイトルロールで聞いているのですが、この方の歌は透明感があるというのか、歌声が本当にきれいですよね。同じくソプラノ歌手のDonna Elvira役はAga Mikolajは艶がある歌声がよかったですね。Leporello役のAndrea Concettiは演技に徹していました。ちょっと弱々しく歌うのというのは誰でもできるものではありません。Leporello役はDon Giovanni役と合わせて歌う場面が多い役ですが、Andrea Concettiは相手に合わせて、引き立て役に徹していました。ただ、声量のためか、当日券で後ろの方に座っている当方には重唱ではやや聞きづらかったです。もう少し前にでる歌い方をしてくれても良かったかも。Don Ottavio役のJuan Jose Loperaは役に徹していてよかったです。ただ、演出上、好青年的になりすぎだったかも。騎士長役は長谷川顯。何度か聞いているのですが、今回は堂々とした歌声が良かったです。Masetto役の久保和範、Zerlina役の高橋薫子ですが、村の若者&娘という役に徹していました。ちょっとコミカルすぎるという印象がありますが、役としてはいいのかもしれません。さてモーツアルトのオペラというとアリアに加えて重唱なのですが、どの歌手も役に徹していて重唱が調和がとれていました。指揮はConstantin Trinks、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。指揮は非常に良かったです。演奏もいいのですが、ちょっと音にムラがあったのがちょっとだけ残念。最近の新国立劇場はオペラは、飛び抜けた歌手は出ない代わりに、どの歌手も水準が高いです。平均点では欧州の歌劇場に引けを取らないとところにきているのではないでしょうか。演出はGrisha Asagaroffによるもの。実はDon Giovanniを生で観るのは初めてなので評価できるたちばではないのですが、今回の演出は奇を狙ったものではない代わりに、どの歌手も演技をしっかりさせているので、ひとつのお話として完成度が高かったです。モーツアルトのオペラはオーソドックスにやった方がいいですよね。Grisha Asagaroffは2006年にIdomeneoでこの方の演出をみているのですが、演出上の印象ないのですが、今回はよかったですね。舞台セットは1カ所だけ意味不明の部分がありましたが、それ以外は良かったです。床をテカらして水を表現するのはおもしろい方法ですね。今回の公演はかなりよかったので、本当はもう一回見に行きたいのですが、スケジュール的に無理そう。

2008年12月12日

忙しい一日でした。論文の締め切りもあって論文執筆&投稿もしないといけないし、報道発表はしないといけないですし、雑誌原稿の校正もしないといけない。報道発表は10社ほど取材にこられていました。今回の発表内容は専門というわけではないので、前回の報道発表のように話題になったらそれはそれでいろいろ微妙だったりします。さて話は変わって、ビック3こと、米国3大事同社メーカのの救済法案は上院で否決、ひとまず政府が救済策を出しましたが、破産法の申請という事態もありそうですね。個人的に気になるのはビック3が仮になくなったとして、その後の自動車業界だったりします。日本ではトヨタやホンダ、日産の自動車のアセンブリメーカが強いのですが、欧州では部品メーカが技術面でも主導的な立場になりつつあります。例えば最近の車載コンピュータの規格でもボッシュなどの部品メーカが先導していて、欧州アセンブリメーカの陰はいまひとつ薄いですから。いずれにしても部品メーカが主導するようになると、個々の自動車や自動車メーカにあわせて部品を作ることはなくなり、部品の共通化がすすむことになります。このため、いわゆる自動車産業もやっと垂直産業から水平産業に産業構造そのものが変化するのでしょう。もちろん、乗用車は嗜好性もあるのですが、トラックなどの業務用自動車はある程度共通化することもできるのではないでしょうか。いずれにしても技術動向も部品メーカ主導になるとかわりますよね。部品の共通化のしやすい方法、例えば内燃エンジンから電気自動車に向かうかもしれません。また部品メーカが共通化されてくると、部品を買ってくれば自動車が組めるわけですから、自動車を設計する企業と部品を集めて自動車を組み立てる企業に分かれるように思います。前者はデザイン性、後者は価格で勝負になるはず。前者は少人数の会社が増えそうですし、後者となる自動車アセンブリメーカは部品を組み立てるだけになりますから、いまのPCの組立業界のように、技術力よりもコスト優先。少なくても人件費の高いに日本では成立しないように思います。ビック3の崩壊はまだ決まったわけではありませんが、自動車産業と自動車技術の両方が再定義されるのではないでしょうか。

2008年12月11日

特許の出願。といっても特許事務証が出願するので当方が出願前にするのは書類のチェック。特許といえば最近は企業を特許費用を抑えていますよね。勤務先の知財委員長などをしているので、特許関連の関わりがあるのですが、企業の場合、特許事務所に対する値引き要求は当然ですし、請求項や明細の数や文字数にも制約を加えているところが多いです。超大企業が百円単位で細かく削ってますね。製品出荷数に依存する費用はならばわかりますが、特許は一回なのでそこまでケチケチしなくてもいいのにと思ったりしますが、今回の不況ではコスト削減に聖域なしということなのでしょう。

2008年12月10日

Amazonが同社のクラウドコンピューティング用インフラ(EC2)を欧州にも用意するそうです。北米地域と欧州地域の二ヶ所になります。クラウドコンピューティングでは避けられない通信遅延を小さくするということもありますが、地域的に離れた場所で二重化できるというメリットもあります。ところでクラウドコンピューティングというと何らかの障害でクラウドコンピューティングが使えなくなったときの対応が話題になります。ただ、国内のクラウドコンピューティングの障害にかんする議論をみているとメディアを含めて本当に稚拙ですよね。個人的に365日24時間絶対に稼働するシステムはないわけですから、そのリスクをどう評価するかだと思いますし、クラウドコンピューティング向けの損害保険が登場するのではないでしょうか。つまり何らかの理由でクラウドコンピューティングが使えなくなったら保険がおりるということです。このクラウドコンピューティング向けの損害保険というのは、クラウドコンピューティングの信頼性向上においても重要で、損害保険会社はクラウドコンピューティングで障害が頻発すれば損が増えますから、損害保険対象となるクラウドコンピューティングの信頼性を徹底的に調査するでしょうし、問題があればクラウドコンピューティングの運用会社に知らせて改良させることになります。当然、障害率が低いクラウドコンピューティングでは、それを利用するユーザ側が支払う保険料が下がりますから、そのクラウドコンピューティングに人気が集まることになります。実はこれを海外損害保険会社の方々に話すと興味津々の様子ですが、国内損害保険会社の方々に話すとリスクが評価できないなど散々なことをいわれます(頭が固いというか、なんというか・・)。評価が難しいからこそ保険商品になるのだし、最終的には損害保険を証券化して、クラウドコンピューティングの運営会社にその証券を買わせればいい。クラウドコンピューティングの運営会社は手持ちの証券の評価が下がることを恐れて、自社のクラウドコンピューティングの信頼性をあげるでしょう。

2008年12月9日

ソニーのリストラが話題になっていますね。今回のソニーのリストラ規模はベンチマークになって、他のメーカに波及しそうです。実は今朝はソニーの仕事を受けている会社で打ち合わせだったのですが、そこでもソニーが支出を相当絞めていることが話題になったばかりでした。それにしてもソニーは今回はいち早く動きましたね。収益源の北米市場が落ちていることに加えて、ドルに対しては1円の円高で40億円の損失、ユーロは1円の円高で75億円の損失だそうですから、のんびりはしてられませんが、景気回復後の状況に備えて業態自体の変化を狙っているのかもしれません。今回の不景気は長くなりそうですが、留意しないといけないのは景気がよくなっても、荒波を生き残った企業は、リストラなどの結果、その業態が変わってしまうことがよくありますし、そうした適応能力がある企業しか生き残れません。特にIT業界に関していえば、景気回復後はその業態だけでなく、必要とされる技術や人材も大きく変わることになるでしょう。例えばクラウドコンピューティングが進めば、国内SI業者の既存業務の大部分はいらなくなるし、ユーザー企業のIT部門もいらないかもしれません。また、ソフトウェア開発に関しては、オフショアが進むことは確実でしょうから、ビジネスモデルやビジネスプロセスを扱うようなドメイン依存の上流工程しか国内には残らないかもしれません。いつの時代も同じですが、不景気というのは変化を加速させます。ここ1,2年の変化の波に乗れるかですよね。当然、国研や大学に勤めている研究者も無関係ではなく、景気が回復したときに必要とされる技術を見定めて、それに合わせて研究することが求められます。当方の場合はコンピュータサイエンスを専門としているのですが、そのコンピュータサイエンスも研究すべきテーマが大きく変わるでしょうし、変わらないといけません。もしかするとコンピュータサイエンスを捨てないといけなくなるかもしれません。

2008年12月8日

いきがかりじょう、研究成果をプレス発表をすることになったのですが、プレス発表は12日だというのにNHKから問い合わせ(NHKは複数問い合わせがあったようですが)。先方はテレビ的な絵になるかを知りたかったそうですが、あまりテレビ的な絵になりません。すいません。実は5月にプレス発表したときは3ヶ月ぐらいたってからも追加取材申し込みがあり、たいへんなことになったのですが、今回はプレス発表前からこの状況だともっとたいへんなことになるかもしれません。どうなりますでしょうか。当方の研究を関心をもっていただくのはたいへんありがたいのですが、その一方で研究者としてひっそりと生きたかったりします。

2008年12月7日

景気がわるくなってきました。IBMの大量リストラの話の記事がでていました。この記事でも書かれていますが、IBMは他のIT企業の先取りをしてきた。もう少し露骨な言い方をすると、IBMの業務転換をしてきましたが、国内のIT企業は大手を含めてもIBMの業務転換を数年遅れで真似をしてきました。そのIBMが不調になっています。その真似をした企業でもいずれは同様な事態が起きることが予想さます。そろそろ時効だとは思うので書きますが、当方が修士課程の学生のころ、IBMの東京基礎研(TRL)から就職を誘われたことがあります(OOPSLAに論文を通していたからだと思います)。当時のIBMは最悪のときでしたが、当方も前向きに考えおり、TRLの面接でTRLの人事担当者と合うことになり、「どうしてIBMを受けようと思ったのですか」ときかれて「リストラをこの目で見てみたいから」と答えてしまったことがあります(昔のことなのでお許しを・・)。またその真意として「これからはリストラの経験そのものがビジネスになる」というような旨の理由を説明したことを覚えています。ちなみに当方の前勤務先の学生さんがIBMを受けたときに、そのTRLの人事担当者はその全社の人事担当になられていまして(数年前に退職されたそうですが)、当方のところの学生さんの採用面接をしたときに、当方のことをよく覚えていたそうです。というわけで言動は予想も付かないところに影響するということです。ちなみに前勤務先では当方の研究室の学生さんは毎年、IBMに就職していました。

2008年12月6日

Webのニュース記事に、ニュース媒体に関するアンケート調査に関するがあったのですが、そのタイトルが「新聞読まない理由、トップは「ネットとテレビでニュース得るから」」となっているのですが、個人的に驚いたはむしろ逆で、20代で6割の人が新聞を定期購読しているということだったり。実はもっと低いと思っていました。もちろん全体としては定期購読率は75% だそうですから、20代は低いのですがそれでも購読している人は多いですね。新聞はプッシュコンテンツですからね。いずれにしても短時間で全国津津浦々に情報を物理的に流すという新聞のブロードキャスト能力は、インターネットにはできない技です。新聞というコンテンツはネットワークに吸収されるかもしれませんが、新聞の配達システムは生き残るように思います。

2008年12月5日

徹夜で論文執筆。かなり眠いのですが、朝から会議です。さて話はかわってJava言語の父と称させるJames Goslingのインタービュー記事が出ていたのですが、記者の「Java はすでにCOBOLのようにレガシー化しつつあるとも言われている」という指摘を強く否定しているそうです。個人的には逆でして、Javaは早くレガシー化してほしい。Javaは良くも悪くも利用範囲が広すぎです。Webから組込コンピュータやサーバの記述にまで使われる言語は他にないのも事実。その意味ではJames Goslingの反論の根拠「Javaに取って代われる言語は無い」というのは正しいですね。しかし、Javaは使われている分野が広すぎるので、特定の利用分野に想定した言語拡張は問題を引き起こすこともあります。例えば近年のJavaの言語拡張のいくつかは、Javaでソフトウエアを書いている開発者のうち1%ぐらいは便利なのかもしれませんが、残りの99%のJava開発者にとっては無関係ですし、むしろ言語仕様が複雑化するので迷惑なだけ。例えばJavaの言語仕様を拡張して、PythonやRubyなどのスクリプティング言語に対抗しようとする動きもありますが、PythonやRubyは少ない利用分野に最適化された言語ですから、汎用言語のJavaがこうした言語を真似てしても、その利用分野でわざわざPythonやRubyの代わりにJavaを使っている少数の開発者以外にはメリットがありません。つまり局所最適化は全体最適化にはなるとは限りません。またPythonやRubyは開発速度を重視しており、記述量がコンパクトになるように言語が設計されていますが、Javaの場合は汎用言語ですからメンテナンス性や可読性を重視しないといけません。汎用言語には汎用言語としてすすむべき道があると思います。いずれにしてもJavaには良きレガシー言語となってほしいですね。

2008年12月4日

Java FXが今日、正式リリースだそうです。RIA向けのプラットフォームとしては、すでに広く使われているJavaScript+Ajaxに加えて、Adobe Integrated Runtime (AIR)やMicrosoft Silverlightがあります。確かJava FXは発表自体はAIRやSilverlightよりも早かったのですが、正式リリースでは、Java FXはすっかり後れをとった状態。AIRとSilverlightは争っていますが、SilverlightはMicrosoftの戦略での位置づけがいまひとつはっきりしないし、デザイナーさんの支持がない。一方のAIRは良くも悪くもよくもわるくもFlashをベースにしています。Flashはそもそも動くビジュアルをWeb上で実現するためにうまれた仕組み。このためAIRはビジュアル重視の魅せるインターフェースを作るのにはむいているでしょうが、操作性重視のインターフェースを作るのには向いているかは疑問。ビジュアル性と操作性は別物ですからね。Java FXはデスクトップから携帯電話まで広く狙っているようですが、間口を広げるとそれによって失うものも多いです。そもそもSunはかつてのSunToolsやOpenWindowsなどなど、使い勝手のわるいGUIフレームワークを作っては失敗の繰り返し。Sunにユーザインタフェース系にセンスがあるとは思えないと感じるのは当方だけでしょうか。そもそもJava FXはJavaの開発コミュニティがあまり支持していないように感じます。というかJava SE ver.5以降、Javaの開発コミュニティはJavaのバージョンアップについてきていない感じ。

2008年12月3日

こちらの記事によると厚労省は就職内定取り消しを企業名を公表するそうです。不景気の中、内定取り消しが増えているのでしょうし、内定取り消しされてしまった学生さんは本当に気の毒だと思います。ただ、内定取り消しをした企業にペナルティをかすことは事態を深刻化させるのではないでしょうか。内定取り消しをする企業というのは何らかの問題を抱えています。しかし、そうした企業がペナルティを恐れて内定取り消しをしなくなると、4月以降に就職した学生さんたちはもっとたいへんなことになるかもしれません。むしろ何らかの問題のある企業から内定をもらっている学生さんにその企業の状況をなるべく早く知らせることの方がいいと思ったりします。

2008年12月2日

このページで好き勝手を書いてないで、たまには営業をしないさいといわれたので、勤務先の宣伝を少々。勤務先(国立情報学研究所)には、総合研究大学院大学の情報学専攻があり、2009年4月入学の後期博士課程と5年制博士課程に入学を希望される学生さんを募集しています。詳しい情報はこちらのページを見てください。ちなみに総合研究大学院大学(総研大)はそれ自体の説明からして難しいのですが、総研大は国立情報学研究所や国立遺伝研究所、国立局地研究所、高エネルギー研究所などなどの大学共同利用機関と呼ばれる研究所を中心に、研究所内大学院から構成されている大学です。勤務先(国立情報学研究所)では情報学専攻を担当しています。このため総研大の情報学専攻では指導教員は国立情報学研究所の教員が担当し、学生さんも国立情報学研究所で研究することになります(総研大の本部のある湘南国際村には滅多にいかない)。総研大の情報学専攻というか、国立情報学研究所での研究に関心がある方は、まずは情報学専攻で研究したいテーマに近い分野を専門としている教員にメールなどで連絡してください。というのは博士課程の場合は、学生さんの研究したいテーマと指導教員の専門性のマッチングが大切ですし、仮にその教員が対応できなくても、所内で対応できる教員を探すことができるかもしれません。おそらく国立情報学研究所の情報学専攻は大学院の情報系の専攻としては教員数は一番多いと思います。それから学生さんによっては研究所の大学院よりも大学の大学院の方がいい場合もありますが、純粋に研究をしたいのであれば情報学専攻はいい環境だと思います。特に国立情報学研究所は場所が便利なので(最寄り駅は地下鉄の神保町または竹橋)、社会人の方にはいいのかもしれませんね。不景気のご時世ですから、多少の蓄えがあるのであれば大学院で何か専門性を磨いて、景気がよくなるのを待つというのもひとつの考え方ですね。それから補足ですが、後期博士課程は普通に3年博士コース、5年制博士課程というのは修士(2年)+博士(3年)のコースです。2年目で卒業される場合は修士資格を出すことになります。ちなみに出願期間が2008年12月12日〜12月18日だそうです。希望される方はお急ぎください。

2008年12月1日

ご存知の方も多いと思いますが、最近、片手間にコンピュータサイエンスを物流に応用する研究をしています(専門はやっぱりソフトウェア屋さんのままですが)。その理由は3つあって、一つ目は物流はコンピュータサイエンスを使うと効率化できる部分が多そうなこと。幸か不幸かコンピュータサイエンスはある程度成熟してしまいました。いままでのようにコンピュータサイエンスの手法を使ってコンピュータサイエンスの問題を解いてればよかった幼年期は時代は終わってしまい、これからはコンピュータサイエンスの手法を使って他の分野に貢献をしないといけない時代なのだと思います。二つ目の理由は、いまのITの状況は一昔前の物流の状況に近いのではないかと思っているから。インターネットはもともと物流のメカニズムをベースにしていたということもありますが、それとは別に物流は輸送に相当するフローの部分と倉庫に相当するストックの部分に分かれますが、ITもネットワークはフロー、ストレージはストックとやはり同様に分かれます。また、物流は物流は実経済を支えている大きな柱ですが、だからといって物流そのものが何かを作ってくれることはない。一方、ITですが、ITそのものが富や知識を作り出すことが理想かもしれませんが、残念ながら現状のITは富や知識を作り出すほどは進んでおらず、実経済を支える柱のひとつとして位置づけられます。それと昨日書いたようにコストがよく見えないという点でも今のITと一昔の物流はよく似ています。というわけで物流の発展を眺めると、IT系の発展がいろいろ見えてくるのです。例えば物流では大手メーカは物流部門または物流子会社をもっていた時期がありましたが、これはITでいうと自社でサーバを維持するようなもの。物流部門はその後、トラックや倉庫は自前でもたずに配送委託や貸倉庫を使うようになりましたが、これはITでいうとデータハウスを間借りするようなものです。そしてヤマトや佐川などの大手物流会社というのが、クラウドコンピューティングに相当するのかもしれません。そうなると物流発展のロードマップでいうとITは大手物流会社が台頭する以前の段階となり、だいたいITは20年遅れで後を追っている感じです。研究者というのは研究実行能力以外に未来予測能力が必須なので、先を読める立場にいるか否かは重要。これからのコンピュータサイエンス業界では、コンピュータサイエンス以外の分野(まぁ物流でなくてもいいと思いますが)で未来予測指標をもっていないと研究者としていきていけないかもしれませんね。最後に三つ目の理由ですが、それは物流から実経済の動向がよくみえるからです。物流業界関係者をお会いする機会も多く、業界動向をいろいろお聞かせいただくのですが、やはり実経済のフローとストックの両方をみている方々はすごいです。一例をあげると、彼らは口をそろえてリーマン倒産直後に物流量が急激したということを聞いており、その減少動向と内訳からその後の2ヶ月ぐらいの経済状況は予想できることは多くなります。

2008年11月30日

経営評論家のピーター・ドラッカーは1960年代に「物流は暗黒大陸」という言葉を残していますが、いまはITが暗黒大陸かもしれません。この言葉には文脈があって、正しくは「物流は企業コスト削減の最後の辺境、すなわち経営の暗黒大陸だ。消費者が1米ドルを支払うとき、その50%は物流の為に費やされている」だそうで、ここで「暗黒」というのは物流コストはよく見えないために無駄が省きにくいという意味で、「大陸」というのは無駄が省く余地がたくさんあるということと、暗黒でなくなれば大きなビジネスチャンスがあるという意味です。これは1960年代の米国企業に対する言葉なのですが、その後、物流における無駄は大幅に省かれて、いまでは10%程度になっているといわれます。また、保管料も輸送費も人件費も算定できるようになっており、コスト的にみえない部分はすくなくなっているそうです。さてITは企業の業務コストの削減や効率化を実現してくれますが、その一方でITそのものの設備投資と運用コストも大きいのが実状です。そもそもITの費用対効果はよくわからないことが多い。例えばネットショッピング業者でも購入一回あたりのITコストは算出できていないところが多いそうですし、そのコストがどこでいくら発生しているかを細かくわかっている企業はきわめて少ないでしょう。まさに暗黒大陸ですよね。もちろん、これまでは企業はITをある種の先行投資として扱ってきましたし、その費用対効果を気にする企業でも、例えば売り上げに対するITコストや収益に対するITコストを考える程度でした。今後は原単位でITの費用対効果への要求を考える時代になるのではないでしょうか。ここ1年間ほどクラウドコンピューティングに注目があつまるのも、クラウドコンピューティングが技術的に可能になったからではなく、ITを使う側の企業のコスト意識が変化したからだと思います。ITを使う側からみた既存のITシステムに対するクラウドコンピューティングの違いとは、ハードウェアの初期投資が不要となることと、処理量に応じた使用料です。つまりクラウドコンピューティングではITに対する費用とはクラウドコンピューティングの使用料になります。もちろんクラウドコンピューティングでも利用者の人件費やサービスのカスタマイズの費用はかかりますが、ここで重要なのは、現在のITシステムとちがって初期設備投資にお金がかからず、使用料は処理量に比例するということです。つまりITに関する費用対効果がみえるようになってしまい、原単位でITの費用対効果を算定することもできるようにしてしまいます。クラウドコンピューティングの話になるとシステム論的な観点が多いのですが、むしろ顧客側のITに対するコスト意識をかえてしまうことの方がはるかに重要なのではないでしょうか。つまりITシステムの費用対効果をわかりやすくしてしまうこと(費用が安くなるとは限らない)。その意味ではクラウドコンピューティングも原単位で費用対効果がみえるITシステムのひとつに過ぎませんが、クラウドコンピューティング的なコストモデルが他のITシステムに影響を与えることになるでしょう。例えば顧客はITシステムへの初期投資に疑問をもつようになりますし、システム拡張時の費用や運用費も実際の処理量に比例したものを要求するようになるでしょう。経営者というのはコスト意識が鋭く、当座、安く済む方法があればそれを基準にしてものごとを考える方々ですからね。こうした顧客側のコスト意識の変化がクラウドコンピューティングの一番の大きな影響であり、その影響はクラウドコンピューティング以外のITシステムにも影響することになります。最初のピーター・ドラッカーの言葉にもどりましょう。ITという暗黒大陸に一筋の光がさしてしまったら、つまりITの費用対効果が部分的にでも見えてしまったら、もうその流れは止められません。

2008年11月29日

各企業の4-9月期の決算が出そろい始めていますね。情報系の研究者としては少なくても情報系企業の決算は見るわけですが、今期は明暗がわかれていますね(Web系ニュースで情報系決算情報をまとめているページもあります)。10-3月期は悪化すると予想している企業も多く、業績予測を下方修正するところも多いですね。さて4-9月期の傾向としてはよかったところが多かった。ただ、それは顧客の分野によるので携帯向けソフトウェア開発は不振、金融向けシステムは4-9月期はそこそこよかった。証券向けシステムはまるでダメ。電気などのインフラ系も悪化してきいる。公共系は堅調。システム管理のアウトソーシングやセキュリティはよかった。こんな感じでしょうか。それと決算報告書では見えてきませんが、同じ業種向けのシステム開発でも、開発を請け負っている情報系企業と、社員を他社のシステム開発分野に送り込んでいるだけで実質派遣業化している情報系企業では、前者は増収増益傾向になっていますが、後者は減収減益傾向になっているというトレンドが見えてきます。これはITバブルの崩壊時にもあらわれた傾向ですが、仕事が減ってくれば外注や派遣を減らして自社開発比率を上げることになります。ただ、ITバブル崩壊時と違うのは、過度に外注に頼りすぎている情報系企業が多く、すでに自社でやれるのは上位設計だけで、それ以外の開発能力を失っているところもあるといわれます。そうした企業は要求分析と上位設計しかできない社員に下位設計やプログラミングをせても無理でしょうから、社員は余っているのに外注に頼まないといけないという事態になり、たいへんそうですね。一方、実質、派遣業化している情報系企業ですが、これから出向先から続々と社員が帰ってくることになりますが、かといって解雇するわけにもいかないので、しばらくは人件費負担だけが続くのでしょう。このため不景気が続くようだと、体力勝負というか、手持ちの資金がどこまで続くのかということになります。ところで、ITバブル崩壊当時、派遣業化している大手のシステムの近くに行くと、所属先の会社にも居場所のない社員さんたちが大勢会社近くのカフェで時間を潰していたものでした。彼らは丸一日粘るらしいのでカフェもいい迷惑ですよね。

2008年11月28日

淡路島にいったときにいい天気だった記憶はないのですが、今回も雨でした。夕方からは名古屋に移動して経産省などが主催したセミナーに顔を出して帰京です。国際会議は今日はワークショップ。論文集がCD-ROMなのですから、ワークショップの論文でもページ数の制限をなくしてあげればいいのに、ページ数が短いのでよくわかりません。ただ、これは他の学会でも多いですよね。論文集を印刷していたときは論文集全体のページ数に制限があるでしょうから、各論文のページ番号を制限しないといけませんでしたが、論文をCD-ROMやUSBフラッシュメモリにいれて配布するならばページ数の制限は緩めていいし、ましてネットワークからダウンロードするのであれば事実上、各論文のデータ数は無制限でいいのですから、ページ数も無制限にしていいはずです。印刷の呪縛から抜けだせない方々がまだまだいっぱいいるということでしょうかね。ところで淡路島に行くときは新神戸からバスに乗るのですが、そのとき通る本州と淡路島を結ぶ橋(明石海峡大橋)は今回もがらがらでした。いろいろ考えさせられる光景です。

2008年11月27日

国際会議で淡路島。最終日の最後のセッションということもあって講演したものの聴衆の反応がいまひとつ。ただ、セッション終了後に4人に質問を受けたので、ウケはよかったのかもしれません。久しぶりの淡路島ですが、やっぱり遠いですね。過去には午前中に新宿で招待講演、夕方に淡路島で招待講演をして日帰りで帰ってきたことがありますが、そのときと比べると楽だったのですがね。ところで今回参加・発表した国際会議はいわゆる生物的メタファーをネットワークやコンピューティングに導入することをテーマにしたもの。この分野は生物的な話を聞いている分にはおもしろいのですが、その生物的なメカニズムをネットワークなり、コンピューティングに応用すること自体はまったく成功していない。だから、ほとんどの発表は生物的なメカニズムとコンピューティングとの類似性を指摘するだけ、生物的なメカニズムをコンピューティングに応用したいという希望だけ、という研究がほとんど。最初に1,2年はそれでもいいのでしょうが、3,4年続いている分野なのにいまだに同じ状態。さきはないかもしれませんね。類似した分野に生物(分子生物学など)を使ってコンピューティングやネットワークを実現しようという分野があります。こちらの方が何か新しい知見が出てくる可能性もありますが、コンピューティングやネットワークの立場からいうと生物を使うメリットが見えないのですよね。まぁどちらも複合領域特有の難しさなのですがね。

2008年11月26日

今日から出張に行く予定でしたが、急遽、特許事務所で打ち合わせ。ということで今日中に神戸にでるのは断念です。それにしても今月は特許関連の仕事の比重が大きいですね。企業のように特許ノルマはないのですが、論文だけを書いていればいいという時代でもないのも確か。ただ、個人的には論文と特許は使い分けだと思っています。特許にならないけど論文にはなる研究もありますが、逆に論文にはならないけど特許にはなる研究もあります。前者は既存手法の性能改善などがその代表ですが、その改善手法に新規性がないといけないので、地道に頑張って性能改善したような研究は特許にしにくい。一方、後者ですが、研究を論文にするにはある程度まとまっている必要がありますが、特許の場合、萌芽的な内容でも特許にできます。それと研究テーマそのものは特許申請しない方がいい。特許庁の審査官は大学関係者が出願者にいると過去に書いた論文を徹底的に調べてきます。ですから特許にする内容が論文としては未発表でも、研究というのは積み重ねなので、既発表論文から特許内容が予測できることがあります。このため今やっている研究テーマ以外のテーマの研究を始めるときの方が特許は出しやすい。また、大学や国立研究所では、特許をとっても実施ができないことが多い。このため、特許は競争的資金を得るための材料のひとつと割り切った方がいいように考えています。科研費は特許有無を問いませんが、経産省や総務省などの競争的資金への応募では、応募したテーマに関する特許があるかないかが採否に大きく影響します。その意味では特許出願中であればよく、特許になってもなくてもいいということになります(競争的資金の応募では特許書類の提出が求められることがあるので、申請書類はちゃんと書けていないとだめです)。それもどうかと思いますが、割り切りは大切。

2008年11月25日

いろいろ書類書き。それにしてもワープロを使うのですかね。印刷をするのであればわかりますが、メールに添付するためだけの書類ならわざわざMS-Wordなどのワープロを使わなくてもいいと思うのですが。そもそも、いちいち添付されたワープロドキュメントファイルを開くのが面倒。MS-Wordなどを使わずに、HTML形式にしてくれればメールソフトウェアそのままみれるので楽だと思います。

2008年11月24日

今日は休日出勤はなし。その代わり家でひたすら書き物です。ところでこのニュースで出ている某国内私立大学ですが、このニュースにかかれている運用担当者への取材では、運用資産1000億円、2008年3月期決算における評価損は225億円。現時点での評価損は2008年3月期決算から変わっていないと書いていますが、これってよくよく考えるとちょっと不思議かも。リーマン騒動以降は大幅に株価が下がっていますから、そんななか評価損が変わっていないということはこの1ヶ月ぐらいで先物などで株価下落による損出以上の利益を得ていることになり、高運用成績のヘッジファンドもびっくりの運用成績になります。仮に評価損が変わっておらず、資産の評価額が800億円だとしても損切りをすると100億程度は目減りする可能性があります。いずれにしても国内私立大学はどこも借金をしていて、その担保の大部分は資産運用をしている有価証券。その有価証券の評価額がさがると、運用資産だけでは担保ならず、土地などを担保にするしかなくなります。でもこの某私立大は創立150周年記念に卒業生から250億円を集めたそうですから(すみません、卒業生&大学院授業をもっていますが、寄付の方は・・・)、いざとなれば評価損は寄付で埋められるのでしょう。心配なのは中堅私立大学ですよね。154億円の損失をだした駒澤大学ではないですが、外債で資産運用をしていた大学は、外債の下落に加えて、円高の影響を相当受けているはず。このまま数年、為替と株価がもどらないと、土地を担保に借金をして損失を穴埋めをしても、今度はその土地が差し押さえられてしまう大学が出てくるかもしれません。

2008年11月23日

今日も休日出勤。ということは昨日も休日出勤。勤務先の守衛さんたちに「(昨日に続いて)今日もくると思ってましたよ」といわれたのですが、その通りなので反論できず。さらに「明日もきますよね」といれたのですが、さすがに明日は休日出勤はしたくないです。世の中は3連休なのにね。

2008年11月22日

景気の悪い話が続いてしまいますが、今日は大学経営のこと。一部国内大学の資産運用に失敗して、100億円超える損出だしたところもいくつかあるようですが(まぁ報道されたのは氷山の一角でしょう)、そのことではなく米国大学のこと。商売柄、海外の研究者とは情報のやりとりがあるのですが、米国の大学もたいへんなようですね。MITの研究者から予算が減らされた愚痴のメールをいただいていたのですが、ニュースにも出ていました。その研究者曰く、MITでは大学本部から予算削減の予告が出たそうで、こうした状況は東部の大学の方がより深刻だが、米国大学のほとんどが予算減になっているとのことです。米国は寄付金という富裕層からそれ以外への富の還元手段により、社会的・経済的な格差を埋めてきましたが、そのメカニズムは不況下では機能しないということかもしれません。寄付というのは資産的に余裕がなければできないわけで、不況で資産が目減りしている状況では富裕層も寄付よりも手持ちの資産確保が優先になりますね。寄付といえばどこかの国の「ふるさと納税」というのがありましたが、「ふるさと納税」は不況以前の問題ですが。話を米国大学に戻しますが、米国大学では資産及び寄付金の減収により、ここ数年は研究や教育への投資が減り、停滞することが予測されます。また、昨年後半からDARPAやNSFなどの米国政府の科学技術ファンドも研究助成金の削減に動いていますから、米国大学では研究予算は減っており、ポスドク研究員や大学院生が大学外に流出することになります(米国の有名大学では大学院生に研究費から給料を出すところは多い)。そうした元ポスドク研究員や元大学院のなかには景気回復後に脚光をあびるベンチャー企業を作るでしょうから、また新しい時代がやってくるということだったりします。

2008年11月21日

IT業界も景気のわるい話が増えていますが、個人的に気になるのはネット広告の動向。ネット広告は景気に左右されにくいという神話がありますが、実体経済が落ち込めば消費支出は減っている状況では、広告主は費用対効果が低い広告媒体から広告を取りやめます。現在のところ、ネット広告はTVCMや雑誌広告などくらべて費用対効果が高い広告媒体ということになっていますが、ネット広告はクリック数などの単純な評価基準を使っており、ユーザがどれだけ広告に注目したかわからない。今後、ネット広告もマイナス成長になるような自体になった場合は、広告の費用対効果の評価制度が勝負の分かれ目になるように思います。特にGoogleのAdSenseに代表されるアフィリエイト機構は、費用対効果が評価精度が低いものは淘汰される可能性がありますよね。ところでGoogleの「世界中の情報を整理する」というのはビジネス的には正しい方法です。広告の費用対効果を精密のはかるには世界中のすべての情報を監視する必要があります。いまどきGoogleが社会奉仕で「世界中の情報を整理する」するというビジョンを打ち出していると思っている人はいないでしょうがね。

2008年11月20日

午後はISOのRFIDの規格委員会。RFIDといえばサブプライム金融危機でRFID業界は影響を受けるのでしょうか。RFIDは話題性の割に市場が小さいですし、毎年のように今年はこそはRFIDがブレークするといわれて、早何年という状態。このためRFIDで儲かっている企業はごくわずか。そのほとんどベンチャーキャピタル(VC)からの資金供給で何とか生きているような状態。そこに今回の金融危機ですから、VCからの資金供給が減り、手持ち資金のないRFID関連企業から廃業・倒産していくことになりそう。もちろん他の企業に買収されればいいのですが、この経済状況ではどこの企業もキャッシュの保持に動くので、いつ儲かるようになるのかわからなしRFID関連企業を買収するような奇特な企業は少ないでしょう。実はここ数年で買収があったのはSaviやWhereNetなどの米軍を顧客とするアクティブRFID関連企業とメディカル向けの機器を扱っている中堅企業がほとんどでした。ただ、買収された企業も、RFID関連ベンチャーを精力的に買収していたモトローラ、ボーイング、ロッキードなどは、米軍の受注が減っているところに今回の金融危機。大型リストラの噂がでており、儲からないRFID部門は真っ先にターゲットになりやすい。気になるのはEPCglobalの関連。当方はEPCglobalには関わっていないので、遠くから眺めるだけですが、最近、EPCglobalのなかでも医療関連の企業は別組織を作ってEPCglobalから離脱。ということでEPCglobalに残されたの実質、小売系企業だけ。その小売業界はデフレに個人消費の落ち込みで、RFIDの実証実験をしている余裕はありません。もちろんWalmartなどの小売業界側企業は、一言、RFIDの導入は延期と言いえばいいのですが、そうした業界を顧客にしていたRFID業界側企業とIT業界側企業に辛い時期になりそう。ところでEPCglobalから医療関連の企業がそろって離脱した件ですが、端から見ると沈みかかった船から逃げ出したとしかみえませんね(関係者に怒られそうですが)。いずれにしてもRFIDの顧客、つまりRFIDを導入する企業は経費削減に動いていますから、RFID関連で売れるのは初期投資が少なく、さらに経費が本当に削減できるような案件に限られることになりそう。当然、実証実験的なプロジェクトは激減するでしょう。以上は米国のことですが、日本はそもそもRFID市場があってないような状態なので、これ以上悪くなることもないような気がします。ただ海外のRFIDメーカの代理店になっているところは、どこと組んでいたかによって明暗がわかれそうです。個人的な予測ではRFID専業のタグ&リーダライターメーカメーカ系で半導体まで手を出しているところに限れば3年先に生き残りそうなので、片手で数えられるしか思いつきません。また、ご存知のように国内は輸出比率の高い業界、例えば自動車や電機がたいへんなことになっているので、こうした業界のメーカを顧客としていたRFID関連ビジネスはたいへんそう。国内のRFID業界は、工作機械の器具交換管理の導入されたのが最初だったこともあり、RFID市場で機械・自動車・電機メーカ系が占める比率は高いのですよね。

2008年11月19日

午後は横浜に行って組込コンピュータ関連の見本市。この見本市はほぼ毎年いっていますが、今年の傾向は去年まで多かった車載と携帯関連が減少傾向というところでしょうかね。あとはIntel Atomが出回ってきてx86系が組込用プロセッサと認知されてきたことと(ARMとはマーケットが違うと思いますが)、Google Androidを展示しているところがあったことでしょうか。

2008年11月18日

IntelのAtomプロセッサ搭載のネットブックPC(ASUS Eee PC)が納品。まぁほとんど、その性能の低さを評価するために買わしていただいたような感じですが。スペックはAtomプロセッサN270(1.6GHz)、Windows XP Home Edition、メモリ1GB、HDD160GB、液晶10.2インチ(1024×600)という構成。標準的なネットブックよりはHDDと液晶はややいい構成でしょうか。性能ですが、最近のノートPCのCore 2 Duo (2GHz)クラスと比較すると十分遅い。でもWindows XPが発売になった当時とPCと性能を比較すると微妙かもしれませんし、Webブラウザを使う分には必要にして十分な性能。いずれ性能を測ることにします。それにしてもネットブックは安いですよね。先週、フランスの家電&書籍販売店(Fnac)にいったら、同じASUS EeePCの下位モデルは199ユーロで販売されていました(つまり2.5万円弱)。ただ、コンピュータサイエンスの研究者としては複雑です。家電メーカの場合、販売価格が3万円切る家電商品の研究開発に力を入れるかというと必ずしもそうではありません。コンピュータ、特にPCに関する研究は洗濯機や掃除機の研究に近いものになるのかもしれません。洗濯機や掃除機にも高価機種もありますが、普及品は3万円程度。洗濯機や掃除機の研究への需要は多くないように、コンピュータ、特にPCの研究への需要は少なくなるかもしれません。それにしてもネットブックPCはどれもよく似ていますよね。その理由はMicrosoftがネットブックPC用のWindows XPの搭載条件(ULCPC)としてプロセッサ、メモリ、液晶サイズなどに制限を課していることがあげられます。Microsoftにしてみれば通常のPCと市場を棲み分けるためにネットブックPCに対するWindows XPの搭載条件を作ったのでしょうが、ネットブックPCはその条件のために性能競争ではなく、価格競争になります。つまり、ネットブックPCは低価格化しか道がないことになります(来年の今頃には国内でも1万円台のネットブックPCが売られているでしょう)。そして、その結果、通常のPCも下位モデルからネットブックPCに引きずられて価格が下がることになります。

2008年11月17日

朝から夕方まで総務省系の研究機関(NICT)の外部評価委員会。もちろん今日の外部評価の内容は一切書けませんが、外部評価をする際に思うことを少々(以下はNICTの外部評価とは一切関係がありません。念のため)。立場上、大学や研究所の外部評価委員という仕事を仰せつかるのですが、いつも「ありのままを説明してください」とお願いをしております。評価される側は報告書や説明資料など準備でたいへんなのですが、概して研究成果がある方々はそれをたんたんと説明するだけなのですが、逆に研究成果が少ない場合は問題。少ないない成果をふくらますために言葉を重ねて取り繕うとすると報告書や説明資料の作成はたいへんになり、いわゆる評価疲れという状態になります。ただ、評価をする立場からすると、研究成果がないのであれば「ない」とありのままを書いていただきたいのです。外部評価委員としては、研究成果が少なければ、研究成果が少ない訳を調べて、例えば研究スタッフが足りようなので研究員を増やしてあげてくださいとか、予算が足りないのか予算を増やしてあげてくださいと進言できます。しかし、成果がないのに言葉だけを重ねた報告書や説明資料を作られると、我々、評価する側は報告書や説明資料の裏読みをしないといけなくなります。そして委員会の質疑でも実際の成果状況を問いただすことに時間を使ってしまって、改善するためのコメントができなくなってしまいます。すごくもったいないです。また、組織としても外部評価がしにくいところがあります。それは現状を正当化するために外部評価をされる場合です。予算や人員の現状維持をするだけならば、そもそも外部評価をする必要はなく、これまで通りの比率で割り当てればいい。日本の大学や研究所は内部的に変革するのが難しいわけですが、外部評価を現状を変えるための道具に使ってほしいです。ところで、外部評価では科学技術総合会議の評価方法に従って、詳細評価コメントに加えて、S、A、B、Cの四段階の評点をつけます。以前は研究成果に多少問題があってもSとAだけをつけ、BやCはつけないのが習わしだったのですが、その科学技術総合会議でも前年度から研究評価にSとAだけでなく、問題のある研究にはBやCをつけるようになってきています。まぁこれは科学技術総合会議自身が変わったというよりも、財務省からの要請というのが裏実情だそうですがね。いずれにしても科学技術予算がすくなくなる状況では、予算配分を現状維持でいいわけがなく、成果が期待できる研究に予算比率を大きくすることが求められます。このため、今後の成果が望めない研究には厳しく評価するしかありません。このため外部評価委員は恨まれることもあるのですが、この先も進展が期待できないような研究に惰性的にSやAを与えてしまって、結果として教員や研究者にその研究を続けさせてしまって、行き場をなくさせるよりはいいと思ったりします。

2008年11月16日

G20サミットなどが開かれていますが、世の中、景気が悪くなってきていますね。海外では情報系企業の大規模リストラが発表されていますし、国内の企業でも研究開発部門では研究予算を絞ってきているようです。国研に勤める研究者は景気を語る立場ではないのですが、企業の状況によっては研究テーマが変わってくるのです。景気が悪くなると、何か新しいことができますという研究テーマよりも、コスト削減を狙った研究テーマがうけるようになります。そして、コスト削減と行っても、どのコストにフォーカスするかによってちがってきます。クラウドコンピューティングなどはTCO削減をねらってくるでしょうし、サーバー系は計算性能要理も運用コスト(電気代や管理者人件費など)削減を狙ってくるでしょうし、クライアント向け機器では機能の豊富さよりも初期購入コストをねらってくるでしょう。景気動向にあわせて研究テーマを選ぶべきではないのですが、景気悪化が長期になる場合は考慮しないわけにもいかなくなります。

2008年11月15日

それにしても疲れました。ぐったりです。

2008年11月14日

午前中はフランスの科学技術省の方々とミーティング。今回の出張は11日をのぞくとすべてぎりぎりのスケジュールでたいへんでした。それからシャルルドゴール空港に移動して、ANAのパリ発成田行きで帰国です。このフライトはこの2ヶ月間4回乗っているのですが、夏時間では8時発だったので、今回もそのつもりでいたら、冬時間では6時30分発。というわけでミーティングは早めに切り上げさせていただきました。また近々行くことになるでしょう。

2008年11月13日

午前中はGrenoble大学の研究を拝見&コメントして、そのままパリに行って荷物を抱えたままパリのオペラ座。そしてWagnerのオペラ「Tristan und Isolde」を鑑賞。パリオペラ座の日本講演と同じ演目、そして演出も指揮者も同じ。この日本講演は評判良かったので期待していましたが、その期待を超えるすばらしい出来でした。演目の長さをわすれて楽しめました。登場した歌手すべてがすばらしい出来の一言。主役のTristan役のClifton Forbis、Isode役のWaltaud Meierはすばらしく、迫力の歌声でしたし、感情の描写がすばらしく、なりきって歌っているのです。また忠臣Kurwenal役のAlexander Marco-Buhmester はも哀愁がある歌声でしたし、Marke王役のFranz-Josef Selig、従女Brangane役のEkaterina Gubanovaもよかったです。また指揮者のSemyon Bychkovはパリオペラ座オーケストラの持ち味を引き出していましたし、何よりもタイミングが雑妙で歌手を引き立てさせながらWagner音楽特有の厚みと出していました。有名な第1幕の前奏曲はCDでは数え切れないぐらい何度も聞いた曲ですが、今回初めて現代音楽の幕開けに重要な曲だということを認識させていただきました。トップレベルのオーケストラは音の重ね方はもちろん、深さや輝きがありますね。演出はPeter Sellars。舞台セットは黒の床に台が一つあるだけ。また歌手の動きを必要最小限にとどめていました。その代わりBill Violaの映像作品大スクリーンで投影。Bill Viola らしく官能的な映像美をだしていました。説明するのは難しいのですが、いまのパリオペラ座の感性はBill Violaの映像イメージに近いですよね。だから映像と音楽がすごくあっているのです。さてさてパリオペラ座では相当数のオペラを観ていますが、今回のトリスタン・イゾルデがベストワンです。それとパリオペラ座はオーケストラが良くなっていますね。指揮者による部分も大きいと思いますが、重厚感を追い求めるドイツ語圏オーケストラとも違う、繊細さと艶を兼ね備えたワグナーオペラになっていました。ワグナー好きというわけではないのですが、ワグナー好きの気持ちがちょっとだけわかった気がします。

2008年11月12日

朝からグルノーブル大学で講演です。90分講演。ただ、グルノーブル大学以外の近郊の研究所の研究者の方にもおいで頂いたようでありがたいことです。ちなみに講演会場は博士課程時代に講演したことのある教室でした。なつかしいやらびっくりするやらです。それから昼食をはさんで夕方までグルノーブル大学側の研究のプレゼントとデモを拝見。まぁ先方の研究にコメントするのが仕事なのですがね(まだ明日も続きます)。ところで朝、ホテルから大学まではトラムで移動するつもりだったのですが、車両事故で市内を通るトラムは運休状態(トラムは架線とのあいだで火花をあげていました)。ということで町外れの広場まで歩いていき、そこから路線バス、そしてやや郊外を走るトラムに乗り換えて予定時間前に到着。一応、元地元民ということで瞬間的に代替え手段を思いつきましたが(グルノーブルの主要なトラム&バス路線はわかっているので)、そうでないと絶対にたどり着けなかったでしょう。あまりにもトリッキーな乗り継ぎに大学関係者に感心される始末。また講演を頼まれたのですが、どうせ行くならば暖かいシーズンの方がいいです。

2008年11月11日

移動日。午前中は時間があったのでOrsey美術館。昼からTGVでグルノーブルに移動です。グルノーブルに行くのはグルノーブル大学で講演があるから。グルノーブルは博士課程時代にしばらく住んでいたことがある街。それ以降も何度も訪れているのですが、前回は2006年の11月だったので今回はちょうど二年ぶり。グルノーブルは昔、昔、冬季オリンピックが開催されたことがあり、それで有名かも。そのオリンピックの記録映画「白い恋人たち」(映画よりもFrancis Lai作曲のテーマ曲の方が有名かも、監督は映画「男と女」の監督だったClaude Lelouch、音楽はやはりFrancis Lai)がありましたが、街の雰囲気はいまもその映画のままのところです。ただ、郊外はいろいろ変わっていて、今回も2年前には建設中だったトラムの2線が開通していました。またグルノーブルのサッカーチームは当時は三部リーグでしたが、いまでは1部リーグ。しかもジェネラルマネジャーは日本時だそうです。当時、グルノーブルに住んでいる日本人なんて皆無だったのですがね。

2008年11月10日

パリ第六大学(LIP6)での講演と打ち合わせ。講演は90分ほどでしたが、ウケはよかったようです。またLIP6の知り合いの方々がたくさん聞きに来てくれました(始めていったのは博士課程学生のとき)。講演では当方の前にやはり呼ばれたMITの教授も講演していたのですが、彼は当方の講演をきいてMITでも講演を頼まれました。まぁボストンは10年以上行っていないのでいいかもしれませんが。ところでLIP6はなんどもいっているのですが、LIP6は2年ぐらいまえに場所が移ったのですが、新しい場所は初めて。モダンなビルにはいっていました。ただ、あいかわらず政府関連の組織もいっしょだそうで、警戒が厳重。ビルに入る前にパスポートを取り上げられます。ちなみにビルを移った理由は前のビル(エッフェル塔の近く)はアスベストの問題があったそうです。前のビルは何度も行っているので、もしかしてアスベストを吸っちゃったかも。

2008年11月9日

ANAの成田発パリ行きでパリに到着。今回はパリ第6大学とグルノーブル大学で講演。飛行機の乗り換えを含めるとこの2ヶ月間に4回パリの土地に立ったことになります(市内に入ったのは2回目ですが)。

2008年11月8日

特許の資料の作成で一日が終わってしまいました。ところで経済情勢からでしょうか。IT業界でもリストラの噂が増えてきましたね。特に外資系ITは総じてたいへんそう。そういえば某超大手銀行のシステム更新を担当した超大手IT企業&関連会社はシステム更新がひと山超したこともあり、早速希望退職の募集に入ったようですね。まぁこのIT企業の方は優秀な方が多いのでいいのでしょうが。ドミノ倒し的につながらないといいのですが。もちろんIT業界は慢性的な一度不足になっていることと、良くも悪くも国内から海外への輸出はきわめてすくないので為替の影響も最小限。したがって他の業界よりはいいのでしょうが、心配ですね。

2008年11月7日

Hondaが発表した体重支持型歩行アシストの試作器。テレビでもやっていましたが、ひさしぶりにまっとうな技術を見た感じ。HondaのASIMOで二足歩行ロボットの先駆的な企業ですが、そのあと二足歩行ロボットの研究をはじめた企業や大学とくらべて遙か先に行っていたということのようです。コンピュータでもそうですが、オートメーションよりも人間をアシストするという視点がないとだめですよね。Steve JobsがMacintosh発表直前のインタービュー記事の一部を紹介しておきます。パーソナルコンピュータとはときかれたときの若きJobsの答え「自転車とコンドルとのアナロジーで答えたい.数年前に,僕はScientific Americanという雑誌だったと思いますが,人間も含めた地上のさまざまな動物の種の運動の効率の関する研究を読みました.その研究は,A地点からB地点へ最小限のエネルギーを用いて移動するときに,どの種がいちばん効率がよいか結論を出したのです.結果はコンドルが最高だった.人間は下から数えて3分の1の所にいて,あまり印象に残っていません.しかし,人間が自転車を利用した場合をある人が考察しました.その結果,人間はコンドルの倍の効率を見せました.つまり,自転車を発明した時,人間は本来持っている歩くという肉体的な機能を拡大する道具を作り出したと言えるのです.それゆえ,僕はパーソナルコンピュータと自転車とを比較したいのです.なぜなら,それは人間がうまれながらに持つ精神的なもの,つまり知性の一部を拡大する道具だからです.個人のレベルでの生産性を高めるための特別な関係が,人間とコンピューターとのかかわりの中で生まれるのです.ほとんどの人々は,まだパーソナルコンピュータの存在すら認識していません.この業界の挑戦は人々にパーソナルコンピュータを学んでもらう手助けをするだけでなく,パーソナルコンピュータを使いやすくして,ここ10年の間に自転車と同ぐらいに人間の精神の拡張であるパーソナルコンピュータを社会に普及させようとするものです.」。そうそう初期のMacintoshのロゴに自転車が使われていましたね。ちなみにパーソナルコンピュータのもうひとりのビジョナーであるAlan KayのDynabookは40周年だそうです。原点に返りましょう。

2008年11月6日

今週は特許ウィーク状態なのですが、すっかりダウン気味。さて話は変わって、久しぶりにJavaのこと。Java SE 1.4は先月末で無償アップデートが終わっていたのですね。Sunは今年の4月に「Java SE for Business」という有償サポートを発表して以来、Java SEの無償アップデートはリリース後3年間としたので、Java SE 1.4は2008年10月末、Java SE 5は2009年10月末、Java SE 6は2010年で無償アップデートは終わりということになります。最近はJava SE 5以降はJavaの仕様変更も落ち着いているので、常に最新版を使えばいいということなのでしょう。でも世の中にはJava SE 1.4を使っているシステムは結構残っているので、有償サポートがあるにしても、今後、セキュリティホールなどの新たなバグが見つかると騒動になるかもしれませんね。ちなみにJava SE for Businessの有償サポートでは最大10年間延長だそうですが、Sunの資料をみるとJava SE 1.4は2018年4月までサポートされることになります(Java SE 5は2019年6月まで)。10年先にもJava SE 1.4を使っているシステムというのも想像すると怖いものがありますが、2000年問題のときではないのですが、きっと古いソフトウェアをだましだまし使っているシステムは多そう。ソフトウェア工学の研究も設計・開発フェーズだけにフォーカスしていますが、もうすこしメンテナンスフェーズにもフォーカスしてほしいですね。AOPは既存ソフトウェアのメンテナンス技術として発展すればよかったと思いますが、新規ソフトウェアの再利用技術になってしまいましたからね。もちろん研究者ならば最新システムや最新プログラミン言語を扱いたいでしょうし、ソフトウェア開発会社はメンテナンスよりも新規開発の方が儲かるのはわかりますが、10年前や20年前の古いソフトウェアをいかに最新ソフトウェアと連携させるかが今後は重要になるのではないでしょうか。昔はOSのバージョンアップが古いソフトウェアの寿命を決めていましたが、いまは仮想マシン技術が使われているので、古いOSが仮想マシン上で動き続られますし、実際に動き続けることが多くなるでしょう。つまりソフトウェアの寿命が延びるわけ、新しいソフトウェアを作ることよりも、古いソフトウェアをどうつきあうのかが重要になりそうです。

2008年11月5日

特許関連の書類の作成ではまっています。それも研究テーマというわけでもなく、さらに個人的には忌み嫌うビジネス特許。もちろん出願書類は特許事務所にお願いするわけですが、ある程度の下準備はこちらで用意しないといけません。そのうえ今回は研究テーマではないので論文相当のドキュメントがあるわけもなく、すべて新規書き下ろし状態。なかなかたいへん。そのうえ海外特許の準備も同時進行状態。

2008年11月4日

実は先週、新型MacBook(つまり液晶が13インチのノートPC)が納品・インストール。すでに一週間ほど使っています。出張や実験では旧MacBookを使っていましたが、旧MacBookよりは若干ですが薄くなったのと、旧MacBookはチープ感が全身から漂っていましたが、新MacBookはDVD/CDドライブ付きのMacBook Airという感じでなかなか高級感があります。ただ、旧MacBookも液晶はグレアタイプ(写り込みをするタイプ)でしたが、旧MacBookよりも写り込みがひどくなった感じ。電車で使うのはちょっと辛いかも。ということでノングレアのフィルターを物色しています。キーボードは体感的には旧MacBookやMacBook Airと変わらず。見た目はチープ感がありますが、意外に打ちやすい。新MacBookではマウスパッドとボタンが一体化されました。これにともなってマウスの右ボタン機能をパッドの右隅か左隅に割り当てられるので、事実上の2ボタン化。使い勝手は使い始めて暫してから、タッチパッドとボタンが一体化したことに気づいたぐらいなので問題はなさそう。ただ、ボタンがみえないというのはアフォーダンスに欠けるので人に貸すときなどはタッチパッドのことを説明しないといけないかも。性能的には手持ちの旧MacBook は2GHz-Core Duo搭載(Core 2 Duoではない)だったのに対して、クロックは大差ないにしても、新MacBookは2.4GHz- Core 2 Duoということとバス性能が667MHzから1066MHzにあがっていることもあって、通常のアプリケーションをつかっていても性能向上を感じます。NVIDIAのGPUの効果ですが、旧MacBookは画像関係の処理はMacBook Proと比べて極端に遅かったのですが、その問題は解決された感じ。MacBook Airなどのもたつき感はありませんね。これで普段の携帯用ノートPCはMacBook Airで、出張などは新型MacBookということになりそうです。先月はMacBookに加えてMacBook Proも新機種が出たのですが、新型MacBook Proとくらべると新型MacBookはお買い得感がありますね。

2008年11月3日

テレビでワグナーのオペラ「パルシファル(Parsifal)」が放映されていたのでみてみる(おそらく2005年に撮影したもの?)。Parsifalは2007年4月11日にウィーン国立歌劇場でみている演目。さてテレビの方はParsifal役はChristopher Ventris。今年のバイロイト音楽祭でもParsifall役を歌ったそうですが、それだけうまさはありますね。魔女のGurnemanzyaku役はMattiSalminen。魔女なのですが、自らの行いに悔いているという難しい役所ですが、真に迫った歌唱力ですね。Amfortas王役はThomas Hampson。この歌手は2007年4月10日にウィーン国立歌劇場でVerdiのオペラ「Simon Boccanegra」のSimon役で一度聞いており、このときもすばらしかったという記憶がありますが、Amfortas王役もいいですね。Amfortas王の父親役のTiturel役のBjarni Thor Kristinssonは、この方ですが今年4月10日に新国立劇場でWeberのオペラ「魔弾の射手」で歌を聞いているはずなのですが、それが印象まるでないのですよね。Parsifalではこの方はお面を被せられたまま歌っており、顔はわからず。演出のためとはいえ役としては損かも。演奏はDeutsches Symphonie-Orchestra Berlin、そして指揮はKent Nagano。Kent Naganoはパリでオペラ座でPoulencのオペラ「Dialogues des carmelites」を聞いていますが、演奏を引き立て役徹していましたが、テレビ中継だと演奏の善し悪しはわかりにくいのですが、なかなかの好演奏だったのではないでしょうか。それにしても難曲ばかり振っている指揮者ですよね。さてParsifalはワグナーらしく長いオペラ。一幕目120分、二幕目70分、三幕目80分。そのうえ内容が重い。重すぎます。ワグナー好きの方にはそこが魅力なのでしょうが、初めて見たがオペラがこの演目ならばオペラ嫌いになることは間違いなしでしょう。実は来週はパリオペラ座でワグナーのオペラを見ることになりますが、どうなになることやら。

2008年11月2日

クラウドコンピューティングのネタが続いていますが、またクラウドコンピューティングのネタ。というか最近、クラウドコンピューティング関連の問い合わせが多いのです。よく聞かれるのはクラウドコンピューティングはバズワードで終わるのか?、本当に普及するのか?なのですが、これはクラウドコンピューティングという用語が生き残るかは別にして、世界的にサーバを集約する流れは止められないのではないでしょうか。ただ、いきなりクラウドコンピューティングに移行するのではなく、ハイブリッドな状態が長期にわたって続きながら徐々にクラウドコンピューティングに移行していくのではないでしょうか。実際、(1)情報システムには、計算負荷の変動が大きいなどクラウドコンピューティングに向いているシステムと向いていないシステムがあります。そして、(2)ひとつの情報システムにもクラウドコンピューティングに向いている処理と向いていない処理があります。さらに(3)クラウドコンピューティングに向いている処理でも計算負荷が増えたときだけクラウドコンピューティングを使うことも考えられます。例えばセキュリティ的な事情でクラウド側に情報・処理を出したくない部分はローカル側サーバで維持・実行して、それ以外の部分をクラウド側に任せるというアプローチが考えられます。同様に情報システム中でレスポンス性能が要求される処理、リアルタイム処理や高信頼トランザクション処理もクラウド向きではないですが、すべてがそうした処理ではない。先日、東証のシステムはクラウドコンピューティングに移行できるかと聞かれたのですが、株取引はリアルタイム処理が必要なのでローカル側で実行すべきなので、クラウドコンピューティングには不向きです。ただし、東証の情報システム内にはいろいろな処理があるわけで、そのなかにはクラウド側に移行しても問題がないものも多いはず。また(3)の計算負荷が増えたときだけクラウド側を使うというアプローチが考えられます。現在の情報システムは計算負荷が最大なったときを想定して、ローカル側で大規模なサーバを構築・運用しています。しかし、計算負荷が極端に増えるのは年に数回程度以下ならば、まずは定常状態+α程度の計算負荷で情報システムを構築・運用していて、その処理量では追いつかないときだけクラウド側に応援をもとめていいです。また、同様にシステムをメンテナンスでとめるときだけクラウド側に応援を求めることが考えられます。それとSIerの皆さんには、クラウドコンピューティングが流行る否かにかかわらず、ボディブローのように影響してくるのではないでしょうか。SIer業者は顧客に処理負荷が最大になったときでも対応できるシステムを構築させてきましたが、クラウドコンピューティングという流れを、顧客の情報担当者というよりも経営陣が知ると、情報システムの規模や費用を再考させることになり、結果として顧客の情報システムへの費用を小さくさせます。特に国内SIerはシステム開発費よりもシステム維持費で儲けていますから、顧客の経営陣がクラウドコンピューティングという技術で(技術的なことはわからなくても)システム維持費が安くなると知ると、運用・維持費を絞りますから、国内SIerにはクラウドコンピューティングの普及にかかわらず、クラウドコンピューティングがボディブローのように影響してくるのではないでしょうか。

2008年11月1日

MicrosoftはAzureとともにPDCでオンライン版Officeは発表。早速、スクリーンショットまで公開されているようです。オンライン版OfficeはAzure上のアプリケーションとして提供されるなど、Microsoftのクラウドコンピューティングビジネスの大きな柱になるわけですが、個人的にはオンライン版Officeは、PCにお金をかけたくない個人ユーザには人気が出るでしょうが、それ以外はいまひとつだと思います。PCにとってOfficeソフトウェアがキラーアプリケーションになったように、クラウドコンピューティングにもOfficeソフトウェア以外のキラーアプリケーションが出てくるでしょう。いずれにしてもOfficeソフトウェアというのは歴史もありますし、ユーザも多い。そうなると変わるのは難しい。クラウドコンピューティングの時代というのは情報やサービスを積極的に共有する時代なのだと思います。例えば企業がビジネス情報を自社内に囲い込む時代ではなく、むしろ積極的に共有する時代なのだと思います。例えばExcelのような表計算サービスや会計管理サービスを使って自社の営業データを入力・管理している法人同士が、自社の営業データを他社の営業データにリンクしあいながら、ひとつの企業だけでは見えなかった営業データを見えるようにしたり、営業データを密に接続することによって新しい協業を実現する時代になるのではないでしょうか。その意味ではMicrosoftでAzureを主導しているRay Ozzieがかつて開発していたNotesのようなデータ共有アプリケーションの方が、Officeソフトウェアよりも重要でしょう。また、もしクラウドコンピューティングを通して企業同士が営業データを共有し合いあう時代になると、企業という組織単位も大きく変わることになります。いい例なのかはわかりませんが、クラウドコンピューティングでは多数のデータが営業データをクラウド上のサーバで維持しています。このため例えば多数の企業がそれぞれの営業データをひとつのスプレッドシートに表すこともできるはずです。そうなれば他社の営業動向から次に何が売れるかが見えてくるかもしれませんし、自社のどの製品と他社のどの製品が一緒に売れているのか(または競合しているか)が見えてきます。もちろんそれでも自社で営業データを囲い込む企業もあるでしょうが、共有しあった方が収益性がよくなるのであれば積極的に共有しあうことになるかもしれません。またクラウドコンピューティングではデータだけでなくアプリケーションやサービスの共有もできるはずです。例えばある企業は自社の在庫管理アプリケーションを他の企業が使うことを許せば、倉庫を共有することもできるかもしれません。いずれにしても従来の情報システム、そして従来のビジネスモデルに拘っている企業はクラウドコンピューティングは使いこなせないでしょうし、そうした企業はクラウドコンピューティングの時代には淘汰されることになります。

2008年10月31日

新国立劇場でVerdiのオペラ「リゴレット(Rigoletto)」。今月3本目のオペラ(観すぎです、でも3本合計でも1万円はいっていません)。さらにVerdiのオペラは、先週、ナブッコ(Nabucco)をベネチアのフェニーチェ歌劇場みていますし(リゴレットの初演はフェニーチェ歌劇場らしい)、今春にアイーダ(Aida)と椿姫(La Traviata)をみているので、今年4回目のVerdiだったりします(観すぎです)。さて新国立劇場のリゴレットですが、主役のRigoletto役のLado Ataneli、Gilda役のAnnick Massis、Mantova公爵役のShalva Mukeria はいずれもすばらしいの一言。Lado Ataneliは声質もいいですし、安定感のある歌い方。2幕目の感情表現もすばらしい。Annick Massisも声質がいいですし、久しぶりにきれいなコロラトゥーラをきかせていただきました。この方が魔笛の夜の女王役をすることがあったら、聞いてみたいものです。Shalva Mukeriaは3幕目の有名な「女心の歌」を含めてすばらしいでき。また、3幕目の4重唱はともすると歌い訳ができなくなる難しい曲なのですが、Maddalena役の森山京子を加えて4人が、それぞれの相違な感情を歌い上げていました。演奏ですが、指揮はDaniele Callegari、オケは東京フィルハーモニー交響楽団。いいできなのですが、何カ所か歌に演奏を被せてしまったところがあったのが残念。舞台セットは2001年のときの公演の使い回しだと思いますが、お金のかかった舞台セットです。10月10日のトゥランドットをみたときにも書きましたが、新国立劇場のオペラは水準があがっていますよね。高いお金をだして海外の歌劇場の日本公演を見に行く必要はなくなりつつあるかもしれません。

2008年10月30日

2日前になりますが、MicrosoftはクラウドコンピューティングのWindows Azureを発表、コメントを書いておきます。まぁ予想された範囲内ですが、(1) あくまでもアプリケーションの実行環境の提供であり、OSレベルの実行環境(つまり仮想マシン)の提供ではないこと。(2)Windows Azure用のアプリケーションはローカルのサーバ側でも、クラウド側でも動くように互換性が確保されている。(3)Dynamic CRM Serviceも提供していること。(4)開発環境を最初から用意していること。あたりが要点ではないでしょうか。以下に長文ですが、個人的な見解を書きます。ただし、クラウドコンピューティング向けのサービスを実際に開発した経験のある人でないとわからないかも。まず(1)はAmzaon EC2タイプではなくGoogle App Engineタイプということです。Microsoftは自社のOS(Windows)を作っている立場上、Linuxを動かすわけにもいかないでしょうから、WindowsベースのOSを動かすことになるので、それであれば仮想マシンではなく、アプリケーションのホスティングにしたのは当然でしょう。またクラウドコンピューティングにおけるアプリケーションの開発・利用はサービス(またはアプリケーション)のコンポジション(合成)となるわけで、そうなればOS内に引きこもる必要がありません。むしろコンポジションがしやすい方がいいわけで、アプリケーションのホスティングにしたのは正解でしょう。個人的には、多少なりともクラウドコンピューティング向けのソフトウェアというか、サービスを作ったことのある立場でいうと、Amzaon EC2はOS内だけでアプリケーションやサービスが提供できればいいのですが、他のOS上のサービスも使わないといけない場合は面倒です。(2)についてはMicrosoftは、遅い、遅いといれ続けた高水準API(.NET Framework)を我慢して提供し続けたことがやっと実を結んだというところでしょうか。これも個人的な予想ですが、長期的にはクラウドコンピューティングに移行するでしょうが、まずはクラウドコンピューティングに移行しやすいアプリケーションから徐々に移行することが予想されます。ま世の中ではWindows Azureは技術的な目新しさがないと考えている方が多いそうですが、この(2)だけでもユーザにとっては導入する価値があります。つまり、ユーザはひとまずローカル側のサーバで動かしておいて、計算負荷が増えたらクラウド側のサーバにそのまま移行できることになり、計算負荷が最大になったときを想定してサーバを構築しなくてもいいので、情報システムの費用を下げることができます。(3)のDynamic CRMがなぜ重要かというと、その理由は課金。今回のDynamic CRMが課金できるかどうか現在の資料ではわからないのですが、課金はGoogleの一番弱いところだからです。Googleは広告収入をビジネスモデルにしているのでサービス単位の課金技術を提供していないし、実際、Google関係者に聞くと「課金は一番当社が弱いところ」とのこと。つまりApp Engine上にサードパーティがサービスを提供しても、そのサードパーティは広告から間接的な収入はえられても、従量制などを通じてそのサービスから直接収入をえる手段が用意されていないのです。このためAzureがその問題を解決しているとすると、GoogleのApp Engineに対する決定的な優位性となります。また、クラウドコンピューティング上のサービスやアプリケーションは世界中から使われる可能性があります。AzureはDynamic CRMを使って多言語や他通貨への対応やアクセスログ管理ができるようですが、App EngineはPythonでゴリゴリ書くことを想定しているので、多言語や他通貨への対応も自前で用意するしかないのです。最後に(4)ですが、これはAmazon EC2もGoogle App Engineの一番弱いところではないでしょうか。もちろんAmazon EC2は仮想マシンの提供ですから、開発環境の提供しても仕方ないのですが、問題なのはGoogle App Engine。GoogleのApp Engineの関係者が当方のところにいらしたりするのですが、その開発画面を見せてもらうとEmacsを使ってPythonスクリプトを書いていましたし、社内でもEmacs+Pythonという方が多いそうです。しかし、いまはEmacsのようなエディターではなく、最新の開発支援ツールを駆使してプログラミングする時代です(いまだにEmacsはプログラマブルだからツールも実現できるとか言い出す人がいますが、仮にツールが提供されてもEclipseなどと比べると数年遅れ。この世界では数年の遅れは致命的)。また、現在のソフトウェア開発環境からそのままクラウドコンピューティング向けのサービスやアプリケーションがかけるというのは大きい。あと気になるのはSQLのサポートでしょうか。App Engineのデータベースはお世辞でも使い勝手がいいとはいえないので、Azureのデータベースが通常のSQLに近いとしたら魅力的ですよね。たしかにAzureは既存技術の組み合わせであり、新味は少ないかもしれません。ただ、他のクラウドコンピューティングと比べるとサービスの開発・運用は楽そうですから、Azureに乗り換える方は結構多いのではないでしょうか。いずれにしてもクラウドコンピューティングのサービスやアプリケーションは開発スピードがすべてになります。いままでWebサービスなどはサービスを提供する前にサーバを用意するなどの作業が必要でしたが、クラウドコンピューティングの世界では、サービスを実現するプログラムを書いたら、それをクラウド側のサーバに置くだけでサービス提供開始ですからね。だからサービスの開発や運用までの準備がたいへんなクラウドコンピューティングインフラ(例えばAmazon EC2)は嫌われます。その意味ではWindows Azureは現時点では優位性が高いです。

2008年10月29日

なぜか10月22日に書いたソフトウェア工学研究の欧州トレンドについて問い合わせが数件あったので、ここでも返答しておきます。関係者には当たり前の話ですが、ソフトウェア開発では顧客から要求を聞いて、その要求に応じて仕様を作って、その仕様にあったソフトウェアを実装します。でも顧客をこれから作るソフトウェアに対して詳細な要求をもっているとは限らないし、そもそも要求も不完全な場合が多いし、結構変わります。仕様も機能からユーザインターフェースまで多岐にわたり、ソフトウェアの大規模や複雑化にともなって、詳細な仕様を作ること自体がソフトウェア開発の大きな負担になっています。ましてモデル検査などで形式手法で実装が仕様を満足しているかを検証することになったら、それに対応した仕様を用意することは至難の業。このため欧州の研究トレンドというのは、大まか仕様を作って、それにあわせてソフトウェアを実装する。そしてそのソフトウェアをひとまずユーザに使ってもらうことで、細かい要求を出してもらって、それにあわせてソフトウェアを改良した方がいいというアプローチを想定しています。ただ、ただ、ソフトウェアの改変はたとえ細々とした改変でもたいへんです。そこでそのソフトウェア改変を(ある程度)自動化する、つまりソフトウェア自体に適応性を導入して、要求や仕様の変更に応じて(ある程度は)自律的に適応できるようにする方がいいという考え方です。もちろんソフトウェア全体を適応可能にすることは無理なのですが、細かい仕様変更であれば(ソフトウェア実行中でも)できるものもあります。まとめると欧州の研究トレンドでは検証やテスティングなど手法から、ソフトウェアの自動適応手法に関心が移りつつあるということです。もちろん研究のトレンドなので実現できるかはまだわからないし、実現しても実際のソフトウェア開発で利用されるのは先ですがね。ただ国内で今頃になって要求工学や、テスティングや検証の研究が流行っている状況ですから、すっかり周回遅れですよね。なお個人的にはソフトウェアへの自動適応性は実は欧州よりも日本の方が向いているように思います。欧州を含めて海外のソフトウェア開発は契約ベースなので、発注側は厳密な要求を作って開発委託契約を結び、受注側はその要求通りにソフトウェアを開発してきます。だから検証やテスティングなどソフトウェアが仕様とあっているかを調べることが重視されます。一方、日本の受注ソフトウェア開発では、発注側の要求が曖昧。その代わり開発されたソフトウェアにいろいろ文句をつけながら改良していくことが多い。つまり厳格な要求を想定している海外の要求工学はそのままでは日本では通用しない。要求の変更とともに仕様が少しずつかわる日本では検証やテスティングが海外でうまくいっているからといって、日本でうまくいくとは限らない。当方はソフトウェア工学そのものは研究の対象にしていないので、これ以上コメントする立場ではありませんが(ちょっと自慢をするとソフトウェア工学のトップ論文誌のIEEE Trans. Soft. Engに論文を5年前に通しています。でも当方のあとは日本から通している人がいないのですが、それでいいの?)、日本のソフトウェア工学はアカデミアも企業も、海外で流行った手法をいち早く導入したがりますし、単に海外の先端手法を紹介している方々が尊敬されます。それはそれで結構ですが、国内と海外のソフトウェア開発スタイルに違いがある以上、海外で流行っている手法をそのまま真似ても国内でうまく使えるとは限りません。それに海外の研究の後追いだけでは、研究トレンドについて行けても一番にはなれないです。そして研究の世界は一番とそれ以外。二番以下には賞はでません。

2008年10月28日

知財関連の仕事の日。それにしても忙しい一日でした。実は勤務先の知財委員会の委員長だったりするのです(まったく向いていないし、そもそも知財に関心がある方ではないし)。今日は今月の知財委員会だったのですが、先月に引き続き今月も委員長の特許申請を審議するという事態。やりにくいといったらありゃしない、という感じ。また今回の案件を加えると国内特許出願準備を2件、海外出願準備を1件かかえることになり、どんどんはまっていく感じ(企業の方には少なく見えるでしょうが、大学関係者では多い方でしょう)。夕方には早速、午前中に特許にすることが決まった案件について特許事務所で打ち合わせ。無事に出願までいけるでしょうか。ところでアカデミアでは特許というと条件反射的に拒絶反応をされる研究者が多いですし、個人的にも学術研究と特許は整合しない部分も少なからずあると思っていたりします。ただ、論文発表に向いている研究、特許で権利化すべき研究、オープンソースで公開すべき研究があります。だから使い分けですよね。当方の場合はというと、論文にはまだならなそうな萌芽的なアイデアは特許にすることが多いかも。いずれにしても大学や研究機関は、企業と違って製品を作ったり売ったりするわけではないので、特許の実施はできないことがほとんど。このため特許を使うのは外部資金の獲得をするときの手札として使うことが多い。だから売れる特許や使える特許より、予算がとれる特許の方がいいということになります。話はかわって、mixiが年賀はがきサービスを始めるそうですが、これは久しぶりに賢いサービスだと思いました。確かに送り手も受け手の氏名や住所などはお互いにわからずに済むので流行るかもしれません。それにしてもSNSはどこまでいってもプライバシー情報の隠蔽がキーになりますね。ただ、mixiはいわゆる「読み逃げ」すら激怒するユーザがいるそうですから、そうしたユーザは年賀状を送ったのに年賀状の返事をもらえなかったときなどはいったいどのような反応するのでしょうかね。ちなみに当方はmixiにアカウントをもっていないので、mixi年賀状を送ることもできませんし、届くこともありません。まぁそれはともかく、このmixi年賀状はSNSのアカウント情報を精度をあげる。つまりユーザは嘘を書かなくなるというメリットがありますし、同時にSNSのアカウントが氏名や住所に取って代わるということになります。これから住所氏名の代わりにSNSアカウントを書く時代がやってくるのでしょうか。

2008年10月27日

勤務先とパリ大第6大学(LIP6)と合同ワークショップで招待講演。帰国早々ということもあってまるで調子が出ず、1時間講演なのにちょっとダラダラ気味。反省です。その上、実は何のワークショップなのかもわかっておらず、講演直前にスライドを作り直すことになりました。ただ、講演後、LIP6関係者からLIP6でも講演を頼まれたので、それなりにウケたのでしょう。次のフランス出張は再来週なので講演をその出張期間中に日程調整。ということで再来週はパリにも行くことになりました。一週間出張に行くと書類仕事から、もろもろの仕事がたまります。ということでワークショップは講演のときだけいて、後は当方のところの学生さんにまかせてしまいました。まぁ彼はそのLIP6出身なのでいいでしょう。

2008年10月26日

ANAのパリ発成田行きで帰国。今回もプレミアムエコノミー席は取れませんでした。ということで機内では電源確保ができず。ということで機内ではノートPCのバッテリ切れとともに、プログラミングは終わりとなりました。今回の出張はアイデアを考えることが最大のミッションだったので、PCがなくてもよく、機内でもそれなりの成果があったのですがね。

2008年10月25日

ちょっと時間が早かったのですが、船にのり滞在先の島からベネチア本島に移動。サンマルコ広場のカフェで2時間ほどカプチーノ一杯で過ごす。絵に描いたようなベネチアの過ごし方ですが、この広場を楽しむにはこれが一番。それに今回は島に幽閉状態でしたし、今日は移動日ですし。そしてサンマルコ広場の近くから船で空港に移動。ベネチア本島にいかれた方はよくご存じだと思いますが、ベネチアの市街地では自動車は走っていません。バスも救急車もゴミ回収車も自動車ではなく船。ベネチアは何度かいっていますが、ベネチアからの帰り、つまり市街を出たときに自動車を目にするとある種のおどろきを感じます。それと同時に思うのは、自動車がなくても済む世界があるということ。ベネチアは観光地ですが、自動車に頼らない生活を体験するためだけにでもベネチアに行く価値は十二分にあると思います。さてそのベネチアの空港からはAir Franceでパリの空港、そしてANAで成田空港に向かいます。この一ヶ月間ぐらいでパリ発成田便に乗ったは3回目(9月24日、10月3日、10月25日)。ということでANAの現地係員にも顔を覚えらてしまいましたし、パリの空港は案内板や番号などをみなくても、チェックインカウンターやゲートがわかるようになってしまいました。それっていいのでしょうか。

2008年10月24日

国際会議の最終日です。おとなしく聞いております。この会議は自己適応性や自己組織化をテーマにしていますが、論文の方は何が自己適応性や自己組織化なのか謎なものが多いし、そもそも自己適応性と適応性を混同しているものも結構多い。どうして自己適応性や自己組織化が必要なかという目的や用途を無視している発表が多く、ちょっと閉口気味。たしかに研究そのものは学術的におもしろい論文も結構あったのですが、その研究が何に役に立つかは説明してほしいです。さて夜はベネチアのフェニーチェ歌劇場(Teatro La Fenice)でVerdiのオペラの「ナブッコ(Nabucco)」。イタリアではVerdiといえばクオリティが期待できますし、特にNabuccoは3幕目の合唱曲は第二のイタリア国歌といわれるぐらいになっているほどのイタリアでは超人気演目。ましてフェニーチェ歌劇場ですから、いうまでもなくクオリティは非常に高かったです。暴君の王女であるAbigalle役はPaoletta Marrocu。4幕目で服毒自殺をはかるのですが、その絶命寸前で歌うという難役なのですが、迫真の歌い方でした。王様のNabucco役はAlberto Gazale。イタリアの歌唱力だけでなく、情熱的な歌い方です。これは他の国の歌手には真似できないことですよね。このためオペラがドラマになっています。これはコーラスにもいえていて、きれいに歌うとか、あわせて歌うということよりも、感情移入していることがわかるのですよね。司祭のZaccaria役はFerruccio Furlanetto、王子様のIsmaele役はRoberto De Biasio、もう一人の王女のFenena役はAnna Smirnovaも主役でもおかしくない水準。オーケストラはフェニーチェ歌劇場の楽団、指揮はRenato Palumbo。イタリアのオーケストラ特有の躍動感あるストリングでした。舞台ですが、最近はやりの舞台裏を見せたままにして、ライティングで嗜好を凝らすタイプ。客席にもヘブライ語を映し出すなど凝っていましたが、歌手に動きがないのでちょっと単調だったかも。衣装も現代風。毎シーズン、2,3演目のVerdiのオペラをみますが、イタリアでVerdiのオペラをみるのは2001年にローマで「Il Trovatore」を観た以来。やはりイタリアで上映されるVerdiはひと味違いますね。フェニーチェ歌劇場はリニューアルオープンの時によほど入りたそうな顔していたのか、すこしだけのぞかしてもらったことがありますが、演目を観るのは初めて。きれいな劇場ですよね。ご存知のようにフェニーチェ歌劇場は大きな火事がおきたのですが、そのためか消防署員の方が会場内を監視していました。

2008年10月23日

国際会議の3日目です。論文発表に加えてキーノートスピーチ。キーノートスピーチは生物や物理などの研究者がとった自己組織化現象を撮影したビデオをひたすら流すだけというもの。会議の参加者は素人だとでも思ったのでしょうか。発表も一通り聞いていましたが、10年前にもエージェント系の研究と何が違うのといいたくなるものが何件があり、なんだかなぁという感じ。ところで会議の会場は、ベニスからちょっと離れた小島。城壁で囲まれていて、そのなかに議会場と宿泊施設、食堂があります。それ以外はありません。ですから飲み物を買うにしても自販機があるぐらいで、お店はありません。孤島に幽閉状態という感じ。観光地だけにつらいのですが、ベニスはもう何回目?という状態なので、ひとあたりの場所は行っているのでおとなしくしております。

2008年10月22日

今回参加している国際会議はコンピュータサイエンスの会議ですが、生物などの分野を含むなど境界領域の国際会議。おとなしく発表を聞いておりますが、まぁアイデアはおもしろいけど実現不可能という発表がおおいのですが、二つほどこれは賢いと思わせる発表がありました。また今日はパネル討論もあり、テーマは自己適応や自己組織化によるものでしたが、米国の研究者が自己適応や自己組織化にポジティブなのに対して、欧州の研究者は引き気味というのがなかなか興味深い。その理由はいろいろですが、米国はコンピュータサイエンス系の研究予算が削減されてきているので、新しい話題もほしいし、自然科学系に絡めないといけないのかもしれませんね。あとパネリストの一人がEUの時期予算を先取りをした話をしたのですが、当方はそのEU予算のテーマを決める委員をしているのでパネリストの意図がわかったのですが、そうでもないとわからないでしょうね。そのEUの時期予算について説明するのは難しいのですが、簡単に書くと最近、ソフトウェア開発におけるテスティングや検証がもてはやされていますが、実際にはソフトウェアへの要求、仕様、実装のあいだにはギャップが大きく、要求をまとめるのもたいへんだし、仕様を作るのはもっとたいへん。だから細かい要求や仕様については、まずはソフトウェアを開発・運用してから改変した方が早く、さらにある程度は自動化したいので自己組織化や自己改変能力をもつソフトウェア技術が必要ということです。日本ではテスティングや検証がやっと重視され始めたところですが、海外はすでに次の段階に移行し始めているわけで、すでに周回遅れ状態。いずれにしても欧州は予算動向で研究トレンドもかわるので、今後の予算動向を知らない限りは、メジャー国際会議への採録はありえないし、時流に乗れないわけで研究者にとっては将来の研究テーマを知っていることは死活問題だったりします。

2008年10月21日

国際会議の2日目。当方は2日目からの参加なので1日目という感じですが。ワークショップをいろいろまわって、最後はビジネスアプリのワークショップに出ていたのですが、電力系や航空機など普段聞けないアプリケーションの話があったので、アプリケーション探しと考えればなかなかおもしろかったです。もちろん中身はぱっとしないのですがね。ただ、ソフトウェアの研究というのは機能的な差別化が難しいのです。プログラミング言語を例に取るとチューリングマシンの計算能力がC言語などの既存言語の計算能力が同じということと同様に、ソフトウェアとして実現できる機能の多くはどの言語でも実現できます。そうなるとアプリケーションの書きやすさなどで勝負をしないといけなくなります。そうなると具体的なアプリケーションを想定しないといけないのです。このためシステムの研究をするにしても、アプリケーションを選ばないと研究が理解されないことになるのです。夜はレセプションでしたが、当然、食事になりそうなものがでるわけではないので、船で本島に移動して夕食となりました。

2008年10月20日

海外出張です。ということでANAの成田発フランクフルト着便。なんとフランクフルト空港では次の飛行機を5時間待ち。ベニス空港に11時過ぎについて、バスでベニス市内の外れに行って、それからボートを2つ乗り継いでなんどかホテルに到着。ホテルに着いたときは2時近かったです。家を出たのが7時ですから、真夜中の2時ということは日本時間では9時なので、移動だけで25時間かかった計算。長かったです。またプレミアムエコノミー席はとれませんでした。というわけでシート電源がなく、PCを使うお仕事は機内ではかどらず。ところでマイレージポイントの使い方がいろいろ難しくなっている御時世のため、マイレージポイントでプレミアムエコノミー席にアップグレードしているのかと聞かれるのですが、単にたくさん乗っていると、プレミアムエコノミー席が空いているとアップグレードしてくれるというだけで、マイレージとは関係なかったりします。というわけで当方のマイレージポイントはどんどん失効しています。ところで昨日書いたプログラム解析手法を使って共同集配トラックに選択手法ですが、現在はクラウドコンピューティング上で実装が進めています。ただ、問題は出先で実装が難しいことです。個々のサービスはスタンドアローンで開発できるにしてもサービスを組み合わせる場合はクラウドコンピューティングのインフラにアクセスできないとテストもできません。もちろんWeb系アプリの開発もネットワーク接続が必要になりますが、Webアプリはプログラムは手元のサーバで動いているのに対して、クラウドコンピューティングはプログラムはインフラ側のサーバで動いているので、スタンドアローンではさすがに開発が難しい。

2008年10月19日

突然ですが「コンピュータサイエンスは終わった」と叫んでみます。これを書くとお偉い先生方からお叱りをうけるのですがね。コンピュータサイエンスが生まれて50年ちょっと。これまでの研究はコンピュータサイエンスの技術的問題をコンピュータサイエンスの手法を使って解決するという、すごく閉じた世界。たぶん1990年くらいまではコンピュータサイエンスにおける技術的な課題の残っていたので閉じた世界でも許されたと思います。しかし、コンピュータサイエンスにおける技術的な課題の多くが解決された現状では閉じた世界にとどまることは許されません。また、ある年齢以上のコンピュータサイエンスの研究者は、コンピュータサイエンスは進歩が速い研究分野という刷り込みがあるようですが、生物学などと比べると、停滞状態とまではいいませんが、牛歩状態というほど進歩が遅い。学生さんにコンピュータサイエンスが人気がないのも当然です。そろそろコンピュータサイエンスは閉じた世界から出て、コンピュータサイエンス以外の分野における問題をコンピュータサイエンスの手法で解決するという方向に踏み出さないといけない時期です。個人的には、今年の5月にプログラム解析手法を使って共同集配トラックに選択手法を作ったのですが、これもコンピュータサイエンスの手法を使って現実世界の問題を解決して、新しい物流の枠組みを作ろうという試みだったりします。予想していた通り、コンピュータサイエンス以外の分野からはたくさんの引き合いがありましたが(取材と引き合いで一時、仕事にならかなった状況は脱しましたが)、コンピュータサイエンスからは・・・という感じです。いずれにしても社会そのものが情報システムに頼っています。その情報システムのコア技術であるコンピュータサイエンスは社会そのものをかえる力があると思うのです。つまり、いま世の中を変えようと思ったら、情報システムを使って変えるしかないわけで、コンピュータサイエンスの知識は必要とされていると思います。ただ、その中心となるコンピュータサイエンスの研究者が、コンピュータサイエンスの枠組みから抜け出せないのはもったいないです。

2008年10月18日

昨日の続きですが、クラウドコンピューティングによって一番影響をうけるのは国家だと思っています。ご存知のように、クラウドコンピューティングに向いている情報システムというのは負荷変動が大きいシステム。そうしたシステムの代表といえるのが、国家が保持している税金や予算管理の情報システムです。つまり税金や予算執行という国家として重要な部分をクラウドコンピューティングに頼る時代が近い将来やってくるかもしれません。だからといって日本国内で官製クラウドコンピューティングインフラをつくったら本末転倒です。民間のクラウドコンピューティングのインフラを使いながら、いかに信頼性とサービスを実現するのかが重要になるはずです。でもそれは技術の問題であり、当方を含めて研究者や技術者が解決すべき問題でしょう。問題なのは国家や企業がその根幹となる情報システムをクラウドコンピューティングに頼ったときに国家や企業がどうなるかです。国家も企業も情報システムによる行政や業務が主体になりますし、それを実現するのはクラウドコンピューティング上になるようになると、行政や企業活動というものは巨大なクラウドコンピューティング上のサービスのひとつとして位置づけられることになります。つまり国家や企業というのは巨大なクラウドコンピューティングの一部になってしまうということです。仕事柄、情報システムの将来ビジョンについて聞かれることがあります。そうした代表的なビジョンのひとつは、コンピュータによる仮想世界と我々の生きている現実世界の融合というものです。当方もどうでもいい会議や資料では仮想世界と現実世界の融合などといってお茶を濁すのですが、むしろ国家や企業という現実世界の活動がコンピュータシステム上に実現されてしまうので、現実世界が仮想世界化してしまう、つまり現実世界の仮想世界の併合されてしまうのではないかと思います。国家にしても企業にしてもその組織構成や活動の多くが、クラウドコンピューティングという巨大な仮想世界を使って実現されるようになったら、現実世界が仮想世界上に実現されていると見てもいいわけで、現実世界が仮想世界に併合されるという方が正しく、仮想世界と現実世界の融合というのは違うと思っていたりします。もちろん、そうしたビジョンがわかる人がいる会議等ではきちんと説明しますが、既存の研究テーマや技術を10年先もそのまま従事できると思っている研究者や技術者に話しても、将来予測以前に、現状が変わることに強く拒絶されるので議論にならないのです。

2008年10月17日

いろいろ残務処理、というか事前処理の日。来週はまた海外出張なのです。この一ヶ月に何回行くのかというツッコミがはいりそうですが。ところでNHKでクラウドコンピューティングの特集があったためでしょうか、クラウドコンピューティング関連の取り合わせが数件。その番組を見ていないのでなんともいえませんが、クラウドコンピューティングはいい面と悪い面がありますよね。個人的にはクラウドコンピューティングへの流れは避けられないと思いますし、クラウドコンピューティング向けの情報システムから、意外に早い時期にクラウドコンピューティング上に移行するのではないでしょうか。ただ、問い合わせの内容は情報漏洩とか故障の問題ばかり。それも重要な問題ですが、クラウドコンピューティングの怖さは、情報の蓄積も交換もクラウドコンピューティングのインフラのなかで閉じてしまうことです。例えば電子取引を考えると、現在の電子取引は当事者間のPC同士をインターネットで結び、商取引情報をやりとりしています。しかし、クラウドコンピューティングでは商取引情報はクラウドコンピューティングのインフラ内でおきていて、当事者のPCに見えているのはそのユーザインターフェースであって、商取引情報の一部しかみえないことになります。今後のほとんど商取引は電子化される、つまりクラウドコンピューティング内で発生することになると、商取引という重要な社会活動が我々の手元から離れてクラウドコンピューティングというインフラ側でおきてしまいます。個人的にはクラウドコンピューティングが普及するか否かという議論している段階ではなく、クラウドコンピューティングによる影響を議論する段階だと思ったりします。

2008年10月16日

今日も講演。2時間講演。関西や四国などの遠方から聞きに来られた方もあったようですから、ありがたいことです。だいたい平均すると講演が週に一回はあるぐらいのスペースですが、二日続くとさすがにつらい。といっても私立大学の先生方は一日に数回の授業もされるそうですから、それとくらべるとまったくたいしたことがないのですがね。

2008年10月15日

午前中は所内の会議でプレゼン、午後はセンサーやRFID関連では最大手の業界団体の総会で招待講演。RFID製品を作られているメーカのRFID事業担当者の前でRFIDの話をするのはなかなか難しいです。

2008年10月14日

新型MacBookとMacBook Proの発表ですね。筐体デザインはMacBook Airのデザインにあわせてきたということでしょうが、筐体サイドのデザインは往年のチタンPowerBookを思い出してしまいました。それはともかく、GPU(NVIDIA)が気になりますね。組込GPU(Intel GMA X3100)とくらべるとGPUの搭載により、グラフィック性能は4倍になったそうです。CPUよりもGPUの性能が重視されるようになっていますから、AppleとしてもGPUを積極的に使うという方向に変えるということでしょう。それにしてもIntel Atom搭載のノートPC(ネットブック) などノートPCの低価格化進む中、その逆をいくようなAppleの商品展開は吉と出ますでしょうか。個人的に魅力なのはMacBookの厚さが薄くなったことぐらいでしょうか。それ以上の印象はもちませんでした。むしろマイナーチェンジになるMacBook AirにGPUが搭載されたことん方が気になります。といいつつも新機種の見積だけは依頼しましたが。

2008年10月13日

今日も講演用資料作成に時間がとられています。さてPowerPointですが、すかっりプレゼンテーション用ソフトウェアの代名詞になっていますね。ただ、困るのはPowerPointで作成したスライドファイルの呼び方です。仕事柄、講演用のPowerPointで作成したスライドファイルを事務局などにおくることが多いのですが、人によってはそのファイルの呼び方が違うのです。素直にPowerPointファイルと呼ぶ人もいますが、そのファイルの拡張子からPPTファイルと呼ぶ人もいますし、スライドや講演ファイルとわかるようでわからない名称で呼ぶ人までいます。さらに困るのがパワポなどの略称系。まぁパワポぐらいはいいのですが、理解不能な省略名を使う方もおられますよね。

2008年10月12日

講演用資料をひたすら作成。2時間講演と1時間講演の二つあるので、枚数は半端ではなくたいへんです。さて講演資料はご多分に漏れずPowerPoint(ただしMacintoshを使って)で作成しますが、実はPowerPointユーザ歴は長かったりします。1993年ぐらいまでは(いまはなき)AldusのPersuasionを使っていましたが、Persuasionは本格的なのですが、お手軽さはなく、一方、PowerPointは手っ取り早くスライドが作れるので1994年ぐらいにPowerPointを乗り換えたはず。実際、当時のPowerPointは軽いプレゼンテーション用ソフトウェアでプロセッサMC68030搭載のMacintosh上で使っていましたが、軽快にスライドが作成できたのでなかなか重宝しました。いまのPowerPointの重さを考えると信じられないですけどね。一応、手元にApple純正のプレゼンテーションソフトウェアのKeynoteもあるのですが、講演スライドなどは事務局が配布用資料を作ったりするので、独自のソフトウェアを使うわけにもいきません。ただ、個人的にはKeynoteはあまり好きになれません。現行PowerPointよりは軽いし、お手軽系で手っ取り早くスライドが作れるようですが、図の作成機能が弱いので当方のように図を多用するスライドを作る者には向きません。

2008年10月11日

株式市場は暴落にちかい状態になっていますね。G7のアクションが週明けにどのような効果があるかが問題ですね。さてこれだけ株価がさがると企業は資産も目減りするので設備投資は減るのは必至。他業界と比べると堅調といわれていたIT関連投資も減ることになりますし、資金調達も難しくなります。さて気になるのはネット広告。一般に広告というのは景気に左右されやすく、景気が悪くなれば出稿数も減りますし、それにつられて広告料も減ります。ネット広告、特にGoogleなどの検索型広告は景気に依存しないという見方がありますが、今後はどうなのでしょうかね。これから年末に向けてネット広告の出稿数や広告費、クリック数などの状況によって、今後のネットサービスの動向を決めることになるでしょう。検索型広告の落ち込みが少なければGoogleの天下はまだまだ続きますし、逆に新しい企業が台頭する可能性も出てきます。

2008年10月10日

さてさていよいよオペラシーズン開幕です。今シーズン最初のオペラは新国立劇場でプッチーニのオペラ「トゥーランドット」となりました。ご存知のようにスケートで有名なった歌の大元のオペラですね。だからといってシーズン開幕で「トゥーランドット」をもってくるというのは集客重視という気がしないでもないですがね。でも歌、合唱、演奏もすばらしくシーズン開幕にふさわしい出来だったのではないでしょうか。定番できめるかと思っていたら演出はかなり変わっていて、冒頭は無言劇で始まり、休憩時間も幕がおりず、エキストラ役が部隊に残っているので、そのまま劇が続いているような状態。さて歌手ですが、姫(トゥーランドット)のIrene Theorin。さすがにバイロイト音楽祭でトリスタンとイゾルデのイゾルデ役をやるだけあって、いい声をしていますし、感情表現もなかなか。相手役となる王子(カラフ)役のWalter Fraccearoもよかったですね。一幕目はちょっとでしたが、二幕目以降は問題なし。この方はカラフ役をなんどか演じているそうですが、安定感がありますね。今回、何よりもよかったのは召使い(リュー)役の浜田理恵だったのではないでしょうか。リュー役はメインではないにしても有名なアリアがあり重要な役所。完璧に歌いきっていました。日本人歌手と外人歌手の差はなくなってきていますが、今回の出来は歌声だけ聞かされて実力派外人歌手が歌っているといわれればそのまま信じてしまいます。また、ティムール役の妻屋秀和は年に数回聞いていますが、さすがという出来でした。トゥーランドットでは3大臣のピン、ポン、パンが道化役なのですが、それ以外に道化役として3人のパントマイム俳優をいれており、単調になりやすい場面でも見飽きない演出でした。演奏は東フィル+Antonello Allemandi指揮、すごくいい出来でした。いつものように格安当日券なので指揮者は見えないのですが、歌手の状況におうじてテンポをかえて指揮しており、よかったです。それと新国立劇場といえば合唱なのですが、あいかわらず合唱はよかったですね。新国立劇場は合唱だけとれば海外の有名オペラよりも上かもしれません。不満といえば演出に無駄が多かったことと舞台装置に疑問が多かったことぐらいでしょうか。それを差し引いても、いいオペラを聴かせてもらいました。舞台と衣装は物議を醸しそうですし、個人的にはいい印象はなかったのですが、定番オペラで変わった試みに挑戦したことは評価してもいいと思います。それにしても新国立劇場はここ数年でレベルが上がりましたよね。その代わりチケットはとりにくくなっていますがね。

2008年10月9日

都内ですが、出かける用事がいろいろ多い日です。交通的には便利な場所にオフィスがあるので負担にはならないのですがね。それにしても東京の鉄道はなんとかならないのでしょうかね。鉄道会社が多すぎてわけがわからない。オフィスの最寄り駅も都営と東京メトロがきていますが、せめて地下鉄事業者ぐらい切符を統一して、鉄道事業者が違っても同じ料金にしてほしい。海外と比較することはないのですが、欧州の多くの都市は、鉄道事業者が複数あっても市内の切符は統一。違う事業者の電車に乗り換えても切符を買い換える必要はない。コンピュータも社会もシステムはシンプルにしないと無駄なコストがかかります。

2008年10月8日

大手通信事業者からクラウドコンピューティングに関するお問い合わせ。もちろん先方の事情は書きませんが、当方の見解だけ書いておくと、クラウドコンピューティングはインフラ側のサーバにアプリケーションもデータもおかれるので、PCなどのクライアント側はWebブラウザが動けば十分で、今よりも低性能化になる可能性があります。さてクラウドコンピューティングにおける通信ですが、通信に求められる機能も、サーバ側で動いているアプリケーションのユーザインターフェースをクライアント側に表示できるように通信することだけで、それ以上でもそれ以下でもない。もちろん、アプリケーションがクライアント側で動いていて、たまに通信をしている現状よりは、クラウドコンピューティングになると通信データ量は増えると思われます。ただ、通信量の増加に関しては留意しておくべきことがいくつかり、クラウドコンピューティングでは、例えば企業はひとつのクラウドコンピューティングのインフラをつかうでしょうから、その企業のデータもそのインフラ内で維持管理されることになります。仮に社員間のデータコピーをしたしても、そのインフラ内で処理されるので、データそのものがインフラを出て、通信事業者のネットワークに流れることはむしろ減ります。つまり、クラウドコンピューティングになると、ユーザインターフェースを描画するための小さなデータの通信回数は増大しますが、バースト的にデータを転送することは減ることが予想されます。また、現在、通信事業者が収益源にしている高次なサービスの需要は減りそうです。具体的にサービス内容を書くと、今回、問い合わせしていただいた通信事業者がどこかわかってしまうので、一般例でかきますと、例えば通信回線のウィルスチェックなどのフィルタリングを考えましょう。クラウドコンピューティングではアプリケーションもデータもクラウドコンピューティングのインフラで実行・保持されるので、ウィルスチェックはクラウドコンピューティングのインフラですればいい。また、クラウドコンピューティングではサービス指向ですから、クラウドコンピューティング上で動いてるサービスを呼び出すことが主体となり、ユーザ側がサービスやアプリケーションをインフラにインストールすることはまれです。また、そもそもクライアント側にアプリケーションは走らせません。従って悪質コードの流入危険性は少なくなります(もちろん、クラウドコンピューティングのインフラに悪質ソフトウェアが流入してしまうと被害は広がりますが)。要するに通信事業者はただのデータを送受信してくれればいい、つまり土管に徹してくれればよく、余計なサービスは一切しなくていいことになります。また、クラウドコンピューティングになると通信には高度なセキュリティ機構が必要だという意見を聞きますが、それもどうでしょうか。もちろん通信データの暗号化などのセキュリティはとても必要ですが、通信で流れる情報は、現在のようにデータファイルそのものではなく、ユーザインターフェースの描画コマンドになります。どちらが高度なセキュリティ機構が重要かというと前者なわけでして、通信事業者がなんらかのセキュリティ支援で儲かるというものでもないでしょう。もちろんほかにもいっぱい理由はあるのですが、クラウドコンピューティングの時代は、各種サービスから収益をあげている現在の通信事業者やISPには非常に厳しい時代となりますね。問い合わせをいただいた大手通信事業者は、明るい話を聞きたかったのだと思いますが、考えれば考えるほど通信事業は利益率の悪い産業になりますね。というわけで暗い話しかできませんでした。すみません。

2008年10月7日

ユーロ安が止まりませんね。あっという間に1ユーロ138円台。一ヶ月ぐらい前は170円ぐらいだったのにね。コンピュータサイエンスの研究者は為替とは関係ないのですが、海外出張が多いので他人事ではいられません。今回のユーロ安ですが、ECBがインフレ対策から金融引き締め方針から、利下げ方向に舵をきったので、ユーロ売りは当然かもしれませんが。だからといって円が上がる理由は当方のような経済素人にはよくわからないです。欧米の株式市場が悪いので円キャリー取引をしている投資家がドルやユーロから円に巻き戻しているのでしょうか。円キャリーは日本の銀行が投資家に融資しているので、投資家が海外株式安から破産すると彼らにお金を貸していた日本の銀行は結果として欧米の株安の損の尻ぬぐいをさせられることになります。一時、FX取引が流行りましたが、証拠金以上は取引量は円キャリーをしているので同じですが、そのFX取引の多くは個人投資家。もちろん個人投資家が資産をもっていればいいのですが、資産以上に運用していると貸し手の銀行はたいへんですよね。

2008年10月6日

昨日、Atomの驚異を書いたら、プロセッサ性能が下がった分、サーバ側の仕事が増えるので、コンピュータサイエンスがやるべき研究は減らないと反論されたのですが、個人的にはそれは違うような気がします。エネルギー問題もあり、サーバ側はクラウドコンピューティングに移行する、つまりサーバ提供サービスは相当多くのサーバを提供できるような事業者でないと採算が合わなくなっていくでしょう。その場合、何百万台のサーバからなるクラウドコンピューティング用インフラを提供できる事業者は少数になります。そしてそうした事業者はクラウドコンピューティングインフラの構築・運用技術を囲い込むでしょうから、(いまのWeb検索サービスのように)クラウドコンピューティングを使う側からはクラウドコンピューティングの中身が見えないということになります。コンピュータサイエンスを研究する立場からいうと、こうなると現実のクラウドコンピューティングインフラのシステム構成も見えないし、そのインフラにおける実際の問題もわからない。仮にその問題がわかって、それを解決する技術を研究しても、その技術の有効性はインフラ提供事業者の協力なしでは実験もできないし、ましてその技術が採用されるか否かはインフラ提供事業者次第となります。この状況は自動車工学などの研究状況と類似しているかもしれません、いくつかの大学には自動車工学を扱っている研究室がありますが、現実には自動車は自動車メーカにしか作れないし、実際の自動車における技術的な問題点は自動車メーカしか知り得ないのが実状。従って、自動車メーカ以外の自動車工学の研究者は、自動車メーカから断片的な情報をもらって研究するしかなくなり、研究の対象も狭まりますし、そもそも自動車メーカは肝心な情報を出さないし、提供された断片情報が正しいのか否かもわからない。今後、クラウドコンピューティングが普及すると、小規模なサーバ群で提供されていたサービスはクラウドコンピューティングインフラを利用することになりますし、PCについてもアプリケーションはクラウドコンピューティングインフラ上で実行するわけですから、PCはAtomなどの低性能プロセッサを搭載したダム端末化していきます。もちろん、クラウドコンピューティングが軌道に乗るまでは、クラウドコンピューティングのインフラ側技術の研究は成立するかもしれませんが、ある程度、軌道に乗ってしまうとクラウドコンピューティング技術はインフラ提供者側に囲い込まれることになり、研究の余地は少なくなると思われます。コンピュータサイエンスでもインフラ側技術を扱っている研究者には厳しい時代になりそうです。いずれにしてもクラウドコンピューティングが広まったときにコンピュータサイエンスが何を研究すべきは整理した方がいいでしょう。個人的にはコンピュータサイエンスに残された研究の余地はかなり狭くなってしまうと予想していますが、その一方でその残された余地は意外に深いようにも思います。もちろんそのときはコンピュータサイエンスとは呼ばなくなっているでしょうが。

2008年10月5日

IntelのプロセッサAtom搭載したノートブックPC(NetBook)が人気を集めているようですね。コンシューマー向けノートPCではNetBookのシェアが2割になっているそうです。ただ、Atomの台頭は、コンピュータサイエンス、特にソフトウェアの研究においては一つの分岐点を意味しています。これまでのコンピュータサイエンスは、コンピュータのアップグレード、つまりプロセッサ性能などのハードウェアは向上することが大前提になっていました。しかし、Atomの登場でプロセッサ性能はさがることになり、ハードウェアはアップグレードからダウングレードに向かうことになります。現在はAtomのようなプロセッサは用途が限られていますが、多くの一般ユーザが数年前のPCとWindows XPで満足していることからもわかるように、PCの性能向上に対する要求は少なくなってきており、これからは価格重視となってAtom搭載PCで十分というユーザも増えてくるでしょう。つまりPCは性能向上から低価格化に舵をきることになります。またある程度、価格が下がるとメーカは利益が減るので、研究開発に力を入れなくなりますから、PCという商品は大きな発展がないことも考えられます。さてコンピュータサイエンスに話を戻しますが、ハードウェアの向上という大前提が崩れてしまうということは、コンピュータサイエンスはいままでのような研究アプローチは通用しなくなることになります。たとえばアルゴリズムに関する研究では、いまのコンピュータでは遅くても使えないけど、将来のコンピュータはプロセッサ性能やメモリ量などが向上することを仮定している研究がすごく多いのですが、こうした研究は許されなくなります。さらにソフトウェアの研究をする者としてはほとんど自己否定なのですが、ソフトウェアに関する多くの技術は、ソフトウェアとしての研究開発が実用化したのではなく、ハードウェアの進化が実用化したものがほとんど。例を挙げたらきりがないのですが、例えばオブジェクト指向にしても仮想機械にしてもハードウェアの高速化があったから、性能的にも使えるようになりました。コンピュータサイエンス、特にソフトウェアの研究は、ハードウェアの進化に頼らず、ソフトウェア自身で性能向上や機能向上をさせないと、コンピュータサイエンスという研究分野そのものが終わってしまいます。Atomの登場は、コンピュータサイエンス研究で一番恐れていた事態がいよいよ始まったということですね。

2008年10月4日

やっと帰国です。スーツケースが壊れていました。キャスター付きの軽量素材のトランクなのですが、石畳の道や未整備の小道を移動したためか、割れてしまい直立不能になってしまいました。まぁ出張中に崩壊しなかっただけいいのですが、ちょっとショック。

2008年10月3日

さていよいよ帰国です。ホテルからアナカプリの細い路地を上り下りしながらやっとの思いでバス停に到着。そして路線バスでカプリ島の港に行き、次に船に乗ってナポリ港に行き、バスで空港に行くつもりでしたが、国際会議に参加していたフランス人研究者たちと遭遇して、いっしょにタクシーでナポリ空港に到着。そしてエールフランスのパリ便でシャルルドゴール空港。そしてANAの成田行きに乗ります。それにしてもホテルを出たのは朝の8時前、そして成田行きのANA便が飛ぶ時間は夜の8時。またナポリ空港は7月は空いていたいので油断していましたが、チェックインカウンターもセキュリティチェックも長蛇の列。2時間前にナポリ空港に着いていたのに、ゲートに辿り着いたときは搭乗時間を過ぎていました。ところでタクシーの車中からみたナポリは怖そうですね。ナポリは治安が悪いということになっていますが、歩くのも怖い感じ。特に中央駅付近は近づきたくないですね。信号待ちの車にまでお金を求める人がよってくるなどかなり危険になっていますね。

2008年10月2日

国際会議(SEUS'2008)で講演。講演後の質疑は想定通りの質問でややがっかり。それにしてもこの国際会議は聴衆のバックグラウンドがバラバラなので、話す内容のチョイスが難しかったです。さて米国人研究者たちと話しているとNSFとDARPAの研究予算が減っていることが話題になってしまいます。もちろんそれぞれ状況は研究者によって違うわけですが、複数の研究者の話を総合すると、科学技術予算の減少率のなかでも、コンピュータサイエンス関連予算の減少率はかなり大きい。例えばNSF関連予算でも当初内定予算の80%程度に減額されることは珍しくないそうです。また、サブプライム問題とコンピュータサイエンス系研究予算減が関係がない。米国は来年発足する新政権の政策によっては変わる可能性もあるが、大きく好転することはないというのが米国人研究者の多くの認識のようです。ご存知のようにコンピュータサイエンスはよくも悪くも米国次第というのは否定できない実状です。このため米国でコンピュータサイエンスの研究予算の減少は、コンピュータサイエンスの研究アクティビティが下がることになります。その影響はいろいろあるわけですが、例えば米国大学のコンピュータサイエンス系の大学院生やポスドクは予算的な理由で減少・解雇に向かうことになります。もう少し正確にいうと予算が減ることから費用対効果が優先され、トップレベルの学生やポスドクは引く手あまたになるでしょうが、それ以外の大多数の大学院生やポスドクには辛い時代がやってくることを意味します。また研究テーマも確実に予算が取りやすいものになるので、研究自体も保守的になることが想定されます。ここ数年に予算配分が増えた研究分野が軒並み減らされているという感じですが(詳しいことは書きませんが、わかる人にはわかりますよね)、どの分野がどれくらい減らされているかを知っているか否かで、日本を含め米国以外の研究者についても運命が分かれそうですね。いずれにしても今回の出張は米国のコンピュータサイエンス系予算状況がわかっただけでも行く価値がありました。

2008年10月1日

国際会議(SEUS'2008)は、カプリ島にあるナポリ大学の施設。住宅地ににある、一見、お屋敷のようなところ。さすが南イタリアです。施設の庭にはレモンやイチジクの木まであります。さて国際会議は分散リアルタイム系の研究者の主体になっているのですが、発表内容が多岐にわたっているので、わかる発表とさっぱりわからない発表の差が大きいです。さて会場がイタリアということもあって、アリタリア航空でナポリ空港までやってくる参加者が多いのですが、飛行機は飛んだものの荷物がロストしている人が多いようです。ご存知のようにアリタリア航空は会社自体が存亡の危機にあり、アリタリア航空があるうちに荷物が見つかるといいのですね。

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Ichiro Satoh

Ph.D, Professor
National Institute of Informatics

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